「学校の歴史は私たちの誇り」2025年度バンクーバー日本語学校卒業式

小学科、中学科、高等科、基礎科F、ユースを卒業した生徒たち。2026年6月13日、バンクーバー市。撮影 日加トゥデイ
小学科、中学科、高等科、基礎科F、ユースを卒業した生徒たち。2026年6月13日、バンクーバー市。撮影 日加トゥデイ

 バンクーバー日本語学校で6月13日、2025年度卒業式が行われた。今年度卒業したのは小学科、中学科、高等科、基礎科F、ユースを合わせて39人。卒業式の前には在校生の修了式も行われた。

一人ひとりに手渡された卒業証書

修了式では奨学金の授与式が行われた。2026年6月13日、バンクーバー市。撮影 日加トゥデイ
修了式では奨学金の授与式が行われた。2026年6月13日、バンクーバー市。撮影 日加トゥデイ

 最初に行われたのは修了式。ホールには卒業生以外の生徒たちが集まり、校歌を斉唱。さらに皆勤賞の発表や奨学金授与が行われた。

 修了式に続いては卒業式。卒業生は在校生や保護者が見守る中、先生に率いられてホールに入場。高等科とユースの生徒は全員が和装だった。

受け取った卒業証書を披露する高等科ロドリゲス桃さん。2026年6月13日、バンクーバー市。撮影 日加トゥデイ
受け取った卒業証書を披露する高等科ロドリゲス桃さん。2026年6月13日、バンクーバー市。撮影 日加トゥデイ

 卒業証書授与では、生徒たちは一人ひとりステージに上り、久田琴絵校長から証書を受け取った。背筋を伸ばしてあいさつする生徒に、会場から温かい拍手が送られる。途中、久田校長が生徒の着付けを手直しするほほ笑ましい場面もあった。

 続いて町田友成共同理事長があいさつ。自身も同校で学んだという町田理事長は「この学校での学びや出会いは卒業後もみなさんの人生を支える大きな財産になると思います」と述べた。

ワールドカップを引き合いに生徒たちを激励した髙橋良明総領事。2026年6月13日、バンクーバー市。撮影 日加トゥデイ
ワールドカップを引き合いに生徒たちを激励した髙橋良明総領事。2026年6月13日、バンクーバー市。撮影 日加トゥデイ

 在バンクーバー日本国総領事館・髙橋良明総領事は祝辞で、バンクーバーで開催中のFIFAワールドカップに言及。チームワークが大切なサッカーのように言語学習も人とのやり取りの中で本当の力を発揮すると思うと述べ、「その実践の場がバンクーバー日本語学校だったと思います。卒業後も、より大きな実践の場を見つけながら、日本語を使い続けてください」と激励した。

学校生活を振り返った「卒業の言葉」

 「卒業の言葉」では、卒業生が一人ずつスピーチした。小学科では思い出として「学習発表会」「運動会」などを挙げる生徒が多かった。学習発表会の大縄跳びで目標の30回を達成できてうれしかったと話したのは西下恭子さん。多田明日佳さんは、獅子舞や節分などの季節行事で日本文化を学んだと述べた。スコーミッシュから通っていたという槇原楓馬さんは、通学は大変だったと振り返りながら卒業の日を迎えることができたのを誇りに思うと話した。

 基礎科は、家庭で日本語を話さない生徒が対象だが日本への関心の高さが見えた。オージェイ健太さんは日本の親戚と日本語で話せてうれしかったと話した。また、来年は日本へ行く予定というロス・マックス大和さんは「ひいおじいさん、おばあさんと日本語で話せるよう、勉強をがんばりたい」と決意を新たにした。

 中学科のスピーチでは、学校生活の楽しい面だけではなく、悩みや問題に触れる内容も多かった。「中学科の3年間を一言で表すと、とても成長した3年間でした」と話したのは朱しづはさん。人間関係や勉強時間確保に悩みながらも、日本語学習を続けるうちに日本文化への興味が増したと言う。ワーナー惠椎さんは現地校の勉強、ダンス、日本語学校との両立は大変だったと振り返りつつ、努力して卒業を迎えられた喜びを語った。また、次の高等科に向けて「日本語能力試験を受けたい」「百人一首大会で『名人』を目指したい」など、新たな目標を挙げる生徒もいた。

「卒業の言葉」では学習発表会で日本の高校の制服を着た思い出を語った高等科バロン迦鈴さん。2026年6月13日、バンクーバー市。撮影 日加トゥデイ
「卒業の言葉」では学習発表会で日本の高校の制服を着た思い出を語った高等科バロン迦鈴さん。2026年6月13日、バンクーバー市。撮影 日加トゥデイ

 日本語学校の全ての課程を終えたユース、高等科の生徒のスピーチは、さらに深い内容だった。新型コロナウイスル禍に一度日本語学校を辞めたという清水ターシャさんは、日本に行った後「恥ずかしがらずに日本語を話したい」と思い、復学を決めたという。高等科のひびきさんは、バンクーバー日本語学校は言語だけでなく、アイデンティティとコミュニティを与えてくれた「帰る場所」だと話した。また林原凛吾さんは学校生活について、遊びながら日本語を学んだ幼い頃から、多忙で一度退学してしまったこと、復学してからの道のりなどを振り返り、コミュニティとしてのつながりを感じるバンクーバー日本語学校で学べたことは自分にとってとても大切な経験だったと語った。

歴史ある学校での学びを踏まえて

卒業生を代表して謝辞を読むひびきさん。2026年6月13日、バンクーバー市。撮影 日加トゥデイ
卒業生を代表して謝辞を読むひびきさん。2026年6月13日、バンクーバー市。撮影 日加トゥデイ

 卒業生を代表して謝辞を読み上げたのはひびきさん。教職員や保護者、コミュニティの人々に感謝の言葉を述べるとともに、120年という歴史があり、さまざまな困難の中で日本や日本文化を守り続けてきたバンクーバー日本語学校を誇りに思うと話した。

 最後にステージに立った久田校長は、卒業生のスピーチを聞いて「みなさんの成長を感じ、大変頼もしく思いました」と称え、「これからも日本語や日本文化とのつながりを大切にして、それぞれの夢や目標に向かって歩んで行ってください」と送り出した。長く生徒たちを見てきた久田校長からの言葉に、卒業生や保護者からは感謝を込めた大きな拍手が送られた。

あいさつする久田琴絵校長。2026年6月13日、バンクーバー市。撮影 日加トゥデイ
あいさつする久田琴絵校長。2026年6月13日、バンクーバー市。撮影 日加トゥデイ

(取材 宗圓由佳)

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