『コロナ後の日本とカナダの往来』
ウェブセミナー『コロナ後の日本とカナダの往来』が、8月4日に開催された

 日加間の渡航制限が開始して4か月以上が経過して、カナダの日系コミュニティではほとんどの人が困っているといって過言はないだろう。そのような中、Zoomによるウェブセミナー『コロナ後の日本とカナダの往来』が8月4日に開催されて、最大時で146人が参加する盛会となった。

 Part 2では、HISトラベル カナダ統括支店長・山田圭哉氏が行った日本とカナダへの入国の流れなどのプレゼンテーションをレポートする。山田圭哉氏は1997年より旅行業界で活躍。2010年HISバンクーバー支店入社。トロント、東京本部への転勤を経て現在、HISカナダ責任者として勤務する。

 ウェブセミナーは、JTOA(在カナダ日系ツアーオペレーター協会)、日本カナダ商工会議所、企友会(順不同)の3団体の主催で行われた。 

日加間のフライトの状況

 現在の日本行きのフライトは、カナダから日本へは、バンクーバーから羽田、成田のみだ。また、現在運休中のフライトは、トロント、モントリオール、カルガリーから日本、そしてバンクーバー関空行き。カルガリー・成田とバンクーバー・関空間はこの夏の運休は確定している。

健康および衛生管理
・チェックインのところにハンドサニタイザーがある。また、チェックインの際などに体温を測定して、2回測って38℃以上だと乗れない
・接触を減らすため、後方座席からの搭乗となっているが、搭乗者が少ないため、優先搭乗を行っている便もあるようだ
・衛生面については、JAL同様、ANA、エアカナダもHEPAフィルターで空気は約3分で入れ替わるようなシステムだ
・エアカナダは機内キットとしてマスク、手袋、ハンドサニタイザー、ペットボトルの水、除菌シートがセットになったものを配布している
・中間座席を空けるサービスは6月末で終了。空いているときは、席を空けて座るようチェックイン時に対応している
・JAL同様、ANA、エアカナダも機内サービスが簡素化している。バンクーバー空港のラウンジは休業中で、エアカナダはトロントのみラウンジをオープンしている

日本への入国状況

・日本国籍者以外は入国を制限している。また、PCR 検査に代わる唾液による抗原検査を実施
・日本到着直後の公共交通機関での移動は不可。国際線・国内線の同日乗り継ぎもできない。公共交通機関は14日隔離後、利用可能となる。第三国への同日乗り継ぎは可能
・日本国籍以外は入国禁止だが、再入国許可を保持する日本の永住者はOKだ。また、二重国籍者は日本のパスポートがあれば入国できる
・機内で配布される質問票は、厚生労働省からのものなど数種類ある
・自己隔離期間、LINEアプリで厚生労働省と連絡を取るのだが、日本の電話番号についていないLINEアカウントへの連絡はできず、携帯電話などの電話番号へ連絡が来る

到着後の検疫手順

 到着後、書類の確認→検査→書類審査→結果待ち→結果受け取り→移動手段の確認→入国

山田氏は7月末に羽田空港に到着したスタッフからの日本入国状況を紹介した。
・羽田到着15時50分。そのまま席で待機。10名ずつ機外へ案内ということだったが、結局、全員一緒に外へ
・乗り継ぎのお客様はいなかったと思われる
・唾液検査場に誘導される。結果まで大体2時間という案内
・ブースに入り、唾液を容器に入れる。検体の量は赤い線以上と指定があるが、結構多くて、指定量の唾液を出すのに少し苦労する
・16:30に検査終了。所要時間が約30分
・検査結果まで約2時間とのことだったが、結果が出た人からアナウンスがあり、スタッフの場合、約30分で検査結果が出る 
・入国通関が終了。18:30には手配していたハイヤーのドライバーとミート

 これまでのPCR 検査の時は、検査結果が出るまで2日間ぐらいかかり、政府が用意したホテルで食事も出た。結果が出るまでホテルに滞在している間、タバコも外に吸いに行くことはできなかった。唾液検査に変わり、結果がすぐに出るようになったので、政府が用意したホテルでの結果待ちはなくなっているようだ。結果、当日から自身で隔離場所の手配が必要だ。

空港から自己隔離場所へ

 空港から公共交通機関に乗ることができないので、移動手段の、すなわちレンタカーやハイヤーなどの手配が必要だ。2週間は国内線への乗り継ぎもできない。また、羽田は空港周辺から蒲田、川崎、品川駅周辺に行く検疫所の巡回バスが7月29日時点で運行していた。

