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「4年ぶり人数制限なしの卒業式」グラッドストーン日本語学園

卒業生、教員、在バンクーバー日本国総領事館・丸山浩平総領事(前列中央)が揃って記念撮影。グラッドストーン日本語学園卒業式。2023年5月27日、日系文化センター・博物館。写真提供:Gladstone Japanese Language School
卒業生、教員、在バンクーバー日本国総領事館・丸山浩平総領事(前列中央)が揃って記念撮影。グラッドストーン日本語学園卒業式。2023年5月27日、日系文化センター・博物館。写真提供:Gladstone Japanese Language School

 日系文化センター・博物館で5月27日、グラッドストーン日本語学園の小学科・中学科・高等科の卒業式が行われた。第52回となる今年度は4年ぶりに人数制限が解禁され、卒業生やその家族が集まり、センター内のホールはほぼ満席となった。

 会場には入口から向かって左手前方に小学科、右手に中学科、そしてステージ上に高等科の卒業生が着席。高等科の卒業生たちは色とりどりの袴や振袖を身にまとい、華やかな卒業式となった。

 約1時間の式が終わると粛々としていた生徒たちの表情はホッとしたようにほぐれ、クラスメートと話したり、両親や先生とステージやセンター前の庭で写真を撮ったりと和やかな雰囲気に包まれた。

在バンクーバー日本国総領事館・丸山浩平総領事による祝辞。自身も中国語や韓国語などの言語学習に取り組んでいることをあげ、「今日は若いライバルの皆さんにお会いすることができ、気持ちを新たに勉強に取り組みたい」と語る。2023年5月27日、日系文化センター・博物館。写真提供:Gladstone Japanese Language School
在バンクーバー日本国総領事館・丸山浩平総領事による祝辞。自身も中国語や韓国語などの言語学習に取り組んでいることをあげ、「今日は若いライバルの皆さんにお会いすることができ、気持ちを新たに勉強に取り組みたい」と語った。2023年5月27日、日系文化センター・博物館。写真提供:Gladstone Japanese Language School

 在バンクーバー日本国総領事館・丸山浩平総領事も参列。丸山総領事は「この学校で学ばれた皆さまはこれから日本とカナダ、カナダと世界、日本と世界、そのさまざまな領域での架け橋となる、そういう人材であると思います。架け橋となる皆さまのこれからの前途を心から祝して、そして皆さまの前途が明るいものであり、その活躍によって世界に平和が、協力関係が、友情が、さらに芽生えていくことをお祈りしております」とこれからの活躍を祈り、卒業生へお祝いの言葉を贈った。

卒業生の言葉

ステージに並び、学んだことわざや熟語を使ってそれぞれの思いを流ちょうに話す小学科の卒業生。2023年5月27日、日系文化センター・博物館。写真提供:グラッドストーン日本語学園
ステージに並び、学んだことわざや熟語を使ってそれぞれの思いを流ちょうに話す小学科の卒業生。2023年5月27日、日系文化センター・博物館。写真提供:グラッドストーン日本語学園

 卒業生たちは小学科、中学科、高等科と順にステージに立ち、ことわざや四字熟語を交えながら1人ずつ学園生活での思い出を話した。

 グラッドストーン日本語学園の生徒たちは平日に通っている学校に加え、毎週末の授業や宿題に励む。卒業生の多くが大変だったと口にする「言葉ノート」。毎日3つずつ漢字を練習し、毎週末のテストに向けて勉強した。読み書きだけでなく、練習した漢字を使って文を作る練習もするという。

 学園は、「塵も積もれば山となる」を目標に、毎日続けることで生徒たちが語彙を増やせることを目指している。漢字の意味を理解して文を書く力を伸ばすためにこの言葉ノートを実施しているという。多くの生徒たちは言葉ノートについて、大変だったがそのおかげでたくさんの言葉を覚えることができたと話し、生徒たちが真剣に学習に取り組んできたことが垣間見えた。

 保護者席からは「やっと肩の荷が下りたね」と卒業まで子どもたちを支えてきた親たちのほっとした声も聞かれた。

 グラッドストーン日本語学園の創立者の村上陽子園長は、卒業生が両親に手を引かれて入園・入学してきたときのことを懐かしく思い出すと話す。

村上園長から丁寧に証書を受け取る卒業生たち。2023年5月27日、日系文化センター・博物館。写真提供:グラッドストーン日本語学園
村上園長から丁寧に証書を受け取る卒業生たち。2023年5月27日、日系文化センター・博物館。写真提供:グラッドストーン日本語学園

 卒業生たちに向けては、本田宗一郎氏の「失敗を恐れるより、何もしないことを恐れなさい」という言葉を引用し、「失敗から学ぶことがたくさんあります。自分の可能性を信じて、やればできるんだと、熱い意欲を燃やして諦めずに何ごとも続けてください。自分で決めた道に向かって、希望を持って進んでもらいたいと思います」と笑顔でエールを送った。

