カナダde着物
第86話
*日本はかつて青かった:ジャパンブルーに魅せられて*
カナダでは、お盆を過ぎた8月の終わり頃になると、朝夕の空気がひんやりとし、陽射しにもどこか柔らかさが感じられます。
ですので「処暑」という言葉がぴったりと重なるような気がします。
一方、日本に住む実家の母にこの話をすると、「とんでもない。日本では、まだ9月の残暑が来るから気が抜けないのよ。」と笑われました。
確かに、日本の「処暑」は暦の上では秋を迎えていても、実際には厳しい残暑が続く地域も少なくありません。そのため、「暑さがおさまるころ」という言葉が実感できるのは、もう少し先になるのでしょう。
同じ「処暑」という季節の言葉でも、暮らす土地によって感じ方はさまざまです。だからこそ、二十四節気は日付を覚えるものではなく、その土地ならではの季節の変化に心を寄せるための知恵なのだと感じます。 グレーターバンクーバーの澄みきった空を見上げながら、日本の残暑に思いを馳せ、次の里帰りの日を楽しみにしているこの頃です。

*今日の着物*Today’s Kimono*
「日本はかつて青かった:ジャパンブルーに魅せられて」
私は青い色の着物が好きです。
青は、私のようなアジア系の肌によく映える色だと感じています。肌が持つ黄みや温かみのある色合いに対して、青は補色に近い関係にあり、お互いの色を引き立て合う効果があるそうです。
そのため、青を身にまとうと肌の透明感がより際立ち、顔まわりが明るく見えるように感じられるのです。
話は少し変わりますが、かつて『江戸の街は青かった』と言われていたことをご存じでしょうか。
江戸の街が“青かった”と言われる背景には、庶民の衣服や暮らしを彩った藍染(あいぞめ)の文化があります。のちに「ジャパンブルー」と呼ばれるほど、日本を象徴する色となった藍は、江戸の人々の日常に深く根付いていました。
度重なる奢侈禁止令によって華やかな色や贅沢な装いが制限される中、人々は限られた中で藍の濃淡や染めの技法を工夫し、さまざまな青の表情を楽しんでいたそうです。そのため、町を歩けば、藍色の着物をまとった人々の姿があちこちに見られたのでしょう。
また、藍には抗菌・防虫・消臭などの働きがあることから、肌の弱い赤ちゃんの産着やおむつ、さらには武士の肌着にも用いられ、実用面でも日本の暮らしを支えてきました。
そう考えると、江戸の家々には衣服だけでなく、日々の暮らしの中にもさまざまな藍の色が溢れていたのかも知れません。
今年の夏は、不思議と青い着物に袖を通す機会が多くありました。撮影の仕事で時代劇に携わっていることも、どこか影響しているのかもしれません。まだしばらくは、青の美しさが映える季節。もう少しの間、青い着物との時間を味わいたいと思います。

*今日の集い*Today’s Gathering *
「Flower ✖ Ikigai お寺で生きがいワークショップ開催」
三回目となる「お寺で生きがいを見つけるワークショップ」が、コキットラム市にある東漸寺にて開催されました。
今回は「Flower ✖ Ikigai」をテーマに、お花を通して自分自身と向き合う時間を皆さまと分かち合いました。
一輪の花との出会いをきっかけに、今の自分の気持ちに静かに耳を傾け、心の内側を見つめるひととき。花が持つ力を感じながら、参加者の皆さまには穏やかな自己対話の時間を過ごしていただきました。講師には、フローリストとしての経験を持ち、現在はライフデザインコーチとしてカナダと日本で活動されている古川紋(Ayaka Furukawa)さんをお迎えしました。
直感で選んだ花の意味や花言葉を手がかりに、自分自身の思いや価値観に触れていくワークショップ。最後には、選んだお花を使って世界にひとつだけのオリジナルブーケを制作し、参加者の皆さまにお持ち帰りいただきました。
お寺という静かな空間の中で、花と自分自身と向き合いながら、心に小さな花を咲かせるような、暖かな集いとなりました。
「生きがいシリーズ」は、今後も続けていきたいと思います。

コナ ともこ
(和の学校@東漸寺 主宰)
*参照*
暦生活
https://www.543life.com ジャパンブルーについて
<和楽ホームページから> https://intojapanwaraku.com/rock/art-rock/15604/
<キニナルホームページから> https://terukosan.com/aizome-kimono-japan-blue-history/
講師紹介
ライフデザインコーチ:古川 紋(Ayaka Furukawa)女史
インスタグラム https://www.instagram.com/ayaka11076980/
ホームページ Mon Way https://ayakanoikigaidou.com/meet-ayaka-furukawa/

「着物語り」
コナともこさんが着物の魅力をバンクーバーから発信する連載コラム。毎月四季折々の着物やカナダで楽しむ着こなしなどを紹介します。
2020年8月から連載開始。第1回からのコラムはこちらから。
コナともこ
アラ還の自称着物愛好家。日本文化の伝道師に憧れ日々お稽古に励んでおります。
15年前からコキットラム市の東漸寺で「和の学校」を主宰。日本文化を親子で学び継承する活動をしております。
年間を通じて季節の行事に加え、お寺での初参り、七五三祝い、十歳祝い、元服祝い、二十歳祝い、結婚式、生前葬、お葬式などの設えと装いのお手伝いもさせていただいております。
*詳しくはコナともこまでお問い合わせ下さい。tands410@gmail.com
東漸寺は非営利団体で、和の学校の収益は東漸寺の活動やお寺の維持の為に使われています。
次女とバンクーバー近郊在住。
《和の学校@東漸寺》
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