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ハドソンズ・ベイ、全国店舗で清算セールの可能性

 デパートメントストア「ベイ」などを運営するハドソンズ・ベイ・カンパニー(HBC)が、早ければ3月18日にもカナダ国内の全店舗で清算セールを行う可能性が高まっている。

 カナダ最古の企業として知られる同社だが近年は、消費者支出の低迷、アメリカとの貿易問題、新型コロナウイルス禍の影響などで財政難に陥り、3月7日に債権者保護手続きを申請した。当初は半数の店舗の清算を含む再建計画を立てていた。

 オンタリオ州高等裁判所での17日の審理で、同社はカナダ国内の全店舗(ベイ80店舗、サクス・フィフス・アベニュー3店舗、サクス・オフ・フィフス13店舗)の清算の認可を求めた。ただし存続の希望を捨てたわけではない。計画では清算セール期間の10~12週間に充分な資金を確保できた場合、一部の店舗を清算対象から除外するとしている。

 しかしピーター・オズボーン判事は判断には時間を要するとして裁定を保留した。判事は資産売却により再建の道が絶たれる可能性に懸念を示している。

 ハドソンズ・ベイの店舗は現在オンタリオ州に32店舗と最も多く、ブリティッシュ・コロンビア(BC)州に16店舗、アルバータ州とケベック州に各13店舗、マニトバ州、ノバスコシア州、サスカチュワン州に各2店舗ある。

 BC州バンクーバー・ダウンタウンの店舗では、すでにエスカレーターもエレベーターも作動していないなど閉店間際のような状態となっている。

 HBCのギフトカードの取り扱いは4月6日まで、ポイント制のロイヤルティプログラムはすでに停止されている。

(記事 編集部)

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アメリカの関税措置に対抗、テスラ製品BC電力会社のリベート対象外に

 ブリティッシュ・コロンビア(BC)州政府とBCハイドロ(電力会社)は3月12日、アメリカの電気自動車メーカー、テスラの製品を電気自動車用充電器リベートプログラムの対象から外すと発表した。

 同プログラムではBC州民が充電器を購入して家に設置する際に最大で350ドルが払い戻される。しかし発表によると12日から、テスラの充電器、エネルギー・ストレージ・バッテリー、インバーターはリベート対象外となる。ただし、3月12日以前にこれらの製品を購入・事前承認を受けていた場合はリベートを受けることができる。

 BCハイドロは、より多くのカナダ製品をリベート対象にし、アメリカ製品を対象外にするよう取り組むとしている。

 同日にはBC州政府がドナルド・トランプ大統領の措置に即座に対抗できる権限を州政府に与える法案を提出した日だった。エイドリアン・ディクス資源相は記者団に「現状でテスラ社製品が公共の補助金制度の対象になるべきではないと思う。BC州民はその理由を説明しなくても理解するだろう」と述べ、「多くの人が(テスラ製品が)対象外となることを支持すると思う」と付け加えた。テスラCEOマスク氏はカナダ併合を何度も公言しているトランプ大統領を支えている。

 テスラの電気自動車については以前から州政府の電気自動車補助金プログラムから除外されている。これは政治的な意図ではなく昨年の補助金限度額変更のためで、補助対象はメーカー希望小売価格5万ドル未満(大型車は7万ドル未満)の車両となった。しかし、充電器、エネルギー・ストレージ・バッテリー、インバーターについては対象となっていた。

(記事 編集部)

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カーニー首相誕生、新内閣は少数で「行動第一」

Parlament, Ottawa, Canada; File Photo by Japan Canada Today

 オンタリオ州オタワ市のリドーホールで3月14日に就任式が行われ、自由党マーク・カーニー党首が第24代カナダ首相に就任した。

 就任式直後の記者会見では、トランプ政権による「貿易戦争」のさなかカナダは今「危機の瞬間」にあるとし、行動第一の小規模な内閣でこの事態に対応すると述べた。政治家としての経験はないが、カナダ銀行、イングランド銀行総裁を歴任してきたカーニー氏の手腕に注目が集まっている。