 現在学園には、これまで卒業した生徒の子どもが60人通学しており、そのうち3人が卒業を迎えた。村上園長の孫も高等科を卒業した生徒の1人。多くの卒業生がまた自身の子どもに日本語を学ばせようと学園に帰ってくることに村上園長は、「二世代にわたり日本の文化を継承させようということを大変うれしくありがたく思います。そうした先輩から学び、私たちは保護者の皆さまのご協力、生徒の努力、教員の励ましと三者一体となって日本語教育に精進してまいりたいと思います」と話した。

グラッドストーン日本語学園

1971年に園長の村上陽子氏によって創立され、今年で52年となる。2歳から高等科まで一貫した日本語クラスを展開し、高学年は漢字検定や日本語能力試験などの試験を実施。日本語教育に加え、日本の文化や習慣を身につけることにも力を入れている。そのほか学園外からも参加できる習字クラブも行っている。
Webサイト: https://www.gladstonejls.com/

全員が起立し日本とカナダ両国の国歌、グラッドストーン日本語学校校歌を斉唱。厳粛な雰囲気に包まれる会場。2023年5月27日、日系文化センター・博物館。写真提供:Gladstone Japanese Language School
全員が起立し日本とカナダ両国の国歌、グラッドストーン日本語学校校歌を斉唱。厳粛な雰囲気に包まれる会場。2023年5月27日、日系文化センター・博物館。写真提供:Gladstone Japanese Language School
会場の外の庭でガッツポーズ、高等科卒業生。2023年5月27日、日系文化センター・博物館。写真提供:グラッドストーン日本語学園
会場の外の庭でガッツポーズ、高等科卒業生。2023年5月27日、日系文化センター・博物館。写真提供:グラッドストーン日本語学園
「高等科と小学科の2世代卒業生とその家族」。2023年5月27日、日系文化センター・博物館。写真提供:グラッドストーン日本語学園
「高等科と小学科の2世代卒業生とその家族」。2023年5月27日、日系文化センター・博物館。写真提供:グラッドストーン日本語学園

(取材 池田茜音)

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グラッドストーン日本語学園幼稚園科の合同卒園式

卒園式 集合記念写真。写真提供:グラッドストーン日本語学園
卒園式 集合記念写真。写真提供:グラッドストーン日本語学園

 5月27日土曜日午前10時より、日系センター内大ホールにて、グラッドストーン日本語学園幼稚園科の合同卒園式が行われました。

 継承語クラス(水・金・土曜日クラス)、基礎科幼稚園クラスの卒園児が一同に集まり、保護者の皆様が見守る中、和やかな雰囲気で式が行われました。 

 卒園式の始めには、継承語クラスの合唱、基礎科クラスの「よさこいソーラン」のお遊戯が発表されました。

よさこいソーラン節。写真提供:グラッドストーン日本語学園
よさこいソーラン節。写真提供:グラッドストーン日本語学園

 合唱では、「一年生になったら」「みんなともだち」の二曲を歌いました。約30名の卒園児の大きな歌声が、大ホールに響き渡り、歌い終わった後のこどもたちの顔は、やり遂げた満足感で輝いていました。また、基礎科クラスのお遊戯では、法被を着て鳴子を持った子どもたちが曲に合わせて踊る姿が、なんとも微笑ましく、日本の文化を受け継いでくれている子どもたちに大拍手が贈られました。

さくらぐみ 合唱。写真提供:グラッドストーン日本語学園
さくらぐみ 合唱。写真提供:グラッドストーン日本語学園

 そして、学園長村上陽子より、子ども達ひとりひとりに「おめでとう」の言葉とともに卒園証書が授与されました。大きなステージの上で堂々と証書を受け取る卒園児のみんなの姿はとても凛々しく、大きくなったことをひしひしと実感しました。

卒園式の看板前で。写真提供:グラッドストーン日本語学園
卒園式の看板前で。写真提供:グラッドストーン日本語学園

 幼稚園科設立からの長い歴史の中で、今回初めて大ホールをお借りして行った卒園式でしたが、保護者の皆様からも、「素敵な卒園式でした」「子どもにとっても、親にとっても良い思い出になりました」と感想をいただき、大変嬉しく、共に子ども達の成長と門出を祝うことができ、学園職員も皆感謝の気持ちでいっぱいです。

 卒園児のみなさん、ご卒園おめでとうございます!

(寄稿:グラッドストーン日本語学園)

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「7月に日本のファンの前で滑れることを楽しみに」Stars on Iceバンクーバー出演キーガン・メッシングさんインタビュー

スターズオンアイス・バンクーバー2023に参加前のキーガン・メッシングさん。今回特別に対面でのインタビューに応じてくれた。2023年5月18日、バンクーバー市Rogers Arena。Photo by Michiru Miyai
スターズオンアイス・バンクーバー2023に参加前のキーガン・メッシングさん。今回特別に対面でのインタビューに応じてくれた。2023年5月18日、バンクーバー市Rogers Arena。Photo by Michiru Miyai
出演スケーター全員で。カート・ブラウニングさん(左から6番目)、キーガン・メッシングさん(左から4番目)、宮原知子さん(右から2番目)2023年5月18日、Rogers Arena, Vancouver。 Photo credit: Timothy Nguyen, Photo provided by Stars on Ice Canada
出演スケーター全員で。カート・ブラウニングさん(左から6番目)、キーガン・メッシングさん(左から4番目)、宮原知子さん(右から2番目)2023年5月18日、Rogers Arena, Vancouver。 Photo credit: Timothy Nguyen, Photo provided by Stars on Ice Canada

