ホーム 著者 からの投稿 Naomi Mishima

Naomi Mishima

Naomi Mishima
1616 投稿 0 コメント

18 ☆文末の「ね」は難しいね !

日本語教師  矢野修三

 日本語超上級者からおもしろいメールが届いた。「もし沖縄で日本語を勉強していたら、先生に怒られませんでしたね(笑)」である。最初は意味がさっぱり分らなかったが・・・。こんな文章が続いた。「沖縄言葉についての『ことばの交差点11』を読んでそう思いましたね(笑)」である。

 それは少し前に沖縄言葉(うちなーぐち)について書いたエッセイで、沖縄では文末に「ね」をつけて、例えば、「ランチに行きましょうね」。これは別に相手を誘っている言葉ではなく、自分が一人でランチに行く意味だと分かってびっくり。でも沖縄言葉では、このように会話文の最後に「ね」を付けるのが一般的で、確かに慣れれば温かみを感じる素敵な言い方。こんな内容であり、これを読んでの感想をユーモラスに書いて送ってくれたようである。

 そういえば、彼女は会話で、文の最後に、理由もなく、よく「ね」をつけていたことを思い出した。例えば「出身はどこ?」の答えに「カルガリーですね」や「これから友達と会いますね」などなど。何回か注意したことがある。うーん、でももし沖縄だったら、注意されなかったかも。なるほど、ようやく彼女の言いたいことが分り、思わず笑ってしまった。

 この終助詞、文末の「ね」は日本語教師にとって、かなり骨が折れる。日常会話において「今日は暑いですね」などのように文末に「ね」をよく付ける。これは話し相手に親しさを表わしながら同意を求めているので、相手が「はい、暑いです」と「ね」を付けずに返事すると、かなり不自然な冷たい感じの会話になってしまう。その通りですね。

 そこで、生徒には会話における「ね」の重要性を教えなければ・・・。でも落とし穴が待っている。文末「ね」は他の使い方もいろいろあり、相手を確認する、例えば、「Aさんは大学生ですね?」に対して、しっかり「ね」を付けて、親しみを込めたつもりで、「はい、大学生ですね」と答える。うーん。気持ちは分かるが、でも、この場合は、「ね」を付けると不自然な会話になってしまう。こんなこと日本人にしてみればごく当たり前のことだが、生徒にすれば確かに難しい。

 レベルが上がるにつれ、なるべく日本語らしい自然な会話をしたくなり、「ね」をつければ親しみのある会話になると思って、どんな場合でもこの「ね」を付けてしまう生徒、特に女性に多い。メールをくれた彼女もそう思っていたとのこと。アニメなどの影響大である。

 この文末の「ね」は会話に親しさや柔らかさを出すにはとても効果がある。依頼や誘いなどの「またお願いしますね」や「また一緒に飲もうね」など、確かに「ね」を付けると、とても効果的。

 でも、親しさを出すつもりで、単なる自分の行動に、「私はあしたウィスラーに行きますね」や「これからカラオケに行きますね」のように、「ね」を付けてしまうと、親しみどころか「そんなこと知らないよ、勝手に行けば」と相手は気分を害してしまう恐れあり。さらに、「ありがとうね」などの「ね」はアクセントを変えることで、軽い感じの表現にも・・・。日本人は巧みに使い分けている。

 このように「ね」はいろいろな用例があり、日本語教師としては大変。結局のところ、「習うより慣れよ」(Practice makes perfect)で、「体で覚えてね」とアドバイスしたいね。そして、「ね」について、沖縄出身の日本語教師とお話したいね。勝手にすればと怒られそう。

「ことばの交差点」
日本語を楽しく深掘りする矢野修三さんのコラム。日常の何気ない言葉遣いをカナダから考察。日本語を学ぶ外国人の視点に日本語教師として感心しながら日本語を共に学びます。第1回からのコラムはこちら

矢野修三(やの・しゅうぞう)
1994年 バンクーバーに家族で移住(50歳)
YANO Academy(日本語学校)開校
2020年 教室を閉じる(26年間)
現在はオンライン講座を開講中(日本からも可)
・日本語教師養成講座(卒業生2900名)
・外から見る日本語講座(目からうろこの日本語)    
メール:yano@yanoacademy.ca
ホームページ:https://yanoacademy.ca

アート・ミキさん「Gaman – Perseverance: Japanese Canadians’ Journey to Justice」出版

アート・ミキさん。著書「Gaman」を手に。2024年4月、リッチモンド市で。撮影 斉藤光一
アート・ミキさん。著書「Gaman」を手に。2024年4月、リッチモンド市で。撮影 斉藤光一

 全カナダ日系人協会・会長として1988年9月22日、ブライアン・マルルーニ首相と共に日系カナダ人の戦時補償の合意書に署名したことで知られるアート・ミキさんが、今年4月に著書を出版した。「Gaman – Perseverance: Japanese Canadians’ Journey to Justice」(Taronbooks 2023)

 「Gaman」とは「我慢」を指す。ミキさんは、「リドレス運動中の状況を表していたと思ったから」と語った。戦後補償のリドレス運動は日系移民100年祭を機に盛り上がりを見せ、紆余曲折しながらようやく1988年に身を結んだ。その中心にいたのがミキさん。

 当初はリドレス運動について書く予定だったという。「いつか本にしたいと思って、リドレス中にメモを多く残していたんです」。30年前の話だと笑う。それから約3年前に「そろそろやらなくては」と執筆のためにメモを整理し始めた。その時にリドレス運動にも大きく関わったが、他にも自分が関わった先住民族の問題や市民権委員としての仕事なども入れて、「回想録(メモワール)にすることに決めました」。

 構想30年、執筆2年、「資料をたくさん集めたりして、すごく大変だった」と笑った。そうして完成した本の表紙には3本の木がデザインされている。ミキさんの孫息子がデザインしたという。「三木」を表している。

 昨年は戦時補法合意から35周年だった。カナダ政府の日系カナダ人強制移動政策も、リドレス運動も、いまのカナダの在り方に大きな影響を与えている。リドレスとは何だったのか、戦後補償がカナダに与えた影響とは。そのヒントが見つかるかもしれない。

