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コナともこ

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「春分、あたりは桜尽くし」

カナダde着物

第81話
*上巳の節句🎎ひな祭り茶会*

 春分は、暦の上で春のちょうど真ん中にあたる日だそうです。昼と夜の長さがほぼ等しくなり、この日を境に昼の時間が少しずつ長くなっていきます。

 BC州では、今年で最後となるサマータイムが始まりました。

  「春分の 日なり雨なり 草の上」
   — 林翔

 今の季節は、太陽も雨もすべて自然にとっての栄養です。私たちもその恵みをたっぷり感じられることでしょう。

「Aircraft, Moon & Cherry Blossom」By Manto Artworks
「Aircraft, Moon & Cherry Blossom」By Manto Artworks

 桜を待ち侘びるのは、もはや日本人だけではないようです。

 グレーターバンクーバーには桜が4万本以上あり、公園では植えたばかりの桜の苗木もよく見かけます。まだ小さな苗木も、やがて立派な桜の木に育ち、私たちを楽しませてくれるでしょう。

 これから数週間は桜に関わるイベントが多く、カナダの人々は桜や日本文化に触れる機会が増えますね。こうして桜は、私たちに春の訪れを感じさせるだけでなく、人々の交流や文化体験の場にもなっているようです。

 あとは、お天気が続くことを願うばかりです。

「Buddies & Cherry Blossoms」By Manto Artworks
「Buddies & Cherry Blossoms」By Manto Artworks

*今日の着物と集い*Today’s Kimono and Gathering
「上巳の節句🎎ひな祭り茶会」

 新春のお茶会から早いもので、三回目のお節句となりました。上巳の節句そしてひな祭り茶会が行われました。今回はお友達同士のご家族が参加されて、いつも仲良く遊んでいるとのことで、従姉妹同士やご兄妹のように息のあったお茶会になりました。

 幼いお子さんたちは、上の学年のお兄さんやお姉さんの真似をしながら、上手にお菓子とお抹茶をいただいていました。こうした年齢や性別を超えた日頃からの交流は、とても良いコミュニケーションスキルを育むと思います。

「ひな祭り🎎キッズ茶会 茶道の所作もお稽古しながらのお茶会」 2026年3月1日」 BY HARUKA
「ひな祭り🎎キッズ茶会 茶道の所作もお稽古しながらのお茶会」 2026年3月1日」 BY HARUKA

 今回も和の学校では、お子様を対象に着物レンタルをしました。子どもには、小紋柄の着物がよく似合います。細かい模様や図柄が全体に散りばめられた着物を「小紋(こもん)」と呼びます。

 種類としては、江戸小紋(細かく繊細な柄)、京小紋(カラフルな柄)、加賀小紋(自然モチーフ)などがあります。

 素材としては、正絹(シルク)は高級感があり、ポリエステルはお手入れがしやすく雨の日や普段使いに便利です。

 今の子どもたちは、普段着物を着る機会があまりないかもしれませんが、こうしたお節句に着せてみるのもおすすめです。 次回は、**5月3日(日曜日)『端午の節句・子どもの日お祝い茶会』**を予定しております。お楽しみに。

コナ ともこ
(和の学校@東漸寺 主宰)

「ひな祭り茶会で飾られた雛人形、お菓子は上生菓子『雛』」BY HARUKA
「ひな祭り茶会で飾られた雛人形、お菓子は上生菓子『雛』」BY HARUKA
「桜の下で着物の撮影」By コナともこ
「桜の下で着物の撮影」By コナともこ

*参照*

暦生活
https://www.543life.com

「着物語り」
コナともこさんが着物の魅力をバンクーバーから発信する連載コラム。毎月四季折々の着物やカナダで楽しむ着こなしなどを紹介します。
2020年8月から連載開始。第1回からのコラムはこちらから

コナともこ
アラ還の自称着物愛好家。日本文化の伝道師に憧れ日々お稽古に励んでおります。
15年前からコキットラム市の東漸寺で「和の学校」を主宰。日本文化を親子で学び継承する活動をしております。

年間を通じて季節の行事に加え、お寺での初参り、七五三祝い、十歳祝い、元服祝い、二十歳祝い、結婚式、生前葬、お葬式などの設えと装いのお手伝いもさせていただいております。

*詳しくはコナともこまでお問い合わせ下さい。tands410@gmail.com
東漸寺は非営利団体で、和の学校の収益は東漸寺の活動やお寺の維持の為に使われています。

次女とバンクーバー近郊在住。

《和の学校@東漸寺》

ホームページ https://wanogakkou.jimdofree.com/
インスタグラム https://www.instagram.com/wa_no_gakkou_tozenji/
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東漸寺Tozenji Temple https://tozenjibc.ca/

コナともこ
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「東漸寺🌸春🌸2024」Manto Artworks
「東漸寺🌸春🌸2024」Manto Artworks
東漸寺はカナダ・ブリティッシュコロンビア州メトロ・バンクーバーのコキットラム市にある西山浄土宗の寺院です。
東漸寺はカナダ・ブリティッシュコロンビア州メトロ・バンクーバーのコキットラム市にある西山浄土宗の寺院です。

「霞の衣(かすみのころも)」

カナダde着物

第80話
*参列者のキモノ*

 旧正月が終わり、バンクーバー近郊の賑やかな雰囲気が静まり始めるころ、暦の上では春が訪れます。

 春を司る女神といえば、佐保姫(さほひめ)。さまざまな木々が芽吹き、山全体がふんわりとやわらかく見えることから、山は春の女神がまとう衣に、そして霞(かすみ)はその衣の裾(すそ)にたとえられてきたといいます。

 「霞の衣」は初春の季語でもあります。ノースショアの山々が霧に包まれて霞む光景を私たちはよく目にしますが、こうした表現を思い出すと、日々見慣れた景色にもいっそう彩りが感じられますね。

「Snow Geese & Short-Eared Owl - "Peace, Love, and Passion"」By Manto Artworks
「Snow Geese & Short-Eared Owl – “Peace, Love, and Passion”」By Manto Artworks

*今日の着物*Today’s Kimono*
「参列者のキモノ」

 日本でもカナダでも、年間を通じてさまざまなお祝い事やレセプションが開かれます。そのような場に招かれたとき、「何を着ていこうか」と悩むことはありませんか。

 ドレスコードがあったとしても、その場にふさわしい装いかどうか、浮いてしまわないか、日本よりも比較的カジュアルといわれるカナダであっても、会場に着くまで少し不安になることがあります。

 日本にルーツを持つ私たちにとって、「せっかくなら着物で参加したい」と思うのは自然な気持ちです。ただ、ここはカナダ。自分が着たいものを着ればよいとはいえ、周囲の目にどのように映るのか、着物で参加してもよいのかと、気になる方も多いようです。

 実際に、これまで着物レンタルをご利用いただいたお客様から最も多く寄せられた声は、「着物で行って、会場で目立ちすぎないでしょうか」というものでした。日本人らしい、思慮深く理にかなったご配慮だと感じます。

 そこでまず主催者に確認したいのは、そのパーティーの目的や招待客についての情報です。目的によって着物で参加するかどうかを判断し、参加する場合には「慶事(けいじ)」か「弔事(ちょうじ)」かを踏まえ、どのような方々が出席されるのかも知っておきたいものです。

 幸い、着物には目的に応じた種類や格式があります。それに沿って選べば、大きく場違いになることはありません。

「裏千家茶道の初寄せの席にてー地紋に家紋が入っている礼装着物、松の金銀糸が織り込まれている袋帯」BY コナともこ
「裏千家茶道の初寄せの席にてー地紋に家紋が入っている礼装着物、松の金銀糸が織り込まれている袋帯」BY コナともこ

