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Naomi Mishima

Naomi Mishima
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日本カナダ商工会議所主催「英語の達人になるためには」セミナー(寄稿)

参加者の様子(写真 吉川英治)
参加者の様子(写真 吉川英治)

「英語を使いこなし、世界の舞台に立てるように」を目標にして、画期的な英語教育シリーズ「英語の達人になるためには」(日本カナダ商工会議所の主催)の第1弾、計3日間には、各日2人の講師が登壇。春の陽光が徐々に感じられる2024年2月12日、3月3日、3月24日の3日間、賑やかなダウンタウンの会場SELC ランゲージ・カレッジは、若き参加者の情熱でさらに熱意と希望に包まれた。開始にあたり、在バンクーバー日本国総領事館・岡垣さとみ首席領事が英語を使って仕事をすることについてお話された。

会場で挨拶をされる岡垣さとみ主席領事(写真 吉川英治)
会場で挨拶をされる岡垣さとみ主席領事(写真 吉川英治)

Day 1:

「脳科学的アプローチで英語を自分の言葉にする」by ホール奈穂子(Gabby Academy代表)

ホール奈穂子さん(写真 吉川英治)
ホール奈穂子さん(写真 吉川英治)

「瞬発的に日本語を英語にする」by 加藤まり(Focus Education Services 代表)

加藤さんは「海外に住んでいるからといって、自動的に英語が使えるようになるわけではないのですが、効果的な学習方法で学び実践することが大事なんですね」と発言。

“どうしても、いったん頭で考えていしまい、出遅れる”という多くの人にありがちな課題に対して「自動的に英語が出てくるにはどうしたら良いか」を中心に、おふたりの講師は説明と実践練習を取り入れて展開。

加藤まりさん(写真 吉川英治)
加藤まりさん(写真 吉川英治)

Day 2:

「英語も幸せも人を愛することから」by 吉川英治(Boxers Without Boarders)

海外で講演と執筆を続ける“世直しボクサー”吉川さんは、世界を飛び回った体験を熱く語った。

吉川英治さん(写真 日本カナダ商工会議所)
吉川英治さん(写真 日本カナダ商工会議所)

「ネイティブの発音を真似る」by サミー高橋(SELCランゲージ・カレッジ校長)

ネイティブのように発音ができるようになるには英語力が高くなくても可能。英語特有の母音、子音の存在を知ることを通して、あとは練習を積むことだとわかりやすく手ほどきした。

サミー高橋さん(写真 吉川英治)
サミー高橋さん(写真 吉川英治)

Day 3:

筆谷信昭さん(写真 日本カナダ商工会議所)
筆谷信昭さん(写真 日本カナダ商工会議所)

「日本アニメ北米展開と映像翻訳」by 筆谷信昭(日本映像翻訳アカデミー(JBTA) LA代表)

東京、LAを拠点に日本映像翻訳アカデミー(JVTA)で映像翻訳者養成スクールを経営する筆谷氏は映像翻訳の市場やアニメの翻訳について、同社による字幕も上映しながらの講演。聴衆にはアニメファンが多く、活発な質疑応答が飛びかっていた。

「Global Career Development: ネットワーキング・インフォーメイショナル・インタビューで差をつける」by 高林美樹(AK Jump Educational Consulting  Inc代表) &ブレア・ジョーダン(Highmont Advisors Inc代表)

高林美樹さん&ブレア・ジョーダンさん(写真 日本カナダ商工会議所)
高林美樹さん&ブレア・ジョーダンさん(写真 日本カナダ商工会議所)

カナダでの就活の際に必須なコネクションの作り方を披露。「見栄えの良いレジュメを作成、応募するだけでは採用される可能性は低い。いかにコネクションができるネットワークを作り、採用担当者にインフォーマルな形で会って、話を聞くことができるかが鍵だ」とブレアさん。

どのセミナーにも、英語学習者が、違う角度から、それぞれの持つ英語力に、より一層磨きをかけ、実践で英語が活かせるようになるための有益なヒントが数多く散りばめられた。

(記事寄稿:日本カナダ商工会議所)

Art Walk 2024

日時 5月25日(土)、26日(日) 11時から5時まで

年一度のArt Walk 今年 32年目を迎えました。今年は70人のlocal artistsが参加しています。上記の両日 地図に載っている artistsの家、studio がオープンされますので自由に訪ねてみてください。地図は最寄りのcommunity centre にprintされたものが置かれてありますがポスターの下のQRコードかemail address でご覧いただけます。
ご質問がありましたら 長井 あずみ 604-736-4461
あるいは azuminagai@gmail.com にご連絡ください

原田徹監督に聞く「SHOGUN」撮影を通して触れた日系コミュニティ

原田徹監督、2010年バンクーバー五輪聖火台の前で。2022年5月29日。Photo by Saito Koichi
原田徹監督、2010年バンクーバー五輪聖火台の前で。2022年5月29日。Photo by Saito Koichi
インタビュー中の原田監督。バンクーバー市、2022年5月29日。Photo by Saito Koichi
インタビュー中の原田監督。バンクーバー市、2022年5月29日。Photo by Saito Koichi

 待望の「SHOGUN」が2024年2月からディズニープラスで始まった。主演の真田広之さんをはじめ豪華キャストによるテレビシリーズの撮影は、2021年からバンクーバー近郊で行われた。

 今回は撮影中にバンクーバーに滞在していた原田徹監督へのインタビューを紹介する。2022年5月、バンクーバー市内で話を聞いた。

***

 映画監督、また舞台演出家として活躍してきた原田徹監督。カナダでの「SHOGUN」撮影では、「テクニカル・スーパーバイザー」としてバンクーバーに10カ月あまり滞在することになった。「いろいろなご縁があったおかげです」と振り返る。

日本の風景と近いカナダ西海岸

 原田監督が、「SHOGUN」の撮影に参加のためバンクーバー国際空港に着いたのは2021年8月15日。さっそくダウンタウンの水辺に立った。「晴れた空の下、真っ青な海。向こうにノースバンクーバーの山並みが見えてきれいだった」と初印象を語る。

 日本でもカナダでも新型コロナウイルス蔓延中。海外で長期滞在になることに不安があった。カナダ滞在ビザの取得も遅れていた。飛行機の予約もできずにいたが、8月13日、ビザが下りた。徹夜で詰めた荷物を持って空港へ。朝一番のPCR検査を受け、バンクーバーへ向かう機内に収まった。

バンクーバー市カナダプレースの前で。2022年5月29日。Photo by Saito Koichi
バンクーバー市カナダプレースの前で。2022年5月29日。Photo by Saito Koichi

 縁のないカナダだと思っていたが、出発前になって、友人や京都の行きつけのレストランからのつながりが、バンクーバーまで続いていることがわかった。「ご縁ですね」。

 バンクーバー島のトフィーノの撮影現場に立って見渡すと、浜辺も岩場も日本の風景に近い。波が強いことも似ている。日本を舞台にした撮影にはうってつけだ。

文化の違いを説明した撮影現場

 「テクニカル・スーパーバイザー」。原田監督の「SHOGUN」撮影現場での役どころだ。17世紀の日本を舞台にした作品なので、登場人物の様子や動き、家屋や城の美術的な面も、当時の日本のように見せなくてはならない。それを原田監督がチェックし、必要な修正を指示する。

 作品の主な出演者は、日本の俳優がバンクーバーに来て演じる。一方、武士・武家の妻・漁村の人々など多くのエキストラは、バンクーバーで日系人を募集した。ところが、正座や、すり足は、生活習慣の違う日系カナダ人にはなかなか難しい。さっそく原田監督の目が光る。なんとか難行苦行に耐えたエキストラに、「長時間よくがんばってくれました」と感謝する。

