「VIFF 2026 映画で世界を知る」第45回バンクーバー国際映画祭

会場に並ぶ2026年ポスター。2026年8月26日、バンクーバー市。Photo by Jenna Park/Japan Canada Today
会場に並ぶ2026年ポスター。2026年8月26日、バンクーバー市。Photo by Jenna Park/Japan Canada Today

プログラムとバランス

 今年で45回目を迎えるVIFFことバンクーバー国際映画祭は10月1日から11日まで開催される。8月26日には今年の上映作やプログラムが発表された。

 VIFFエグゼクティブ・ディレクターKyle Fostner(カイル・フォスナー)氏は「今年はVIFFにとって、新たな章の幕開けとなる年です」と前置きし、「『Institute for the Moving Image(映像文化研究所)』の立ち上げ、過去最大規模となるライブ・パフォーマンス、さらに今年は映画史に名を残す巨匠たちの魅力的な傑作映画と、世界各地から台頭する新世代の力強い才能による作品との『バランス』を取り入れています。創造性、好奇心、そして人間味あふれる芸術才能の発掘と革新の場としてVIFFは常に進化を遂げています」と話した。

VIFFエグゼクティブ・ディレクターのKyle Fostner氏(左)とプログラミング・ディレクターのCurtis Woloschuk氏。2026年8月26日、バンクーバー市。Photo by Jenna Park/Japan Canada Today
VIFFエグゼクティブ・ディレクターのKyle Fostner氏(左)とプログラミング・ディレクターのCurtis Woloschuk氏。2026年8月26日、バンクーバー市。Photo by Jenna Park/Japan Canada Today

 プログラミング・ディレクターCurtis Woloschuk(カーティス・ウォロシュク)氏は「今年のラインナップに含まれる全ての作品は、VIFFが支持する『文化への深い関わり』『進歩的な精神』『人々の心に響くストーリーテリング』を体現しています」と話し、「これらの作品は、映画の現在の姿を映し出すだけでなく、私たちが今生きている激動の時代をも反映しています。時に見る者に問いを投げかけるような作品であっても、その根底には家族や地域社会における愛や思いやりの尊さが描かれています」と上映作品の見どころも付け加えた。

 第45回VIFFでは長編映画162作品が上映される。ワールド・プレミア、インターナショナル・プレミア、北米プレミア、カナダ・プレミアに加え、短編映画、エピソード形式のシリーズ作品など計76カ国の作品で構成されている。ベテラン監督の最新作から、異例のドキュメンタリー、新人監督による新しい試みなど、長編、短編、ライブ演奏や特別イベント、アーティスト育成プログラムなども取り入れた内容となっている。

気になる世界中の文化

 VIFFのオープニングを飾るのは、ジェシー・アイゼンバーグ監督による「The Debut」。この作品は、演劇界特有の自意識過剰な空気を風刺しつつ、スポットライトを浴びることで初めて実現する「自己実現」の喜びを描く誠実なコメディ。

 映画祭のクロージングは、マーティン・マクドナー監督「Wild Horse Nine」。舞台は1973年、クーデター直前のチリ。長年の相棒であるCIAエージェント2人がそれぞれの暗い過去や渦巻く陰謀の中で予期せぬ事態へと向かっていく。

2026年見どころの紹介。2026年8月26日、バンクーバー市。Photo by Jenna Park/Japan Canada Today
2026年見どころの紹介。2026年8月26日、バンクーバー市。Photo by Jenna Park/Japan Canada Today

 日本からの長編映画は4本。大物監督が並ぶSpecial Presentations部門で2本上映される。カンヌ国際映画祭のコンペティション部門に招待された濱口竜介監督の「急に具合が悪くなる(All of a Sudden)」と、ベネチア国際映画祭でプレミア上映を終えたばかりの是枝裕和監督の同名漫画原作実写版作品「ルックバック(Look Back)」。どちらも上映前からかなり注目されている。

