グラッドストーン日本語学園の卒業式が5月30日、バーナビー市の日系文化センター・博物館で行われた。同校は今年で創設55周年。晴れの日にふさわしい青空の下、今年は47人の生徒が卒業した。
「初心に戻ること」──髙橋総領事からの祝辞
卒業式は、日本とカナダ、両国の国歌、そして同校の校歌を全員で斉唱したあと、卒業証書授与へと移った。小学科、中学科、基礎科の生徒たちは、教師が名前を読み上げると「はい」と答えて起立。代表者2人が村上陽子学園長から卒業証書もしくは基礎科修了証書を受け取った。高等科の生徒は村上学園長が一人ひとり卒業証書を手渡した。
続いて、在バンクーバー日本国総領事館・髙橋良明総領事があいさつ。「成長は1日で成し遂げられるものではありません。授業、宿題、発表、友達との会話など、毎日の一つひとつの積み重ねだと思います」と、卒業後も学園で学んだ日々を振り返ってほしいと語りかけた。「初心に戻ることは、自分自身の成長を確認する機会です。そして、それが将来、みなさんの力の源になることと思います」と祝福した。
学園生活を振り返る「卒業の言葉」
「卒業生の言葉」では、まず小学科の生徒が全員でステージに立った。「テストで悪い点数を取りました。『失敗は成功のもと』です。次のテストでは100点を取れました」「テスト勉強を手伝ってくれようとするお母さんのことを、しつこいと思ってしまいました。『親の心、子知らず』でした」など、各生徒とも、ことわざと時にユーモアを交え、ハキハキとした口調でこれまでの学習を振り返った。
中学科の生徒は、より長く、より具体的な「言葉」で学園生活について語った。プレゼンテーションの思い出や習字クラブでの取り組みなど楽しい思い出とともに、宿題の増加や現地校との両立に悩んだという声も。同時に、クラスメートや先生との交流を励みに、高等科に入ってもがんばりたいと言う生徒が多く、日本語学習への意気込みが見られた。
高等科の生徒は一人ひとりがスピーチした。学年が上がると、日本語学習以外の活動も忙しくなる。チアリーディングとの両立のため振替授業を利用したという女子生徒。また、サッカーにピアノにと忙しい毎日だったという男子生徒は「もう少し、もう少しだけと、歯を食いしばりながらがんばってきました」と語り、在校生に向けて「くじけず、前を見て一歩一歩進んでください」とエールを送った。
勉強は大変でも、生徒たちの言葉には、学園が大好きだという思いがあふれていた。「一番心に残っているのはここで育んだ友情です」と話した女子生徒は、切磋琢磨してきた友達と一緒に卒業の日を迎えられてうれしいと喜んだ。
卒業生には幼少の頃から通っている生徒も多い。2歳から通っていたという女子生徒は「この学園は、気がつけば、私の生活の一部になっていました」と話した。また別の女子生徒は、これまでずっと先輩の言葉に励まされてきたが、今日は自分が卒業生としてスピーチをすることについて感慨深げだった。
村上学園長、はなむけに贈る「『あ』のつく言葉」
卒業生のスピーチを聞き終えた村上学園長は「胸がいっぱいになりました」と生徒たちのがんばりを称えた。そして、1年生で習った「『あ』のつく言葉」──「あいさつ」「ありがとう」「あきらめない」をはなむけの言葉とし、これまでずっと日本語学習を続けてきた卒業生を「これからもあきらめずに自分のやりたいことを続けてください。きっと良い結果が出ます」と激励した。
最後は中等科2年と高等科初級による「ソーラン節」。グラッドストーン日本語学園の名前の入った法被を着て、威勢のいいダンスで卒業生たちを見送った。
55年にわたって生徒を見てきた村上学園長。今年の卒業生には同校の卒業生の子どももいたという。「毎年、教え子の子どもが来てくれるんですよ。もう50人以上になります。私はおばあちゃんみたいな気持ちですね(笑)、孫が来てくれたって」。
一方で、同学園では質の高い教育を行うため、卒業生からは「勉強が大変だった」という声も聞かれた。モチベーションの持続について聞くと、村上学園長は「褒めることですね」と即答。「生徒たちは自信をつけ、向上心を持ちます。『良い声で本を読めたね』『元気よく読めたね』など、私は常に生徒の良いところを探しているんです」。
クラスメートとの友情、そして教員との温かいコミュニケーションに支えられ、学習に励み、卒業の時を迎えた生徒たち。村上学園長は「大変なことも多いですが、生徒は本当にかわいいです。教師冥利に尽きます」と笑顔で話した。

(取材 宗圓由佳)
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