 武士の着物には、刀が落ちないように帯を巻かねばならない。そこで、日本から時代劇衣装の着付けのベテランが呼ばれ、カナダ人衣装部の20数人に講習会。スマートフォンで撮った手順を見ながら、カナダ人らは武士の着付けに取り組んだ。「刀が落ちなくなりました」と原田監督、満足げ。

 壺を置けば北米人は花を生ける。「壺には花は生けない」と一声。

 畳の上で草鞋を履いたままだと、「はだしで」とまたもや監督の声が飛ぶ。「説明して、やっとはだしになってもらいました」

 日系人を含め北米のスタッフと10カ月の長丁場だったが、日本の文化・習慣を説明することで、違いを理解してもらい、そのうち楽しんでもらえるようにもなった。すでに撮影した場面の撮りなおしも出てきた。よりよいものを作ろうというスタッフの気概からだ。

バンクーバーを好きになったもう一つの理由

バンクーバーの野球チーム “Asahi”のロゴが入った帽子と布製バッグで、笑顔を見せる原田監督。2022年5月29日。Photo by Saito Koichi
バンクーバーの野球チーム “Asahi”のロゴが入った帽子と布製バッグで、笑顔を見せる原田監督。2022年5月29日。Photo by Saito Koichi

 映画「バンクーバーの朝日」は、原田監督が教える大阪芸術大学で教え子であった石井裕也さんが監督だ。この映画には、他にも原田監督の知り合いや、「SHOGUN」スタッフとのつながりがある。ここにも「縁を感じる」と原田監督は言い、Asahiのロゴが入った帽子や布製バッグを披露する。バンクーバー滞在中の2021年9月、「朝日」のレガシーゲームを見に行った。翌22年3月には、元選手の上西ケイさんの100歳の誕生会に招待され一緒に祝った。「楽しい思い出」と顔をほころばす。

「SHOGUN」スタッフのIDを首にかける「パン」。写真提供 笠原由紀江さん
「SHOGUN」スタッフのIDを首にかける「パン」。写真提供 笠原由紀江さん

 日本に家族が一時帰国したとき、自宅で飼っているペットをバンクーバーに連れてきた。「パン」という名前のチワワで、撮影現場にも連れていくと、スタッフのIDを首にかけてもらえた。パンはかわいがられ、監督とスタッフとの間の潤滑油のようになった。監督自身にとっても、パンの存在は癒しになった。「バンクーバーは、犬を連れて歩いている人が多いことも気に入りました」と、身を乗り出して話す。

違いを楽しんで制作

 海外で規模の大きい作品の制作に携わったことについて原田監督は、「チャンスに恵まれた」と言う。そして、日本とカナダの撮影現場では、いろいろな違いがあることを知った。「ハロウィーンやクリスマスの衣装を着けたスタッフとの仕事は愉快でした」。違いをおもしろいと思えるようになった。

原田徹監督、2010年バンクーバー五輪聖火台の前で。2022年5月29日。Photo by Saito Koichi
原田徹監督、2010年バンクーバー五輪聖火台の前で。2022年5月29日。Photo by Saito Koichi

 「コロナ禍では、感染が心配なうえ、国際間の往来がままならないことは不便でした。でもカナダの日系の方々が参加してくださったことで、作品の制作が可能になりました」と感慨深げに語る原田監督。黒地に白く「将軍 SHOGUN」のロゴがある帽子が似合っていた。

原田徹(はらだ・とおる)

大学在学中、8ミリ映画「午後の幻想曲」がヒロシマ国際アマチュア映画祭に入選。
卒業後、助監督として活動を開始。篠田正浩、深作欣二、五社英雄、勅使河原宏、黒木和雄、工藤栄一ら日本映画を代表する数々の監督につく。
1993~94年、文化庁在外芸術家研究員としてハリウッドに滞在。
1992年、監督デビュー。京都の太秦を拠点に時代劇に携わる。「風車の浜吉」「七衛門の首」「八丁堀捕物ばなし」「必殺仕事人2009」をはじめ多数。
現在、大阪芸術大学客員教授、日本映画監督協会理事。

(取材 高橋文/写真 斉藤光一)

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「かんがえごと 関ヶ原」~投稿千景~

エドサトウ

 日本名三浦按針がオランダの東インド会社の航海士として帆船のガレオン船に乗り、アジアを目指して航海してくるのであるが、仲間の船とは離ればなれになる。彼の船も、また嵐にあい航行不能となり東シナ海の海をただよう難破船となる。船の仲間たちも多くは病死をしたのであろうか、今は十名にも満たない船乗りだけとなり、わずかな食料と雨水で飢えをしのいでいたが、やがて船は黒潮にのり鹿児島沖に到達する。船は瀬戸内海の満ち潮に吸い込まれるように豊後水道を北上して、大分の小島にたどり着いたのは関ヶ原合戦のあった1600年春のことである。

 これを知った北九州の大名であった小早川秀秋は徳川家康にいち早く「南蛮船、大分沖の小島に漂着、難破船にて数名の生存者あり候」と知らせている。家康はこの事を知ると素早く家康の名代を送り、簡単な応急措置で船を修繕すると西軍の手が届かない江戸に曳航させている。家康が興味を感じていたのは、その火器類の大砲や火薬、火縄銃の鉛玉などであった。この先、大戦をするならば玉の原料の鉛とか火薬に必要な硝酸などを大量に準備せねばならず、もしこの船の火器類が利用できれば幸運と言わねばなるまい。西欧の文化に興味を感じたのであろうか、彼は、英国人の按針から、個人的に数学などの学問を習っている。

 彼の盟友であった織田信長や豊臣秀吉が海外との交易や文化に興味を示したように、徳川家康も南蛮人である按針に興味をもったのであろう。当時、火縄銃の鉛玉の原料は東南アジアのタイあたりから輸入されていたから徳川家康も密かに多くの弾薬を用意する必要があり、その意味で按針は大切な人材であったと思われる。

 おそらく、三浦按針のガレオン船の16から20門の大砲がなければ、関ヶ原合戦の東軍の勝利は不可能であったかもしれないというのが小生の私見である。

 しかし、この帆船から接収した大砲を江戸から戦場になるであろう関ヶ原までの距離約450キロメートルの中仙道の山道の街道を運ぶことは大変なことである。東北に鞍替えで移動した石田三成の盟友上杉景勝は謀反の疑いがあるとして、家康は彼を攻めるのであるが、この時も船の大砲キャノン砲は数門運ばれたかもしれないが、これくらいの距離であれば、馬で運ぶこともできたかもしれないが、さすが山道の中仙道を大砲を運ぶのは至難の業であったろうと思われる。

 この時、江戸の町で今でいう運送業をしていた木曽駒五平なる者に会ったのではないかと思われる。木曽駒五平は、日本に昔からいたという小柄の木曽馬を使って運送業を手広く行っていた。おもに建設ブームで賑わう江戸へ建築の材料となる木曽の檜などの材木を運んでいたと思われる。だから結構、羽振りのよい人物であったのであろう。

 そこへ家康の配下のものと一緒に按針が訪ねて行く。按針にしてみれば、木曽馬に興味があり、それに大砲を引かせるぐらいのことを考えていたのかもしれないが、五平の話を聞けば、彼の大八車に大砲を分解して、弾薬なども一緒に運ぶことにしたのであろう。「旦那さん、山道は危険ですし、大変難儀な仕事でございます。江戸の家康様のことは是非とも、私どももお力添えしたく思います。」と五平は言うとニコニコと軽く笑った。この時、按針は木曽駒五平の娘を紹介されている。この縁で後に、夫婦となり、現在の横須賀あたりの天領に徳川家の旗本として領地を拝領して、三浦家は江戸時代、代々続いているのも、按針の不思議なところである。

投稿千景
視点を変えると見え方が変わる。エドサトウさん独特の視点で世界を切り取る連載コラム「投稿千景」。
これまでの当サイトでの「投稿千景」はこちらからご覧いただけます。
https://www.japancanadatoday.ca/category/column/post-ed-sato/

「子どもたちの視点から見る社会の現実」We Grown Now(Minhal Baig監督)

Blake Cameron James and Gian Knight Ramirez in WE GROWN NOW. Courtesy of Sony Pictures Classics.
Blake Cameron James and Gian Knight Ramirez in WE GROWN NOW. Courtesy of Sony Pictures Classics.