 視点の優れたShowcase部門では、同じくカンヌ国際映画祭コンペティション部門に招待された深田晃司監督「ナギダイアリー(Nagi Notes)」(日加トウディ・メディアパートナー)と、カンヌ国際映画祭ある視点部門公式出品作品の岨手由貴子監督「すべて真夜中の恋人たち(All the Lovers in the night)」が上映される。

 その他の注目映画には、惜しくも今年初めに逝去した、VIFFの長年のプログラマーであり、北野武監督など数多くの東アジア映画監督を発掘・紹介してきたイギリスの映画評論家Tony Rayns(トニー・レインズ)氏の追悼作品として、韓国の階級分断を鋭く描き出したイ・チャンドン監督8年ぶりの新作「Possible Love」がある。

 他にもカナダ初公開となる、マルクス・シュラインツァー監督「Rose」(ベルリン国際映画祭最優秀演技賞受賞)、ホン・サンス監督「Nowhere to Lay My Eyes」(ロカルノ国際映画祭監督賞・最優秀演技賞受賞)など世界の長編映画が並ぶ。

 さらに、VIFFとジャーマン・フィルムズ(German Films)の共同企画による今年の特集映画はドイツ。「Focus on New German Cinema: Extreme Tension」と題し、心理的な深み、際立った映像美、そして社会への鋭い視点を備えた6本の長編映画が上映される。クリストフ・オットー監督「The Ballad From Wednesday to Thursday」やカイ・シュテニッケ監督「Trial of Hein」など、予告から緊張感が感じられる作品が登場する。

 ノンフィクション作品では、長編50本以上を放つ、実質的にカナダで2番目の規模を誇るドキュメンタリー映画祭とも言われるVIFF。今年は、バンクーバーのジョエラ・カバル監督「First Comes Love: Nakabingwit」、デービッド・エーレンライク監督「Relax, Open Your Eyes」、カナダの注目作としてマシュー・ランキン監督最新作「Ladies and Gentlemen, Brian Mulroney」、ショーン・メナード監督「Run Terry Run」、そしてエイドリアン・ブイテンハイス監督「Man in Motion: The Rick Hansen Story」などカナダ文化に触れられる。

 アーティスト・業界育成プログラムMedia Summit(10月3日から8日開催)の「VIFF Industry」と「Amp Music in Media Summit」は、現在進行中のプロジェクトに焦点を当て、ビジネスの発展を促すことを目的としている。脚本家、プロデューサー、編集技師、国際映画祭プログラマーなどが来加する。

 音楽と映像を結ぶ「VIFF Amp」には、国内外の数多くの有力レーベル、音楽スーパーバイザー、作曲家が参加する。「VIFF Live」特別企画は「An Evening with Mark Mothersbaugh(マーク・マザーズボーの夕べ)」。多作な映画音楽作曲家であるマーク・マザーズボーが、16人編成のアンサンブルを従えて一夜限りの特別コンサートを開催する。「ザ・ロイヤル・テネンバウムズ」、「天才マックスの世界」、「マイティ・ソー バトルロイヤル」、「LEGO® ムービー」、「A Minecraft Movie(原題)」など、輝かしいキャリア作品の数々が披露される。

 VIFF理事長Am Johal氏は「VIFFの魔法は単にスクリーン上で生まれるものではありません。それは何百人もの情熱あふれる人々の尽きることのないエネルギー、ビジョン、そして熱い思いによって、その土台から築き上げられているのです。VIFFはまさに、映画を愛する人々のための映画祭です」と締めくくった。

バンクーバー国際映画祭2026

期間:2026年10月1日~11日
会場:バンクーバー市内各映画館
チケット:大人22ドル、シニア20ドル、学生・ユース19ドル、アクセッシブル17ドル。そのほかVIFFメンバーや6枚・10枚パック料金などあり。詳しくはウェブサイト参照
ウェブサイト:https://viff.org/festival/viff-2026/

(取材 Jenna Park)

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