今年のバンクーバー国際映画祭(VIFF)は10月1日に開幕、11日まで多種多様な映画上映やイベントが開催される。毎年注目される日本映画は、良くも悪くも人間本来の姿を巧みに表現しているのが魅力。今年も期待を裏切らない作品が揃った。
すでにラインナップは発表されているが、9月中旬に追加上映が予定されているので要チェック。
これまでに発表されている日本映画を紹介する。
Nagi Notes「ナギダイアリー」(日加トゥデイ・メディアパートナー作品)
「自分らしく生きる」

自然豊かな地方の町「ナギ」で、美術の制作と指導をしながら静かに暮らす彫刻家の寄子(松たか子)。ある日、かつての義理の妹である友梨(石橋静河)が訪れ、彫刻のモデルを通して二人は互いに心を開いていく。一方、頼子の美術教室に通う生徒の啓太(藤原聖)と春樹(川口和空)もまた、互いへの抑えがたい思いと向き合い始める。
「淵に立つ」の深田晃司監督の新作「ナギダイアリー」は、創造性、エロス、そして「自己」といったテーマを繊細に探求する。監督自身による脚本は、複雑な背景や登場人物の心理、セクシュアリティ、そして芸術要素を巧みに織り交ぜて、言葉と沈黙、身振りや佇まい、遠くの物音や圧倒的な映像など、控えめでありながら深く、心のざわめきを優雅に描き出す。岡山県奈義町をモデルとした架空の町「ナギ」を舞台に、静かに深くヒューマニズムあふれる傑作ドラマ。
上映情報:https://viff.org/whats-on/viff26-nagi-notes/
Look Back「ルックバック」
「ひたすら夢を追う」

独特の優美さと温かさでVIFFおなじみの巨匠・是枝裕和監督。今年は新作「ルックバック」で、再び夢のような青春物語に挑んでいる。
主人公の藤野(出口夏希)はマンガ大好き少女。早熟で人気者の藤野は、学校新聞に毎週4コマ漫画を連載したりして、友達と仲良く充実した日々を送っていた。ある時、絵を描くのが誰よりも上手な不登校生徒、京本(蒔田彩珠)と出会う。後に二人は強力なタッグを組み、共にマンガを制作して大きな成功を収める。全ては順調だったが、ある日…。
紙に描く鉛筆の音から、遠くに響く電車の音まで、ドキュメンタリー映画感覚で見る是枝映画。人の心を揺さぶると同時に、俳優の演出にも目をみはる。特に藤野と京本をそれぞれ演じる4人の演技は必見。
上映情報:https://viff.org/whats-on/viff26-look-back/
All of a sudden「急に具合が悪くなる」
「静かな時間の余白」

哲学者と人類学者の間で実際に交わされた書簡に着想を得た、濱口竜介監督による日本、フランス、ベルギー、ドイツの国際共同製作で、初の海外ロケ作品「All of a Sudden(原題)」。監督は大半をフランス人俳優とフランス語のダイアローグで撮りあげ、会話や観察の時間の中に「誰かを思い、大切にすること」の意味を問いていく。
パリ郊外の民間介護施設で働くマリー・ルー(ヴィルジニー・エフィラ)は、企業の効率性よりも尊厳や人間同士のつながりを重んじ、思いやりに満ちた施設の運営に取り組んでいる。そんな彼女の理想主義は他の介護スタッフから反発を招いていたが、ある日末期がんと闘う日本人劇作家・森崎真理(岡本多緒)との出会いからケアに対する彼女の理解はさらに深まっていく。友情を育む中で二人は死やケア、そして人生を形作る社会システムについて哲学的な対話を重ねる。
岡本はこの作品で2026年カンヌ国際映画祭女優賞を受賞した。
上映情報:https://viff.org/whats-on/viff26-all-of-a-sudden/
All the Lovers in the Night「すべて真夜中の恋人たち」
「切なく心に染みる感動」

入江冬子(岸井ゆきの)は30代のフリーランス校正者。東京の片隅で誰とも深く関わらず、几帳面に整えられた静かな日々を送っている。冬子は人に言えない過去の秘密を持っていたため、周囲の世界から距離を置きながら生きてきた。だが穏やかな物理教師(浅野忠信)との出会いをきっかけに人とのつながりに触れ、長年かけて築いてきた自分の対人恐怖と向き合うことになる。
川上未映子の小説を原作とする本作「すべて真夜中の恋人たち」は、都会の孤独と静かな自己発見を繊細かつ情感豊かに描く。岨手由貴子監督の優しい演出と、主演の岸井ゆきのによる繊細な演技が光るこの作品は、現代の孤独がもたらす切実な痛みを捉えつつ、再び世界とつながろうとする勇気を応援する。
上映情報:https://viff.org/whats-on/viff26-all-the-lovers-in-the-night/
“Out Mr. Matsura”
「過去を覗く扉を開ける」

1901年、武士の家に生まれたフランク(栄)マツウラ(松浦栄)は、安穏した日本の生活を後にし、アメリカ・ワシントン州へ渡った。初期日本人移民の一人として、さらにシアトルからオカノガン郡へと移り住んだマツウラは、入植者、鉱山労働者、牧場主、コルビル連合部族の人々、そして同じ移民たちといった地元の人々の間に、自らの居場所を築き上げた。
写真家として彼が残したオカノガン郡の地元行事、風景、人々の写真は、時代の「スナップショット」として、また地域の大切な遺産として、1世紀を経た今もその子孫たちに受け継がれている。Beth Harrington(ベス・ハリントン)監督は、マツウラがオカノガン郡の人々に与えた影響を振り返りながら、彼の写真に見られる意外なほどの遊び心に光を当て、写真の芸術と喜びにあふれた人生を浮き彫りにする。
上映情報:https://viff.org/whats-on/viff26-our-mr-matsura/
短編映画
Tristesse「トリステス」

愛猫のクルミと娘のハナに捧げられた、監督の村岡由梨さんが自身に向けたビデオレター。幸せ、悲しみなど日常の詩情を捉え、書いた瞬間に過去となる詩は記憶の美しさ、一筋の月の光だと表現する。
上映情報:https://viff.org/whats-on/viff26-short-forum-4/
Husband’s Legs「おっとのあし」

冷え切った夫婦生活を送るランとケイ。ある日夫がマネキンの脚に「カズミ」と名前をつけ、常軌を逸したフェティシズムな愛情を注ぎ始めたため、2人の関係に異変が訪れる。
八幡貴美監督によるヒューマンサスペンス。
上映情報:https://viff.org/whats-on/viff26-short-forum-9/
(記事 Jenna Park)
映画チケットプレゼントのお知らせ
日加トゥデイでは今年もバンクーバー国際映画祭のチケットを合計20名にプレゼントいたします。
ご希望の方は、件名欄にバンクーバー国際映画祭希望と記し、一般チケット、もしくは、Nagi Notes「ナギダイアリー」チケット希望と明記の上、お申し込みください。
締め切りは9月21日(月)午後5時。応募先は、promo@japancanadatoday.ca
当選は1人1枚となります。当選者には直接メールで連絡いたします。なお、当選チケットはコードのため、チケットはご自身でVIFFウェブサイトから入手する必要があります。
たくさんのご応募お待ちしております。
(日加トゥデイ)
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