 私的には一年で一番良い季節になったバンクーバー。海辺をちょっと散歩するだけで幸せを感じられる毎日が冬の憂鬱をあっという間に忘れさせてくれます。そして先日のオーロラ!自然が作り出す光の美しさは本当に神秘的で、ただひたすら空を眺めて感動するというまるで子どもの頃に戻ったような楽しいひと時を過ごせました。

 さて、今回ご紹介する映画「We Grown Now」(Minhal Baig監督)。1990年代シカゴに実在した低所得者向けの公営住宅「カブリーニグリーン」を舞台に、二人の12歳の少年の視点から見る子どもらしい日々と厳しい現実社会の物語です。

 生まれた時からずっと友達の二人、マリークとエリック。公営住宅の隅から隅までが遊び場で、捨ててあるマットレスを集めて飛び込んでみたり、壁のシミやひび割れを見ながら想像を膨らませたり、と貧しいけれど身の周りに楽しいことを見つけて共に遊ぶベストフレンド。一見ごく普通の子どもらしい二人の日常ですが、周囲には犯罪、ドラッグ、死がすぐそこにあるような環境。嫌でも現実の厳しさと将来への不安が少しずつ二人にも見えてきます。

 一生懸命に働き愛してくれるシングルマザーの母と祖母、妹がいるマリーク。自分は貧しいけれど子どもには良い未来を与えたいと願う父を持つエリック。社会では危険な場所と見られているこの公営住宅でも、二人にとっては大切な家族がいる自分たちが育った家なんですよね。そこで子ども時代を過ごす二人を見守るストーリーと映像は温かく、どこかノスタルジックなのが印象的でした。Baig監督は撮影に先立ち、2011年に取り壊されたこの住宅の元住人たちに多くの取材をして脚本を作り上げたとか。そこには外からは見えない一生懸命に生きる家族の物語がたくさんあったのだろうな、と感じました。余談ですが「ガブリーニ・グリーン」はホラー映画「キャンディ・マン」(ニア・ダコスタ監督2021年)でも舞台になっていて「貧困と犯罪の温床だった住宅」として知られています。

 とにかく子役二人の演技があまりにも光っていて。彼らの澄んだ瞳と笑顔を見ているとこちらも楽しい気分になるし、不安そうな顔を見れば胸が締め付けられそうになってしまうし。そして二人が子どもなりに現実を受け入れてゆくシーンではこちらも涙が・・・。

 子どもが安心して笑っていられる世界、大人の現実に左右されずにゆっくりと成長してゆける世界。そんな世界について考えてしまった映画でした。あとチェロの調べが心地よいサントラもとても素敵なのでそこも楽しんでください。

 バンクーバーではInternational Villageで上映中です。

Blake Cameron James and Gian Knight Ramirez in WE GROWN NOW. Courtesy of Sony Pictures Classics.
Blake Cameron James and Gian Knight Ramirez in WE GROWN NOW. Courtesy of Sony Pictures Classics.

Lalaのシネマワールド
映画に魅せられて

バンクーバー在住の映画・ドラマ好きライターLalaさんによる映画に関するコラム。
旬の映画や話題のドラマだけでなく、さまざまな作品を紹介します。第1回からはこちら

Lala(らら)
バンクーバー在住の映画・ドラマ好きライター
大好きな映画を観るためには広いカナダの西から東まで出かけます
良いストーリーには世界を豊にるす力があると信じてます
みなさん一緒に映画観ませんか!?

「笑いの健康効果を一緒に体験してみませんか?」

写真:日本語認知症サポート協会
写真:日本語認知症サポート協会

 「笑いの健康効果を学び、笑い力を鍛える~笑いの底力~2024」がバンクーバーで開催されます。

 日本から講師として高田佳子さんを招き、メトロバンクーバー4会場で講演会&体験会を開催。ノースバンクーバー以外の3会場ではオンライン(ZOOM)でも同時開催しますので当日会場に来られない方でも自宅で一緒に参加できます。

高田佳子さんプロフィール

高田佳子さん。写真:日本語認知症サポート協会

兵庫県神戸市生まれ。2009年にインドで笑いヨガを学び、帰国後すぐに「日本笑いヨガ協会」を設立。笑いと健康の研究を進め、全国で講演・指導を行っている。「大人の笑トレ」、「ボケないための笑いヨガ」他、著書・翻訳書多数。日本笑いヨガ協会代表。(株)アートランド代表取締役。一級建築士。日本応用老年学理事、早稲田大学文学学術院非常勤講師。老年学修士。

 今回お招きした講師・高田佳子さんの「笑い」で健康かつ幸せな生活を送れる人を増やしたいとの思いは、2009年、「笑いは健康に良い。笑える場を作るのだ。」と言う「笑いヨガ」創始者Dr. マダン・カタリアのひらめきと行動力で作られた「笑いヨガ」との出合いに繋がりました。その後、「日本笑いヨガ協会」を立ち上げ、独自の「笑トレ®」が生まれ、現在の活動に至っています。

 今では、高田佳子さんは、日本、いや世界でも屈指の「笑いと健康のスペシャリスト」と言っても過言ではありません。

写真:日本語認知症サポート協会
写真:日本語認知症サポート協会

 その活動は、企業研修、介護予防、健康管理等幅広く、笑いヨガの素晴らしさ、効能を老若男女に伝えています。

 今回は4会場で講演会&体験会を開催いたします。各会場の見出しには、笑いヨガの代表的な効能を記載しております。お時間の都合の付く会場に足をお運びください。

 「笑いヨガ」を通して、笑いで皆様を幸せにしたいという高田さんの活動の素晴らしさに直に触れていただく絶好のチャンスです。

 一緒に、楽しく、笑いの健康効果を体験してみませんか?

笑いの健康効果を学び、笑い力を鍛える~笑いの底力~2024

写真:日本語認知症サポート協会
写真:日本語認知症サポート協会

 笑いヨガをベースとした笑トレ®を行うことにより、体力アップ・筋力強化・美容・認知症予防・誤嚥防止・メンタル強化に努め、毎日をいい気分で過ごしましょう。
 声を出しますので喉が渇きます。マイボトルをご用意ください。また、動きやすい服装でご参加ください。

6月14日(金)「笑いヨガでリフレッシュ」
時間:午後6時30分~午後8時30分
会場:リステルホテル・バンクーバー(1300 Robson Street, Vancouver)またはZoom
健康を保つためには運動が欠かせませんが、継続するのは難しいもの。そこで、超簡単で楽しい笑いヨガを体験しませんか?リフレッシュ効果抜群です。

6月14日(金)「笑いは最良の薬!」
時間:午後1時~午後3時
会場:Anderson Walk Condos(139 West 22nd St., North Vancouver)
*定員20名(会場開催のみ)
笑いの健康効果は驚くべきものです。誰でもできる笑いヨガのエクササイズで心身の変化を実感できます。笑って心も体も元気になりましょう。

6月15日(土)「笑って健康!」
時間:午後2時~午後4時
会場:スティーブストン仏教会本堂(4360 Garry St. Richmond)またはZoom
健康を保つためには運動が欠かせませんが、継続するのは難しいもの。そこで、超簡単で楽しい笑いヨガを体験しませんか?リフレッシュ効果抜群です。

6月16日(日)「未来をつくる笑いの力」
時間:午後1時30分~午後3時
会場:日系文化センター・博物館(6688 Southoaks Crescent, Burnaby)またはZoom
健康長寿を享受する人生100年時代!笑トレ®で心身を活性化しませんか?笑いの健康効果を学びながら、ストレスフリーで楽々、座りながら下半身の筋トレや有酸素運動が可能な優れた体操を体験してみませんか?

