BC州、EV充電網を3倍超に拡充へ EV車普及加速も炭素税廃止との整合性に課題

ブリティッシュ・コロンビア(BC)州に設置されているBCハイドロの急速充電ポート。ノースバンクーバー市。
ブリティッシュ・コロンビア(BC)州に設置されているBCハイドロの急速充電ポート。ノースバンクーバー市。

 ブリティッシュ・コロンビア(BC)州政府は7月21日、BCハイドロと連携し、州内の電気自動車(EV)向け公共充電ネットワークを大幅に拡充する計画を発表した。2035年までに3,500基の公共充電ポートを整備し、カナダ最大級の充電インフラ構築を目指す。総投資額は約7億ドル。

 現在、BCハイドロの急速充電ネットワークは州内190カ所に917基の充電ポートを展開しているが、EV利用者の増加を受けて増設を加速させる。新たな充電設備は主要高速道路沿線に約150キロごとに設置するほか、州政府は、CleanBC Go Electric Public Charger Programを通じて約1,800万ドルを投入し、先住民族コミュニティーや地方自治体、企業、非営利団体などによる充電設備整備も支援する。プログラムへの申請はすでに始まっている。

 BC州はカナダ国内で最もEV普及が進んでいる地域の一つ。カナダ統計局によるとBC州で2026年第1四半期に登録された新車の19.1%がEVまたはプラグインハイブリッド車だった。全国平均の10.8%を大きく上回っている。

 BC州でEV普及が進んだ背景には政府による長年の支援策がある。州は「The CleanBC Go Electric Passenger Vehicle Rebate」プログラム(2025年5月で中止)を通じて、EV導入や充電設備整備を支援してきたほか、新車販売の一定割合以上をゼロエミッション車販売とするという目標を設定している。2026年は26%。州政府によると、関連プログラムへの2011年からの累積投資額は6億6,000万ドルを超えているという。

 連邦政府は今年2月、EV購入補助制度「Electric Vehicle Affordability Program(EVAP)」を開始した。制度ではEV購入に最大5,000ドル、プラグインハイブリッド車購入に最大2,500ドルを支援する。政府は5年間で22億7,500万ドルを投じ、EV普及を後押しする方針だ。

 こうした購入補助と充電インフラ拡充の組み合わせにより、EV市場のさらなる成長が期待されている。車両価格の負担軽減と充電環境の改善を同時に進めることで、消費者のEV購入を後押しする狙いがある。

 一方で、温室効果ガス排出削減政策全体では後退している。背景には長引くインフレと中東情勢によるガソリン価格の高騰などがある。連邦政府は2025年4月1日に一般消費者向け連邦炭素税(consumer carbon price)を廃止し、その後EV購入補助制度を再開した。またBC州政府も連邦措置に合わせて州の消費者向け炭素税を終了した。

 炭素税は温室効果ガス排出にコストを課すことで行動変容を促す政策であり、EV補助金と並ぶ気候変動対策の柱とみなされている。そのため、政府がEV支援を強化する一方で炭素税を撤廃している現状が温室効果ガス削減が加速するかは疑問が残る。BC州政府は今回の充電網拡充について「温室効果ガスを削減し、運転するたびに家計の節約になる車を選びやすくなる」と説明している。

(記事 北野大地)

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