 同日には新内閣も発表された。閣僚は首相含め24人でトルドー内閣(首相を含め39人)よりも少ない。

 内訳は、男性13人、女性11人。デイビッド・マクギンティ公安大臣、メラニー・ジョリー外務大臣など、アメリカとの関係を主に担当する一部の閣僚は留任。元財務大臣ドミニク・ルブラン氏は政府間関係大臣として留任し国際貿易大臣を兼任する。新たな財務大臣には前国際貿易大臣のフランソワ=フィリップ・シャンパーニュ氏が就任した。

 注目された党首選を戦って3位に終わったカリナ・グルド議員は入閣しなかったが、2位だった元財務大臣兼副首相のクリスティア・フリーランド議員は運輸大臣兼国内貿易大臣に就任した。

 カーニー首相は、現在国会議員(MP)ではなく、「貿易戦争」対応で自由党の支持率が上昇しているタイミングで、早急に解散総選挙を行うのではという見方が広まっている。

 現時点で首相がアメリカを訪れる予定はないが、適切な次期にトランプ大統領と話すのを楽しみにしていると語った。さらに長年の経験から互いの国に利益をもたらす解決策を見つけられると思うと自信をのぞかせた。

 トルドー政権が実施した報復関税措置については、アメリカがカナダに敬意を表し、自由貿易への信頼できる対応をするまで維持すると強調した。

カーニー内閣閣僚名簿

首相 マーク・カーニー

国際貿易・政府間関係大臣兼枢密院委員長 ドミニク・ルブラン

外務大臣兼国際開発大臣 メラニー・ジョリー

財務大臣 フランソワ=フィリップ・シャンパーニュ

革新・科学・産業大臣 アニータ・アナンド

国防大臣 ビル・ブレア

先住民サービス大臣 パティ・ハイドゥ

エネルギー・天然資源大臣 ジョナサン・ウィルキンソン

予算庁長官 ジネット・プティパス=テイラー

カナダ文化とアイデンティティ・カナダ公園庁・ケベック州担当大臣 スティーブン・ギルボー

運輸大臣兼国内貿易大臣 クリスティア・フリーランド

保健大臣 カマル・ケラ

法務大臣兼司法長官兼先住民関係・北方問題大臣 ゲーリー・アナンダサンガリー

政府院内幹事 レチー・バルデス

雇用・家族担当大臣 スティーブン・マッキノン

公共安全・非常時対応準備大臣 デイビッド・マクギンティ

環境・気候変動大臣 テリー・デュギッド

住宅問題・インフラ・コミュニティ大臣 ナサニエル・アースキン=スミス

移民・難民・市民権大臣 レイチェル・ベンダヤン

退役軍人問題大臣兼カナダ歳入庁担当大臣 エリザベス・ブリエール

漁業・海洋・沿岸警備大臣 ジョアンヌ・トンプソン

与党下院院内総務兼民主主義制度大臣 アリエル・カヤバガ

農業・農産食料大臣兼地方経済開発担当大臣 コディ・ブロワ

政府改革・公共事業調達大臣 アリ・エサシ

(記事 編集部)

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東京発トロント着のフライト利用者にはしか感染の可能性

 オンタリオ州トロント公衆衛生局はトロント・ピアソン国際空港に到着した国際線に関連したはしか感染を調査中と3月13日に発表した。

 対象は、3月2日の東京・成田発トロント着エアカナダ2便。当局はこの便を利用していた搭乗者に感染する可能性があるとして注意を呼び掛けている。また同日の午後4時50分から7時30分までにピアソン国際空港のターミナル1にいた人も感染の可能性があると発表している。

 ピアソン空港到着の国際線利用者のはしか感染は今年2月22日にも韓国・ソウルからの大韓航空で確認されている。

 オンタリオ州では2月26日までにすでに127件の感染が確認されているという。カナダ全国的にも感染者は拡大傾向で、特にニューブランスウィック州、ケベック州、マニトバ州では爆発的な感染となっている。

 ブリティッシュ・コロンビア(BC)州でも3月6日、メトロバンクーバーで1人がはしかに感染、さらに7日には新たに2人の感染が判明した。3人は一緒に東南アジアを旅行、そこで感染したとみられている。さらに、韓国ソウル発バンクーバー行き大韓航空KE75便(2月17日午後3時20分バンクーバー国際空港着)の乗客も感染の可能性があるとしている。