各イベント参加費:15ドル
申し込みリンク:https://linktr.ee/orangecafevancouver

申込締切:2024年6月10日(月)

問い合わせ先:OrangeCafeVancouver@gmail.com 
主催 日本語認知症サポート協会 http://www.japanesedementiasupport.com

助成金
Japanese Canadian Legacies Community Fund Grant Acknowledgement

後援
在バンクーバー日本国総領事館
スティーブストン仏教会
日本笑いヨガ協会

スポンサー
The Listel Hotel

メディアスポンサー
月刊ふれいざー
日加トゥデイ
ライフバンクーバー
月報

チケットプレゼントのお知らせ

「笑いの健康効果を学び、笑い力を鍛える~笑いの底力~2024」のチケットを4名様にプレゼントいたします。ご希望の方は、名前・メールアドレス、希望の会場、対面式かZOOMかの情報を明記の上、件名に「笑いヨガチケットプレゼント」と記載して、promo@japancanadatoday.caまでご応募ください。応募締め切りは5月28日(火)といたします。

たくさんのご応募お待ちしております。

写真:日本語認知症サポート協会

(記事提供:日本語認知症サポート協会)

「人生にはインスピレーションが必要」ドキュメンタリー映画:ライフ・イズ・クライミング!(Life is Climbing)日加トゥデイ特別インタビュー

鈴木直也さん(左)と小林幸一郎さん。Photo ©Life Is Climbing Partnership
鈴木直也さん(左)と小林幸一郎さん。Photo ©Life Is Climbing Partnership

 このドキュメンタリーの感想は一言で語れない。むしろ「人それぞれの想い」というような言葉が頭をよぎる。「映画に関して特にメッセージはないです」と日本からのズームインタビューに参加してくれた中原想吉監督が最初に話すと、主演の鈴木直也さんも「観てくれた人のコメントを聞いて、そういう風に感じてくれたのだと逆に教えてもらった」と続けた。そんな自由なテーマの中にいくつかワクワクするような発見がある。

 最初に映画は全盲というハンディを背負った男性、コバさんこと小林幸一郎さんの生い立ちを振り返る。20代後半で突然医者から進行性の網膜病を宣告され、徐々に視力を失い、全盲となった今は白杖を使って歩いているという小林さん。当時は生きることが精一杯で、仕事はどうするか、今後どうやって生きていくのかなどと悩みながらも視力はどんどん悪化。現在は光すら分からない失明度だそうだ。そんな心のダメージを背負った彼が、ある時クライミングを始め、パラクライマーとしてプロで活躍する傍ら、日本のクライミングジムで子どもたちに教えている姿が映し出される。

 一方、2011年から小林さんのサイトガイドとして一緒に遠征している鈴木直也さんは、「落ち着いて、大丈夫」「絶対落ちないから」と小林さんを励ましながら、最も重要な「目」の役割を果たしている。若い頃からアメリカに留学し、現地でプロのロッククライミングを習ってきた鈴木さんは、クライミングという目的達成感も重要だが、それ以上にその瞬間の感動を小林さんに体験してもらいたかったと語る。過去10年間にパラクライミングの世界選手権で何度も優勝してきた小林さんも鈴木さんを信頼しきっている。通常のマイクやヘッドセットからではなく、下から叫ぶ鈴木さんの「生の声」に励まされ、「言葉を聞いて心で感じ」ながらがんばれたそうだ。

ユタ州のフィッシャー・タワーズの尖塔を目指すパラクライマー小林幸一郎さん。Photo ©Life Is Climbing Partnership
ユタ州のフィッシャー・タワーズの尖塔を目指すパラクライマー小林幸一郎さん。Photo ©Life Is Climbing Partnership

 さすがにロッククライミングは怖い。体験したことのない人でもカメラアングルからその高さが感じとれ、思わず高所恐怖症になる。この高さは見えない方が怖くなくてよいのか、いやそれではもっと危険だ、サイトガイドの鈴木さんもこれは見ていられないだろうと考えながら映画は進んでいく。気持ちを込めながらギアを自分の決めた場所に刺し、一度刺したら自分を信じるなど、なるほどと思うプロのアドバイスも聞ける。また常に体力と集中力が必要なクライミング。そこまでたどり着けるのかという不安と緊張感も彼らと一緒に体験できる。

「危険」でなく「楽しい」冒険の旅

 小林さんはこのドキュメンタリーの主役は自分でなく鈴木さんだと話す。「一人の障害者がクライミングというすごいことをしているというような視点でなく、鈴木さんという人が自分と普通に過ごしている姿を見て、人生ってもっと楽しいものだと感じてほしい。1人で大変なことでも近くに友人がいて初めの一歩を踏み出せたら可能になる。それは大変ではなく、とても楽しいことなのです」と明るく語ってくれた。

パラクライマー小林幸一郎さん(左)とサイトガイドとして一緒に遠征している鈴木直也さん。Photo ©Life Is Climbing Partnership
パラクライマー小林幸一郎さん(左)とサイトガイドとして一緒に遠征している鈴木直也さん。Photo ©Life Is Climbing Partnership

 相棒の鈴木さんは「僕はコバちゃんの横でただボーッとしていた」とジョークを言いながら、「これは危険というより冒険の旅。コバちゃんは20年以上クライミングをしているので危険さも知っている。今回が初めてのことでなく、監督に自分たちの日常生活を撮ってもらっていた」と前置きして、「ただギリギリまでどんな映画になっているのか分からなかったので、できてビックリだった」と微笑んだ。

 このドキュメンタリー映画にはロードムービーのような旅の要素がぎっしりと詰まっている。「(新型)コロナ(ウイルス感染拡大)でアメリカに行けない時間がとても長かった」と映画製作の苦労を振り返る中原監督。今回が長編デビュー作とは思えないほど、監督の描く太陽、オレンジ色の夕日や焚き火などが奇麗で静かな景色にため息が出る。カナダにいても普段見ることのないアメリカのコロラド州やユタ州の岩山の大自然は見どころだ。2度見ると前に気づかなかった新しい発見をしたり、違う印象を与えてくれたりするのもこの映画の特徴。

小林幸一郎さんと中原想吉監督(右)。Photo ©Life Is Climbing Partnership
小林幸一郎さんと中原想吉監督(右)。Photo ©Life Is Climbing Partnership

 人生とは一体何なのか。頂上にひたすら向かう小林さんを追いながら、一時間半があっという間に過ぎる。多くの人は観ているだけで小林さんの素朴さと素直さ、そして鈴木さんの優しさ、さらに2人の友情とそれを囲む監督やクルーの愛情に癒されるだろう。バンクーバーでの上映では6月3日、4日に、小林さんと鈴木さん、中原監督のゲスト出演が予定されている。

「ライフ・イズ・クライミング!」(Life is Climbing)

上映日:6月3日~9日(6月4日6:20pm上映回は視覚障害者向け英語音声ガイド版で上映)
場所:VIFF Centre(1181 Seymour Street, Vancouver)
ゲスト出演日程:6月3日、4日
オフィシャルHP: https://synca.jp/lifeisclimbing/
配給:シンカ、Momo Films
上映時間・チケットなど詳細はVIFFサイトへ:https://viff.org/whats-on/life-is-climbing/