 日本語での翻訳予定を聞くと「日本で興味を持ってくれている団体はあるけど」との回答。日本は来年戦後80周年。そう遠くない昔、日本からカナダに渡った人たちのカナダでの「Gaman」と努力を日本にも紹介できるといいかもしれない。

(記事 三島直美)

バンクーバー日系人合同教会から8月のお知らせ

  • 教会日曜日日本語礼拝の案内

毎週日曜日午前11時より。礼拝の後、軽食をいただきながら親睦の時を持っています。クリスチャンでない方、留学、ワーキングホリデーで来られた方も大歓迎です。Zoom (ID 5662538165、パスコード1225)オンライン参加もできます。

  • 野外礼拝とバーベキュー

8月11日(日)午前11時から恒例の野外礼拝を教会斜め向いのBrewers Park(4175 Victoria Dr)で行います。礼拝後、教会からバーベキューを準備します。一品持ちよりください。初めての方も大歓迎です。礼拝は英語と日本語バイリンガルで行われます。

  • シニア・初心者ラインダンス 

毎週土曜午前11時から12時 会費$1、踊った後、マック(実費)をいただきながら交流の時を持ちます。

  • Zoomで聖書を読む会(ID 5662538165、パスコード1225)

火曜日午前11時 英語で聖書を読む会、水曜日午前11時、隔週の午後7時半
初めって聖書を読みたい方も歓迎します。

  • ダウンタウンイーストサイドでサンドイッチ手渡し:木曜日午前9時からの準備、10時半から11時の配布のボランティアをしてみませんか?
  • 教会ミニバザー

8月24日(土)午前11時から午後2時 教会ミニバザーを行います。Thrift Saleは行わず、日本食を提供します。
8月第2週の火曜日、木曜日(6、8、13、15、20、22日)にバザーのための饅頭作りをします。
バザー当日、饅頭作りの時、ボランティアでお手伝いをしてくださる方を募集しています。

  • 結婚、葬儀、その他の人生相談をお伺いします。

お問合せ:604-618-6491(テキスト可)、vjuc4010@gmail.com  牧師 イムまで
住所:4010 Victoria Dr, (Between 23rd and 25th Ave East), Vancouver

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――

サレーNorthwood 合同教会 日本語会衆 礼拝

8月18日(日)午後2時より。
住所:8855 156 St, Surrey, BC, V3R 4K9
お問い合わせ:604-618-6491(テキスト可)イム、kuniokazaki98@gmail.com 岡崎まで

「おかあさんの被爆ピアノ」上映会@パウエル祭/ “Hiroshima Piano” Film Viewing at Powell Street Festival

広島で被爆しながらも奇跡的に無傷で残った「被爆ピアノ」を修復して全国で演奏会を開く調律師・矢川が出会う人々を通して広島からのメッセージを伝える「おかあさんの被爆ピアノ」をパウエル祭で上映します。

主人公は、調律師・矢川と、自分の母親が祖母の被爆ピアノを寄贈していたことを知った大学生・江口。被爆ピアノを巡るそれぞれの複雑な思いが交錯する物語です。映画は実在の調律師をモデルに描いた作品で、主演は矢川を佐野史郎さん、大学生の江口を武藤十夢さん(AKB48)が演じています。

映画は約2時間、日本語で英語の字幕付きです。

「おかあさんの被爆ピアノ」@パウエル祭

日時:8月4日(日)4:30pm
会場:Firehall Arts Centre(280 E Cordova St, Vancouver)オッペンハイマー公園から1ブロック西側
入場料:無料
パウエス祭のホームページにも詳しく掲載されています。https://powellstreetfestival.com/programs/hiroshima-piano

“Hiroshima Piano” Film Viewing at Powell Street Festival

In Hiroshima, there was a piano that remained unharmed after being scorched by the atomic bomb. This piano, known as “the Hiroshima piano,” has become a symbol of hope and resilience. The stories of various people are woven into the history of this piano through the efforts of the piano tuner who carefully maintains it.

The film’s story was inspired by the life of Mitsunori Yagawa, a piano tuner who restored this instrument and embarked on a journey across the country.

The film is about two hours in Japanese with English subtitles.

Date: August 4, Sun.
Time: 4:30 pm
Place: Firehall Arts Centre(280 E Cordova St, Vancouver)One block west of Oppenheimer park
Admission: Free
The Powell Street Festival website : https://powellstreetfestival.com/programs/hiroshima-piano

ホワイトキャップス引き分けを挟んで5連勝、GK高丘は最少失点の活躍

GK高丘、試合後にロッカールームの前で。2024年7月17日、BCプレース。写真 日加トゥデイ
GK高丘、試合後にロッカールームの前で。2024年7月17日、BCプレース。写真 日加トゥデイ

 ホワイトキャップスはホームで勝利し、これで引き分けを挟んで5連勝となった。GK高丘も5試合で失点4と1試合1点以下の失点でゴールを守り、5連勝に大きく貢献している。

7月17日(BCプレース:23,198)

バンクーバー・ホワイトキャップスFC 2-1 スポーティング・カンザスシティ

先制はホワイトキャップス。34分にWhite(FW)が決めたかと思ったが、判定はカンザスシティのオウンゴールで1-0。後半に入り動きが良くなったカンザスシティは69分に同点に追いつく。ホワイトキャップスは途中出場したPicault(FW)が決めて2-1として逃げ切った。

「選手がやるべきことを理解している」

 ホームで6月29日にセントルイス・シティSCに4-3で勝利して以降、アウェイが続いていたが、モントリオールとの引き分けを挟んでカナディアン・チャンピオンシップを含めて5連勝と好調だ。

 高丘は「それぞれの選手が自分がやるべきことを分かって、チームのやり方を理解していますし、迷うことなくプレーできているのが勝利につながっていると思います」と語った。

 ただこの日の試合内容については、「もうちょっとゲームコントロールしたかった」と反省の言葉が口をついた。後半はゲームコントロールがうまくいかず相手に流れを渡す時間があったと振り返った。

 7月に入って5試合で4失点。2点以上取られた試合はまだない。それでも「無失点で抑えられる試合も何回もあったので。そういう意味ではそこをゼロで抑えられなかったというのは全然違うので、次の試合はゼロで抑えられるようにしたいです」と貪欲さを見せた。