 先日、ある日本人女性の装いのお手伝いをしました。ご子息が結婚され、教会で式をあげ、その後にご家族やお友達と心温まるパーティーをされました。

 日本から亡きお母様があつらえてくださった、色無地の着物があるとのことで、お祝いに相応しい「玉手箱」の袋帯を用意しました。

 こういった色無地と言われる着物は、とても便利で用途が広いので、最初に着物をあつらえる方にはお勧めしています。

 こちらは、青海波という地紋の色無地の着物で、お祝い事にぴったりな生地の柄になります。

 カナダ人の皆様に、こういった着物の由来や地紋の意味を説明すると、とても喜ばれます。当地は移民の国で、沢山の国々から集まった人々が一緒に暮らしているので、それぞれのルーツを大事にし尊敬しあうのが、習慣になっているのでしょうね。今回も、お祝いの席で着物について花が咲いたことでしょう。

 皆様も是非、機会がありましたら、着物で参列して見てはいかがでしょうか。

「ご子息の結婚式に参列されたお母様の装いー青海波地紋の色無地着物、宝箱金銀糸袋帯」BY コナともこ
「ご子息の結婚式に参列されたお母様の装いー青海波地紋の色無地着物、宝箱金銀糸袋帯」BY コナともこ

コナ ともこ
(和の学校@東漸寺 主宰)

*参照*

暦生活
https://www.543life.com

「着物語り」
コナともこさんが着物の魅力をバンクーバーから発信する連載コラム。毎月四季折々の着物やカナダで楽しむ着こなしなどを紹介します。
2020年8月から連載開始。第1回からのコラムはこちらから

コナともこ
アラ還の自称着物愛好家。日本文化の伝道師に憧れ日々お稽古に励んでおります。
15年前からコキットラム市の東漸寺で「和の学校」を主宰。日本文化を親子で学び継承する活動をしております。

年間を通じて季節の行事に加え、お寺での初参り、七五三祝い、十歳祝い、元服祝い、二十歳祝い、結婚式、生前葬、お葬式などの設えと装いのお手伝いもさせていただいております。

*詳しくはコナともこまでお問い合わせ下さい。tands410@gmail.com
東漸寺は非営利団体で、和の学校の収益は東漸寺の活動やお寺の維持の為に使われています。

次女とバンクーバー近郊在住。

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「東漸寺🌸春🌸2024」Manto Artworks
「東漸寺🌸春🌸2024」Manto Artworks
東漸寺はカナダ・ブリティッシュコロンビア州メトロ・バンクーバーのコキットラム市にある西山浄土宗の寺院です。
東漸寺はカナダ・ブリティッシュコロンビア州メトロ・バンクーバーのコキットラム市にある西山浄土宗の寺院です。

「水沢腹堅(さわみずこおりつめる)」

カナダde着物

第79話
*子どもたちと着物*

 皆さま、遅ればせながら
「明けましておめでとうございます。本年も着物コラムをどうぞよろしくお願いいたします。」

 旧正月はこれからということもあり、しばらくの間、お正月気分を楽しんでおります。皆さまは、どのようなホリデーを過ごされたでしょうか。

 年末から年始にかけてお天気に恵まれたこともあり、お出かけされた方が多かったようです。素晴らしい日の出は心が洗われるようで、毎朝、初日の出に手を合わせている今日この頃です。

「Sunset at the Queen Elizbeth Park in Vancouver」By Manto Artworks
「Sunset at the Queen Elizbeth Park in Vancouver」By Manto Artworks

 七十二候では「水沢腹堅(さわみずこおりつめる)」を迎えました。
 沢の水が堅く凍るという意味を持ち、一年で最も寒い時期とされています。毎年、最低気温が記録されるのも、この時期が多いそうです。

 では、カナダではどうでしょうか。州によって気候が大きく異なるため、一概には言えないかもしれませんが、それでも霜がおり、雪が降り、冬の真っ只中であることは間違いありません。

 各地で風邪やインフルエンザが流行っているようです。
 どうぞ皆さま、お身体に気をつけてお過ごしください。

Lions Mountain in Vancouver」By Manto Artworks
Lions Mountain in Vancouver」By Manto Artworks

*今日の着物*Today’s Kimono*
「子どもたちと着物」

 最近、日本では子どもたちが着物を着る機会が増えてきたと耳にします。私の周りには着物好きが多いため、そうした情報が集まりやすいのかもしれませんが、日本の若い方々や保護者の皆さまが、日本文化から大きく離れているという印象はあまりありません。

 一方で、小学生などが着物を着るようになったことで、経済的な理由から着ることができないお子さんがいるという「格差」の問題が話題になることもあります。

 私自身は、それほど高額でなくとも、中古の着物は数多くあり、十分に楽しむことができるのではないかと感じています。「着物=高額」というイメージが、こうした問題の発端になっているのかもしれません。

 もちろん、高価な着物も存在しますし、職人の手間や時間、人件費や技術への対価を考えれば、妥当な価格であるとも言えます。車に新車や中古、価格帯の幅があるのと同じように、着物もそれぞれの経済状況に合わせて選ぶことができるのです。

 ちなみに私は、「中古品を中古品に見せない技を持つ着付師」です。
 ……と、ここは少し自画自賛させてください(笑)。

 「新品を購入し、大切に着続けています」という雰囲気を出す、と言いましょうか。実は多くの着物好きの方は、着物と付き合う中で自然とその感覚を身につけているのではないでしょうか。

 さて、子どもの着物の話に戻ります。
 子どもは毎年成長します。そのため昔から、子どもの着物は少し大きめに仕立て、「肩上げ」や「腰上げ」と呼ばれる縫いを施し、成長に合わせてそれをほどいていくという工夫がされてきました。

 この習慣には、子どもの健やかな成長を願う意味が込められており、「成長の余地を残す」縁起の良いものとされています。
 現代の視点で見ても、非常にサスティナブルなファッションと言えるのではないでしょうか。

 お子さまをお持ちの皆さまには、ぜひお子さんたちに着物を着せ、その姿を堂々と世界へ発信していただきたいと思います。

「カラフルな着物を楽しむ子供たち 和の学校@東漸寺にて」写真家:Haruka
「カラフルな着物を楽しむ子供たち 和の学校@東漸寺にて」写真家:Haruka

*今日の和の学校*WA gathering

 お日柄にも恵まれた日曜日、東漸寺の本堂では、着物でおめかしした子どもたちが正座をし、挨拶を交わしながら、お菓子とお抹茶をいただくお茶会が開かれました。

 和の学校では、今年最初の五節句である「人日の節句」と「節分」を祝うお茶会を開催しました。今回は着物レンタルと着付けサービスを設けたこともあり、大変多くのお申し込みとお問い合わせをいただきました。

 和の学校は、ボランティアの各分野のプロフェッショナルの皆さま、そして信者の皆さまに支えられて運営されています。そのため、物理的にすべてのご要望にお応えすることができず、一部のご家族には次回のお茶会へのご参加をお願いすることとなりました。

 当日は色とりどりの着物が用意され、特に男の子の参加が多かったため、着物が十分に揃わない場面もありましたが、プロの着付師の皆さまが肩上げを施すなど工夫を凝らし、対応してくださいました。