(取材 ジェナ・パーク)

読者チケットプレゼントコンテスト

6月3日から上映される「ライフ・イズ・クライミング!」(Life is Climbing)鑑賞ペアチケットを抽選で1名にプレゼントします。鑑賞日時はご自身でお選びいただけます。当選された方には配給会社Momo Filmsより連絡いたします。

参加方法はこちら。不明な点はMomo FilmsのX(旧ツイッター)アカウント @Momo_Films へお問い合わせください。

コンテスト参加期間:5月13日~20日

参加方法
1.日加トゥデイ@jpncantodayとMomo Films @Momo_Films のX(旧ツイッター)をフォロー
2.日加トゥデイの「ライフ・イズ・クライミング!」(Life is Climbing)を紹介したXの投稿を「いいね」する
3.日加トゥデイの「ライフ・イズ・クライミング!」(Life is Climbing)を紹介したXの投稿をリポストする

以上です。多くのご参加をお待ちしております。

「ライフ・イズ・クライミング!」(Life is Climbing)より。Photo ©Life Is Climbing Partnership
「ライフ・イズ・クライミング!」(Life is Climbing)より。Photo ©Life Is Climbing Partnership

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小説家・平野啓一郎氏バンクーバー講演「私とは何か?という問い」(前編)

質疑応答で参加者からの質問に答える平野氏。バンクーバー市UBCアジアンセンター、2024年3月18日。Photo by Koichi Saito/Japan Canada Today
質疑応答で参加者からの質問に答える平野氏。バンクーバー市UBCアジアンセンター、2024年3月18日。Photo by Koichi Saito/Japan Canada Today

 「ある男」「マチネの終わりに」などの小説で知られる平野啓一郎氏が、“What am I?”「私とは何か?という問い」をテーマにブリティッシュコロンビア大学(UBC)アジアンセンターで3月18日に講演した。

 当日は英語での講演のあと質疑応答の時間があり、著書や作家活動、アイデンティティについてなどの質問があった。講演の後には参加者が平野氏と直接話したり、サインを求めたりできる時間も設けられ、ファンにとっては楽しいひと時となった。

 講演会は、日本ペンクラブ、UBCアジア研究学科、国際交流基金トロント日本文化センターの共催。

平野啓一郎氏インタビュー

 講演の翌日、3月19日にバンクーバー市内で話を聞いた。

 前編ではバンクーバーの印象や講演会について、後編ではロストジェネレーションについてなどを紹介する。

「バンクーバーの印象」

 実は初めて来ました。おととい(3月17日)に来て、きのう、おとといと少し見ただけなのであんまり大したことは言えないですけど、この季節にしては非常に好天に恵まれてと皆さんに珍しいって言われました。グランビルアイランドとか一通り車で観光に連れて行ってもらいまして、緑が美しくて。あと先住民の文化に対するリスペクトが日本では知られてない部分だと思いましたので、非常に興味深かったです。ここが住みやすく日本人がたくさんいるっていうのも、よくわかるなっていう感じの良い雰囲気の街だなと思いました。

「講演テーマ、“What am I?”『私とは何か?という問い』について」

 自分自身が一番、ずっと関心を持って取り組んできたテーマということもありますし、日本文学、現代日本文学の紹介も兼ねての講演をと事前にうかがってましたので(このテーマにしました)。そういう意味で言うと、昨日の講演でも言いましたけど、同世代の作家を網羅的に上手に紹介するというのはなかなか難しいので、どちらかというと世代的なこととか、時代背景的なことを中心に話した方がいいと思っていて。その問題と世代的なことと、自分とは何かっていう問題が非常に強く結びついているので、そこを切り口にして話そうかなと思いました。

「講演会について」

 時間帯が時間帯(平日の午後)だったので、若い人はなかなか来にくかったとは思うんですけど。でもサイン会の時に、いま自分が抱えている悩みとか話されたり、講演に共感してくださったりした部分がありましたので、真剣に熱心に聞いてもらえたことをすごく感激しました。

英語で講演する平野氏。バンクーバー市UBCアジアンセンター、2024年3月18日。Photo by Koichi Saito/Japan Canada Today
英語で講演する平野氏。バンクーバー市UBCアジアンセンター、2024年3月18日。Photo by Koichi Saito/Japan Canada Today

 (英語での講演については)原稿がありましたから。あまり英語が上手くないんで(笑)。そういう意味では、やる前は心配ではありましたけど、講演とかはあまり緊張しない方なんですよね。

「自らの発信について」

-講演の中では小説を書く時は読者をイメージしながら書くと話したが、メディア(テレビやSNSなど)で発信する時も同様に相手をイメージして発信しているか?

 小説は読者という存在のこと考えますけど、(メディアに出ている時は)あまり深く考えないですね。ただ自分がどういうことを考えているかとかいうのを伝える機会ではありますし、テーマによっては話したいこととかもありますし、オファーがくれば受けることがあるという感じです。

 (SNSなどの発信は)最初はフォロワーとかも別にそんなに多くなかったですし、ただ言いたいから言ってるっていうだけぐらいのことだったんです。それから、僕自身のなんていうか影響力が大きくなっていって注目されることも増えてきましたけど。

 メディアで書いてるのは、一市民として思うことです。やっぱり政治に関心を持つっていうのは作家である以前に一人の人間として、この世界に生きていると制度的な問題に関して、どうしてもこうあるべきっていう理想像がありますから、その通りに社会がなってないときに、一人の市民としての意見としてそれを語ります。ただ、自分は同時に小説家でもあるので、受け止められ方としては一小説家としての意見として受け止められることも自覚はしています。

「小説を書くということ」

 結局、小説家になるって、小説を書くっていうのは、この世界に完全に満たされていれば小説を書く必要はないと思うんです。やっぱりどこかで自分の存在と社会との間に齟齬(そご)というか矛盾を感じているから小説を書き始めるわけで。それについて文学的に表現しますけど。それではどうしてそういう状況になっているのかとかいうことを考えていくと、どうしても制度的なこととか政治的なことに突き当たらざるを得ないので、うまく書くってことと、政治に関心を持つってことは表裏一体だと思います。

「講演の中でも語ったロストジェネレーションについて」

 (日本での「ロストジェネレーション」とは)世代の呼称です。1970年代生まれぐらい(一般的には1970年から1984年ぐらいに生まれた世代)の人たちのことをロストジェネレーションと呼んでいます。その特徴としては、雇用が不安定とか、貧困率が高いとか、所得が低いとか、非婚率が高いとか、統計的にはっきりと出ています。1990 年代後半から2000年代の初めぐらいまで(就職氷河期で)、非常に就職率が悪く、終身雇用制が一般的な中で就職機会を逃すとなかなかその後に良い職に就くことができなかったんです。

 もちろん中には社会的に成功してる人もいますけど、雇用が非常に不安定ということが社会的なアイデンティティにおいては不安定化してしまってますから、なぜ自分は生きてるのかとか、そういう不安を抱く傾向は強いと思います。

 昨日の(講演の)話でどこまで伝わったか分からないですけど、職業選択と自分のアイデンティティが非常に強く結び付けられていた世代なので、それにもかかわらず就職がうまくいかなかったってことでアイデンティティロス(喪失)に結び付いている。それに、所得も低いので生活水準も低いですから、そうすると前後の世代に比べて十分に満足のいく社会的なポジションもないし、消費もできないという中で、その間に政策的になんの対策も取られなくて。日本自体が90年代半ばからいまに至るまで、失われた30年という言い方もされてますから、その間に何にも政策的に救済もされなかったという意味も含めて「ロスジェネ」と言われてます。