 世界で活躍するプロスケーターたちによるアイスショー、スターズ・オン・アイス(Stars on Ice)が5月18日、バンクーバー市のRogers Arenaで開催された。

 このバンクーバー公演は今シーズンで引退を表明しているカナダのレジェンド、カート・ブラウニングさんのカナダ国内最後のショー。パトリック・チャンさん、キーガン・メッシングさん、ジェーソン・ブラウンさんたちや、日本からは宮原知子さんが参加し、そうそうたるメンバーが出演。共演者とのお別れのシーンには涙を誘いもしたが、最後までたっぷりファンを楽しませて氷上を後にした。

 今回は、日本から参加した宮原知子さんと、4月の東京での大会で競技生活を終えたキーガン・メッシングさんに、18日の本番前にアリーナでインタビュー。前回の宮原さんに続き、今回はメッシングさんのインタビューを紹介する。

東京で競技生活に終止符を打ち、高祖父・永野万蔵さんが眠る長崎で思ったこと

スターズオンアイス・バンクーバー2023に参加前のキーガン・メッシングさん。今回特別に対面でのインタビューに応じてくれた。2023年5月18日、バンクーバー市Rogers Arena。Photo by Michiru Miyai
スターズオンアイス・バンクーバー2023に参加前のキーガン・メッシングさん。今回特別に対面でのインタビューに応じてくれた。2023年5月18日、バンクーバー市Rogers Arena。Photo by Michiru Miyai

 2022年北京オリンピックのカナダ代表。アラスカ出身だがカナダへの日本人移民第一号として知られる永野万蔵さんを高祖父に持つ日系カナダ人5世でもある。

 今年4月に東京で行われた世界国別対抗戦で競技生活に終止符を打ったメッシングさんは、帰国前に長崎へ赴き長年の念願であった高祖父の永野万蔵さんのお墓参りを果たした。

―4月に東京での大会の後、長崎で永野万蔵さんのお墓参りに行かれたというニュースを拝見しました。

 初めてお墓参りに行くことができ、本当にすばらしい時間を過ごせました。

 高祖父が最初の日系移民としてカナダに渡り自分や家族に続いているのですが、その旅路を始めた場所に行くことができたのは大きな意味があったと思っています。

 彼が未知の場所と未来へと旅立った場所に立ったとき、競技生活を終えてこれから新たな未知の場所に進もうとしている今の自分と重ね合わせて感慨深いものがありました。今自分の未来や進む道についてすごく考えている時なので。

―キーガンさん自身は万蔵さんがカナダ日系移民第一号とご存知でしたか?

 自分はアラスカで育ったのですが、(万蔵さんの孫にあたる)祖母がカナダの話や高祖父の話、日系移民としての生活を話してくれていました。カナダ代表になりたいと思ったのも祖母の故郷だからという理由が大きいですね。なのでカナダも日本も自分にとってはずっと大切な国でした。

-長崎はいかがでしたか?

 とても美しい所でした。自然も豊かで温泉も素晴らしかったし。子どもたちがもう少し大きくなったらぜひ連れて行きたいと思っています。

-競技から引退してからの生活はどうですか?

 競技を終えて実はまだ全然休暇を取れていなくて、子どもたちとまるまる過ごせたのも4日ほどだけです。

 日本の後26時間だけアラスカの家に帰り、すぐニューファンドランドでショーがありました。その後ハリファックスでSOI(スターズオンアイス)のリハーサルが始まり、今はツアーで回っています。今回アラスカからバンクーバーに家族が来てくれたので、やっとこの後ケローナでゆっくりするつもりです。小さな子こどもたちと長い時間を過ごせるのが本当に楽しみですね。

(ちなみにインタビューの間中、長男のワイアットくんはずっとパパの側で遊んでいた)

ー消防士になられる予定だと聞きました。

 父が3世代目の消防士なので自分もいずれは消防士になりたいと思っています。ただSOIをとても楽しんでおりアイスショーはできる限り続けていきたいと思っているので、どのタイミングで消防士になるかはまだ思案している最中です。

ー日本のファンにメッセージはありますか?

 日本のファンには感謝しかないですね。日本でスケートした時のファンの応援の声は格別なものがあり、とても受け入れられているなと感じることができました。7月にショーがあるので戻るのを楽しみにしています。

***

 ショーでは得意のバックフリップを何度も披露し、エネルギッシュで楽しい滑りを見せたメッシングさん。最後に「そう言えば高祖母の旧姓が宇野と言うので、どこかで昌磨(宇野昌磨選手)とつながっていたとしたら面白いなと思って!」と教えてくれた。本当にそんなミラクルな繋がりがあれば日本のファンも大喜びだろうに、と楽しくインタビューを終えた。

