カナダ連邦政府が9月21日に提出した包括法案「Building Canada Strong Act」(Bill C-39)の中で、カナダ労働法の改正案が労働者のストライキ権に影響を与えるものとして物議を醸している。
焦点となっているのは、カナダ労働法第107条。現行は文言が曖昧で、労働大臣が「労使紛争の解決に有利な環境を整える」ための措置を取ることを認めている。Bill C-39ではこの条項を改正し、労働大臣がストによって「国益が損なわれている」と判断した場合はストを終了させ、拘束力のある解決を命じる権限を有するとしている。
背景には、2025年のエアカナダ、今年のウエストジェットの客室乗務員、2024年から2025年にかけてのカナダポスト職員、2023年の連邦公務員など、ここ数年に起きた複数の大規模なストやロックアウトがある。
こうした動きにこれまで連邦政府は、第107条を繰り返し適用してスト中の労働者に職場復帰を命じ、拘束力のある仲裁を実施してきた。
改正されると、連邦政府は21日間の特別調停人を任命できる。調停人は双方の争点や合意に至る可能性を評価した報告書を大臣に提出する。報告書は勧告を含め、提出から5日後に一般公開される。労働大臣は、第107条を発動して労働者に職場復帰を命じる前に報告書を考慮することが義務付けられる。
パティ・ハイドゥ労働大臣は、第107条は最後の手段であり、政府が当事者に代わって紛争を解決したいわけではないと強調。報告書が公開されることこそが労働組合にとって「新たな交渉力」になると説明した。
しかし労組側は懸念を示している。カナダ労働会議ベア・ブルスキー会長は「この法案は、合法的なストが国益に反している、あるいは反する可能性があると政府が判断した場合、そのストを終わらせるための新たな、拡大された権限を政府に与えるもの」だとし、「労働者の交渉力が何らかの形で国益に反するという考えを私たちは拒否する」と述べた。
野党第2党NDP(新民主党)アビ・ルイス党首は、アメリカとの貿易戦争を利用してマーク・カーニー首相が労働法の改正を進めようとしていると批判した。
(記事 高城玲)
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