 お菓子は、私の友人でお菓子作りの名人による手作りです。節分が近いことから、「赤鬼と青鬼」をテーマにした練り切りを用意してくださいました。

 お抹茶は、静岡市の実家近くにある丸七製茶(ななや)さんの「新舟の風(にゅうふねのかぜ)」。
 お子さまにも飲みやすいよう、苦味の少ない薄茶を使用しました。

 茶道には多くのルールがありますが、それは相手を思いやり、心地よい時間と空間をつくるために受け継がれてきたものです。決して人の行動を制限するものではなく、一定のルールの中で個性豊かな世界を生み出していく茶道は、とてもユニバーサルな文化だと思います。

 子どもたちには、次のような例えを用いて説明しました。

 「サッカーの試合では、参加者はルールを守ってプレーしますよね。
 茶道は戦いではありませんが、同じルールを学んだ者同士が、時間や空間を分かち合い、共鳴する喜びがあります。」

 分かっていただけたでしょうか。

 次回は、**3月1日(日曜日)『ひな祭り茶会』**を予定しております。お楽しみに。

「新春*キッズ茶会 和の学校@東漸寺にて」Minaha Photography
「新春*キッズ茶会 和の学校@東漸寺にて」Minaha Photography

コナ ともこ
(和の学校@東漸寺 主宰)

*参照*

暦生活
https://www.543life.com

丸七製茶株式会社
https://www.marushichi-group.jp/nanaya/index.htm

<写真家の紹介>

中村マントさん(Manto Artworks)
グレーターバンクーバーエリアや日系社会でもご活躍の写真家
Facebook
https://www.facebook.com/manto.nakamura

HIROMIさん(Minaha Photography)
バンクーバーエリア中心に今しかない一瞬をかたちに残す写真家
Instagram
https://www.instagram.com/minaha.photography?igsh=MWRyaGRrenF6aWlnMA%3D%3D&utm_source=qr

HARUKAさん
ワーキングホリデーでバンクーバーに滞在中。和の学校のボランティアをしたり、好きな写真を撮影しています。
https://www.instagram.com/haru.ka_photo?igsh=MTNqZmg5NHF3bGRkMQ%3D%3D&utm_source=qr

「着物語り」
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「東漸寺🌸春🌸2024」Manto Artworks
「東漸寺🌸春🌸2024」Manto Artworks
東漸寺はカナダ・ブリティッシュコロンビア州メトロ・バンクーバーのコキットラム市にある西山浄土宗の寺院です。
東漸寺はカナダ・ブリティッシュコロンビア州メトロ・バンクーバーのコキットラム市にある西山浄土宗の寺院です。

「冬至の日*駿河の海に富士ひかる」

カナダde着物

第78話
*里帰りで着物を学ぶ*

 いよいよ、今年の二十四節気も冬至を迎えました。

 世界中では、依然として紛争や戦争が続き、心を痛める出来事が後を絶ちません。
 日々報じられるニュースに、不安を感じることも多かったのではないでしょうか。

 そのような中でも、私たちはそれぞれの場所で日常を重ね、人とのつながりや、学び、ささやかな喜びに支えられながら、この一年を歩んできたように思います。

 冬至は、一年で最も夜が長い日であると同時に、ここから再び光が増していく節目でもあります。

 どうかこの冬至が、皆さまにとって心を静め、次の季節への希望を見出すひとときとなりますように。
 寒さ厳しき折、くれぐれもご自愛ください。

「Peace, Love, and Passion」Manto Artworks
「Peace, Love, and Passion」Manto Artworks

 晩秋の日本へ里帰りをしています。

 駿河湾を囲むように私の故郷静岡県はありますので、東京へ向かう時も大阪へ向かう時も、どちらかの肩側に駿河湾を横にし、お天気がいい日には、雪を覆う富士山を見ながら目的地へ向かうようになります。
 今年の秋は、珍しく肌寒い日もあり、富士山はうっすらと雪化粧、青空とのコントラストが美しい姿を見せてくれました。

「晩秋の富士山」コナともこ
「晩秋の富士山」コナともこ

 静岡の自宅とグループホームに暮らす両親は、会うたびに少しずつ体が小さくなっていきます。 小柄な私でさえ、自分のほうが成長しているのではないかと錯覚してしまうほどです。

 それでも、好奇心旺盛な二人は、デイサービスやホームで行われるさまざまなアクティビティに積極的に参加しています。
 母は俳句や書道に親しみ、父は毎日新聞に目を通し、いつまでも時代の流れを感じていたいという思いがあるのでしょう。

 日本人は、季節を楽しみ、外からの文化を柔軟に取り入れながら、日々の暮らしを楽しむことを大切にしてきました。

 そのため、シニア向けのアクティビティも非常に充実しており、カナダに住む私たちも、ぜひ見習ってみたいものです。

「季節を楽しむ日本の食文化、秋の和菓子、米寿のお祝いに金目鯛の煮付けをリクエストする母」コナともこ
「季節を楽しむ日本の食文化、秋の和菓子、米寿のお祝いに金目鯛の煮付けをリクエストする母」コナともこ

*今日の着物*Today’s Kimono*
「里帰りで着物を学ぶ:きもののヒミツ 友禅のうまれるところ」

 私が静岡に到着した折、ちょうど静岡市美術館で、きものの特別展覧会が開催されていました。
 これはぜひ見たいと思い、早速、幼なじみと一緒に出かけることにしました。

 彼女は、春の里帰りの際にも私に付き合ってくれた友人で、着物や帯の制作にも携わる、共通の“着物好き”でもあります。
 作品を見る目も確かで、展示を前に交わす会話は尽きることがありませんでした。

 京都と静岡の二都市のみで開催されたこの展覧会は、友禅の老舗・千穂のコレクションを中心に構成され、近世の着物や当時流行した雛形本、友禅染裂、染め型、さらには人間国宝によるきもの作品などが紹介されていました。
 デザインが生み出される背景や、制作者の創意に迫る内容は、「きもののヒミツ」と題され、見応えのあるものでした。

「静岡市美術館にて”きもののヒミツ 友禅のうまれるところ”展覧会にて」 コナともこ
「静岡市美術館にて”きもののヒミツ 友禅のうまれるところ”展覧会にて」 コナともこ

 真っ白な館内に並ぶ、豪華絢爛なきものの数々。
 日本刺繍の繊細さや洗練されたデザインは、百年以上前のものとは思えず、今なお新しささえ感じさせます。

 一反の布に込められた技と美意識、そして時代を超えて受け継がれてきた感性に触れながら、着物が単なる衣服ではなく、日本の文化や精神を映し出す存在であることを、改めて実感しました。

 幼なじみと静かに作品を見つめながら過ごした時間は、心豊かなひとときとなりました。

「着物の撮影はできませんでした。美術館のショップには着物に関する専門書が並んでいました。」コナともこ
「着物の撮影はできませんでした。美術館のショップには着物に関する専門書が並んでいました。」コナともこ

*今年最後のご挨拶*My last greeting of the year*

 今年も残すところ、あとわずかとなりました。皆さまにとりまして、どのような一年だったでしょうか。

 本年も、和の学校@東漸寺ならびに東漸寺では、日本文化を通じて、季節の行事やさまざまな教室、ワークショップを開催してまいりました。日本を離れて暮らしていても、学び、楽しめることはたくさんありますね。

 そこで得た知識や経験を生かし、カナダの皆さんへ日本文化を紹介する「大使」としてのご活躍も期待しております。大それたことをしなくても、日々の暮らしの中に和の文化を取り入れて過ごすことは、十分に意義のあることだと思います。

 どうぞ皆さま、良いお年をお迎えくださいませ。

コナ ともこ
(和の学校@東漸寺 主宰)

「Rainbow & I」Manto Artworks
「Rainbow & I」Manto Artworks

*参照*

暦生活
https://www.543life.com

静岡市美術館
https://shizubi.jp/

展覧会「きもののヒミツ:友禅の生まれるところ」
https://shizubi.jp/exhibition/20251025_kimono/251025_01.php

