トランプ大統領カナダに関税50%実施へ、アルコール販売禁止と乳業保護に反発

 アメリカのドナルド・トランプ大統領が7月20日、カナダからの輸入品に50%の関税を課すと発表した。アメリカ産自動車や酒類、乳製品の輸入をカナダが抑制していることへの対抗措置だという。猶予期間は30日で、発効は8月19日から。

 対象品目は500以上で、カナダ産酒類、乳製品から電気製品、アイスホッケーのスティック、クリスマスオーナメントまで多岐にわたる。ただし、カナダ・アメリカ・メキシコ協定(CUSMA)に基づく取引品目は対象外。さらに、石油、ガス、カリウム塩、魚類、重要鉱物には適用されない。

 カナダは現在アルバータ州とサスカチュワン州を除く多くの州で、アメリカからの酒類を酒店から撤去する対応を取っている。昨年アメリカがカナダに対して行った関税への対抗措置で、各州政府が独自に実施している。しかし、アメリカのワインやスピリッツなどを製造するメーカーへの打撃は大きく、アメリカからカナダへの輸出は州政府の対抗措置以降81%減少しているという。

 乳製品については、トランプ大統領はカナダのサプライマネージメント制度を問題視。アメリカからの輸入に制限がかけられていると主張している。

 アメリカが発表した主な関税対象品目は、酒類と乳製品のほか、はちみつ、枕用羽毛、生花、ビデオゲーム機やカメラなどの電子機器、合板、家具、香水、オフィス用品や学用品、アイスホッケーのスティック、セメントなど、多種多様な品目が対象となっている。

 これにより、カナダ国内の企業に大きな影響が出るとみられている。23日に記者会見したマーク・カーニー首相は、今すぐ対抗措置を発表することはないとしながらも「全てが選択肢として可能」と強調、「(カナダの)家族、労働者、企業を守り支えるために必要なことは何でも行う」と語った。

 カーニー首相は昨年首相に就任して以降、トランプ大統領との関税交渉のために何度も譲歩している。課税が決定していたデジタルサービス税の撤回、報復関税の引き下げ、大統領が要求する軍事費要求と国境警備強化への対応。しかし、これらの譲歩にも関わらず、ほとんど成果は得られていない。

 今回のトランプ大統領の関税は、アメリカでこれまで一度も使われたことがない大恐慌時代の関税法第338条を発動している。

(記事 北野大地)

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