Stars on Ice Canadaに出演のキーガン・メッシングさん。2023年5月18日、Rogers Arena, Vancouver。 Photo credit: Timothy Nguyen, Photo provided by Stars on Ice Canada
Stars on Ice Canadaに出演のキーガン・メッシングさん。2023年5月18日、Rogers Arena, Vancouver。 Photo credit: Timothy Nguyen, Photo provided by Stars on Ice Canada
出演スケーター全員で。2023年5月18日、Rogers Arena, Vancouver。 Photo credit: Timothy Nguyen, Photo provided by Stars on Ice Canada
出演スケーター全員で。2023年5月18日、Rogers Arena, Vancouver。 Photo credit: Timothy Nguyen, Photo provided by Stars on Ice Canada

(取材 Michiru Miyai)

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ホワイトキャップス大勝、GK高丘も好セーブで貢献

 バンクーバー・ホワイトキャップスFCが大勝で、ホームで連勝した。ホワイトキャップスはホームでは開幕戦以来負けなし。この日は6ゴールを決める快勝となった。

5月31日(BCプレース:13,232)

バンクーバー・ホワイトキャップスFC 6-2 ヒューストン・ダイナモ

 ホワイトキャップスは開始早々15秒にVite(45)がゴールを決め先制。しかし、8分に同点、16分に逆転を許した。その後、18分に同点に追いつき、46分には再逆転に成功。後半にも3点を挙げ、GK高丘も追加点を許さず6-2で大勝した。

 GK高丘は、2点を許したもののチームが同点に追いついた後、立て続けに好セーブで相手追加点を許さず、前半終了直前の再逆転につなげた。7本のShots on goal中、5本をセーブ、チームのホーム連勝に貢献した。

 また、6月3日はBCプレースにスポーティングKCを迎え、先制されるも終盤に同点に追いつき、1-1の引き分けとした。

GK高丘、前半に好セーブを見せる。バンクーバー市BCプレース、2023年5月31日。Photo by Koichi Saito
GK高丘、前半に好セーブを見せる。バンクーバー市BCプレース、2023年5月31日。Photo by Koichi Saito
この日、ヒューストン・ダイナモのShots on Goalは7本。GK高丘はうち5本をセーブし、白星を引き寄せた。バンクーバー市BCプレース、2023年5月31日。Photo by Koichi Saito
この日、ヒューストン・ダイナモのShots on Goalは7本。GK高丘はうち5本をセーブし、白星を引き寄せた。バンクーバー市BCプレース、2023年5月31日。Photo by Koichi Saito

(写真・ビデオ 斉藤光一/記事 編集部)

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今年も開催!日系文化センター・博物館のファーマーズマーケット「産地直送」

Nikkei Farmers Market「産地直送」。2022年7月24日。日系文化センター・博物館。Photo by Japan Canada Today
Nikkei Farmers Market「産地直送」。2022年7月24日。日系文化センター・博物館。Photo by Japan Canada Today

 日系文化センター・博物館で2021年に初めて開催された日系ガーデン・ファーマーズマーケット「産地直送」が今年も帰ってくる。日系の店や団体が出店して販売する野菜やフード、アイテムが大好評のファーマーズマーケット。3年目にしてようやく新型コロナウイルス感染規制なく楽しめてファンにはうれしい限り。

 期間はこれまで同様、6月から10月の第2と第4日曜日、午前10時から午後2時まで。

 7月9日にはフリーマーケットも同時開催される。

 詳しくは、ウェブサイトを参照。https://centre.nikkeiplace.org/events/nikkei-garden-farmers-market-2023/

2023年の開催日程

6月11日、25日
7月9日、23日
8月13日、27日
9月10日、24日
10月8日、22日

会場:日系文化センター・博物館(6688 Southoaks Crescent, Burnaby)

(編集部)

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Lighthouse「日本への本帰国準備&2拠点生活(および回遊型生活)を考えるフェア」

海外シニアを対象に、日本での住まいや施設探し、相続、日米での各種手続きなど「本帰国」や「2拠点生活」の実現に役立つ情報をお届けします。 

「海外で暮らすように日本でも快適に過ごしたい」「身寄りがなくても安心して暮らせる施設が知りたい」「要介護や認知症になったときへの備えをしておきたい」など、日本での生活についての疑問やニーズに応える内容です。 

不動産、介護、各種制度などに関する専門家によるセミナー、シニア向け施設のプレゼンテーション、入居者による座談会など盛りだくさんの内容です。 

こちらからも直接お申込みいただけます。 https://bit.ly/KIKOKU23SP1

Growing Beyond Borders~夢の伝道師、Bruce Whitred氏講演会のお知らせ

やる気があれば夢は叶う!自らを『夢の伝道師』と呼び、夢を持ってチャレンジすることの素晴らしさや『やればできる』というメッセージを伝え続ける、トロント生まれ宮城県名取市在住のBruce Whitredさん(株式会社サイバードリーム取締役)がバンクーバーで講演をします。

国境を超えて活躍したいと思っている人たちへの応援のメッセージがたくさん。講演の後は懇談会も予定しています。主催:日本カナダ商工会議所&SELC Language School

五感セラピー〜生命力溢れる習慣と繋がろう〜

皆さんの習慣に、健康的でないと思っていることはありませんか?『感覚の誤用が病気を生み出す』と言われているアーユルベーダには、調和を取り戻す「五感セラピー」があります。今回は、体験型講演会として、感覚を適切に使うことを学んでいきます。これによって新たな習慣が生まれるかもしれません。参加者の方には、当日ご用意いただくものの詳細をお知らせします。安心、安全、愛されている、満たされている感覚と繋がる、新たな気づきの旅へご一緒に!