後編に続く。

平野啓一郎(ひらの・けいいちろう)

小説家。1999年大学在学中に文芸誌「新潮」に投稿した「日蝕」により第120回芥川賞を受賞。
小説「決壊」(2009年芸術選奨文部大臣新人賞受賞)、「ドーン」(2009年Bunkamuraドゥマゴ文学賞)、「マチネの終わりに」英訳“At the End of the Matinee”(2017年渡辺淳一文学賞)、「ある男」英訳“A MAN”(2019年読売文学賞)やエッセイなど。また、「三島由紀夫論」(2023年)で小林秀夫賞を受賞した。

(取材 三島直美/写真 斉藤光一)

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ホワイトキャップス50周年記念試合は悔しい引き分け

試合後のインタビューの後に、高丘選手、懐かしいユニフォームデザインで。2024年5月4日、BCプレース。Photo by Koichi Saito/Japan Canada Today
試合後のインタビューの後に、高丘選手、懐かしいユニフォームデザインで。2024年5月4日、BCプレース。Photo by Koichi Saito/Japan Canada Today
この日の試合ではオースティンFCのシュート数4本であまり出番がなかったGK高丘。2024年5月4日、BCプレース。Photo by Koichi Saito/Japan Canada Today
この日の試合ではオースティンFCのシュート数4本であまり出番がなかったGK高丘。2024年5月4日、BCプレース。Photo by Koichi Saito/Japan Canada Today

 バンクーバー・ホワイトキャップスは1974年5月5日の初試合から50年を迎えたことを記念して5月4日オースティンFC戦を50周年記念試合として戦った。

 BCプレースにはホワイトキャップスがMLSに昇格して以降最大の約32,000人が詰めかけ、大声援を送った。

5月4日(BCプレース:32,464)

バンクーバー・ホワイトキャップスFC 0-0 オースティンFC

ホワイトキャップスは前半19分にGauldがゴールを決めたがビデオ判定でその直前のプレーでFafaにハンドの反則があったとしてノーゴールに。その後、ホワイトキャップスは猛攻するも、得点できず0-0で引き分けた。

猛攻実らず無得点で引き分ける

 シュート数はキャップス23、オースティン4、枠内シュート数は7と1、ポゼッションは63%と37%という圧倒的な攻撃を仕掛けたホワイトキャップスだったが、1点が遠かった。

 この日、今季4試合目のクリーンシートとなったGK高丘は「(自分たちが)ほとんどボールを持ってましたので、本当に勝ち点2を落とした試合だったなと思います」と振り返った。

 監督はビデオ判定については自分たちがコントロールできないことだとしてあえて言及しなかったが、「今日の試合はファンタスティックだった。選手たちはみんなすごくいいプレーを見せた」と選手のパフォーマンスを称賛した。非常に良い試合をしたにもかかわらず3万人以上が入った試合で勝てなかったことに「少しフラストレーションがたまっている」と語ったがこのような試合を続けていれば次回以降必ず勝てると自信をのぞかせた。

 ホワイトキャップスはこの後3試合連続アウェイとなる。次のMLSレギュラーシーズンのホームゲームは5月25日。この日レッドブルズ戦で大暴れしたキャプテンのメッシ率いるインテル・マイアミCFと対戦する。

 高丘は、「メッシが西海岸に来る可能性があるということで、チームとしても色んな準備をしていますし、観客が多く入るだろう試合で勝ちを届けることで、毎試合、毎試合、たくさんのファンが入ってくれると思うので、1/34の試合ですけど、一つ大事な試合になるかなと思います」と語った。

元ホワイトキャップス選手たちが勢揃い

往年の選手たちが勢揃い。試合前にセレモニーが行われる。2024年5月4日、BCプレース。Photo by Koichi Saito/Japan Canada Today
往年の選手たちが勢揃い。試合前にセレモニーが行われる。2024年5月4日、BCプレース。Photo by Koichi Saito/Japan Canada Today

 この日は50周年記念イベントとして、過去50年にホワイトキャップスに所属した選手らが試合前に姿を見せた。

 日本人選手としては女子チームの江口なおみさんが駆け付けた。

ホワイトキャップス女子チーム選手たち。左から4番目が江口なおみさん。2024年5月4日、BCプレース。Photo by Koichi Saito/Japan Canada Today
ホワイトキャップス女子チーム選手たち。左から4番目が江口なおみさん。2024年5月4日、BCプレース。Photo by Koichi Saito/Japan Canada Today

5月、6月のホームゲーム

5月21日7:30pm カヴァーリーFC戦(カナディアン・チャンピオンシップ)
5月25日7:30pm インテル・マイアミ戦
6月1日7:30pm コロラド・ラピッズ戦
6月29日7:30pm セントルイスシティSC戦

(記事 編集部/写真・取材 斉藤光一)

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「和の学校@東漸寺から 2024年5月のお知らせ」

「花まつり2024@東漸寺」
5月5日(日曜日)
午後1時 本堂にて
日本のお寺では4月または5月にお釈迦様の誕生を祝う式典が行われます。花御堂の誕生仏に甘茶をかけて、お釈迦様が生まれた時に頭から香湯を注いだという伝承の再現をします。式典後には抹茶を召し上がって下さい。予約不要です。皆さまのご参拝をお待ちしております。

詳細は Keith Snyder 宛に連絡ください。krsnyder@shaw.ca tel (604) 939-7749

お寺DEダンス*ワークショップ開催!

5月5日(日曜日)

端午の節句 こどもの日*スペシャル
「親子でダンス!」「子供と大人いっしょにダンス!」
午後の部:午後2時~午後2時45分(対象:3歳~12歳と保護者、13歳~大人)
東京ディズニーランドでダンサー経験のある日本人講師による、こども向けダンスワークショップです。どうぞ、ご家族でご参加ください。
ダンスの後「こどもの日キッズ茶会」がございます。
是非、親子で茶道体験をされてくださいませ。

お着物を体験で着られたい方はトモコまでご連絡ください。

<参加費>

ダンスワークショップ*
$12/お子様おひとり(対象年齢:3歳~12歳) 無料/保護者 $14大人おひとり(13歳~大人)

こどもの日茶会*
$3/お子様おひとり (対象年齢:3歳~12歳)無料/保護者 $5/大人おひとり(13歳~大人)

お着物体験*
$7/お子様おひとり (対象年齢:3歳~12歳)$12/大人おひとり(13歳~大人)

「着付教室&着物クラブ」

毎週日曜日
午前10時~午後1時/午後1時~午後2時半
地下道場又は本堂にて
グループレッスン(3名以上)セミプライベート(2名)又はプライベートレッスン(1名)

*日時について変更もございますので、その都度ご連絡をいただけましたら幸いです。

参加費 $20~/回

「茶話タイム」

 午後12時~1時
(茶話タイムのみ参加 $5)

「フィルム向/殺陣教室」

5月5日、12日(日曜日)
地下道場にて
2つのクラスがございます。
「殺陣*俳優&お稽古コース」午前10時~午前11時半
「殺陣*初回&基礎コース」午後12時~午後1時半
参加費 $20/回
合同茶話タイム 午後12時~1時

ご好評につき5月もあります  

着物ワークショップ
*日本からのプロ着付師による自装&他装講座*
5月12日(日曜日)&5月19日(日曜日)
着物ワークショップ:午前10時~午後12時
茶話タイム:午後12時~午後1時