「着物語り」
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「東漸寺🌸春🌸2024」Manto Artworks
「東漸寺🌸春🌸2024」Manto Artworks

「七五三*千歳飴に願いごと」

カナダde着物

第77話
*子どもの成長を祝う秋の風習*

 11月は秋が深まり、冬の気配が立ち始める月です。今年一年の豊穣を祝い、無事に一年を終えられるよう祈りを捧げ、来る冬に備えて心と暮らしを整えます。

 木々が赤や黄金に染まるこの季節、各地では秋祭りや収穫祭が行われ、人々は自然の恵みに感謝を新たにします。また、古くから受け継がれてきた年中行事が多く営まれるのも、この時期の特徴です。

 北米では、サンクスギビングデイ(感謝祭)がその行事にあたるでしょうか。

 家族や親しい人々が集まって祝う日であり、季節の節目をともに過ごす大切な伝統行事として位置づけられています。

 11月15日には、子どもの成長を祈る七五三詣が神社や寺で行われ、家族にとって大切な節目のひとときとなります。

「Tozenji temple 2025 Fall」Manto Artworks
「Tozenji temple 2025 Fall」Manto Artworks

*今日の着物と和の学校*Today’s Kimono and gathering*
「子どもの成長を祝う秋の風習」

 七五三の起源は、平安時代にさかのぼります。当時、宮中や公家の間では「髪置(かみおき)」「袴着(はかまぎ)」「帯解(おびとき)」といった、子どもの成長を祝う儀礼が行われており、これらが現在の七五三の原型とされています。

 子どもが社会の一員として成長していくうえでの大切な通過儀礼でした。時代を重ねる中で、公家や武家の間で作法や日程が整えられ、江戸時代には11月15日に行う行事として定着しました。

15周年を迎えた「和の学校@東漸寺』七五三祝い コナともこ
15周年を迎えた「和の学校@東漸寺』七五三祝い コナともこ

 今年で15年目を迎えました東漸寺の「七五三祝い@東漸寺」合同法要と祝行事は、年々お参りのご家族が増え、今年も30組以上のご家族が可愛い手を引いてお寺へお越しくださいました。

 着物姿のお子様は、華やかな装いに包まれながらも少し緊張した面持ちで、初めてお寺でお参りをするお子様も多かったようです。

 ご家族の皆さまにとっても、成長の節目を迎えたお子様を温かく見守りながら、この日をともに迎えられたことは大きな喜びとなったことでしょう。

コキットラム市にある東漸寺でのお祝い コナともこ
コキットラム市にある東漸寺でのお祝い コナともこ

*参照*

暦生活
https://www.543life.com

七五三祝い
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

「着物語り」
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「東漸寺🌸春🌸2024」Manto Artworks
「東漸寺🌸春🌸2024」Manto Artworks

「霜始降*朝の足音硬くなり」

カナダde着物

第76話
*フィルム撮影と着物*

 朝の空気は澄みわたり、庭先の植物の葉に白い粒が光ります。それが露から霜に変わる時、冬に向かっていくのを感じます。

 グレーターバンクーバー界隈にお住まいの皆さまは、美しい紅葉を楽しまれていることでしょう。赤く染まる木々と夕焼け、そして雨のシーズンを迎える鼠色の空は、秋の終わりと冬の気配が重なり合います。

「Sunset @ 6:04 pm in Richmond BC」Manto Artworks
「Sunset @ 6:04 pm in Richmond BC」Manto Artworks

 今年も住宅街やショッピングモールでは、ハロウィンの賑やかなディスプレイが目を楽しませてくれています。今年は、我が家に何人の子どもたちが訪ねて来てくれるでしょうか。

 「Trick or Treat!」という元気な声が近所に響くと、平和のありがたさをしみじみと感じます。子どもたちの笑顔が、この街にも、世界にも、長く続いてほしいと願わずにはいられません。

 一年の終わりを少しずつ意識しながら、穏やかな時間を積み重ねていきたいものです。

「Autumn colour in Vancouver 2025」Manto Artworks
「Autumn colour in Vancouver 2025」Manto Artworks

*今日の着物*Today’s Kimono

「フィルム撮影と着物」

 私が初めてフィルム撮影で着付けの仕事をしたのは、20年ほど前の『FANTASTIC FOUR 2』という映画でした。日本の結婚式のシーンで、参列者の着付けを担当しました。

 日系のサイトで着付師を募集しており、翌日の朝4時集合と知らされたのは、前日の午後10時のことでした。

 着物に関しては、カナダにいても週に一度は自分で着ていますし、人に着付ける仕事も少しずつ始めていましたので、何とかなるだろうと思っていました。ですが、撮影の着付けや補助となると事情はまったく異なりました。

 私は日本でもカナダでもドラマや映画の制作経験は全くなく、現場では右往左往してしまいました。

 用意された着物や小物も十分に揃っておらず、これまでの知識と経験を総動員して、必死に着付けたことを覚えています。

 それでも、十分な準備がない中でプロダクションが日本人の着付師を雇ってくれたことは、日本人としてとても嬉しく、誇らしく感じました。

 北米で放送されるドラマや映画での着物のシーンはそう多くありません。ですが、日本人の皆さんが違和感なく観られ、作品のストーリーに集中できること、それが衣装部で着物を担当する者の使命だと思っています。

 その後、昨年放送された『SHOGUN』を含め、いくつかの作品で着付けを担当し、2年前には『AKASHI』という作品に着付師として参加しました。この作品は今月開催されたバンクーバーフィルムフェスティバルで上映されました。

 撮影はバンクーバーと東京で行われ、カナダ人と日本人の俳優やクルーが合同で制作しました。日本で活躍されている俳優やクルーの皆様と関われたことは、大変貴重な経験となり、勉強になりました。

 普段、お寺での着付けとは異なり、撮影現場での着付けは全く別のものです。作品の中で着物が持つ意味は深く、衣装はその人物が言葉を発しなくても背景や性格を表す重要な道具です。

 着付けの仕事をするたびに、「こうすればよかった」「あのときの判断は適切だったのだろうか」と振り返ることが多くあります。

 反省と学びを重ねながら、少しでもより良い仕事ができるよう努めている日々です。

 近年、バンクーバーで撮影に関わるお仕事をされる方も増えているかと思います。通い慣れた道が映画の中で他の街として登場したり、知り合いがエキストラで映っていたりするのは、日本では味わえない楽しみです。

 秋の夜長には、バンクーバーで撮影された作品をゆっくり観るのも良いかもしれません。

「バンクーバーでよく見かけるフィルム撮影の看板」 コナともこ
「バンクーバーでよく見かけるフィルム撮影の看板」 コナともこ
「VIFF『AKASHI』上映会 Playhouseにて 2025年10月5日」コナともこ
「VIFF『AKASHI』上映会 Playhouseにて 2025年10月5日」コナともこ

*参照*

暦生活
https://www.543life.com
霜始降しもはじめてふる:氷の結晶である、霜がはじめて降りる頃。昔は、朝に外を見たとき、庭や道沿いが霜で真っ白になっていることから、雨や雪のように空から降ってくると思われていました。そのため、霜は降るといいます。

VIFF
https://viff.org

日加トゥデイの記事から
VIFF日本映画特集「映画ならではの多様な日本文化に触れる」
映画「あかし」がVIFFでワールドプレミア!吉田真由美監督インタビュー
「国宝」と「あかし」VIFF2025観客賞を受賞