開催日時:2023年6月27日(火) 午後7時から午後9時

場所:Zoom

講師:ホリスティックセラピスト・杉本 園

講師プロフィール:

日本で医師として勤務した後、2005年渡加。食事療法、エネルギーワークやマインドの使い方、アサナやヨガ哲学を学び始める。2021年3月、Sivananda Yoga Farmのオンライン・ヨガティーチャー・トレーニングを終了。現在日本を拠点にして、ヨガの教えなど世界各地へ発信している。

参加費:$15

お支払い方法:https://www.eventbrite.ca/e/616884657617

*他のお支払い方法をご希望の方は、下記の連絡先(協会メール)までお問い合わせください。

申込締切:6月23日(金)

連絡先:orangecafevancouver@gmail.com

主催:日本語認知症サポート協会

メディアスポンサー:月刊ふれいざー、日加トゥデイ、Oops!、Life Vancouver、バンクーバー新報

The 17th “Okuni Jiman –  I ❤️ MY HOMETOWN  Okinawa part-2” Zoom Event

This session is part 2 of the previous Okinawa session.  Okinawa native and current Vancouver resident Yumeno will present about “chanpuru” or mixed diversity culture, focusing on modern history and culture.

[Date and Time]

23 June 2023 (Fri) 19:00- Pacific Time
24 June 2023 (Sat) 11:00- Japan Time

[Registration] https://forms.gle/kXL3XxqYZELrUXDP7
※Free Admission

[Archive]

Link to Part 1 of the Okinawa presentation: https://youtu.be/G95Qj37L0Jw

Previous presentations can be found here: https://okuni-jiman.blogspot.com/

「カナダ “乗り鉄”の旅」第1回 空港行き列車UP利用も、あわやタイムアップに

大塚圭一郎

 「UP(アップ)」!カナダで冬休みを過ごして帰路についていた今年1月、航空機の乗り継ぎのためにトロント・ピアソン国際空港の通路を歩いていると気分を高揚させる2文字が躍っているのを窓外に見つけた。トロント中心部のユニオン駅と結ぶ鉄道「ユニオン・ピアソン・エクスプレス」(UPエクスプレス)の高架駅で、3両編成の列車が停車していた。2016年の利用時に当時駐在していた米ニューヨークへの航空便の出発時間が迫り、タイムアップになりかねない事態に直面して冷や汗をかいた思い出がよみがえった―。

CNタワーを満喫

CNタワー:カナダ・トロントのシンボルとなっているCNタワー。手前を走っているのはGOトランジットの列車(2018年5月22日、大塚圭一郎撮影)
CNタワー:カナダ・トロントのシンボルとなっているCNタワー。手前を走っているのはGOトランジットの列車(2018年5月22日、大塚圭一郎撮影)

 その日は航空便出発の実に2時間20分前まで自立式電波塔で高さ世界3位のCNタワー(約553メートル)の展望台からオンタリオ湖を一望していた。CNタワーはカナダの貨物鉄道大手、カナディアン・ナショナル鉄道(CN)がかつて操車場に使っていた敷地に建設した。1976年の完成後はカナダ最大都市のトロントのみならずカナダのシンボルの一つとなっているだけに、トロント滞在中に「なんとしても訪れたい」と駆けつけた。

 現在は新型コロナウイルス禍からの需要回復による混雑が起きているため、カナダ航空保安庁(CATSA)は国内線ならば出発時間の2時間前までに、国際線ならば出発3時間前までにそれぞれ空港に到着するように奨励している。

 当時は空港での混雑が問題化していなかったとはいえ、私が乗ろうとしていたのは米国に向かう航空便だ。にもかかわらず、2時間20分前まで空港から離れたトロント中心部で“空中散歩”を楽しんでいたのは気が緩んでいたとしか言いようがない。

 これほど悠然としていた理由の一つは、空港に直行する信頼感を抱いていたからだ。徒歩約10分の距離にあるトロントの玄関口、ユニオン駅を15分ごとに発車し、わずか25分で空港と結ぶ。もう一つの理由は私の誤解によるものだったが、この時点ではまだ気づいていない…。

なんと日本メーカーの車両

快速みえ:JR東海が「快速みえ」に運用しているキハ75形(2018年5月22日、大塚圭一郎撮影)
快速みえ:JR東海が「快速みえ」に運用しているキハ75形(2018年5月22日、大塚圭一郎撮影)

 午後0時半発の列車に乗り込むと、車内にはクロスシートの座席が並び、カーペットが敷かれた清潔感あふれる雰囲気が待ち受けていた。座席の背面には折りたたみ式のテーブルを備え、電源コンセントがあり、Wi―Fiも無料で利用できるためパソコンで仕事をすることも可能だ。座席の背もたれが倒れないことを除けば、JR東海が東海道新幹線で走らせている最新型車両「N700S」に匹敵するような優れた居住空間だ。