日本で呉服屋を経営し、着物レンタル、着付、写真撮影のサービスを提供しているプロの着付師による、自装&他装講座を開きます。
ご家族やお友達に着物を着せてあげませんか?
十人十色の着こなしや体系別の着付の仕方など、ちょっとしたコツを知れば、もっと着付が楽になります。
腕を磨けば、プロの着付師として、着物レンタルやフィルム向けの撮影での着付もできるようになります。
当日は、フィルム関係で着付をしている着付師たちも参加していますので、撮影での着付や衣裳部での話も伺えます。
どうぞ、お気軽にご参加くださいませ。

<ご参加申し込み>
朋子まで、e-mailにてお申し込みください。
tands410@gmail.com

<参加費>
$20/1回

講師
若林千夏(わかばやしちなつ)
家族は、旦那と4人の子どもとトイプードル。
アボッツフォードに次女の高校留学のお供で引っ越してきたばかりの50代新米移住者です。
呉服屋で生まれ育ち、20代からは本格的に着物や着付けに携わりながら
楽しく日本の良さを広められたらいいなと思っております。
着物のコーディネートやTPO、知れば知るほど面白い染めや織の種類。
初心者さんにも分かりやすくて楽しめるワークショップを一緒につくっていきます!
しゃなり:ホームページ https://shanari.com/

お問い合わせ、お申し込み
和の学校@東漸寺 コナともこ tands410@gmail.com

詳しくは和の学校@東漸寺ページからご覧ください。 https://wanogakkou.jimdofree.com/
東漸寺TOZENJIホームページ https://tozenjibc.ca/

住所 209 Jackson st. Coquitlam

サイバー攻撃を受けカナダ西部でロンドンドラッグスが閉鎖中

閉鎖されたロンドンドラッグス。2024年4月29日。Photo by Japan Canada Today
閉鎖されたロンドンドラッグス。2024年4月29日。Photo by Japan Canada Today

 カナダの大手ドラッグストア、ロンドンドラッグスが4月28日から一時閉鎖している。対象となっているのはブリティッシュ・コロンビア(BC)州、アルバータ州、サスカチュワン州、マニトバ州のカナダ西部4州で79店舗。

 ロンドンドラッグスによると「サイバーセキュリティの問題」によるものという。サイバー攻撃を受けたと見られている。「ネットワークとデータを保護するため、第三者のサイバーセキュリティ専門家に依頼して、封じ込めや修復、フォレンジック調査を即座に実施した」と説明している。

 顧客情報や従業員のデータなどが漏洩したとする痕跡はないと発表している。

 緊急に薬局の利用が必要な場合は、薬剤師が待機している近くの店舗に電話して手配するよう呼び掛けている。

 メトロバンクーバーの各店舗とも閉鎖され、入り口の扉に張り紙が貼られているほか、入り口付近では従業員が説明している光景が見られた。

 開店時期について現時点では未定という。

(記事 編集部)

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日本一の鉄道旅行、北陸新幹線での「お仕事体験」に 第13回鉄旅オブザイヤー

第13回鉄旅オブザイヤーの受賞者と関係者=2024年4月17日午後、さいたま市の鉄道博物館(鉄旅オブザイヤー実行委員会提供)
第13回鉄旅オブザイヤーの受賞者と関係者=2024年4月17日午後、さいたま市の鉄道博物館(鉄旅オブザイヤー実行委員会提供)

 優れた鉄道旅行を選ぶ「鉄旅(てつたび)オブザイヤー」の2023年度(第13回)の授賞式が24年4月17日に鉄道博物館(さいたま市)で開かれ、鉄道愛好家の子どもと家族向けの日本旅行の「北陸新幹線乗務員お仕事体験ツアー」がグランプリを受けた。審査員の1人で、日加トゥデイの連載「カナダ“乗り鉄”の旅」の執筆者が結果と、採点方法などの舞台裏を明かす。

【鉄旅オブザイヤー】国内の鉄道旅行に贈られる代表的な賞で、テレビ番組で「鉄道旅行のアカデミー賞」と紹介された。旅行業界でつくる鉄旅オブザイヤー実行委員会が主催し、2011年度から毎年実施。後援にはJR旅客6社全てと、私鉄でつくる日本民営鉄道協会、日本旅行業協会といった鉄道・旅行業界の主要企業・団体がそろっており、国土交通省鉄道局も含まれる。

鉄旅オブザイヤーの授賞式で紹介された審査と組織の概要
鉄旅オブザイヤーの授賞式で紹介された審査と組織の概要

 旅行会社のツアーを対象にした旅行会社部門は、外部審査員として委員長の芦原伸・日本旅行作家協会専務理事や、筆者(大塚圭一郎・共同通信社ワシントン支局次長)ら計11人が務めている。

公式ホームページ:https://www.tetsutabi-award.net/

アカデミー賞方式で事前に候補を発

 今回の旅行会社部門は2023年に催行または開催を決めた国内の鉄道旅行を募集し、前年度より21件減の65件の応募があった。

 アカデミー賞が候補作品を事前にノミネートするように、鉄旅オブザイヤー実行委員会は旅行会社部門の4つの主要部門賞を事前に発表する方式を20年度から採用。それらが候補となり、授賞式当日の決選投票でグランプリを決めるようになった。

 事前に発表された主要4部門のうち75%に当たる3部門をJTBが占めた。残る鉄道愛好家向けの「鉄っちゃん部門賞」を受賞し、グランプリにも輝いたのが鉄道ファンの子どもと家族の集客を目指した日本旅行の「北陸新幹線乗務員お仕事体験ツアー」だ。

北陸新幹線乗務員お仕事体験ツアーのグランプリ受賞者ら。左から3人目は鉄旅オブザイヤー実行委員会委員長を務める山北栄二郎JTB社長=24年4月17日午後、さいたま市の鉄道博物館(鉄旅オブザイヤー実行委員会提供)
北陸新幹線乗務員お仕事体験ツアーのグランプリ受賞者ら。左から3人目は鉄旅オブザイヤー実行委員会委員長を務める山北栄二郎JTB社長=24年4月17日午後、さいたま市の鉄道博物館(鉄旅オブザイヤー実行委員会提供)

 JR西日本の「WESTER(ウェスター)」会員を対象に2023年11月18日、同25日、12月9日の各日出発の3回実施し、計103人が参加した。

 参加者は石川県と富山県にあるJR西日本の施設を訪れて北陸新幹線用車両「W7系」を模擬運転できるシミュレーターや、W7系に乗り込んでの運転台見学や車内放送などを体験した。鉄道好きの子どもを主なターゲットに据えた企画だったが、日本旅行は「実は(同行した)大人の方が体験に夢中になっている姿も見られた」と説明した。

鉄旅オブザイヤーのグランプリを受賞した日本旅行の北陸新幹線のツアーの当日(日本旅行提供)
鉄旅オブザイヤーのグランプリを受賞した日本旅行の北陸新幹線のツアーの当日(日本旅行提供)

新幹線史上初のプロレス大会

 団体旅行を対象とした「エスコート部門賞」を受けたのは、東海道新幹線「のぞみ」の車内で開かれた新幹線史上初めてのプロレス大会「新幹線プロレス」だ。2023年9月18日の「のぞみ」371号の最後尾の16号車を丸ごと借り切り、東京駅から名古屋駅まで対戦するシングルマッチ一本勝負を敢行した。

 運賃などに限定グッズを付けたプレミアシート(2万5千円)、指定席(1万7700円)の計75席を23年8月5日に売り出したところ、発売開始から約30分で完売した。

 対戦したのは、東京ドームで激闘を繰り広げたこともある鈴木みのる選手と高木三四郎選手。最高時速285キロで走る車内のため安全性に配慮して設備を壊してはいけない、天井にぶつかってはいけない、一部の技は使用を制限するといったルールを定めた。

