
バンクーバー・ライズFCは9月5日、スワンガードスタジアム(バーナビー市)でハリファックス・タイズFCと対戦し、0-1で敗れた。
プレーオフ進出圏内の4位につけていたライズと、勝ち点2差で追う5位ハリファックスとの直接対決。試合は0-0のまま後半アディショナルタイムに入ったが、終了間際にハリファックスのジュリア・ベナティにハーフウェーライン付近からゴールを決められ、そのまま試合終了となった。
この結果、ハリファックスが勝ち点24で4位に浮上。勝ち点23のライズは5位となった。ただ、その差はわずか1ポイント。レギュラーシーズンは残り6試合で、プレーオフ進出をかけた戦いは続く。
9月5日(スワンガードスタジアム)
バンクーバー・ライズFC 0-1 ハリファックス・タイズFC
チャンスを作るも得点につながらず、もどかしい時間
この日は日本人選手3人がメンバー入り。ライズではDF岡本祐花と、日系カナダ人で日本の年代別代表経験を持つGKジェシカ・ウルフ結吏が先発、ともにフル出場した。ハリファックスでは中村恵実がベンチ入りした。
ライズは序盤からボールを前線へ運び、マイテ・ロペスやジェシカ・デ・フィリッポがハリファックスの最終ラインの背後に抜け出す場面を作った。しかし最後のパスが合わず、シュートまで持ち込めない。その後はハリファックスも徐々に流れをつかみ、中盤での攻防が続いた。
後半に入っても流れは変わらなかった。ライズのアンナ・バウトがペナルティエリア付近でボールを受けてシュートを放ったが決まらず、コーナーキックから何度もボールをネット前へ送った。75分にはアナイス・ウラルビが約30メートル以上の距離からフリーキックを直接狙ったが、シュートはゴールのわずか外へ。
ライズはボール保持率58%、コーナー8本とハリファックスの42%、2本を上回った。一方、シュート4本、枠内は1本。前線までボールを運びながらも、パスが合わずにボールを失ったり、ゴール前まで進みながらシュートにつなげられなかったりする場面が目立ち、得点を奪えないもどかしい展開が続いた。
スタジアムの熱気が高まった直後、終了間際にまさかの決勝点
0-0のまま試合終盤を迎えると、ライズはアディショナルタイムで決勝点を狙って攻勢を強めた。スタンドでは立ち上がって拍手を送り、ライズを後押しするファンの姿も見られ、スタジアムのボルテージは一気に高まった。
その中でライズに大きなチャンスが訪れる。アブドゥがゴール前へ送ったボールにオードリー・フランソワが飛び込み、スタジアムはゴールへの期待に沸いたが、わずかに足が届かなかった。
その直後だった。ハリファックスのジュリア・ベナティがハーフウェー付近から放ったロングシュートがGKウルフの頭上を越えてネットに吸い込まれた。ライズに反撃する時間はほとんどなく、そのまま0-1で試合終了となった。
試合後のあいさつを終えた後も、ハリファックスの選手たちが勝利を喜ぶ傍らで、ライズの選手たちはピッチに座り込んだまま、しばらく動かなかった。終了間際の1失点で勝ち点を逃した、その重さを感じさせる光景だった。
ハリファックスとは8月15日にもスワンガードスタジアムで対戦し、ライズが後半アディショナルタイムにデ・フィリッポの決勝点が決まり2-1で勝利したが、約3週間後の今回の再戦では、逆に終了間際の一撃で勝ち点3を奪われる結果となった。
岡本祐花「一試合一試合が本当に大事」