 チームはこの日の勝利で4位に浮上。次は7月20日、オールスター前、最後の試合に6連勝を目指してBCプレースでヒューストン・ダイナモと対戦する。

今年もリーグスカップが7月30日から始まる

 MLSとLIGA MXに所属する北米3カ国、カナダ、アメリカ、メキシコの47プロチームが参加する「リーグスカップ」が7月26日から始まる。ホワイトキャップスは、グループステージはウエスト7で、ロサンゼルスFCとクラブ・ティファナと同じグループ。

 ホワイトキャップスの初戦は7月30日のロサンゼルス、2試合目はBCプレースでクラブ・ティファナと対戦する。

7月、8月のホームゲームhttps://www.whitecapsfc.com/

7月27日(土)4:30pm Wrexham AFC戦(国際親善試合)
8月3日(土)7:00pm Club Tijuana戦(リーグスカップ)
8月24日(土)4:30pm ロサンゼルスFC戦
8月27日(火)7:30pm パシフィックFC戦(カナディアン・チャンピオンシップ)

合わせて読みたい関連記事

バンクーバー沖縄太鼓「沖縄から発信、世界で共に平和を願う」Ichari-Van Night~The Spirit of Okinawa

 沖縄の文化に親しみ、恒久平和を発信するイベント「Icahri-Van Night~The Spirit of Okinawa」が6月22日、日系文化センター・博物館で開催された。主催はバンクーバー沖縄太鼓、共催はバンクーバー沖縄県友愛会。

 会場では沖縄料理やオリオンビールが楽しめたほか、三線(さんしん)やエイサー、琉球舞踊、平和学習、折り紙などの体験ブースがあり、舞台では、琉球舞踊、三線独唱と、訪れた約450人が一夜限りの「沖縄」を満喫した。

オリオンビール試飲コーナー。2024年6月22日、日系文化センター・博物館。Photo by Koichi Saito/Japan Canada Today
オリオンビール試飲コーナー。2024年6月22日、日系文化センター・博物館。Photo by Koichi Saito/Japan Canada Today

「命どぅ宝・サガリバナプロジェクト」

 同じ時間、日本は6月23日、沖縄「慰霊の日」を迎えていた。太平洋戦争末期の1945年の沖縄戦で日本軍の組織的戦闘が終結したとされる日。沖縄県では休日で、79年たった今も、推計9万4千人と言われる一般住民の犠牲者を含む約20万人の戦没者の霊を慰め、恒久平和を祈る大切な日として過ごす。

 その「慰霊の日」に沖縄から全世界に向けて平和の大切さを発信しようと企画されたのが、沖縄の創作芸団レキオスが主催した「命どぅ宝・サガリバナプロジェクト」。日本時間の正午に、沖縄で、日本で、バンクーバーで、そして世界で、同時に黙とうをささげ、一斉にエイサー「舞香花〜SAGARIBANA〜」を舞う。バンクーバーでは午後8時に始まった。人々は演舞に見入り、涙を流し、沖縄に思いを馳せた。

 「舞香花~SAGARIBANA~」は、沖縄のシンガーソングライターYuMeさんがレキオス代表・照屋忠敏さんの思い出を基に作詞作曲した楽曲。

バンクーバー沖縄太鼓によるエイサー演舞「舞香花〜SAGARIBANA〜」。2024年6月22日、日系文化センター・博物館。Photo by Koichi Saito/Japan Canada Today
バンクーバー沖縄太鼓によるエイサー演舞「舞香花〜SAGARIBANA〜」。2024年6月22日、日系文化センター・博物館。Photo by Koichi Saito/Japan Canada Today

 バンクーバー沖縄太鼓代表・花城正美さんは「慰霊の日」は沖縄の人々にとって特別な日と話す。日本国内38団体、海外ではインドネシア、アメリカ、南米やオーストラリアなど9団体が参加、「バンクーバー沖縄太鼓もこの『命どぅ宝・サガリバナプロジェクト』に参加し、感慨無量です」。

 「命どぅ宝」は「ぬちどぅたから」と読む。太平洋戦争で唯一地上戦が行われ、大きな犠牲を払った沖縄の人が大切にしている言葉。「『命どぅ宝』というのは沖縄の言葉で命っていうのが一番大切なんだよって、命あってこそできるんだよという意味です。沖縄で起きた歴史を通して世界の平和を望んでいきたいということですね」と笑顔を見せる。

 エイサーにはもともと「先祖供養・鎮魂の意味がある」と言う。それが現在は創作エイサーという形で舞台でもできるようになり世界に広がったと説明した。バンクーバー沖縄太鼓も創作エイサーで恒久平和への思いを発信している。

 今回の「Icahri-Van Night」の準備期間はたったの4カ月。「兼次(飛翔)実行委員長の吸引力とバンクーバー沖縄太鼓メンバーの見事な結束力と、バンクーバー沖縄県人会友愛会のご尽力、献身なボランティアの方々、そして日系センターのご協力、ご支援していただきました諸々のスポンサーのおかげさまで実現できました」

 サガリバナプロジェクトはエイサー演舞だけだが、バンクーバーではプロジェクトだけするよりも「沖縄を感じてもらって、沖縄芸能に触れて、沖縄のことを話しながらみんなで世界の平和を願うということで『Ichari-Van Night』としました」。「Ichari」とは沖縄のことわざ「いちゃりばちょーでー」から来ている。「みんな一度会えばもう兄弟・家族だという意味なんです。いつも支えてもらっているコミュニティの人たちと交流したいということで、その言葉を取って今回のイベント名にしました」

 これだけ多くの人が来てくれたのは「感動ですね」とうれしそうに笑う。「Ichari-Van Night」は恒例イベントとして継続したいという。「第1回の成功に皆さんにお礼をお伝えしたいと思います」と花城さん。「沖縄の文化芸能を通して、そしてエイサーを見て感じていただき、沖縄の歴史を顧みながら、皆さまと共に世界の平和を願いたいという思いから、これからも続けていきます!」と満面の笑みを見せた。

