カナダの世論調査会社アンガス・リード研究所(Angus Reid Institute)が7月27日に発表した最新調査によると、アメリカによる新たな50%の関税措置に対し、カナダ国民の多数が報復措置を支持していることが明らかになった。
調査ではアメリカとの貿易摩擦への対応について、34%が「アメリカと同規模の対抗関税を課すべき」と回答、28%が「より限定的な対抗関税を実施すべき」と答えた。合わせて62%が何らかの対抗関税を支持しており、強硬姿勢を求める世論の強さが浮き彫りとなった。
一方、「対抗関税は実施せず交渉を続けるべき」は19%にとどまり、「関税回避のためアメリカの要求に譲歩すべき」と答えたのはわずか7%だった。アンガス・リード研究所はカナダ国民の大多数が対米譲歩に否定的な姿勢を示していると分析している。
政府への信頼感も揺らぎ始めている。マーク・カーニー首相と交渉チームがアメリカとの間でカナダに有利な合意をまとめられると答えたのは43%で、4月の51%から下落した。これに対し、カーニー首相がアメリカとの交渉で良い結果を導けるとは考えていないと回答したのは50%。うちカーニー政権ではトランプ大統領に対抗するのは難しいが26%、トランプ政権そのものが予測不能で交渉困難が24%だった。
アメリカへの不信感も顕著となった。調査では75%が「トランプ大統領は合意を守らない」と回答、信頼するはわずか13%だった。
こうした対米感情は消費者行動にも影響を及ぼしている。今回の調査では、関税問題を受けてカナダ国内で広がる「バイ・カナディアン(国産品優先)」の動きや、アメリカ製品の購入を控える意識も引き続き強いことが示された。
特に今回の関税50%の理由として挙げられた、自動車、酒類、乳製品については、交渉がまとまり市場アクセスが拡大したとしても「アメリカ産は購入しない、おそらく購入しない」が自動車52%、酒類59%、乳製品70%。アンガス・リード研究所は、多くのカナダ国民が通商合意の成立の有無にかかわらず、アメリカ製品のボイコットを継続する意向を示していると報告している。
ただ、政治的対応には地域差も見られる。オンタリオ州は同規模の関税「ドル・フォー・ドル」での対抗措置を支持し、ブリティッシュ・コロンビア(BC)州は「重要鉱物へのアクセス制限」を示唆するなど、対抗姿勢を示している。一方でサスカチュワン州やアルバータ州はより柔軟な対応を支持している。
国民の対米意識が強硬である一方、政治的判断は一枚岩ではない。酒類販売については、全国ほとんどの州でアメリカ産を棚から撤去しているが、アルバータ州とサスカチュワン州では販売している。オンタリオ州ダグ・フォード州首相やBC州デイビッド・イービー州首相は現状のままではアメリカ産酒類を販売再開する予定はないと断言している。
今回の調査結果は、米加関係の緊張が続く中、国民が抱く対米警戒感が引き続き強いことを示した。関税50%の発動が予定される8月19日を前に、政府の対応は国民の信頼回復に向けた重要な局面を迎えている。
調査は7月23日から25日にかけて、カナダ全国の成人1,790人を対象にオンラインで実施された。
(記事 北野大地)
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