岡本祐花はこの日、プレーオフ進出を争うハリファックスとの直接対決だっただけに、試合後は結果への悔しさを口にした。
「本当に重要な試合で、プレーオフに向けて勝たなきゃいけない試合だったので、この結果ですごく悔しいです。チームとしてうまくいった部分が少なかったので、まずはこの後の6戦で改善して、プレーオフにまずつなげなきゃいけないなと思います」
この日は守備陣に欠場者も多い中、岡本は最終ラインを担った。一つの失点が試合を大きく左右するだけに、周囲と声を掛け合いながら守ることを意識していたという。それでも最後まで守り切れなかったことについて、「最後の最後に失点してしまって、詰めが甘かったと思います」と、悔しさをにじませた。
残りは6試合。プレーオフ進出に向けて、「一試合一試合が本当に大事なので、まず目の前の1試合を勝ち切ること。けが人もだんだん戻ってきていて、シーズンも後半なので、チームの目指すべき方向をしっかり再確認したいです」と、ここからの巻き返しを誓った。
厳しい敗戦について語った岡本だが、かつてのチームメート中村恵実の話題になると表情が和らいだ。2人はAC長野パルセイロ・レディース時代に共にプレーしていた。
「日本でもずっと一緒にプレーしていて、去年もずっとバンクーバーで待っていたんですけど、けがでなかなか来られなくて。やっと一緒にバンクーバーに来られたので」。今後再び同じピッチに立つことへの期待を聞くと、岡本は「そうですね」と笑顔を見せた。
中村恵実「耐えて、耐えて」つかんだ大きな勝ち点3

昨年1月、AC長野パルセイロ・レディースからハリファックスに加入した中村は、2025年シーズンは24試合に出場し、チーム最多の5得点を記録した。この日はベンチから試合を見守ったが、ライズに押し込まれる時間もあった展開を「厳しい時間帯が多かった」と表現。それでも、「耐えて、耐えて」と守り続けた先に終了間際の決勝点が生まれたと話した。
「最後にああいった形で決められたことは良かったかなと思います。ディフェンスで奪い切ってからのカウンターだったので、チームとしても結構ポジティブな試合になったのかなと思います」
その1得点で手にした勝ち点3は順位にも直結した。試合前まで5位だったハリファックスはライズを抜いてプレーオフ圏内の4位へ。中村にとっても「今回の勝ち点3はすごく大きかった」という。
シーズン終盤はプレーオフ進出を左右する試合が続く。「次のカルガリー戦もすごく大きいゲームになってくると思う」と気を引き締め、「残りの試合がプレーオフにすごく関わってくるので、1試合1試合大切にしていきたい」とプレーオフ進出に意欲を見せた。
かつてのチームメート岡本との再会については「以前も日本で一緒に5年間ぐらいプレーしてたので、また一緒にプレーができたらうれしいです」と笑顔を見せた。
バンクーバーについては、「都会と山と自然が融合してる感じでいいなと思います」と中村。ハリファックスとはまた違った街の雰囲気を感じたようで、アジア系の人が多いことも印象に残ったと話した。
プレーオフ圏内との差は勝ち点1、次戦はオタワ

NSL(ノーザンスーパーリーグ)は6チームでレギュラーシーズンを戦い、上位4チームがプレーオフに進む。
試合前はライズが勝ち点23で4位、ハリファックスが21で5位だったが、ハリファックスが勝利したことで勝ち点24となり順位が逆転。ライズは勝ち点23で5位となった。ただ、4位ハリファックスとの差はわずか1ポイント。ライズはレギュラーシーズンが残り6試合あり、プレーオフ進出の可能性は十分にある。
一方、ライズは試合から2日後の9月7日、アンニャ・ハイナー=モラー監督の退任を発表した。クラブ初代監督として2025年のNSL初年度からチームを率い、初代王者に導いた。退団の理由は明かされていない。今後はアシスタントコーチのイアン・ダービーシャーが暫定監督として今季残り試合を指揮する。
次戦は9月13日、スワンガードスタジアムでオタワ・ラピッドFCと対戦する。続いて19日に首位モントリオール・ローゼズFCをホームに迎え、その後カルガリー、トロント、オタワとのアウェー戦を経て、10月25日にホームでカルガリー・ワイルドFCとレギュラーシーズン最終戦を迎える。
(取材 田上麻里亜)
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