 ところが、発車して聞こえてくるディーゼルエンジンの音を耳にして同じJR東海の別の車両を思い浮かべた。名古屋―鳥羽(三重県)間を走る「快速みえ」のキハ75形だ。そこでWi―Fiを活用して検索したところ、私の勘は「当たり」だった。

 UPエクスプレスのディーゼル車両も、キハ75形も組み立てたのはJR東海子会社の日本車両製造(名古屋市)で、ともに米カミンズのディーゼルエンジンを搭載しているのだ。

 UPエクスプレスの車両製造は住友商事と日本車両が受注し、同じく両社が選ばれた米西部カリフォルニア州のソノマ・マリン鉄道向け車両をベースにした。ただ、カナダは冬場には氷点下20度以下になるなど寒さに厳しいのに対応して暖房機能を強化し、スリップ防止の対策をしている。

新幹線並みの“超高額商品”

 日本車両によると14~15年に計18両を組み立て、受注額は約6500万ドル(約67億円)だったため1両当たり約3億7200万円になる計算だ。

 一方、日本の看板列車の一つとなっている東海道・山陽新幹線の「のぞみ」にとどまらず、昨年9月に武雄温泉(佐賀県)―長崎間で部分開業した西九州新幹線でも活躍するN700SについてJR東海は40編成(1編成16両)の製作費を総額約2400億円と発表していた。1編成当たりの費用は約60億円で、1両では約3億7500万円となる。

 N700Sの編成には駆動車か中間車か、モーター車かそうではないトレーラー車かといった条件で製造費用は異なるため、一概に比較することはできない。ただ、単純計算をするとUPエクスプレスの1両当たりの価格はN700Sとほぼ同額のため、新幹線に匹敵する“超高額商品”なのは疑う余地がない。

 列車はトロントと近郊の住宅地などを結ぶ「GOトランジット」などと共用の線路を走り、途中でブロア、ウェストンの両駅に停車。その後は南へ分岐し、高架になった専用線を駆け抜けた先にトロント・ピアソン国際空港の第1ターミナルに隣接したピアソン空港駅に滑り込んだ。

ピアソン空港駅:トロント・ピアソン国際空港に隣接したUPエクスプレスのピアソン空港駅(2023年1月1日、大塚圭一郎撮影)
ピアソン空港駅:トロント・ピアソン国際空港に隣接したUPエクスプレスのピアソン空港駅(2023年1月1日、大塚圭一郎撮影)

つっけんどんな指示で誤解に気づく

 プラットホームの先に停車していた新交通システムに乗り換え、私が乗るウエストジェット(カナダ)の航空機が出発する第3ターミナルに午後1時ごろ着いた。出発する午後2時半まで約1時間半があり「たっぷり時間がある」と思い込んでいたが、実は早計だった…。

 手荷物検査と出国手続きを終えたのは午後1時35分ごろ。航空機が出発する搭乗口へ向かおうと部屋を出た次の瞬間、私は己の誤解に気づかされた。

 隣には長蛇の行列ができた部屋が待ち構えており、入室するやいなや女性係員が「入国書類を持ってあそこに並んで!」とつっけんどんに列の最後尾を指さした。全般的におおらかなカナダらしくない指示だとため息をつき、係員の制服を眺めると「U.S.」の2文字が目に飛び込んできた。

 賢明な読者の皆様はご察知の通りだろう。米国の入国審査が待ち受けていたのだ。愚かなことに私は入国審査を受けるのがニューヨーク到着後だと信じ込んでおり、トロントでの所要時間に想定していなかったのだ。

“神風”に救われる

 航空機が出発する搭乗口に出発10分前までに到着する必要があるため、残された時間は約40分だ。ところが、前方に20人弱が並んでいる上になかなか進まない。

 中には背広姿の紳士然とした外見ながら「悪いな、出発時刻が迫っているんだ」と口にしながら人混みを押しのけ、列の先頭に割り込む猛者も。小心者の私はそこまで大胆な行動に移すことはできず、腕時計をにらみながら立ち尽くしていた。

 万事休すと思いきや、“神風”が吹いた。列が短くなっていた米国永住者らの入国審査を担当していた窓口の係員が気を利かせ、私たち外国人も対応してくれるようになったのだ。おかげで出発の20分ほど前に航空機の搭乗口に滑り込むことができた―。

 UPエクスプレスに乗車して気分がアップしたものの誤解に気づき、航空機を逃しそうなあっぷあっぷの状況に陥ったものの、タイムアップになる事態を免れるハッピーエンドを迎えることができた。しかし、もしもUPエクスプレスが定時運行への信頼に応えてくれなかったら万策尽きていたに違いない。次にトロントを訪れる機会は未定だが、中心部と空港を移動する足はもう決めている。

【UPエクスプレス】

UPエクスプレス:カナダ・トロント中心部を走るUPエクスプレスの列車(2018年5月22日、大塚圭一郎撮影)
UPエクスプレス:カナダ・トロント中心部を走るUPエクスプレスの列車(2018年5月22日、大塚圭一郎撮影)