AKASHI
https://viff.org/whats-on/viff25-akashi

「着物語り」
コナともこさんが着物の魅力をバンクーバーから発信する連載コラム。毎月四季折々の着物やカナダで楽しむ着こなしなどを紹介します。
2020年8月から連載開始。第1回からのコラムはこちらから

コナともこ
アラ還の自称着物愛好家。日本文化の伝道師に憧れ日々お稽古に励んでおります。
14年前からコキットラム市の東漸寺で「和の学校」を主宰。日本文化を親子で学び継承する活動をしております。

年間を通じて季節の行事に加え、お寺での初参り、七五三祝い、十歳祝い、元服祝い、二十歳祝い、結婚式、生前葬、お葬式などの設えと装いのお手伝いもさせていただいております。

*詳しくはコナともこ までお問い合わせ下さい。tands410@gmail.com
東漸寺は非営利団体で、和の学校の収益は東漸寺の活動やお寺の維持の為に使われています。

カナダ人の夫+社会人と大学生の3人娘がおり、バンクーバー近郊在住。

和の学校ホームページ https://wanogakkou.jimdofree.com/
インスタグラム https://www.instagram.com/wa_no_gakkou_tozenji/
フェイスブック https://www.facebook.com/profile.php?id=100069272582016

東漸寺Tozenji Temple https://tozenjibc.ca/

コナともこ
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「東漸寺🌸春🌸2024」Manto Artworks
「東漸寺🌸春🌸2024」Manto Artworks

「菊日和*おじぎも揃い 子ども茶会」

カナダde着物

第75話
*白ひとえ秋風もまとう*

 夏休みが終わり、新学期が始まりました。自宅の近所の小学校へ通う子どもたちを、孫を見るような気持ちで見守りながら、自分の三人の娘の送り迎えをしていた頃をふと思い出しました。

 あの慌ただしくも愛おしい日々が、今では心の宝物です。

「Mallard duck Family with Water Fountain」 Manto Artworks
「Mallard duck Family with Water Fountain」 Manto Artworks

 私が住むカナダのブリティッシュコロンビア州は、森と山々、そして海に囲まれた、自然豊かな土地です。初秋の風が吹きはじめ、木々の葉もほんのり色づき始めました。朝晩の空気には少し冷たさがまじり、季節の移ろいを肌で感じます。

 庭先ではリスが忙しそうに木の実を集め、空にはカナダ雁が列をなして飛びはじめる頃です。

「初秋ブリティッシュコロンビア州ビクトリア ビーコンヒルから太平洋を眺める」コナともこ
「初秋ブリティッシュコロンビア州ビクトリア ビーコンヒルから太平洋を眺める」コナともこ

*今日の着物*Today’s Kimono

「白ひとえ秋風もまとう」

 陰陽五行では、秋は「白」を司るとされ、「白秋」とも呼ばれます。また、季語には「素秋」という言葉もあり、この「素」もまた、白を意味しています。

 母から譲り受けた、白い単(ひとえ)の着物があります。これまでは、夏が終わってから白を着るという発想がありませんでしたが、手元の着物を見ると「柿渋で染められている」と記されていました。
 秋といえば柿の季節-その一言に、ふと納得がゆき、白が秋に寄り添う色として心にすとんと落ちました。

 その着物を身にまとい、次女との小旅行に出かけることにしました。大学と専門学校をこの夏に卒業した彼女へのお祝いとして、ビクトリアでアフタヌーンティーを楽しもうと、ふたりで計画を立てました。

 今回は時間の都合もあり、ダウンタウンにある「Pendray Tea House」にて、午後5時から始まるスコットランド式のハイティーを予約しました。
 100年ほど前に建てられた瀟洒なお屋敷は、外観が真っ白で可憐な印象。中に入ると、重厚な木製のインテリアと、美しいステンドグラス、そして白いレースのカーテンが海風にさらさらと揺れ、まるで昔の貴族の邸宅に迷い込んだような気分に包まれました。

 私の装いはもちろん、あの白い単衣の着物。かつての英領カナダのクラシカルな空間に、日本の和が静かに溶け合い、不思議としっくり馴染んでいたように思います。

「しぼ織柿渋染め小紋着物 / 塩瀬モダン柄袋帯: Pendray Tea Houseにて」コナともこ
「しぼ織柿渋染め小紋着物 / 塩瀬モダン柄袋帯: Pendray Tea Houseにて」コナともこ
「ビクトリアPendray Tea Houseにて」コナともこ
「ビクトリアPendray Tea Houseにて」コナともこ

*今日の和の学校*Today’s gathering*

「菊日和*おじぎも揃い 子ども茶会」

 今年の五節句の締めくくりとして、お寺で「重陽の節句」のお祝いをいたしました。「菊の節句」とも呼ばれるこの日は、9月9日にあたり、奇数の中でも最も大きな陽数「九」が重なることから、古くから特別な節目として尊ばれてきました。長寿や無病息災を願う節句として、平安時代より人々に親しまれてきた行事です。

 当日は東漸寺の本堂にて、10人の親子が集い、静かで温かな時間をともに過ごしました。
 呈茶(ていちゃ)のかたちでふるまわれたのは、「着せ綿(きせわた)」を模した練り切りの上生菓子と、日本から取り寄せたお抹茶です。

 「着せ綿」とは、平安の昔、重陽の節句に菊の花に真綿をのせて香りをうつし、その綿で身をぬぐうことで邪気を払う-そんな雅な風習に由来しています。
 今回のお菓子の中央に添えられたふわふわとした意匠は、その綿を表しており、子どもたちにも「これは何だろうね?」と問いかけながら、日本の季節の文化に触れてもらうきっかけとなりました。日本の伝統が、遠く離れたカナダの地にも静かに根づいていることを、あらためて実感するひとときとなりました。

「重陽の節句 子ども茶会:和の学校@東漸寺」コナともこ
「重陽の節句 子ども茶会:和の学校@東漸寺」コナともこ

*参照*

暦生活
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Wikipediaから五行思想(ごぎょうしそう)または五行説(ごぎょうせつ)

家庭画報<単の着物>
https://www.kateigaho.com/article/detail/165406

「着物語り」
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「東漸寺🌸春🌸2024」Manto Artworks
「東漸寺🌸春🌸2024」Manto Artworks

「向日葵*どんな時にも前を向く」

カナダde着物

第74話
*お盆と着物*

 残暑お見舞い申し上げます。
 夏休みもいよいよ終盤戦となってきました。皆様、楽しい夏をお過ごしでしょうか。

 夏の青空にまっすぐ伸びる向日葵(ひまわり)は、ただそこに咲いているだけで、見る人の心に力を与えてくれます。太陽の方を向いて咲くその姿は、まるで「どんなときでも前を向いて生きていこう」と語りかけてくれているようです。

 夏の終わりを惜しみつつ、少しずつ日常への準備を始め、心新たにまた日々の暮らしを大切にしていきたいですね。

「Bumblebee & Sunflower/Canada Flag, Lions Mountain & Stanley Park」 Manto Artworks
「Bumblebee & Sunflower/Canada Flag, Lions Mountain & Stanley Park」 Manto Artworks

*今日の着物*Today’s Kimono

「お盆と着物」

 古くから日本では、冠婚葬祭や年中行事の際には「正装」が求められてきました。
 特にお盆の時期には、親戚が一堂に会することも多く、「きちんとした装い」で集まることが、ご先祖様への敬意の表れでもあります。