バンクーバー沖縄太鼓代表・花城さん(左)とIchari-Van NIGHT実行委員長・兼次さん。2024年6月22日、日系文化センター・博物館。Photo by Koichi Saito/Japan Canada Today
バンクーバー沖縄太鼓代表・花城さん(左)とIchari-Van NIGHT実行委員長・兼次さん。2024年6月22日、日系文化センター・博物館。Photo by Koichi Saito/Japan Canada Today

(取材 三島直美/写真・動画 斉藤光一)

合わせて読みたい関連記事

Gifts and Things「ファッション雑誌とコラボ、新しいマーケティングで日本市場を開拓」佐藤広樹さんインタビュー後編

バンクーバー市ガスタウンにある店の前で。写真提供:Gifts and Things
バンクーバー市ガスタウンにある店の前で。写真提供:Gifts and Things

 日本の人気ファッション雑誌とコラボするという斬新なアイデアで日本市場を開拓しようとしているバンクーバーのGifts and Things。「お土産物屋さん」ではなくバンクーバーのお洒落なギフトショップとして日本での知名度を上げるのが狙いだ。

 「カナダと言ったら “Gifts and Things”となるといいなと思います」と笑うオーナーの佐藤広樹さんに話を聞いた。後編。

Gifts and Things「ファッション雑誌とコラボ、新しいマーケティングで日本市場を開拓」佐藤広樹さんインタビュー前編

異業種とのコラボで知名度を上げる

動物が描かれたマグカップ。写真提供:Gifts and Things
動物が描かれたマグカップ。写真提供:Gifts and Things

 コラボはファッション雑誌だけでなく、5月のゴールデンウィークには東京でイベントを開催。環境活動をしている滝沢ごみクラブと合同のイベントで、Gifts and Thingsのトートバッグ販売やカナダでのエコグッズなどを紹介した。

 今後も「SNSインフルエンサーと一緒に何かできればいいかなと思っています」という。「コアなファンが付いている人たちと一緒にやっていければいいかなって」

 Gifts and Thingsも知ってもらいたいし、「カナダの良さをもっと日本の人に知ってもらいたいから」と話す。

 日本でそろそろGifts and Thingsが知られてきたなと思うようになるまで「3年くらいかな」と見ている。「すぐにはやっぱり無理なので。地道にやっていかないと。ポップアップもやったり、宣伝もやったり、雑誌とタイアップやったりとか、とにかくやってみる。すると新しいマーケットができたらそこで次に何かできるので、その先のビジネスになればいいかなと。日本人なので(日本で)何かできれば、それがまたプラスになる。(商品を)持って行くだけではね。(日本で)何かやれば将来につながるので。色々な動きをしていきたいです」

もっとカナダを知ってもらいたい

 佐藤さんはバンクーバーで日本人経営の土産物店がなくなっていることをさみしく思っているようだ。「だんだんと日本人同業者がいなくなってしまった」と話す。だから自分たちもなくならないようにするにはどうするかを考えなくてはと言う。

 「新しいところからどんどん攻めていかないと、いつかなくなっちゃうんじゃないか。競合はローカルですから、そこに勝たないといけない。常に新しいことを取り入れて、若い人の感性を取り入れて、ローカルに負けない店づくりをしていく。そして日本人としての強みを生かす。日本のマーケットには入りやすいので、そこでいま動いているところです」

 バンクーバー店では品揃えやディスプレイの工夫に加えて、日本式の細かな接客でリピーターを増やしている。「コミュニケーションはリピーターにつながります」と言う。新しい商品を開発したいとの意欲もある。いまはアメリカドル高の影響もあり「良い風が吹いています」と感じている。だからいまできることを一つ一つ実践していく。

 ファッション雑誌とのコラボもその一つ。「FUDGEに載れば洋服好きの人がカナダの物を見てくれる。そういう人たちにカナダに興味を持ってもらう。そしてカナダに来てもらう。そうなったらいいなと思って。ガスタウンはお洒落ですし、きれいな街なのでみんなに知ってもらいたいんです。こっちの方から入り口を増やせば日本からカナダに来る学生や旅行者も増えるし、カナダではこういうトレンド物を売っているんだなってカナダのイメージアップにもなる。だからファッション雑誌で紹介してもらうのは新しい入り口なのかなと思っています」

 今後も数回掲載を考えてると話す。中期的なビジョンで「客」ではなく「ファン」を増やしていく。そうして「カナダと言ったら “Gifts and Things”となるといいなと思います」と笑った。

佐藤広樹(さとう・ひろき)
Crescent Moon Enterprises Ltd.オーナー・代表取締役
1998年ウィスラーにSMILE GIFT、2008年バンクーバー市ガスタウンにSmileys Giftを開店し2020年GIFTS AND THINGSに改名

Gifts and Things
359 Water Street, Vancouver
TEL: 604-632-0155
ウェブサイト:https://www.giftsandthings.info/
インスタグラム: https://www.instagram.com/giftsandthings.ca/

バンクーバー市ガスタウンにある店の前で。写真提供:Gifts and Things
バンクーバー市ガスタウンにある店の前で。写真提供:Gifts and Things

(取材 三島直美)

合わせて読みたい関連記事

笑いの健康効果を学び、笑い力を鍛える2024~笑いの底力、バンクーバーで講演会&体験会が開催される

日系文化センター・博物館での講演会&体験会の様子。2024年6月16日。写真提供:日本語認知症サポート協会
日系文化センター・博物館での講演会&体験会の様子。2024年6月16日。写真提供:日本語認知症サポート協会

 日本語認知症サポート協会では以前から笑いヨガの講座を開いてきた。この度「日本笑いヨガ協会」の代表・高田佳子さんを講師に迎えて、メトロバンクーバーで全4回の講演会&体験会を開催した。

 高田佳子さんは2009年にインドで笑いヨガを学び、日本へ帰国後「日本笑いヨガ協会」を設立。笑いと健康の研究を進め、全国で講演や指導を行っており、著書や翻訳書も多数出版している。一級建築士及び老年学修士であり、日本応用老年学理事、早稲田大学文学学術院非常勤講師も務める。

 6月14日から16日まで全4回の講演会は、日系文化センター・博物館(日系センター)やスティーブストン仏教会、リステルホテルなどの会場で開催されたほか、Zoomでの配信が行われた回もあり、たくさんの入場者、視聴者を集めた。