 保健局は、感染が疑われる場合、潜伏期間内(最大3週間)に感染症状がないか確認するよう求めている。症状は発熱、乾いた咳、鼻水、赤い目(結膜炎)のほか、数日後に発疹が現れ、顔から全身へと広がるという。医療機関を受診する場合は受診前に連絡するよう注意している。

 カナダ公衆衛生局テレサ・タム局長は3月6日、今年1月1日から3月6日までに227件の感染が確認され、2024年の年間記録をすでに超えたと発表した。

 春休みを前にタム公衆衛生局長は「カナダの生徒たちのワクチン接種率の減少と世界的なはしか感染の増加で、感染拡大のリスクが高まっている」と警告。旅行前に自身のワクチン接種状況を確認するよう呼び掛けている。

(記事 編集部)

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自由党、トルドー首相の後任にマーク・カーニー氏を選出

Parlament, Ottawa, Canada; File Photo by Japan Canada Today

 与党・自由党の党首選は3月10日に開票結果が発表され、元カナダ銀行総裁のマーク・カーニー氏が選出された。ジャスティン・トルドー首相の後任としてカナダ首相に就任する。

 カーニー氏は59歳、ノースウエスト準州生まれ。両親は教師で、アルバータ州エドモントン市で育った。ハーバード大学、オックスフォード大学で学んだ後、ゴールドマン・サックスに勤務、東京での駐在経験もある。2008年にカナダ銀行総裁に就任、その後、非英国人として初めてイングランド銀行総裁を務めた。

 政治家としての経験がなく現在も国会議員(MP)ではないカーニー氏だが、党首選では最有力候補に挙げられ、結果も85.9%という圧倒的得票率だった。他の候補はクリスティア・フリーランド元副首相兼財務大臣が8%、カリーナ・グールド元下院政府総務3.2%、元国会議員のフランク・ベイリス氏3%。

 勝利宣言でカーニー氏は、緊急課題であるドナルド・トランプ大統領の関税についてカナダの労働者、家族、ビジネスを攻撃するものだとし、これに対抗すると断言。アメリカがカナダに「敬意」を表し、自由貿易への信頼できる対応を行うまで報復関税措置を継続すると明言した。

 今後はメアリー・サイモン総督の任命を受けて首相に就任する。就任式の日程は決まっていない。新内閣については水面下ですでに動きがあるようだと各社が伝えている。今年10月までに総選挙を実施する必要があるが、早ければ今月末にも解散総選挙をするのではと各メディアが予想している。

(記事 編集部)

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カナダ国内ではしか感染が拡大、モントリオールではNHLの試合を観戦していたことが判明

 ブリティッシュ・コロンビア(BC)州ではしか感染者が医療機関を受診する前に各所に立ち寄っていたため担当保健局が注意を呼び掛けたが、ケベック州ではモントリオール市でNHL(ナショナルホッケーリーグ)の試合を観戦していた感染者がいたことが発表された。

 感染者はワクチンを接種していなかったという。確認された感染者は、3月3日モントリオール市ベルセンターで試合を観戦。ケベック州保健局は、同日の午後5時30分から午前0時まで会場にいた人に感染の可能性があるとして注意を呼び掛けている。

 同州では昨年12月から今年3月までにすでに少なくとも31人の感染者を確認しているという。はしかが増加している要因についてワクチン接種率の低さを挙げている。

 最近カナダ国内では、はしか感染が増加している。カナダ公衆衛生局テレサ・タム局長は3月6日、今年1月1日から3月6日までに227件の感染が確認され、2024年の年間記録をすでに超えたと発表した。

 感染が疑われる場合、潜伏期間内(最大3週間)に感染症状がないか確認するよう求めている。症状は発熱、乾いた咳、鼻水、赤い目(結膜炎)のほか、数日後に発疹が現れ、顔から全身へと広がるという。医療機関を受診する場合は受診前に連絡するよう注意している。

 春休みを前にタム公衆衛生局長は「カナダの生徒たちのワクチン接種率の減少と世界的なはしか感染の増加で、感染拡大のリスクが高まっている」と警告。旅行前に自身のワクチン接種状況を確認するよう呼び掛けている。

