カナダde着物
第88話
*自然からヒントをもらう着物と帯の色合わせ*
山から携えてくる土産物や、山里からの贈り物、山の恵みを指す、山苞(やまづと)という美しい季語があります。
市街地に暮らす私は、ファーマーズマーケットの店先に並ぶ野菜や果物から、かろうじて季節の移ろいを感じています。けれど今では、一年を通して手に入るものも多く、本来その時期にしか味わえないものに出会うと嬉しくなります。
旬のものには、その季節の光や雨、大地の力が宿っていると聞きます。自然から届けられる「山苞」ですね。

畑を営む友人が「ウサギを可愛いと思えなくなりそう……」と呟く気持ちも分かるほど、丹精込めて育てた野菜が、わずかな被害で売り物にならなくなってしまうことがあります。

自然の中で暮らす動物たちにとって、そこにあるものはただのごちそう。でも、人の手で育てられた作物には、農家さんの時間や手間、そしてたくさんの思いが込められています。
近所のお店でも野菜は手に入りますが、せっかくなら自分の手で収穫する喜びを味わってみたいと思い、知り合いの畑へ行きました。
皆さまも、ぜひお友達やお子さんと一緒に畑へ出かけてみてはいかがでしょうか。季節の恵みをいただく喜びを、きっと感じられることと思います。
*今日の着物*Today’s Kimono*
「自然からヒントをもらう着物と帯の色合わせ」
ドラマ撮影の仕事を終え、今はまた、お寺でのボランティア活動と茶道のお稽古の日々に戻っております。
今回も撮影は、着物を世界中の方々にメディアを通じて見ていただく、とても貴重な機会となりました。それと同時に、奥深い着物に改めてその魅力を感じました。
まだまだ自分自身が知らないことも多く、着物について学ぶべきことがたくさんあることを実感しています。これからも一つひとつ知識を深めながら、着物が持つ美しさや日本の文化の素晴らしさを感じていきたいと思います。

お寺でのお手伝いの際には、できるだけ着物で出かけるようにしています。
忙しい行事やイベントの日は、会場内を動き回ることも多いため、小紋の着物に半幅帯を合わせることが多いです。半幅帯は浴衣に合わせるものと思われがちですが、実は着物にも素敵に合わせることができます。
帯揚げを省略しても、帯締めをきちんと結べば、正面から見た印象は通常の着物姿と変わりません。動きやすく、気軽に楽しめる半幅帯は、日常の着物姿にも取り入れやすいアイテムです。
着物や帯の色選びは、季節の草花や自然の風景から色のヒントをいただいています。10月は紅葉が始まる季節ですので、黄色やオレンジ、茶系の色合いを取り入れると、秋らしい装いになります。
帯の結び方も、年代や雰囲気に合わせて変えてみると楽しいものです。若い方は、振袖の帯結びでも使われることの多い三重紐を活用し、ひだをたくさん取った華やかなアレンジも楽しめます。
一方で、少し大人の年代の方は、立体感を控えめにして、リボン結びの形で帯を垂らしたり、折り畳むようにシンプルに仕上げたりと、ご自身らしい形を自由に創り出してみるのも素敵です。
着物には決まった形だけではなく、その人らしい工夫や季節を楽しむ心があります。ぜひ自由な発想で、着物との時間を楽しんでいただけたらと思います。

*今日の集い*Today’s Gathering*
「雅楽ワークショップとキッズ茶会(菊の節句)」
今年最後の五節句のお茶会を開催いたしました。
「菊の節句」とも呼ばれる重陽の節句は、9月9日に行われますが、今年は私の撮影の仕事がまだ終わっていなかったため、10月にお祝いすることにしました。
いつも日程が遅れた時の言い訳のようですが、「今年は旧暦でお祝いしています」と、皆さまもぜひ真似してみてください(笑)。
今回は特別ゲストとして、雅楽や邦楽に携わる方々をお招きし、お茶会の前にワークショップを開催していただきました。
雅楽は、日本に古くから伝わる宮廷音楽であり、「世界最古のオーケストラ」とも称される日本の伝統芸能です。神社などで奉納される神楽は、私たちにも馴染みがあるかもしれませんが、雅楽を生演奏で聴く機会は、なかなかありません。
今回は、龍笛(りゅうてき)という横笛の演奏を披露していただきました。龍笛は1300年以上前から受け継がれている楽器で、奏者同士が互いの呼吸や「間」を感じながら、指揮者を置かずに音を紡いでいくそうです。
途中からは沖縄の三線の演奏も加わり、古くから伝わる異なる音色が重なり合う、特別な時間となりました。
子どもたちは音楽を聴きながらお菓子とお抹茶をいただき、いつもとは少し違う味わいや雰囲気を感じてくれたのではないでしょうか。
雅楽や邦楽のワークショップは、来年から大人向けのワークショップもスタートする予定です。初めて触れる方にも楽しんでいただけるよう、お子様にも分かりやすい形で、日本の伝統文化に親しめる場を作っていきたいと思っています。
皆さまとご一緒できるのを楽しみにしております。



コナ ともこ
(和の学校@東漸寺 主宰)
*参照*
*今日の言葉*
三重紐とは:「三重仮紐(さんじゅうかりひも)」や「トリプル紐」とも呼ばれる、着物の帯の飾り結び(変わり結び)をする際に使われる着付け小物です。
<きものレンタリエ豆知識から https://kimono-rentalier.jp/column/kimono/sanjuuhimo/>
雅楽とは:日本古来の儀式音楽や舞踊などと、仏教伝来の飛鳥時代から平安時代初めにかけての400年間あまりの間に、中国大陸や朝鮮半島から伝えられた音楽や舞、そして平安時代に日本独自の様式に整えられた音楽などです。
<日本雅楽会から https://www.nihongagakukai.gr.jp/about_gagaku/gagaku.html>

「着物語り」
コナともこさんが着物の魅力をバンクーバーから発信する連載コラム。毎月四季折々の着物やカナダで楽しむ着こなしなどを紹介します。
2020年8月から連載開始。第1回からのコラムはこちらから。
コナともこ
アラ還の自称着物愛好家。日本文化の伝道師に憧れ日々お稽古に励んでおります。
15年前からコキットラム市の東漸寺で「和の学校」を主宰。日本文化を親子で学び継承する活動をしております。
年間を通じて季節の行事に加え、お寺での初参り、七五三祝い、十歳祝い、元服祝い、二十歳祝い、結婚式、生前葬、お葬式などの設えと装いのお手伝いもさせていただいております。
*詳しくはコナともこまでお問い合わせ下さい。tands410@gmail.com
東漸寺は非営利団体で、和の学校の収益は東漸寺の活動やお寺の維持の為に使われています。
次女とバンクーバー近郊在住。
《和の学校@東漸寺》
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