 このうち6月16日に日系センターで行われた「未来をつくる笑いの力」と題された4回目の模様をリポートする。

 笑いヨガをベースとした笑トレ®は、立ち上がって行うものだけでなく、座ったままでもできるものも多い。呼吸に意識を置くものが多い点にはヨガの要素を感じるが、ヨガの難しいポーズを取るという必要もなく、誰でもすぐに始められそうなものばかりだ。

 笑トレ®にはいろいろな体操がある。手や脇の下の筋肉を伸ばしたりするストレッチ、スクワットなどの筋トレがあったり、ゴム飛びの真似などで可動域を拡大するなどといった運動効果が期待される。

 いくつかの体操のあとにはパワーポイントで「笑いの力」について説明した。93歳のスーパーモデル、93歳のフィットネスインストラクター、94歳の世界最高齢の総務課長など、さまざまな分野で活躍する高齢者を紹介。これらの人たちの共通点は素敵な笑顔だ。

 その他にも、アメリカのプロ野球選手のベースボールカードで選手の表情と寿命の関係を調査した結果、笑顔で写っている選手のほうがそうでない選手に比べて平均して7歳ほど長生きしているということなどを紹介した。笑いは健康や寿命に良い影響があると高田さんは言う。

 「人は楽しいから笑うのではなく、笑うから楽しい」という言葉を紹介し、笑うことで心身を活性化し、ポジティブな気分を引き起こすことが可能だとしている。また、いろいろな口の形に開けて笑ってみることで、オーラルフレイル*の予防になったり、表情筋のトレーニングや肌の血行促進にも役立つという。

*オーラルフレイル:口腔機能の軽微な低下や食の偏りなどを含み、身体の衰え(フレイル)の一つ。口の周りの笑トレ®を行う事で、口輪筋や舌筋を鍛え、誤嚥予防や滑舌を良くすることに繋がる。(日本語認知症サポート協会より)

 笑トレ®で一番大切なのは声を出して笑うことだ。高田さんによると、おもしろく感じなくても笑うことはでき、それはおもしろいことがあって笑うのと同じ効果が期待できるという。笑うことで血液循環が良くなり、体が温まるのを実感できる。そして、声を出して笑うことでストレス解消に役立つほか、リラックス効果もあるという。また笑いは伝染するので、周りの人を巻き込んで笑いの渦を広めることができるのも良い点と、笑うことの効用を説く。

 今回の講座では、15種類ほどの体操を高田さんのリードで参加者が体験。会場には朗らかな笑い声が響き、楽しそうな雰囲気が伝わってくる。

 どれも簡単な動きなので、体が硬い人でも可動域が狭い人でも無理なくできるのが特長。運動をしようと気負わなくても、気楽に始められるのも良い点だろう。

 おもしろいことがあったわけでもないのに笑うということは、やってみると意外と難しい。よく笑えるようになることで、内臓に刺激を与え、血液循環が良くなり、幸せホルモンが検出されてポジティブな気持ちになれる。いまよりもっと健康で豊かな未来のために、毎日の生活に取り入れるのもいいかもしれないと感じさせてくれる講座だった。

(取材 大島多紀子)

日本語認知症サポート協会より
この講演会および体験会は、「Japanese Canadian Legacies Society」のCommunity Fundからの助成金をいただき、企画・運営いたしました。

合わせて読みたい関連記事

Gifts and Things「ファッション雑誌とコラボ、新しいマーケティングで日本市場を開拓」佐藤広樹さんインタビュー前編

FUDGE掲載記念で日本でも限定販売したオリジナルトートバッグ。写真提供:Gifts and Things
FUDGE掲載記念で日本でも限定販売したオリジナルトートバッグ。写真提供:Gifts and Things
FUDGE掲載記念で日本でも限定販売したオリジナルトートバッグ。写真提供:Gifts and Things
FUDGE掲載記念で日本でも限定販売したオリジナルトートバッグ。写真提供:Gifts and Things

 日本の人気ファッション雑誌とコラボするという斬新なアイデアで日本市場を開拓しようとしているバンクーバーのGifts and Things。「お土産物屋さん」ではなくバンクーバーのお洒落なギフトショップとして日本での知名度を上げるのが狙いだ。

 「カナダと言ったら “Gifts and Things”となるといいなと思います」と笑うオーナーの佐藤広樹さんに話を聞いた。

日本向けウェブサイトを開設

 バンクーバー市でも特に観光客に人気のガスタウンにあるGifts and Things。ガスタウンの象徴「蒸気時計」に近く絶好のロケーションだ。店内には商品が見やすくディスプレイされ、心地よくショッピングできるよう考えられている。

 そんなバンクーバーのGifts and Thingsが日本での購入専用ウェブサイトを今年4月に開設した。販売するのは日本向け商品。「オリジナル商品を扱っています。日本の人たちに見てもらって購入してもらえるように、日本販売専用のホームページを作りました」

 バンクーバーの商品を日本へ持って行って販売するのは費用がかかる。しかも「そうするとただの販売になってしまって、普通の商品を売ってるだけになってしまいます」。Gifts and Thingsの名前が目立たないという。だから「オリジナルを出して、(Gifts and Thingsの)名前を知ってもらえばいいと思って」。

 そして日本で「名前を知ってもらう」ための方法として雑誌とのコラボを思いついた。

人気ファッション雑誌FUDGEとコラボ

 雑誌掲載となったとき、従来なら旅行雑誌に「お勧めのお土産物」として掲載されていたが、そこは発想を転換。若者に人気のファッション雑誌「FUDGE」(発行:株式会社三栄)を選んだ。

カラフルな動物柄の靴下が並ぶ。写真提供:Gifts and Things
カラフルな動物柄の靴下が並ぶ。写真提供:Gifts and Things

 「(FUDGEの人も)カナダでお洒落な雑貨を販売しているお店だってことを理解してくれて、今回紹介していただいて」。バンクーバー店で販売している人気のアイテム、ジェリーキャットやカラフルな動物柄の靴下などが4月13日に発売された5月号とFUDGEの公式WEBサイトに掲載された。