(記事 編集部)

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春休み、多くのカナダ人がアメリカ以外の旅行先へ

ブリティッシュ・コロンビア州ウィスラーではためくメープルリーフ。File photo by Japan Canada Today
ブリティッシュ・コロンビア州ウィスラーではためくメープルリーフ。File photo by Japan Canada Today

 アメリカのドナルド・トランプ大統領による「貿易戦争」の影響でアメリカへの旅行をキャンセルするカナダ人が増えている。

 カナダの旅行代理店によると、今年2月のアメリカ各都市への旅行予約について昨年同月と比べて40%減少し、過去3カ月で5人に1人がアメリカへの旅行をキャンセルしたという。

 カナダ航空会社最大手エアカナダは2月に、3月からフロリダ、ラスベガス、アリゾナへの運航を10%削減すると発表した。いずれも春休みの旅行に人気の地域。2番手のウエストジェットも、避寒地(暖かい旅行先)への予約状況はアメリカからメキシコやカリブ海地域へのシフトが見られるという。

 旅行業界関係者はこの状況について、関税問題のほか、カナダドル安も理由の1つだと分析している。

 アメリカ旅行協会は2月に関税措置によるカナダ人旅行者の減少が観光業界に影響を与える可能性があると指摘した。同協会によると、2024年のカナダ人旅行者数は2040万人で、海外からの旅行者数でトップ。消費額は205億米ドルで、アメリカでの14万件の雇用を支えた。カナダ人旅行者が10%減少すると200万人の旅行者数減となり、21億米ドルの消費額の減少、14,000件の雇用削減につながると予測している。

 カナダ人のアメリカ旅行先トップ5州は、フロリダ、カリフォルニア、ネバダ、ニューヨーク、テキサスだという。

(記事 編集部)

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カナダ国内ではしか感染が拡大、メトロバンクーバーでは新たに3人 感染者立ち寄り場所も公開

 ブリティッシュ・コロンビア(BC)州フレイザー・ヘルスは3月6日、メトロバンクーバーで1人がはしかに感染、さらに7日には新たに2人の感染が判明したと発表した。3人は一緒に東南アジアを旅行、そこで感染したとみられている。

 メトロバンクーバーでは2月にも東南アジアを旅行した2人の感染者が確認されたが、今回との関連性はないとしている。

 フレイザー・ヘルスによると、今回感染した3人は感染判明までに複数の場所に立ち寄っているため一般市民が感染した可能性があるという。

 3人が立ち寄った場所は以下の通り。

  • バンクーバー国際空港(2月17日午後3時20分~午後6時20分)
  • バーナビー市オースティン・ロードのPriceSmart(2月20日、21日午前9時~午前11時20分)
  • コキットラム市バーネット・ハイウェイのBig Way Hot Pot(2月28日午後7時~午後11時)
  • ロイヤル・コロンビアン病院の救急外来(3月3日午後2時30分~3月4日午前2時30分)

 さらに、韓国ソウル発バンクーバー行き大韓航空KE75便(2月17日午後3時20分バンクーバー国際空港着)の乗客も感染の可能性があるとしている。

 当局は、感染が疑われる場合、潜伏期間内(最大3週間)に感染症状がないか確認するよう求めている。症状は発熱、乾いた咳、鼻水、赤い目(結膜炎)のほか、数日後に発疹が現れ、顔から全身へと広がるという。医療機関を受診する場合は受診前に連絡するよう注意している。

 最近カナダ国内では、はしか感染が増加している。カナダ公衆衛生局テレサ・タム局長は3月6日、今年1月1日から3月6日までに227件の感染が確認され、2024年の年間記録をすでに超えたと発表した。

 春休みを前にタム公衆衛生局長は「カナダの生徒たちのワクチン接種率の減少と世界的なはしか感染の増加で、感染拡大のリスクが高まっている」と警告。旅行前に自身のワクチン接種状況を確認するよう呼び掛けている。

(記事 編集部)

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カナダへの関税措置を貿易協定範囲は1カ月免除とトランプ大統領、カナダ政府は報復措置を延期せず