カナダ東部オンタリオ州のトロントと周辺地区の公共交通機関を抱える公社「メトロリンクス」の鉄道。2015年7月にトロントで開催された4年ごとのスポーツ大会「パンアメリカン競技大会」を控えた15年6月に開業した。ユニオン駅とピアソン空港駅の間の通常運賃は片道12・35カナダドル(約1300円)、交通ICカード「PRESTO」利用ならば9・25カナダドル。

大塚圭一郎(おおつか・けいいちろう)
共同通信社ワシントン支局次長・「VIAクラブ日本支部」会員

1973年、東京都生まれ。97年に国立東京外国語大学外国語学部フランス語学科を卒業し、社団法人(現一般社団法人)共同通信社に入社。大阪支社経済部、本社(東京)の編集局経済部、3年余りのニューヨーク特派員、経済部次長などを経て2020年12月から現職。運輸・旅行・観光や国際経済の分野を長く取材、執筆しており、VIA鉄道カナダの公式愛好家団体「VIAクラブ日本支部」会員として鉄道も積極的に利用しながらカナダ10州を全て訪れた。

優れた鉄道旅行を選ぶ賞「鉄旅(てつたび)オブザイヤー」(http://www.tetsutabi-award.net/)の審査員を13年度から務めている。共著書に『わたしの居場所』(現代人文社)などがあり、CROSS FM(福岡県)の番組「Urban Dusk」に出演も。他にニュースサイト「Yahoo!ニュース」や「47NEWS」などに掲載されているコラム「鉄道なにコレ!?」、旅行サイト「Risvel」(https://www.risvel.com/)のコラム「“鉄分”サプリの旅」も連載中。

Stars on Iceバンクーバー公演開催、プロフィギュアスケーター宮原知子さんインタビュー

インタビュー後に写真撮影に応じてお茶目な一面を見せる宮原知子さん。2023年5月18日、バンクーバー市Rogers Arena。Photo by Michiru Miyai
インタビュー後に写真撮影に応じてお茶目な一面を見せる宮原知子さん。2023年5月18日、バンクーバー市Rogers Arena。Photo by Michiru Miyai
宮原知子さん(中央)共演者と一緒に。2023年5月18日、Rogers Arena, Vancouver。 Photo credit: Timothy Nguyen, Photo provided by Stars on Ice Canada
宮原知子さん(中央)共演者と一緒に。2023年5月18日、Rogers Arena, Vancouver。 Photo credit: Timothy Nguyen, Photo provided by Stars on Ice Canada

 世界で活躍するスケーターズたちによるアイスショー、スターズ・オン・アイス(SOI)が5月18日、バンクーバー市のRogers Arenaで開催された。日本からは宮原知子さんが、パトリック・チャンさん、キーガン・メッシングさん、ジェーソン・ブラウンさんなどのスケーターたちと共演。現役の頃と変わらない美しい演技を披露し観客の喝采を浴びた。

 実はこのバンクーバー公演、今シーズンで引退を表明しているカナダのレジェンド、カート・ブラウニングさんのカナダ国内最後のショー。共演者とのお別れのシーンには涙を誘いもしたが、ダブルジャンプやバックフリップなどを惜しげもなく何度も披露、最後までたっぷりファンを楽しませて氷上を後にした。

スターズオンアイス・バンクーバー2023に参加前の宮原知子さん。今回特別に対面でのインタビューに応じてくれた。2023年5月18日、バンクーバー市Rogers Arena。Photo by Michiru Miyai
スターズオンアイス・バンクーバー2023に参加前の宮原知子さん。今回特別に対面でのインタビューに応じてくれた。2023年5月18日、バンクーバー市Rogers Arena。Photo by Michiru Miyai

「スケートを好きで習っていると思うので、その気持ちを忘れないで」

 昨年競技選手としての活動を終えてすぐにSOIカナダツアーに参加した宮原知子さん。今年は2年目ということもありカナダ人メンバーとの息もぴったり。

インスタグラムでもとても楽そうにツアー中の写真をアップしている。そんな宮原さんにバンクーバー公演直前に話を聞いた。

―SOIカナダのツアー参加は2年目となりますが、いかがですか?

 とても楽しいです。去年は参加が初めてだったし、カナダ人選手ばかりの固くまとまったチームのなかに入っていったので少し緊張もあったのですが、皆さんとても優しく受け入れてくださって。今年はアメリカやヨーロッパの選手などインターナショナルなメンバーなので去年と違った新鮮な感じもあり、また違った良い仲の深まり方をしている感じです。

―ツアーでいろいろな都市を周りながらショーをするという体験はいかがですか?

 初めてのリンクに到着してすぐショーで滑る、というのも去年よりは慣れたと思います。各会場で氷の感じが違ったり、観客の方の反応が違ったりというのも楽しみながら滑ることができるようになりました。ツアー中は移動も多いし良いスケートができるように体のメンテナンスなどポイントを押さえて大切に過ごす日々ですがそれも慣れました。現地の食べ物を試すのが好きなので、都市ごとにいろいろな美味しいものを皆で食べに行くという楽しみもありますね。

Stars on Ice Canadaに出演の宮原知子さん。2023年5月18日、Rogers Arena, Vancouver。 Photo credit: Timothy Nguyen, Photo provided by Stars on Ice Canada
Stars on Ice Canadaに出演の宮原知子さん。2023年5月18日、Rogers Arena, Vancouver。 Photo credit: Timothy Nguyen, Photo provided by Stars on Ice Canada

―ショースケーターとして競技選手のときとは違った一面が見られるのを楽しみにしいているファンの方も多いと思います。

 去年よりはショーで演技をすることには慣れてきたと思います。競技をしていたときよりはいろいろなプログラムを披露する機会があって違った大変さはあるのですが、楽しいですね。

―今回のツアーでは好きな演目はありますか?