 それに合わせて掲載記念としてバンクーバーで扱っているGifts and Thingsの名前入りオリジナルトートバッグを日本で1カ月限定販売。「FUDGEの雑誌を見てこのお店気になったなと思ってくれた人がロゴの入ったバッグを欲しいと思って買ってくれると名前が広がるなと思って。価格を抑えて販売しました」

人気のジェリーキャット。ジェリーキャット販売店でカナダナンバー3に選ばれた。写真提供:Gifts and Things
人気のジェリーキャット。ジェリーキャット販売店でカナダナンバー3に選ばれた。写真提供:Gifts and Things

 日本に数あるファッション雑誌の中からFUDGEを選んだのは、バンクーバー店のスタッフからの勧めだった。「日本に住んでいた時に海外に興味がある人が読む雑誌がFUDGEで」というのは店長の久保ゆうやさん。日本にいる時にはアパレル業界で働いていた経験もありファッション雑誌にも詳しい。佐藤さんは「うちの若い人たちがみんなFUDGEを知っていたので。教えてもらわなかったら私は分からなかったんです」と笑う。

 FUDGEの魅力は雑誌だけでなくインスタグラムのフォロワーが多いこと。「ストーリーズにあげてもらったのでそこから見てくれた人も多いと思います」

 そうして日本でのGifts and Thingsの名前が知られて行くとカナダに来た時に「あッ、Gifts and Thingsの商品!ってイメージで入ってきてくれるかなと。そしたらバンクーバーのお店も広がっていくかなと」と話す。「そういう活動を今後数年かけてブランディングしていこうかなと思っています。FUDGE掲載がその第1歩ですね」

後編に続く。

佐藤広樹(さとう・ひろき)
Crescent Moon Enterprises Ltd.オーナー・代表取締役
1998年ウィスラーにSMILE GIFT、2008年バンクーバー市ガスタウンにSmileys Giftを開店し2020年GIFTS AND THINGSに改名

Gifts and Things
359 Water Street, Vancouver
TEL: 604-632-0155
ウェブサイト:https://www.giftsandthings.info/
インスタグラム: https://www.instagram.com/giftsandthings.ca/

(取材 三島直美)

合わせて読みたい関連記事

「恩師への感謝とクラスメートとの友情を胸に」2023年度バンクーバー日本語学校卒業式

2023年度バンクーバー日本語学校卒業式。卒業生と先生たちと一緒に。2024年6月22日、バンクーバー市。Photo by Japan Canada Today
2023年度バンクーバー日本語学校卒業式。卒業生と先生たちと一緒に。2024年6月22日、バンクーバー市。Photo by Japan Canada Today

 バンクーバー日本語学校2023年度(2023年9月~24年6月)卒業式が6月22日にバンクーバー日本語学校並びに日系人会館で行われた。今年度、小学科、中学科、高等科、基礎科、Youthを卒業したのは合わせて29人。ドレスや着物に身を包んだ卒業生たちは名前を呼ばれると「はい」と返事をして舞台に上り、一人ひとり藤井清子校長から卒業証書を受け取った。

 会場には、これまで生徒たちを支えてきた家族や友人が駆け付け、先生たちと共に門出を祝った。

「漢字をがんばりたい」次の目標に向かって

 卒業証書を受け取った生徒たちは、学校での思い出を一人ひとり日本語で発表した。2歳や3歳から通っている生徒も多い。

 楽しかった思い出には、お正月、節分、運動会、ひな祭り、かるた遊び、中学科になると百人一首と、日本の伝統イベントが印象に残っていた。一方で大変だったのは「漢字テスト」。それでも、「日本語は難しいですが学校は楽しいです」「私は日本語が大好きです」「毎週早起きして日本語学校に行ってとても良かったと思います」と楽しかった思い出が多かった。

 基礎科のキャツァフロス・フェイスさんは「この学校で学んだことは私の宝物です。特にスピーチコンテストは私の人生を大きく変えました」と話す。9歳から日本文化に興味を持ち始めたと言うYouthのベアス・ビクトルさんは「最初はアニメを見るだけでした。でも時間がたつにつれて日本の文化全般に興味を持つようになりました。国、風景、伝統、食べ物、音楽、そして言葉。日本の文化が大好きです。日本について新しいことを学ぶたびに僕は魅力的だと思います」と話した。

 小学科や中学科の生徒たちは多くが継続して次の科へ進む。「これからも日本語の勉強を目標を決めて達成できるようになりたい」「日本語の漫画を読んだり、アニメを見たりできるようになりたい」「高校生になっても日本語の勉強をがんばり、もっと日本の文化を学びたい」と次の目標を発表した。

 新型コロナウイルス感染拡大の影響でオンラインだった授業が対面に変わったことを振り返る生徒も多く、「先生やクラスメートと会えるようになったことがうれしかった」と言う。そして、毎週土曜日に送り迎えをしてくれた両親に感謝の言葉を添えていた。

先生や家族に感謝、クラスメートとの楽しかった思い出を胸に

 高等科の生徒にとってこの日は学校を卒業する日。田村夢楓さんは「今日はこのバンクーバー日本学校に通う最後の日です。やっと卒業だという思いもありますが、振り返ると本当に忘れられない思い出があります」と高等科卒業生8人全員の思いを代弁した。

 それぞれに思い出を話し、先生・両親への感謝の気持ちを語った。入学して過ごしたのは2年半だったという大久保暁理さんは「カナダに来たら日本を話せなくなると思っていましたが、この学校に通い始めたら地球の反対側にいても、まだ日本語を練習できて、日本語で話せる友達を作れることが分かりました。バンクーバー日本語学校のコミュニティには本当に感謝しています」と短くて楽しい学校生活を振り返った。

 12年間1日も休まず12年間皆勤賞のワーナー華耶さんは「土曜日が楽しみでした。みんなと話したり、笑ったりしたことを私はずっと忘れないと思います。卒業してみんなに会えなくなるのがさみしいです。2歳から通い続けてきた日本語学校は私の中で特別な場所になりました」、いつか日本に留学したいという目標を持っているという。

 クラスの友達がいたから学校に通い続けられたという三島愛子さんは、「この学校で過ごした時間は私にとって非常に貴重なものになりました。ここでの経験は私の人生にこれからも大きな影響を与えると思います。卒業後も日本語の学習を続け日本文化に関わっていきたいと思います」。

