「貿易戦争に突入」カーニー首相、アメリカの50%関税発動に対抗する姿勢を鮮明に

 関税を巡って貿易交渉を続けてきたカナダとアメリカだったが、3日間の発動延期後も合意に至らず、8月21日夜に交渉は決裂した。アメリカは8月22日、約280億加ドル(200億米ドル)相当のカナダ製品に対して50%の関税を発動した。中には、カナダ・アメリカ・メキシコ協定(CUSMA)の対象となっている製品も含まれている。

 両者は合意に近づいていると見られていたが、期限直前で交渉決裂となった。マーク・カーニー首相は理由について、アメリカ側が最終段階で提示した条件変更が「不公平」な内容だったとし、「カナダの主権を妥協したり、わが国の主要産業を弱体化させたりすることはできなかった」と説明した。

 カーニー首相は会見で、アメリカ側が、自動車、鉄鋼、アルミニウムなどカナダの主要産業を壊滅させるような条件を要求してきたこと、カナダが他国と貿易協定を結ぶ権利を制限しようとしたこと、カナダの英仏バイリンガル表示のルールに変更を求めたことなどを明らかにした。

 「攻撃されたら戦争だということ。カナダは攻撃された」とアメリカとの貿易戦争に突入したことを示唆。カナダも対抗すると宣言した。報復関税は9月7日レイバーデー後に発動すると発表した。

 首相の決断について、ほとんどの州・準州首相は支持を表明した。最も影響を受けるオンタリオ州、ケベック州、ブリティッシュ・コロンビア州の各州首相がカーニー首相の対抗措置を支持したのに対し、アルバータ州ダニエル・スミス州首相は懸念を示し、交渉再開を望んでいると述べた。アルバータ州とサスカチュワン州は、アメリカが必要とする石油やポタッシュ(農業用カリウム肥料)をアメリカに関税10%のみで輸出しているが、対抗措置の製品として協力する姿勢は見せていない。

 一方、アメリカのジェイミソン・グリア米国通商代表は、カナダが合意の最終締結を拒否し、「新たな要求を持ち出し、これまでの合意内容を後退させた」と主張した。

 さらにドナルド・トランプ大統領は24日、アメリカの交渉姿勢を非難したカナダ政府に猛烈に反発。SNS上で、カナダから輸入する全ての自動車、自動車部品、鉄鋼に対する関税を2027年1月1日から50%に引き上げると投稿した。

(記事 高城玲)

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