 新幹線の通路という幅が狭い“プロレスリング”でも手に汗を握る闘いが繰り広げられ、最後に「ゴッチ式パイルドライバー」という技を繰り出した鈴木選手が激闘を制した。

鉄旅オブザイヤー授賞式で紹介された新幹線プロレスの審査員評価
鉄旅オブザイヤー授賞式で紹介された新幹線プロレスの審査員評価

 授賞式では筆者の「新型コロナウイルス禍が日本の大動脈である東海道新幹線の利用者数にも打撃を与えてしまった中で、最高時速285キロのプロレスリングという“史上最速”の格闘技会場に変身させて満員にした企画力を高く評価しました。安全性確保や設備の汚損防止といったJTBのスタッフによる入念な準備は旅行のプロとしての責任感が伝わり、小橋建太選手が車掌に変装して登場するといった意表を突いた演出も素晴らしかったです」というコメントを紹介していただいた。

 末尾では惜しくも敗れた高木選手が「今度は名古屋駅から東京駅へ向かう『のぞみ』346号で逆襲する“リターンマッチ”が実現することを期待しています!」としたためたが、列車名を記した理由は高木選手の名前を見ていただければお分かりいただけよう。

海水浴列車を再現

西九州新幹線「かもめ」のN700S=23年9月12日、長崎市(吉村元志氏提供)
西九州新幹線「かもめ」のN700S=23年9月12日、長崎市(吉村元志氏提供)

 個人向けツアーに贈る「パーソナル部門賞」に輝いたのも新幹線の旅行商品「新感戦 西九州新幹線かもめVS九州新幹線さくら あなたはどっち?」。2022年9月に武雄温泉(佐賀県武雄市)―長崎間で部分開業した西九州新幹線で佐賀県や長崎県を訪れるか、九州新幹線に乗って熊本県や鹿児島県を訪問するかを選べる。

九州新幹線を走るN700系。山陽新幹線と直通する「さくら」などに利用される(2019年4月、福岡県那珂川市で筆者撮影)
九州新幹線を走るN700系。山陽新幹線と直通する「さくら」などに利用される(2019年4月、福岡県那珂川市で筆者撮影)
九州新幹線を走る800系「つばめ」=19年4月16日、福岡県那珂川市(筆者撮影)
九州新幹線を走る800系「つばめ」=19年4月16日、福岡県那珂川市(筆者撮影)

 JRグループと自治体が手がける大型観光企画「デスティネーションキャンペーン(DC)」を対象にした「DC部門賞」に選出されたのは、茨城デスティネーションキャンペーン(DC)期間中の23年12月10日に開催された「『茨城DC特別企画』 1日限りの復活運転 大洗エメラルド号で行く鹿島臨港線の旅」だ。

 昭和時代の海水浴シーズンに大宮駅(さいたま市)と大洗駅(茨城県大洗町)を結んでいた海水浴客向けの臨時列車「大洗エメラルド号」の雰囲気を約35年ぶりに再現。当時の列車さながらに旧日本国有鉄道(国鉄)時代に製造されたディーゼル機関車「DE10」が12系客車を引き、通常は旅客列車が走らない貨物線の鹿島臨港線に乗り入れさせた。

主要部門賞の75%は筆者選出

 筆者を含めた外部審査員は一次審査を通過したツアーを評価し、今回は4部門の計16商品が勝ち残った。審査項目には旅行のプロとしての企画性、独創性(オリジナリティー)、乗車する列車や路線の魅力度(鉄道力)、コストパフォーマンス、非鉄道ファンにとっての旅自体の魅力度(非鉄誘引力)、販売数や申し込み人数が多いかどうかの6項目があり、各項目10点ずつの60点満点で付ける。

 鉄旅オブザイヤーの公式ホームページの審査員メッセージに掲載いただいた通り、今回は「新型コロナウイルス禍のリベンジとばかりに鉄道に乗る楽しみを訴求した旅行商品が多く寄せられ、どれも魅力的なツアーでした」というのが率直な感想だ。

 甲乙付けがたい力作ばかりのため得点差を付けるのが忍びなかったが、主要4部門賞では75%に当たる3部門賞が筆者のそれぞれの部門で最も高い得点を付けた商品が選ばれた。これらは鉄っちゃん部門賞以外の3部門賞で、鉄っちゃん部門賞は迷った末に別のツアーに最高得点を付けていた。

グランプリの“4連覇”は幻に

 一方、グランプリを決める決選投票は授賞式当日にある。4つの主要部門賞の受賞者が登壇して感想を語ったり、ツアーの様子や反響を紹介したりするプレゼンテーションの様子も評価対象になるため、賞状を受け取る舞台上でも気を抜くことができない。

 しかし、筆者はアメリカに駐在中のため残念ながら授賞式に出席できなかった。このため授賞式のプレゼンテーションは見ないまま、選挙の「不在者投票」に当たる事前投票で新幹線プロレスに票を入れた。なぜなら二次審査に進んだ16商品のうち、新幹線プロレスに60点満点中54点と全体の最高得点を付けていたからだ。

 4つの主要部門賞を事前に発表する方式に変わった20年度以降、筆者が決選投票で1票を投じたツアーが22年度まで3年連続で栄冠に輝いていた。しかし、今回は外れたため筆者のグランプリ投票の“4連覇”は幻と化した。

鉄旅オブザイヤー授賞式での北陸新幹線乗務員お仕事体験ツアーのプレゼンテーションで、乗務点呼を再現する様子=24年4月17日午後、さいたま市の鉄道博物館(鉄旅オブザイヤー実行委員会提供)
鉄旅オブザイヤー授賞式での北陸新幹線乗務員お仕事体験ツアーのプレゼンテーションで、乗務点呼を再現する様子=24年4月17日午後、さいたま市の鉄道博物館(鉄旅オブザイヤー実行委員会提供)

 北陸新幹線乗務員お仕事体験ツアーのプレゼンテーションには日本旅行の企画担当者に加えて同社親会社のJR西日本のツアーを担当した運転士と車掌も登場し、新幹線に乗り込む前に実施する「乗務点呼」を実演するなどツアーの様子を分かりやすく再現した。

 ある出席者はグランプリの結果は「プレゼンテーションの印象も強かったかと感じている」と指摘しており、筆者も授賞式に出席していた場合は悩んだ上で北陸新幹線乗務員お仕事体験ツアーに1票を投じた可能性はある。ただ、授賞式を欠席したのは筆者の都合であり、投票先を決めたのも筆者の責任なのは論をまたない。

ベストアマチュア賞は「福井横断の旅」

 旅行会社部門の4部門賞以外では、国土交通省鉄道局長賞は、熊本地震で大きな被害を受け、2023年7月に全線再開にこぎ着けた南阿蘇鉄道(熊本県)を乗車する日本旅行と日本航空、JR九州などの共同企画「南阿蘇鉄道全線運転再開記念!特別トロッコ列車で南阿蘇・高森を巡る旅2日間」が受賞。

 審査員特別賞には11年の豪雨で一部区間が被災し、22年に全線が復旧した福島県と新潟県を結ぶJR只見線で旅行するJR東日本びゅうツーリズム&セールスの商品「『只見線ナイトトレイン』で行く奥会津への旅/『只見線ナイトトレイン』で行く夕闇の只見線と磐越西線・只見線の橋梁ビューポイント巡り」が輝いた。

 一般消費者から旅行企画を募るアマチュア部門には42件の応募があり、ベストアマチュア賞は東海大学遠藤ゼミ鉄旅FCプロジェクトチーム、矢部航平さんの企画「あなたはきっと、福井が好きになる。~雪月花(せつげっか)で行く福井横断の旅~」が受けた。

(寄稿 共同通信社ワシントン支局次長・鉄旅オブザイヤー審査員 大塚圭一郎)

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