 そして高等科卒業生が必ず口にしたのが担任「土屋(拓大)先生」への感謝の言葉。富永誠志朗さんは「クラスがこんなに仲良くなるとは最初は想像できませんでした。考えると土屋先生の存在がとても大きかったように思います」と振り返った。畠中凛さんは「土屋先生とはたくさんの楽しい思い出があります」とイチゴ大福作りや羽根つきでの罰ゲームを紹介し「土屋先生が担任でよかったです」と感謝した。

 人見遙さんはオンラインから対面授業に変わった時に静かだった教室が「土屋先生が明るくよく話すので賑やかなクラスになったと思います」と振り返り、オンラインではできなかったかるた大会や書道の授業、イチゴ大福やパフェ作りの楽しい思い出を話した。

 小学生の頃には日本語学校に行くのが「ちょっと嫌になり始めた頃もあった」と振り返った有浦弓さんは、「小さい頃に見たドラマの影響で日本の先生に憧れを持つようになりました。日本の大学で学んで日本で暮らしたい、それが私の夢です。そして、将来は土屋先生のような先生なりたいです。その夢を叶えるためにも卒業した後も日本語の勉強を続けたいと思います」と夢を語った。

 バンクーバー日本語学校で学んだことを胸にそれぞれが次の一歩へと踏み出していく。その夢を応援し続け、支えてきた、家族への感謝も忘れなかった。

「日本とカナダをつなぐ大切な架け橋」

卒業する生徒たちに祝辞を贈るバンクーバー総領事館・丸山総領事。2024年6月22日、バンクーバー市。Photo by Japan Canada Today
卒業する生徒たちに祝辞を贈るバンクーバー総領事館・丸山総領事。2024年6月22日、バンクーバー市。Photo by Japan Canada Today

 在バンクーバー日本国総領事館・丸山浩平総領事は「ご卒業おめでとうございます。各過程を終えて卒業される皆さんがこの学校でたくさんの努力を重ねていらっしゃったことに心からの敬意を表します」と卒業生たちを祝福。「日本語を学び、これからも学び続ける皆さんは日本とカナダをつなぐ大切な架け橋でもあります。日本とカナダのこのすばらしい関係をさらに強化していくために、そして世界中に友情が広まっていくように一緒に取り組んでいければうれしく思います」とあいさつした。

バンクーバー日本語学校卒業生という町田理事長。卒業しても日本語の勉強は大切と経験を語る。2024年6月22日、バンクーバー市。Photo by Japan Canada Today
バンクーバー日本語学校卒業生という町田理事長。卒業しても日本語の勉強は大切と経験を語る。2024年6月22日、バンクーバー市。Photo by Japan Canada Today

 同校の卒業生という町田友成理事長は「20年以上前に高等科を卒業しました。これで日本語学校の宿題がなくなると喜んでいました」と笑い、日本語学校の宿題はなくなったが現在は日系コミュニティとかかわりを持ち、日本語の勉強は続けていると話す。「皆さんには卒業しても日本語の勉強を続けて、日系コミュニティとの関りを持ち続けてほしいと思っています」と想いを込めた。

バンクーバー日本語学校を卒業する生徒たちをお祝いの言葉で送り出す藤井校長。2024年6月22日、バンクーバー市。Photo by Japan Canada Today
バンクーバー日本語学校を卒業する生徒たちをお祝いの言葉で送り出す藤井校長。2024年6月22日、バンクーバー市。Photo by Japan Canada Today

 卒業生に「日本語と英語で書かれたユニークな」卒業証書を渡し「おめでとうございます」と一人ひとりに声をかけた藤井校長は、2歳の時から通っている高等科卒業生、一度も休まず通学してきた卒業生ワーナー華耶さんを紹介し、「本当にすごい快挙だと思います。継続は力なり。みなさんにはこれからの人生を自信を持って進んでいってほしいです」と卒業生にエールを送った。

(取材 三島直美)

合わせて読みたい関連記事

サーモンフェスティバル2024、今年は最高の人出に

サーモンフェスティバル・中央ステージで開会式。2024年7月1日、リッチモンド市。Photo by Koichi Saito/Japan Canada Today
サーモンフェスティバル・中央ステージで開会式。2024年7月1日、リッチモンド市。Photo by Koichi Saito/Japan Canada Today
サーモンフェスティバル・パレード。楽一神輿も登場。2024年7月1日、リッチモンド市。Photo by Koichi Saito/Japan Canada Today
サーモンフェスティバル・パレード。楽一神輿も登場。2024年7月1日、リッチモンド市。Photo by Koichi Saito/Japan Canada Today

 毎年7月1日のカナダデーにリッチモンド市のスティーブストンで開催されているサーモンフェスティバル。パレードには楽一神輿が参加して、日系の雰囲気を盛り上げた。

 開会式ではリッチモンド市マルコム・ブローディ市長が司会を務めた。在バンクーバー日本国総領事館・丸山浩平総領事は「ハッピーカナダデー」とカナダの建国記念日を祝い、今年は2回目の参加で、日本とカナダ、そして多くのコミュニティの友好関係が強まっていくのを感じているとあいさつした。

今年で2回目の参加という丸山浩平総領事。左隣に座っているのはリッチモンド市ブローディ市長。2024年7月1日、リッチモンド市。Photo by Koichi Saito/Japan Canada Today
今年で2回目の参加という丸山浩平総領事。左隣に座っているのはリッチモンド市ブローディ市長。2024年7月1日、リッチモンド市。Photo by Koichi Saito/Japan Canada Today

 ブローディ市長は日加トゥデイの取材に、リッチモンド市と日本の関係は強固で友好的で「このカナダデーで共に祝うにふさわしい」と語り、日本から多くの人がリッチモンドに移民してきた歴史があり、1973年には和歌山市と姉妹都市を結んだ、特別な関係だと思っていると語った。

日本からの移民が多く暮らしていたスティーブストンで毎年開催

 サーモンフェスティバルは毎年ブリティッシュ・コロンビア州リッチモンド市のスティーブストン地区で開催される。日系コミュニティセンターがあるほど、日本との関係が深いスティーブストンには、日系の史跡も多く、カナダ史としての日系移民の歴史を知ることができる。