 時代は巡り、現代の装いはますますカジュアル化が進んでいます。娯楽や趣味が多様化し、個々の価値観が尊重される時代となりました。

 それでも、日本人として海外で暮らしていると、ふとした瞬間に、昔ながらのしきたりや慣習が懐かしく思えることがあります。
 家族や親戚がそろい、正装でお寺へお参りに行く光景──それは単なる伝統ではなく、私たちの心に刻まれたアイデンティティの一部なのだと感じます。

 たとえ暮らす場所や時代が変わっても、「こころの装い」は続けていきたいと思います。

「お盆参りでの着物、綿紅梅の浴衣を着物風に」コナともこ
「お盆参りでの着物、綿紅梅の浴衣を着物風に」コナともこ

*今日の和の学校*Today’s gathering*

AIに聞くお盆の意味、お寺で感じるお盆の心」

 近年では、悩みをAIに相談してアドバイスをもらうことが当たり前になってきました。私も時々利用しますが、今回はお盆について検索してみると、とても明確な答えが返ってきました。知識を得るためには、とても便利なツールだと感じます。

 それでも、昭和生まれの私としては、生身の人間が発信するメッセージに比べると、まだ説得力に欠けるところがあるように思います。

 あるユーチューバーの方がお盆について説明していて、とても興味深い話をされていました。

 「ご先祖様は、私たちの身体の中にいるのかもしれません。はるか太古の昔から受け継いだDNAは、ご先祖様の想いや歴史を通じて、命のバトンを次々と渡し、今の私たちに繋がっています。だから、お墓参りやお盆参りでお寺へ行くときは、ご先祖様に『今ここにいる自分』への感謝を伝え、自分自身を大切にすることが、ご先祖様を大切にすることに繋がるのかもしれません」

 「自分を大切にすること」は、日本人にとって時にわがままや自己中心的と捉えられがちですが、もっと自分を大切にすることにフォーカスし、社会もそれを受け入れることで、やがて「他人を大切にすること」へと繋がっていくのだと思います。

 今年の東漸寺でのお盆参りは、8月17日、送り盆の頃に行われました。キース・スナイダー住職のお盆の意味や「盂蘭盆会(うらぼんえ)」についての法話は、人から人へ伝えられるような、心に深く残るものでした。ご先祖を偲び、感謝の気持ちを新たにする、大切な時間となりました。

 AIがどこまで人の心を支えることができるのかは、まだ発展途上かもしれません。それでも、お寺で人と直接会うことで得られる安心感や温もりには、やはり特別なものがあります。静かな空間で手を合わせ、人と心を通わせるひとときは、何ものにも代えがたい大切な時間だと感じています。

「お盆参り@東漸寺2025」コナともこ
「お盆参り@東漸寺2025」コナともこ

*参照*

暦生活
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「着物語り」
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年間を通じて季節の行事に加え、お寺での初参り、七五三祝い、十歳祝い、元服祝い、二十歳祝い、結婚式、生前葬、お葬式などの設えと装いのお手伝いもさせていただいております。

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「東漸寺🌸春🌸2024」Manto Artworks
「東漸寺🌸春🌸2024」Manto Artworks

「大暑来る*くず餅ひやり夏深し」

カナダde着物

第73話
*和の涼:風を通す軽やかな絽の着物*

 暑中お見舞い申し上げます。

「Eastern Painted Turtle」Manto Artworks
「Eastern Painted Turtle」Manto Artworks

 夏のバンクーバーは、湿気が少なく、木々の緑が濃くなり、どこか日本の高原を思わせるような爽やかさがあります。とはいえ、午後の陽射しは強く、やはりここがカナダなのだと感じさせられます。

 午後9時まで明るい日が続くこの季節、人々は公園に集い、ピクニックを楽しんだり、浜辺を散歩したり、それぞれの夏をのびやかに過ごしています。街の至るところにラベンダーや紫陽花が咲き、マーケットにはベリーやサクランボが並び始めると、いよいよ本格的な夏の訪れです。

 バンクーバーの夏は短く、貴重です。だからこそ、一日一日を丁寧に味わいながら、目の前に広がる風景を心に刻みたいと思います。

写真「お菓子も涼しさを演出します:くず餅と抹茶」 コナともこ
写真「お菓子も涼しさを演出します:くず餅と抹茶」コナともこ

*今日の着物*Today’s Kimono

「和の涼:風を通す軽やかな絽の着物」

 夏の着物と聞いて、多くの人がまず思い浮かべるのは「暑そう」という印象かもしれません。

 でも、昔の人たちは、むしろ着物の中にこそ「涼」を見つけてきました。その代表が、絽(ろ)や紗(しゃ)といった透け感のある夏の生地です。

 なかでも、絽の着物は、見た目にも涼やかで、風をすっと通してくれる軽やかさがあります。

 生地の表面に細かい“隙間”があることで、熱がこもらず、歩いているだけで自然の風が身体をなでてくれるような心地よさがあります。

夏の着物でお出かけ「駒絽」コナともこ
夏の着物でお出かけ「駒絽」コナともこ

 「見た目にも、着心地も涼しい」という、日本人ならではの感性。和の涼は、暑さを我慢するのではなく、美しく楽しむ工夫の中に宿っています。

 透け感のある絽は、肌や長襦袢の色がふんわりと見えるため、淡い水色、白藤色、薄墨色……どれも、夏の光の中でふわりと浮かび上がります。

 カナダの夏は湿気が少ないぶん、こうした風通しの良い着物がぴったりですね。

 今年の夏、少しだけ背筋をのばして、絽の着物で涼やかなひとときを過ごしてみませんか?

 こちらでは、着物はまだまだ特別なもの。でもだからこそ、街で着物や浴衣姿で歩いていると、”So beautiful!” と声をかけられることもしばしば。文化の違いを楽しみながら、装いを通して対話が生まれるのも、カナダならではの夏の風景です。

 「着物は特別でありながら、暮らしの中にもなじむもの」。そんな想いを胸に、今年の夏も、楽しいイベントに足を運んでみようと思います。

 もしどこかで私を見かけたら、ぜひ気軽に声をかけてくださいね。

夏の着物「絽」「紗」&浴衣 コナともこ
夏の着物「絽」「紗」&浴衣 コナともこ

*今日の和の学校*Today’s gathering*

 東漸寺では、季節ごと日本の行事や、殺陣教室や茶の湯の稽古を通して、日本の文化をカナダに伝え、私たちは遠く離れた故郷を思い出すことができます。

 7月の七夕まつりには、子どもたちが短冊を書き、大人たちは浴衣で集い、お寺の本堂では、夏のお菓子と京都からのお抹茶をいただきました。

 今年は書道アートのワークショップを設けまして、書道アーティストとしてご活躍の木村冴子さんに、ご指導をお願いしました。

 ハガキに七夕の願いや想いをしたため、参加した皆さんは、どんな夢や祈りを星に託したのでしょうか。

 その一筆一筆に込められた願いは、笹の葉に揺れながら、きっと空の向こうへと届いていったことでしょう。

「七夕まつり:和の学校@東漸寺2025」コナともこ
「七夕まつり:和の学校@東漸寺2025」コナともこ

*参照*

暦生活
https://www.543life.com

暦生活 夏の駒絽(こまろ)を分かりやすく説明
https://kimono-rentalier.jp/column/kimono/komarotoha/

「着物語り」
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「東漸寺🌸春🌸2024」Manto Artworks
「東漸寺🌸春🌸2024」Manto Artworks

「夏至光*蝶も私も迷子かな」

カナダde着物

第72話
*初夏の着物と帯:紫陽花に魅せられて*

 日本からカナダに戻ると、まず真っ先に自然の違いに気づかされます。

 「澄んだ空気」と「強い光」

 空気は乾いていて、風が衣服をすり抜ける湿度のない空気は、なんとも言えない心地よさがあります。 そして、長く強く射し込む眩い光、そんな光の中では、蝶も私も、ふと迷子になってしまいそうです。 気温の変化が激しい季節、どうか皆さまもお身体を大切に、お健やかにお過ごしくださいませ。