Parlament, Ottawa, Canada; File Photo by Japan Canada Today

 アメリカ・トランプ大統領は3月6日、カナダへの関税措置をカナダ・アメリカ・メキシコ協定(CUSMA)範囲は4月2日まで免除すると発表した。3月4日に関税を発動して以降、5日の自動車産業への1カ月免除に続いて、2日連続で関税の一部免除を実施した。

 3月4日のアメリカの関税措置を受けて、同日に300億ドル相当のアメリカ製品に25%の報復関税を実施したカナダ政府は、6日のトランプ大統領の発表にも報復措置の延期はしないとの姿勢を示した。ただし21日後に課すとしていた1250億ドル相当の関税は4月2日まで延期すると発表した。

 ジャスティン・トルドー首相は6日の会見で「我々の目的は関税の完全撤廃」と語った。カナダ政府が発表したアメリカからの輸入品への関税は、対象品目がオレンジジュースや精肉などの食料品から、衣料品、化粧品、電化製品など多岐に渡っている。

 カナダ全国の各州政府も報復措置を実施。ほとんどの州でアメリカ産酒類を店頭から撤去したほか、オンタリオ州は3月10日からアメリカの3州、ミシガン州、ミネソタ州、ニューヨーク州に送っている電力に25%課税すると発表した。ダグ・フォード州首相はトランプ大統領の関税免除の発表を受けても実施すると強調。アメリカの関税が完全撤廃されない限り報復措置は実施するとしている。

 ブリティッシュ・コロンビア(BC)州デイビッド・イービー州首相は6日、アメリカからアラスカ州へ移動するためにBC州を通る商業トラックに通行料を課す計画を発表した。

(記事 編集部)

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カナダ各州政府もトランプ関税への報復措置を発表、オンタリオやケベックでは送電停止も示唆

BCリカーの棚から消えた人気のアメリカ産種類。2025年2月2日。写真 読者提供
BCリカーの棚から消えた人気のアメリカ産種類。2025年2月2日。写真 読者提供

 カナダに対するアメリカ・トランプ大統領の関税措置が3月4日に発令された。トルドー首相は報復措置として同日から300億ドル相当のアメリカ製品に25%の関税を課すと発表。カナダ政府が発表した関税対象製品は、オレンジジュースや精肉などの食料品から衣料品、化粧品、電気製品まで多岐に渡る。

 連邦政府に呼応するように全国の州首相も続々と報復措置を発表した。最も厳しい措置を発表したのはオンタリオ州。ダグ・フォード州首相はトランプ大統領が関税措置を強化した場合、オンタリオ州からアメリカの3州、ミネソタ州、ミシガン州、ニューヨーク州に送っている電力を止める用意があると5日に発言した。オンタリオ州は北米自由貿易協定(USMCAもしくはCUSMA)によるアメリカと一体となった自動車産業を構築してきた。しかし関税が自動車産業も含まれることでオンタリオ州経済に大きな影響が出ることが予想されている。

 フォード州首相は「これまでずっと同盟国であり、隣国であり、友人だったアメリカにこういう対応はしたくないが」とことわったうえで「トランプ大統領の関税措置に対抗するには他の選択肢はない」と語気を強めた。6日には3月10日からアメリカ3州への電力供給に25%課税すると断言。5日にはトランプ大統領が自動車産業への関税措置を1カ月延長すると発表したが、フォード州首相は6日「関税が完全に撤廃されるまで報復措置は撤廃するつもりはない」と強調した。オンタリオ州から3州へは年間7億ドル相当、150万世帯に送電している。

 ケベック州フランソワ・レゴルト州首相は4日、ケベック州民と経済を守るためにあらゆる手段を取ると明言。現時点では実施しないが送電停止やアルミニウムへの関税措置も将来的にはあり得ると語った。アメリカで使用されるアルミニウムの60%がケベック産だという。ケベック州もオンタリオ同様にアメリカに電力を送っている。レゴルト州首相はまずは州内のリカーストアからアメリカ産酒類を撤収し、購入も停止すると発表した。

 アメリカ産酒類については他州も同様の対応を発表。オンタリオ州、マニトバ州、サスカチュワン州、アルバータ州が全アメリカ産酒類を店舗から撤収し、ブリティッシュ・コロンビア州はレッド州(共和党州)から輸入している酒類の撤収を発表した。

