海上自衛隊練習船、9年ぶりにバンクーバーに寄港

海上自衛隊練習船「かしま」の前で記念撮影。2026年9月15日、ノースバンクーバー市。撮影 斉藤光一/日加トゥデイ
海上自衛隊練習船「かしま」の前で記念撮影。2026年9月15日、ノースバンクーバー市。撮影 斉藤光一/日加トゥデイ

 海上自衛隊練習船「かしま」「やまぎり」が、9月15日にノースバンクーバー市のバラード・ドライ・ドックピアに入港した。毎年行われている遠洋練習航海だがバンクーバー寄港は9年ぶりとあって、地元メディアも取り上げるほど話題に。

 今回は練習艦隊司令官を務める東(あずま)良子海将補に話を聞いた。

海に慣れさせ、国際感覚を養う遠洋練習航海

インタビューを受ける海上自衛隊練習艦隊司令官・東良子海将補。2026年9月15日、ノースバンクーバー市。撮影 斉藤光一/日加トゥデイ
インタビューを受ける海上自衛隊練習艦隊司令官・東良子海将補。2026年9月15日、ノースバンクーバー市。撮影 斉藤光一/日加トゥデイ

 海上自衛隊練習船のバンクーバー寄港は2017年以来。東司令官自身は、バンクーバーは初めてだという。街の印象を聞くと「とてもきれいでお洒落だなあと思いました。入港の時、実習幹部(実習生)たちもそわそわしていました(笑)」。

 5月に横須賀を出航、カナダ、アイスランド、アメリカ、パナマ、メキシコと5カ国11都市を巡る。カナダではバンクーバーに来る前に東海岸のノバスコシア州ハリファックス市に寄港した。

海上自衛隊練習船「かしま」「やまぎり」の寄港地。
海上自衛隊練習船「かしま」「やまぎり」の寄港地。

 今回の遠洋練習航海の派遣人員数は約530人。「実習の目的は、初級幹部に机上で学んだ知識や技能を実地で習得させること、そして『海に慣れさせる』こと。幹部自衛官として必要な資質を育成するのが目的です」と説明する。

 さらに遠洋練習航海では、寄港地での国際交流イベントも多く企画されている。バンクーバーでも艦内の一般公開をはじめ、艦上レセプション、バンクーバー日本語学校での音楽隊による演奏会、リッチモンド市スティーブストンでの武道交流などが行われた。

 こうした国際交流について東司令官は「教育という観点では、各国の海軍との親善訓練や寄港地での交流を通じて、実習幹部の国際感覚を養うことが目的です。また練習艦隊としては、一般公開や艦上レセプション、文化交流イベントなどを通して、訪問国との相互理解や友好親善を深めています」と語る。

 今回の航海での実習幹部の様子を聞くと「レセプションで積極的に話したり、演奏会に参加したり、自ら交流を図る社交的な面が見られます」と笑顔で話した。

安全で美しい街で航海のストレス解消を

バンクーバー・ダウンタウンを背景に、海上自衛隊練習船の甲板で。練習艦隊司令官・東良子海将補。2026年9月15日、ノースバンクーバー市。撮影 斉藤光一/日加トゥデイ
バンクーバー・ダウンタウンを背景に、海上自衛隊練習船の甲板で。練習艦隊司令官・東良子海将補。2026年9月15日、ノースバンクーバー市。撮影 斉藤光一/日加トゥデイ

 東司令官は、防衛大学校の女子第一期生(1996年卒業)で、女性初の練習艦艦長でもある。現在の海上自衛隊での女性隊員の状況については「着実に増えています。以前は結婚を機に辞める女性隊員が多かったのですが、今は定年まで勤め上げる人は珍しくありません」という。「私が実習幹部だった時は140人のうち女性は10人ほどでしたが、今は実習幹部180人中30人が女性。今回の乗組員も530人のうち女性が60人弱を占めています」

 取材当日はバンクーバーに到着したばかりで、まだ外には出ていないと話していた東司令官。「先輩から、とてもきれいな街だと聞いているので楽しみです」と目を輝かせた。また司令官という立場からは安全性が高いことがありがたいと話す。「艦内での団体生活というのはストレスを溜めやすいんです。美しい街に安心して外出できるというのは、ストレス解消につながりますから」と、教え子たちを気遣う温かさものぞかせた。

 10月24日の帰国まであと約1カ月半。161日間におよぶ遠洋練習航海の総行程は約54,340キロメートルにも及ぶ。航海を終え、海上自衛隊としての「一般教養」を身に着けた実習幹部たちは、今後さらにそれぞれの職域(専門領域)について学んでいくという。

並んで停泊する海上自衛隊練習船「かしま」「やまぎり」。2026年9月15日、ノースバンクーバー市。撮影 斉藤光一/日加トゥデイ
並んで停泊する海上自衛隊練習船「かしま」「やまぎり」。2026年9月15日、ノースバンクーバー市。撮影 斉藤光一/日加トゥデイ

(取材 宗圓由佳/写真 斉藤光一)

合わせて読みたい関連記事