「安全なスポーツ」「カナダのスポーツシステム改善」を目指すスポーツ未来委員会(Future of Sport in Canada Commission)の報告書が、3月24日に発表された。委員会は、スポーツにおける虐待が草の根レベルから国家レベルまで、あらゆる段階・競技において広がっており、しかも構造的に存在していると報告した。委員の一人Lise Maisonneuve氏は「制度的な欠陥と広範な虐待が参加者の安全とスポーツシステムの健全性を損なっている。この現状は受け入れられるものではない」と指摘している。
スポーツにおける虐待にはさまざまな形があり、性的暴行、身体的・心理的虐待、ネグレクト、人種差別、いじめ、ハラスメントなどが含まれる。委員会は1,000人以上と面談を行ったが、うち175人は虐待の被害者で、「胸が締め付けられるような深刻な虐待の証言」を数多く聞いたという。被害者の多くは、虐待を受けた当時はまだ子どもで、成人後もその影響は深刻だという。
虐待の背景には、パワーバランスの不均衡や沈黙の文化により被害が見過ごされているほか、スポーツ界には参加者の安全よりも勝利や評判、資金が優先される傾向があると指摘している。このような虐待行為は、アスリート個人への影響はもちろん、スポーツ界全体の信頼性をも損なうものだと報告書は述べている。
報告書は「虐待への効果的な対応」「被害者支援」「予防策の強化」を焦点とした提言を行っている。具体的には、あらゆるレベルのスポーツにおける虐待の調査や報告を担当する全国統一のセーフスポーツ機関の設置、セーフスポーツ教育プログラムの創設、バックグラウンドチェック制度の整備、セーフガーディング担当者の配置などを求めている。
「カナダのスポーツの未来委員会」は2023年12月11日にカナダ政府が設立を発表。委員会は、独立委員1人と特別顧問2人で構成される。委員会の任務は2つ、スポーツ制度を検証し、具体的で効果的な行動について勧告を行うこと。2024年5月9日にはオンタリオ州裁判所元主席判事Maisonneuve氏が独立委員として特別顧問2人と共に任命された。委員会の当初の任期は2024年5月9日から18カ月で、最終報告書の公表期限は2025年11月9日とされていたが、今年3月31日まで延長された。
報告書の全文はこちらから。https://www.canada.ca/en/canadian-heritage/campaigns/future-sport/participate/final-report.html
(記事 高城玲)
合わせて読みたい関連記事
























