MLSから日本代表に、吉田選手から高丘選手にエール

試合後にインタビューに答える吉田選手。LAギャラクシー戦。2024年4月13日、BCプレース。Photo by Koichi Saito/Japan Canada Today
試合後にインタビューに答える吉田選手。LAギャラクシー戦。2024年4月13日、BCプレース。Photo by Koichi Saito/Japan Canada Today

 バンクーバーで今季初のMLS日本人対決が4月13日に実現した。バンクーバー・ホワイトキャップスFCのGK高丘陽平選手と、LAギャラクシーに所属するDF吉田麻也選手、DF山根視来選手がBCプレースで対戦した。

 西カンファレンス首位攻防となった試合は、ギャラクシーが3-1で勝利。高丘選手にとっては今季初の3失点と悔しい負け試合となったが、試合後には吉田選手とユニフォームを交換したり、山根選手と笑顔で話したりと、日本人対決に普段は見せない表情を見せていた。

 試合後、MLS2シーズン目となる吉田選手に、MLSについて、高丘選手について、話を聞いた。

ホワイトキャップスについて

 イタリア人の監督で、やることを徹底してやるというふうに思います。いくつかパターンがあって、それをするのと、そんなに難しいことをしないのと、守備が硬いっていうのはあったのかなと思います。

 (BCプレースは)人工芝もちょっと難しさはありますけど、それもこのリーグ(MLS)の特徴だしおもしろかったです。

MLSで日本人がプレーすることについて

 やっぱり一緒に同じ日本人としてこのリーグで戦ってるので、お互いに刺激し合っていると思いますし、(高丘選手は)僕が来る前からこっちでがんばっているのを知っていたので、ここでポジションを勝ち取って。どこにいてもそんなに簡単なことではないと思うし、特にキーパーという一つしかないポジションでがんばっているなと思います。

 久保も含めて僕ら(4人)がこのMLSの良さっていうのを日本に発信していって、もっともっと評価されるべきリーグだと思うし。日本にあまりにも情報が少ないので。この前も Jリーグの野々村さんが来て色々と話したりもしたんですけど、みんなMLSのこの成長のスピードっていうのは非常に驚くので。

山根選手、試合後のインタビューで。LAギャラクシー戦。2024年4月13日、BCプレース。Photo by Koichi Saito/Japan Canada Today
山根選手、試合後のインタビューで。LAギャラクシー戦。2024年4月13日、BCプレース。Photo by Koichi Saito/Japan Canada Today

 そこから学べることはたくさんあるし、僕も高丘くんも山根も情報を発信していかなくてはいけないなと。良いパフォーマンスを出して、少しでもニュースを届けて。あとはリーグ(MLS)の日本人(選手)の評価も高めていかなくてはいけないので、次の日本人(選手)を取ろうという気持ちにリーグの色々なチームが思ってくれるような活躍をしなくてはいけないなと思います。

MLSの印象について

 一つは国が大きいので、この1つの国でチャンピオンズリーグ、ヨーロッパリーグぐらいの、それ以上の移動距離があるし、時差もあるし。あとは気温の差も大きいので、これから暑くなってくるので、まだ涼しい時はいいと思うんですけど、これからが本当に勝負だなぁというふうに思います。

 リーグはそうですね、日本と似てるかなと思いますね。DP(Designated Player)の選手たちが違いをつけますけど、それ以外でもローカルの選手や僕みたいにある程度年齢が上がった選手が来たりもするし、インターナショナルのリーグだと思います。日本より平均年齢も(若いし)。日本の印象だと年取った選手が行くっていう印象あると思うんですけど、でも実際にはJリーグの平均年齢よりも全然若くて。確かJリーグが27、8歳ぐらいでこっちが25、6歳なんで。そういう意味ではすごく勢いのあるリーグだと思ってます。

高丘選手について

吉田選手と高丘選手。LAギャラクシーがBCプレースを離れる直前に。2024年4月13日、BCプレース。Photo by Koichi Saito/Japan Canada Today
吉田選手と高丘選手。LAギャラクシーがBCプレースを離れる直前に。2024年4月13日、BCプレース。Photo by Koichi Saito/Japan Canada Today

 決して簡単じゃないと思うんです。というのは僕みたいに、例えばヨーロッパである程度やってくれば最初から多少のリスペクトがある中でプレーできますけど、日本からいきなり来るっていうのは、まずそこでのリスペクトを勝ち取らなきゃいけないし、どうしても体格的にも最初はクエスチョンの目で見られてたと思うんです。でも、しっかりと自分のポジションを確保して信頼を勝ち取って試合に出続けて、一定の評価を得ているというのはすばらしいことだし、もっともっと食い込んでいけるんじゃないかなと思います。

 (日本)代表にも食い込んでいけると思うので、ここでパフォーマンスを出して(ほしいです)。間違いなく(日本)代表のスタッフたちもこれからアメリカに来たり、キャンプしたり試合をしたりすると思いますし。(2026年に)ワールドカップがあるし、そのタイミングで話があれば、声が掛かるチャンスはあると思うので、その時までにしっかりと自分のコンディションと良いパフォーマンスを維持できるかが鍵なんじゃないかなと思います。

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 バンクーバーの印象を聞くと、「スタジアムもいいし、街もきれいだし」と話した。以前にビザの取得で2、3日滞在したことがあるという。「その時にすごくいい印象を持っていたんですけど、素敵な街だなぁと思って」。移動が大変なMLSの遠征だが、「アウェイに行くと色々と全然ロスとは違うものが見られるのでおもしろいんですけど、またバンクーバーはおもしろいなと」とも話した。

 高丘選手とはバンクーバーに滞在した時に一緒に食事をしたり、ロサンゼルスに来てすぐの時にも話をしたりと、これまでは面識がなかったがMLSに来て交流があると話す。これまでMLS所属選手から日本代表が選出されたことはなく、高丘選手にそのチャンスがあればつかんでほしいと語った。

 吉田選手も山根選手も日本代表を経験。吉田選手は代表キャプテンも務めた。ギャラクシーでもキャプテンとしてチームを引っ張っている。ヨーロッパでもプレーした代表経験を持つ選手がMLSチームでキャプテンとして活躍し、MLSの良さを発信することで、日本でのMLSの評価が変わることは間違いない。

 次のワールドカップは2026年、カナダ、アメリカ、メキシコの3カ国共同開催。バンクーバー市も開催都市で、BCプレースで7試合が予定されている。

 MLSに所属する日本人選手、できれば高丘選手が、このリーグで活躍し、2026年ワールドカップで日本代表としてプレーすることを期待したい。

(取材 三島直美/写真 斉藤光一)

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