「Waterfall and pond」 Manto Artworks
「Waterfall and pond」 Manto Artworks
「Cabbag White Butterfly」Manto Artworks
「Cabbag White Butterfly」Manto Artworks

*今日の着物*Today’s Kimono

「初夏の着物:紫陽花に魅せられて」

 最近、道を歩いていると、目を奪われるのが紫陽花です。
 淡い青や紫、私の大好きな小ぶりな白や薄い緑色の花々。
 どこか手染めの着物や帯の柄のようでもあります。

 お気に入りの紫陽花の名古屋帯は、混麻の素材が涼しく、どの着物にも合う重宝な一枚です。 茶道のお稽古や友人との会食など、色々な場面で活躍し、着付教室の生徒さん達には、いつもお勧めしています。あえて、着物に紫陽花を施さず、帯の柄にすることで、額縁の中の絵画のよ うに見せることができるでしょう。

「紫陽花柄の名古屋帯」コナともこ
「紫陽花柄の名古屋帯」コナともこ

 6月の着物は、雨の雫ごしの風景のような、暈しやモザイク柄が好きです。 単の着物ですので、気軽に楽しめるカジュアルな兵児帯にして、淡い雰囲気を出すのはいかがでしょうか。

 紫陽花に魅せられて選んだこの着物や帯は、また来年の初夏、箪笥の中でそっと私を待ってい てくれる。
 そんな風に思うと、季節を重ねることが少し楽しみになりますね。

「単の着物と名古屋帯、兵児帯」コナともこ
「単の着物と名古屋帯、兵児帯」コナともこ

*今日の和の学校*Today’s gathering*

 先日、コキットラム市にある東漸寺(とうぜんじ)の本堂にて、「施餓鬼大法要(せがきだいほうよう)」が 執り行われました。これは毎年6月14日の「東漸寺の日」に合わせて行われるもので、当日は朝から本堂に特別な設えが施され、厳かな雰囲気の中で法要が進められました。

 「施餓鬼」とは、餓鬼道に落ちた霊や、供養されることのない無縁仏に食べ物や飲み物を施し、供養する仏教の伝統行事です。

 この法要に参加しながら、ふと思い出したのが、現在NHKの連続テレビ小説で放送されている「あんぱん」です。先週の放送では、漫画家・やなせたかしさんが第二次世界大戦中に体験した、戦場での悲惨で苦しい日々が描かれていました。

 人間にとって何が一番つらいか、やなせさんは「ひもじいこと」だと語ります。そして、本当のヒーローとは「食べ物をくれる人」なのではないかと訴えていました。

 現代の私たちは、食べ物が豊富にある時代に生きています。しかし、そうではなかった時代が確かに存在していました。

 私の父は、来月92歳になります。子どもながらに戦争を体験した世代であり、当時の記憶はきっと今も残っているはずですが、その頃の話を自分から語ることはほとんどありません。ただ、その無口さの奥に「食べ物を粗末にしてはいけない」という強い思いが感じられます。

 父の兄、つまり私の伯父は、戦争体験を語る会に参加し、当時の状況をスケッチ画を通して伝えてきました。伯父の話から、私たちはあの時代の一端を知ることができました。

 戦争を実際に体験した世代は、年々少なくなっています。80年前の出来事は、もはやテレビや映像を通してしか知ることができなくなりつつあります。

 それでも今もなお、世界のどこかでは戦争が続き、かつて父たちが経験したような「ひもじさ」に苦しんでいる子どもたちがいるかもしれません。「食べ物をくれるヒーロー」、まるでアンパンマンのような存在を心のどこかで願っている子どもたちが、きっといることでしょう。

 そう思うと、私たちは施餓鬼の法要に込められた「誰かを思いやる気持ち」や「命をつないでいくことの大切さ」について、今一度立ち止まって考えてみることが大切なのではないでしょうか。

「施餓鬼大法要が行われた東漸寺」コナともこ
「施餓鬼大法要が行われた東漸寺」コナともこ

*参照*

暦生活
https://www.543life.com

家庭画報 紫陽花の着物と帯
https://www.kateigaho.com/article/detail/78666

著者の伯父が語り部をしていた静岡平和資料センター
https://shizuoka-heiwa.jp

施餓鬼大法要が行われた東漸寺
https://tozenjibc.ca

*参照*

「着物語り」
コナともこさんが着物の魅力をバンクーバーから発信する連載コラム。毎月四季折々の着物やカナダで楽しむ着こなしなどを紹介します。
2020年8月から連載開始。第1回からのコラムはこちらから

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アラフィフの自称着物愛好家。日本文化の伝道師に憧れ日々お稽古に励んでおります。
14年前からコキットラム市の東漸寺で「和の学校」を主宰。日本文化を親子で学び継承する活動をしております。

年間を通じて季節の行事に加え、お寺での初参り、七五三祝い、十歳祝い、元服祝い、二十歳祝い、結婚式、生前葬、お葬式などの設えと装いのお手伝いもさせていただいております。

*詳しくはコナともこ までお問い合わせ下さい。tands410@gmail.com
東漸寺は非営利団体で、和の学校の収益は東漸寺の活動やお寺の維持の為に使われています。

カナダ人の夫+社会人と大学生の3人娘がおり、バンクーバー近郊在住。

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「東漸寺🌸春🌸2024」Manto Artworks
「東漸寺🌸春🌸2024」Manto Artworks

「紅花栄*風そよぎ夏めく」

カナダde着物

第71話
*新緑に生える桜色・一斤染*

 紅花(べにばな)は鮮やかなオレンジから真っ赤に変化する花で、開花の時期はまだ先ですが「紅花栄(べにばなさかう)」とは、この季節に「紅い花が花盛りを迎える」という意味で使われるそうです。

 カナダの住宅街や公園でも目にする、サツキやツツジの花々は、今の新緑と合わさりいっそう鮮やかに映ります。

 私は先月に引き続き、日本に滞在しておりまして、皐月の小さな旅を楽しんでいます。

「島根県足立美術館、静岡県浜松市鈴松庵にて」コナともこ
「島根県足立美術館、静岡県浜松市鈴松庵にて」コナともこ

*今日の着物*Today’s Kimono

「新緑に生える桜色・一斤染/茶道会館で茶事の稽古」

 江戸時代から、化粧や京染めとして貴重な天然染料だった紅花は、オレンジ色、ピンク、赤、と華やかな色を出すことで、大変に人気があり重宝されたそうです。

 紅の濃染が高価であった平安時代は、一斤染の色が上限である紅の聴色(ゆるしいろ、許色)とされ、これより濃い染は禁色(きんじき)と言われていたようです。
 人々を魅了するものに規制がかかるのは、いつの時代も同じですね。

 さて、今回の里帰りにあたって、ぜひ参加したいと思い、早々に申し込んだ東京の茶道会館での茶事教室。当日は、早朝に静岡を出発して東京へ向かいました。
 一日中着物姿で、4時間以上にわたり正座をするという、まさに修行のような体験ではありましたが、素晴らしいお茶室と庭園に囲まれながら、正午の茶事を存分に楽しむことができました。

 茶事とは、茶道において、亭主が親しい客を招いて、懐石料理(茶懐石)や濃茶、薄茶などを供え、静かに茶をたしなむ、格式を重んじた正式な茶会を指します。
 当日にご指導いただいた北見先生を始め、諸先生方が、遠方から来た私を快く受け入れてくださり、大変に感謝しております。