サーモンフェスティバル・中央ステージで開会式。2024年7月1日、リッチモンド市。Photo by Koichi Saito/Japan Canada Today
サーモンフェスティバル・中央ステージで開会式。2024年7月1日、リッチモンド市。Photo by Koichi Saito/Japan Canada Today

 スティーブストンはリッチモンド市の最南端に位置し、戦前には和歌山県から多くの日本人移民が定住した街。フェスティバルの各会場には日系コミュニティの軌跡が学べるイベントも多く、フードや音楽を楽しむだけでなく、街の歴史や日本文化にも触れる日となる。

 会場はスティーブストン・コミュニティセンターを中心に、東はブリタニア・シップヤード・ナショナルヒストリックサイトから西はギャリーポイント・パークまで広くスティーブストンを楽しめる。

スティーブストン日系文化センターでは生け花のデモンストレーションが行われた。2024年7月1日、リッチモンド市。Photo by Koichi Saito/Japan Canada Today
スティーブストン日系文化センターでは生け花のデモンストレーションが行われた。2024年7月1日、リッチモンド市。Photo by Koichi Saito/Japan Canada Today

 日系コミュニティセンターでは、武道のデモンストレーションや生け花展示が行われ、日系団体のブースも参加していた。

 サーモンフェスティバルに欠かせないものと言えば、やっぱりサーモンバーベキュー。新型コロナウイルス禍では中止となっていたバーベキューも復活。朝から晴天に恵まれたこの日は、サーモンバーベキューを求めて長蛇の列ができていた。

サーモンフェスティバルに欠かせない炭火焼サーモンバーベキュー。2024年7月1日、リッチモンド市。Photo by Koichi Saito/Japan Canada Today
サーモンフェスティバルに欠かせない炭火焼サーモンバーベキュー。2024年7月1日、リッチモンド市。Photo by Koichi Saito/Japan Canada Today

(取材 三島直美/写真 斉藤光一)

合わせて読みたい関連記事

「関ヶ原3」~投稿千景~

エドサトウ

 司馬遼太郎著『関ヶ原』の中に、細川ガラシャの最後の場面がある。小生が出演した『SHOGUN将軍』でも、最後の方の第9話で三浦按針こと英国人ブラックソンの通訳であったサワイアンナが演じるマリコさんがお城の中で大阪がたの侍たちと長刀で必死の覚悟で戦うが、最後は火薬の大爆発で吹き飛ばされてしまう。爆風で粉々になった部屋の片隅に倒れているマリコさんをブラックソンが必死に起こそうとするが、彼女の体はぐったりとして動くこともない。後に、ブラックソンにマリコは死亡したと老医師は言うが確かなことではない。

 想像を飛躍させれば、マリコは城から戸板に乗せられて城の外に運び出されて、京都の奥深い山寺で治療を受けて暮らしていたが、爆風のショックとその傷の深さから、生死をさまようこと数ヶ月に及んだといわれて生還はしたが、記憶は喪失している。ただ、語学の記憶は残っていて、晩年のキリシタンの反乱島原の乱の時には、それらしき老いた尼僧が信者のために奔走していたという話もある。

 細川ガラシャの最後の様子が小説『関ヶ原』では、次のようにある。<ーーーその焼けあとで数人の者が緩慢な動作で立ち働いている。それらしい指揮をしているのは長い黒衣を着た南蛮人であった。「あの南蛮人はだれかね」と、左近は町屋の娘に聞いた。娘も信者らしく胸もとに十字架をさげていた。この人垣の大半は信者であるらしく、彼らの顔つきからみて、焼け跡を荒らす者を警戒するために人垣を組んでいる様子でもあった。「オルガンチノ様でございます」と娘は小さな声で左近に教えた。伊達者の左近は、刀のつばに金の十字架を象嵌しているから、娘は左近も同信の人とおもったのであろう。「なにをなされておる」「ガラシャさまの遺骨をおさがしなされておりまする」「それはしゅうしょうな」
 左近は感動した。いわばガラシャの自殺は豊臣家にとって反逆行為といっていい。
 その反逆人の遺骨をひろうというのはよほどの危険を覚悟した行動といえるだろう。(勇気のある坊主だ)と思う反面、日本の坊主は何をしているのかと思った。細川家の代々の菩提寺は大阪の郊外の崇禅寺なのである。ゆうべの騒ぎは当然知っているのであろうに、この現場に駆けつけて骨をひろおうということもしない。「えらい南蛮坊主だ」左近は、つい大声を出して、焼け跡をさまよう碧眼紅毛の巨漢をほめてやった。
 余談ながらこの神父オルガンチノは、ガラシャ夫人の遺骨と、それに殉じた二人の家老、数人の家士の骨をかきあつめ、それを壺におさめて崇禅寺へ運び、仏教僧に托した。
 関ヶ原の戦後、細川忠興は大阪に戻るやこの夫人の葬儀を盛大におこなった。
 忠興は、故人の信仰を尊重し、神父オルガンチノにたのんでキリスト教による葬儀をとりおこなわせた。
 その後、忠興はお布施としてこの南蛮僧に黄金二百枚を贈ったところ、南蛮僧はそれを大阪市中の貧民にことごとく分け与えてしまった。「無欲である」と、忠興は感心した。ーーー>とある。

  島原の乱以後、幕府は鎖国政策をとり、家康がえがいた海外貿易は長崎の出島に限定される。海外からの交流がなくなった日本は戦争のない平和な社会がほぼ三百年続き、独自の日本文化を育て、今やその日本文化は、周りの国々にも影響を与える日本文明と言えるのではないかというアメリカの学者の話に、おおいに共感する小生である。平和な共同社会を一万年以上続けた日本の縄文時代もまた、注目されるべきかもしれない?

投稿千景
視点を変えると見え方が変わる。エドサトウさん独特の視点で世界を切り取る連載コラム「投稿千景」。
これまでの当サイトでの「投稿千景」はこちらからご覧いただけます。
https://www.japancanadatoday.ca/category/column/post-ed-sato/

Today’s セレクト

最新ニュース