生活支援より経済成長を重視 カナダ政府2026年度予算案を発表

 カナダ連邦政府は11月5日、2026年度予算案「Masters of Our Destiny」を発表した。食料品給付の上乗せや住宅対策など家計支援策も盛り込まれたが、予算全体の重心は生活費対策ではなく、大規模な成長投資による経済基盤の強化に置かれている。

 首相として2回目の予算案となった今回は、マーク・カーニー政権にとって目先の景気刺激策より、エネルギー、インフラ、人工知能(AI)、重要鉱物開発などへの投資を通じてカナダ経済を再構築する「成長戦略予算」と位置付けられる。背景にはアメリカへの経済依存を減らし、国内投資と輸出競争力を高める狙いがある。

 今回の予算の柱となるのは、企業投資を促進するための新たな税制優遇措置と大型インフラ投資。

 注目はProductivity Mega Deduction(生産性向上税制)。企業の新規設備投資にかかる実効税率を大幅に引き下げる。また、Canada Strong FundやCanada Growth Incentiveを創設し、国内企業への資金供給を強化する方針を示した。

家計支援は限定的

 一方、国民生活への直接的な支援策は予算全体の約3分の1にとどまった。

 内容は、低中所得世帯を対象とするCanada Groceries and Essentials Benefit(食料品・生活必需品給付)を2026-27年度に限り50%上乗せする。単身者で最大339ドルの上乗せで支給額は最大1,290ドルに、4人世帯で最大679ドルの追加で支給額2,570ドルとなる。政府は1,200万人以上が恩恵を受けるとしている。

 低所得労働者向け給付制度の拡充では、現行制度に代わり導入されるBuild Canada Workers Benefitで受給資格となる最低所得要件を3,000ドルから500ドルへ引き下げる。これにより、これまで対象外だった層も給付を受けられるようになる。

 また、Canada Caregiver Credit(介護者向け税額控除)は還付可能な制度へ変更される予定で、所得税負担が少ない世帯でも実質的な支援を受けられるようになる。

 ガソリン税軽減措置(1リットルに付き10ドル)も2027年1月まで継続され、家計負担の軽減を強調している。

野党は「国民生活が見えていない」と批判

 野党各党は予算案に対し、家計支援の不足を指摘している。

 保守党ピエール・ポワリエブル党首は、政府の負債額の増大を問題視。新民主党(NDP)もアビ・ルイス党首がいま苦しんでいる国民の生活費対策が十分ではないと批判した。

 今回の予算案では、2026-27年度の財政赤字を623億ドルと見込む。さらに2027-28年度も625億ドルの赤字で、その後も500億ドル以上の大幅な赤字財政が継続すると予想している。

(記事 北野大地)

合わせて読みたい関連記事