 自己隔離期間中、日本では不要不急の外出は控えることになっているが、買い物に少し出ることはできる。ただし、空港から自宅(自己隔離場所)に帰る途中、寄り道はできない。

 レンタカーの返却場所が自宅から遠い場合、返却所から自宅に戻るのに公共交通機関は利用できないので注意が必要だ(ハイヤー利用あるいは徒歩、家族が迎えに行く)。

ハイヤーの費用
 空港から自己隔離場所まで公共交通機関やタクシーを利用できないため、レンタカーやハイヤーなどが必要だ。

料金目安
・成田空港から東京23区 約4~500ドル
・羽田から23区300ドル弱
・成田から横浜まで500ドル弱

カナダ入国

 現在、カナダ国籍、永住者、その近親者は入国できるが、カナダで14日間の自己隔離ができない人は入国不可だ。ワークビザの場合はエッセンシャルワーカー、そして3月18日以前に発給されたワーキングホリディ、学生ビザを持つ人は入国できる。

 カナダ入国に際しては自己隔離できるかできないかの前に、まず症状の有無を確認される。到着してから政府のヘルス担当者がチェックする。症状がなければ自己隔離プラン、それがアプルーブ(承認)されたかなどで手続きが変わる。

カナダの自己隔離

 到着後14日間の自己隔離については、政府から結構チェックが入ってきている。予定隔離場所以外にいたために、罰金7000ドルを支払ったケースもある。自己隔離の規則を破ると、違反者に最大75万ドルの罰金、もしくは当局に拘留される。

 日本とカナダの自己隔離の違いについてだが、カナダは基本的には食事、買い物にも出ることはできない。プライベートスペースから出ないことになっている。そのため、食事についてDOOR DASHなどのサービスを利用する、あるいは知り合いに買い物を頼んで後で精算するなど、対策が必要だ。

 また、迎えの人は空港内に入ることはできない。

 隔離条件、隔離場所の条件は、Canada. caのサイトに明記されている。60歳以上の高齢者、基礎疾患のある人から隔離すること、食料や医薬品の到達ができる場所で隔離するなど最低条件が定められている。

 カナダに到着してからの国内線同日乗り継ぎは可能だが、国内線に乗る前に検温がある。

 国内線に乗り継ぐ場合も最終目的地に到着後14日間の自主隔離が必要。バンクーバー、もしくはその他の空港に到着の後、今は公共交通機関に乗ることができる。タクシーやUberの利用はできる。

予約済み航空券のキャンセル

 新規購入については、現在はJAL、ANA、エアカナダとも変更手数料は一回無料だ。

 またHISではカナダ在住者向けの日本行きセミナーなども行っているそうだ。

***

 日加間の自由な渡航を待ちわびる日系コミュニティにとって盛りだくさんの内容のセミナーは、プレゼンテーションの後、Q&Aで幕を閉じた。

 ウェブセミナー参加者にはセミナー、および現在のビジネスの状況等に関してアンケートが送られた。現在、集計中だという。

 ウェブセミナーを終えて向井JTOA会長は「今回のセミナーは参加者の半数以上が、旅行業界、そして留学関係の業界の皆さんでした。日加間の往来が始まらないことで、事業継続が困難になっています。セミナーの最初で、欧州ではたとえばイギリス、フランスなどは日本人は自己隔離なしで行き来ができるようになっていますとお話しました。ハワイも条件付きで自己隔離が免除されるようになりました。カナダもすべての国からのカナダへの入国について規制を緩和してほしいとは言いませんが、感染状況に従い、もう少し細かく規定を決めてもらえないかと思います」という。

 新型コロナウイルス感染予防で徐々にしか経済再開も進んでいないが、バンクーバー日系経済団体連絡協議会を中心に、日本カナダ商工会議所、JTOA(在カナダ日系ツアーオペレーター協会)、企友会など、様々な日系ビジネス団体が何度かウェブでのセミナーを開催している。

(取材 西川桂子)

(ウェブセミナー『コロナ後の日本とカナダの往来』Part 1こちら
Part 1では日本航空バンクーバーセールスオフィス アカウントエグゼクティブ・小林美和氏のプレゼンテーションをレポートした。

合わせて読みたい関連記事