 茶道会館は、以前、Youtubeの番組内で木村拓哉さんも訪れたことで、話題になりました。こちらでは、一般向けのお茶会も毎月行われていますので、是非、皆さまもご参加されてみてはいかがでしょうか。

 そして、茶道のお稽古に向いている着物についてですが、一般的には控えめな色柄のものが好ましく、帯は名古屋帯の方が、長時間のお稽古には適しているかと思います。
 今回、私は一つ紋付きの色無地を選びました。桜色の地に、紋綸子縮緬(もんりんずちりめん)の地紋が入った着物です。
 5月の着物選びは、気温によって判断が難しいのですが、今年は雨が多く肌寒かったため、袷の着物でも問題ありませんでした。

 最近は気候の変化が激しいため、暑い日には単(ひとえ)の着物を選ぶのが一般的になってきているようで、教室にいらしていた生徒さんたちも、そのようなお話をされていました。

 ご一緒に参加した皆さんとは、どこかご縁を感じるようなひとときを過ごすことができ、心に残るお稽古となりました。
 「次回はバンクーバーでのお茶会でお会いしましょう」と約束を交わして別れました。

追伸

 「今回の季節のお茶会や着物について、表現してみて欲しい」とChatGPTに聞きましたら、このような返事がありました。

 なかなかの出来で、感心しております(笑)

紅花(べにばな)の朱が
陽にほどけて
風は名を持ち、
肌にふれてくる

まだ春の余白
もう夏の気配

そのあわいに、
心も衣替えをする

「茶事の稽古にて一つ紋色無地着物で/東京高田馬場にある茶道会館にて」コナともこ
「茶事の稽古にて一つ紋色無地着物で/東京高田馬場にある茶道会館にて」コナともこ

*参照*

暦生活
https://www.543life.com

一斤染とは
https://kimono-rentalier.jp/column/kimono/ikkonzome/

茶道会館
http://www.sadoukaikan.com/

「着物語り」
コナともこさんが着物の魅力をバンクーバーから発信する連載コラム。毎月四季折々の着物やカナダで楽しむ着こなしなどを紹介します。
2020年8月から連載開始。第1回からのコラムはこちらから

コナともこ
アラフィフの自称着物愛好家。日本文化の伝道師に憧れ日々お稽古に励んでおります。
14年前からコキットラム市の東漸寺で「和の学校」を主宰。日本文化を親子で学び継承する活動をしております。

年間を通じて季節の行事に加え、お寺での初参り、七五三祝い、十歳祝い、元服祝い、二十歳祝い、結婚式、生前葬、お葬式などの設えと装いのお手伝いもさせていただいております。

*詳しくはコナともこ までお問い合わせ下さい。tands410@gmail.com
東漸寺は非営利団体で、和の学校の収益は東漸寺の活動やお寺の維持の為に使われています。

カナダ人の夫+社会人と大学生の3人娘がおり、バンクーバー近郊在住。

和の学校ホームページ https://wanogakkou.jimdofree.com/
インスタグラム https://www.instagram.com/wa_no_gakkou_tozenji/
フェイスブック https://www.facebook.com/profile.php?id=100069272582016

東漸寺Tozenji Temple https://tozenjibc.ca/

コナともこ
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「東漸寺🌸春🌸2024」Manto Artworks
「東漸寺🌸春🌸2024」Manto Artworks

「卯月*よろこび訪れる」

カナダde着物

第70話
*人形町・問屋街で東京着物ショー*

 卯月(ウズキ)とは、卯の花(ウツギの花)が盛りになる月で、田植えをするという意味から「植月(うづき)」という説もあるそうです。

 只今、超高齢者の両親に会いに、日本に来ております。
 カナダからの家族も東京に滞在しており、毎日、行き来をしてますが、都会の喧騒から少し離れて、緑鮮やかな茶畑や田園を見ていると、心がふっと軽くなるのを感じます。

 両親の顔を見るたびに、元気でいてくれることのありがたさをしみじみと感じる、そんな静岡の午後です。

「静岡市 三保の松原、駿府城公園にて」 コナともこ
「静岡市 三保の松原、駿府城公園にて」 コナともこ

*今日の着物*Today’s Kimono

「かつての問屋街で東京着物ショー」

 春に日本へ帰る楽しみの一つに、東京で開催される“東京着物ショー”があります。
 こちらのイベントは、着物の魅力を再発見し、現代のライフスタイルに合わせた新しい形での着物文化を紹介しているものです。
 今年は、4月18日から20日まで、東京都中央区日本橋人形町界隈の20会場で開催されました。

 今回も、静岡の幼なじみと一緒に会場を回りました。彼女は、ただの着物好きにとどまらず、型染めや仕立てまで手がけてしまう、まさに着物の達人です。

 イベントの楽しみのひとつは、会場に集まった着物姿の方々を眺めること。
 マネキンに着せられた着物も素敵ですが、やはり人が実際に着ている姿はいいものですね。
 その人らしいコーディネートが施されていて、とても魅力的です。

 旅行中の友人と私は、洋装でしたが、次回は是非着物で訪れてみたいです。

「東京着物ショー 人形町にて」コナともこ
「東京着物ショー 人形町にて」コナともこ

*人形町界隈の歴史と文化的魅力について*

 東京・中央区の人形町(にんぎょうちょう)界隈は、江戸時代から続く深い歴史と、現代の都市文化が交錯する魅力的なエリアです。

 人形町の名前の由来は、江戸時代にさかのぼります。​この地には、江戸幕府の命により、京都から人形師が移住し、御所人形や武者人形などを製作する「人形町」が形成されました。​また、近くには「人形町通り」があり、現在でもその名残を感じることができます。

*人形町と問屋街——江戸の商いの心を今に伝える街*

 東京・中央区の人形町界隈は、江戸の情緒を色濃く残す一角でありながら、現在もなお「商いの町」として活気に満ちた表情を見せてくれます。とりわけ、この地域に広がる問屋街は、江戸の経済と文化を支えた商人たちの息吹を感じさせる存在です。

 江戸の粋を現代に伝える人形町と問屋街。ここを歩けば、「モノ」だけでなく、「コト」や「ヒト」の豊かさに出会えることでしょう。

「人形町界隈の歴史と文化を感じる街」コナともこ
「人形町界隈の歴史と文化を感じる街」コナともこ

*参照*

「人形町の魅力 | 東京日本橋 人形町」
https://www.ningyocho.or.jp/contents/charm/index.html

「着物語り」
コナともこさんが着物の魅力をバンクーバーから発信する連載コラム。毎月四季折々の着物やカナダで楽しむ着こなしなどを紹介します。
2020年8月から連載開始。第1回からのコラムはこちらから

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アラフィフの自称着物愛好家。日本文化の伝道師に憧れ日々お稽古に励んでおります。
14年前からコキットラム市の東漸寺で「和の学校」を主宰。日本文化を親子で学び継承する活動をしております。

年間を通じて季節の行事に加え、お寺での初参り、七五三祝い、十歳祝い、元服祝い、二十歳祝い、結婚式、生前葬、お葬式などの設えと装いのお手伝いもさせていただいております。

*詳しくはコナともこ までお問い合わせ下さい。tands410@gmail.com
東漸寺は非営利団体で、和の学校の収益は東漸寺の活動やお寺の維持の為に使われています。

カナダ人の夫+社会人と大学生の3人娘がおり、バンクーバー近郊在住。

和の学校ホームページ https://wanogakkou.jimdofree.com/
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「東漸寺🌸春🌸2024」Manto Artworks
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