 トルドー首相と各州首相らは、国民・州民にカナダ産を購入するよう呼び掛け、カナダ国民が一体となってこの危機的状況を乗り切りたいと語った。

(記事 編集部)

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バンクーバーで汚水が流れ出た下水管トラブル、原因不明の腐食で耐用年数3分の1で破損か

バンクーバー市役所。Photo by Japan Canada Today
バンクーバー市役所。Photo by Japan Canada Today

 ブリティッシュ・コロンビア(BC)州バンクーバー市は2月28日、下水道管の汚水漏れにより数カ月にわたって閉鎖されていたサイエンスワールド近くの道路利用が再開したと発表した。

 ターミナル・アベニュー東行き車線(ケベック・ストリートとメイン・ストリートの間)で、下水道管から汚水漏れが見つかった昨年6月20日の2日後から道路は閉鎖していた。市は2カ月かけて地上に一時的なバイパス管を設置した。現在、汚水は破損箇所を迂回してこのバイパス管を流れている。

 下水道管の本格的な修理作業は今年後半に始まるという。汚水漏れの原因調査や破損した下水管の掘削は10月後半に行われる。

 バンクーバー市によると下水道管の寿命は通常100年だが、この管はわずか26年しかたっていない。

 さらに破損原因はまだはっきりと分かっていないという。問題の下水管には何カ所か腐食があり、それが汚水漏れを引き起こした可能性があるが、なぜ腐食したかについては調査中という。調査の結果次第で本格的な修理作業の方向性が決まるとしている。

 これまでにこの下水道管トラブルにかかった費用は約700万ドル。金額には今後始まる本格的な修理作業に関する費用は含まれていない。

(記事 編集部)

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トルドー首相「カナダは引き下がらない」トランプ関税に報復措置

Parlament, Ottawa, Canada; File Photo by Japan Canada Today

 アメリカのドナルド・トランプ大統領が3月4日から、カナダからの全ての輸入品に25%(エネルギー製品は10%)の関税措置を発動した。

 これに対し、カナダ政府はただちに報復措置を実施。3月4日午前0時1分(東部標準時)から300億ドル相当のアメリカ製品に25%の関税を課した。21日後にはさらに1250億ドル相当のアメリカ製品に関税を課すという。

 ジャスティン・トルドー首相は4日に会見し、「今日、アメリカはカナダに対して貿易戦争を仕掛けた」と国民に語り掛けた。「私たちカナダ国民は理性的で、礼儀正しが、国や国民の幸福がかかっているときには、決して戦いから引き下がることはない」と宣言。カナダ国民には、厳しい戦いになるが団結して乗り切っていく、どれだけ長引こうと、どんな代償が伴おうと、連邦政府と他の政府機関が国民を支えると約束した。

「今回の措置はおろかな対応だ」とトランプ大統領を直接非難

 トルドー首相は、カナダ政府はアメリカと協力して加米国境の警備を強化した結果、1月のフェンタニルの押収はほとんどゼロに近く、12月から97%減少していると説明した。

 トランプ大統領が2月4日からカナダに関税を課す理由として、カナダから違法薬物フェンタニルや不法移民が流入していることを挙げていた。だが2月3日にトルドー首相との電話会談で国境警備を強化することで関税実施の1カ月延長に合意。カナダ政府は13億ドルの強化策を実施した。

 それでも今回トランプ大統領が課税したことを受け、トルドー首相は自分たちが「やると約束したことは全て実施した」と強調。関税措置を発動したトランプ大統領に対し「ドナルド」と名指しして、「今回の措置はおろかな対応だ」と非難した。

 米国税関・国境取締局のデータによると、1月にカナダとの国境で押収されたフェンタニルはわずか13.6グラムだったという。トルドー首相は「トランプ大統領はカナダ経済を破壊することを望んでいると繰り返し発言している」と述べ、関税の目的はフェンタニル阻止ではなくカナダを併合しやすくすることだと非難、カナダは絶対にアメリカの一部にはならないと述べた。

 関税がかけられるアメリカからの輸入品リストはこちらから。

(記事 編集部)

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