 ソロも大切にしていますが007が好きです!

(その時横のリンクでウォームアップを続けていたカート・ブラウニングさんが滑りながら「サトコ~」と声をかけて通りすぎる)

 (カートさんは)スケーターとしてはすごい方ですが、本当に明るくて楽しい方なんですよ!

―先ほど会場の外でちょうどスケートを習っている日本人の女の子たちがいて宮原さんの演技を楽しみにしていると話していました。彼女たちに何かメッセージはありますか?

 嬉しいですね。・・・そうですね、みんなスケートを好きで習っていると思うので、その気持ちを忘れないでということですね。きっと辛い時もあると思うのですが私が大切にしているのは、なぜそんな思いをしてまで続けているのかを忘れないでということですね。そんな時こそ改めてスケートっていいなと思えたらいいと思うので。

***

 メンバー中で日本人は一人という環境だが、皆とても仲が良いのでと笑顔を見せる宮原さん。この後は6月上旬までアメリカの都市もツアーで回る。

 「これからもできる限りいろいろなショーに出たいと思っていますし、SOIにもオファーをいただけるのなら出たいと思っています。自分の違ったー面を演技でどんどん見せていきたいですね」と話していた。

 最後にカナダの印象を聞くと「カナダのメープルシロップは本当に美味しいし、(バンクーバー島の名物)ナナイモ・バーも大好きなんですよ!」と実は甘党な一面を見せた。

出演スケーター全員で。2023年5月18日、Rogers Arena, Vancouver。 Photo credit: Timothy Nguyen, Photo provided by Stars on Ice Canada
出演スケーター全員で。2023年5月18日、Rogers Arena, Vancouver。 Photo credit: Timothy Nguyen, Photo provided by Stars on Ice Canada

(取材 Michiru Miyai)

後編は、キーガン・メッシングさんへのインタビューを紹介します。

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「全クラスが披露する1年間の集大成」バンクーバー日本語学校学習発表会

基礎科Bクラスによる北原白秋の詩「五十音」では一列に並んで1人ずつ詩を朗読。2023年5月20日、バンクーバー日本語学校。撮影:池田茜音
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小学4年生は教科書から「お手紙」を劇で発表。カラフルな小道具や大道具は生徒が協力して作った。2023年5月20日、バンクーバー日本語学校。撮影:池田茜音
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 バンクーバー市アレクサンダー・ストリートにあるバンクーバー日本語学校(VJLS)で5月20日、学習発表会が行われた。約250人の生徒が参加し、1年間に学んだ日本語や日本文化を発表した。さらにこの日会場には家族など300人が集まり、1年間の練習の成果を見守った。

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オープニングは生徒50人のよさこい鳴子踊り

基礎科Bクラスによる北原白秋の詩「五十音」では一列に並んで1人ずつ詩を朗読。2023年5月20日、バンクーバー日本語学校。撮影:池田茜音
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 発表会は基礎科クラスの合同による、よさこい鳴子踊りで幕を開けた。約50人の生徒が鳴子を鳴らしながら元気に演舞を披露する姿に、岡垣首席領事も「かわいいですね」と顔をほころばせた。

 小学校就学前のキンダークラスから始まり、小学科~高等科、アダルトクラスとクラス順に1年間の学習の成果を披露した。キンダークラスでは、「ちいさな世界」「たのしいね」をカスタネットや太鼓などの楽器を使って演奏。キンダークラスは午前と午後のクラスに分かれており、クラスが一緒になって演奏をするのはこの日が初めてだったが、息のあった元気いっぱいの演奏と合唱で観客を魅了した。

 小学5年生はこの日二分の一成人式を行った。成人まで残り10年という節目に、一人ずつステージに立ち将来の夢を発表。将来パン屋を開きたいと発表した生徒は、そのためにビジネスの勉強が必要だが、まだ少し早いので今できることを精いっぱいやりたいと話した。生徒たちはそれぞれの夢を叶えるために今なにをがんばりたいのか、なにが必要なのかを考え、これからの計画を共有した。

バンクーバーで日本文化をより深く

烏と鳥の漢字のちがいは?など広くて深い漢字の成り立ちや意味を発表する中学1年生。2023年5月20日、バンクーバー日本語学校。撮影:池田茜音
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 バンクーバー日本語学校では中学、高校生向けにクラブ活動も行っている。休憩をはさんだ第2部ではダンス部のメンバー2人が三味線音楽に乗せて軽やかなヒップホップダンスを披露した。

 中学2年生による落語もおもしろい。笑点でおなじみのテーマ曲「笑点のテーマ」で始まり、幕が開くと座布団に正座した生徒たちの登場で会場の雰囲気は一気に日本のお茶の間に。落語についての説明のあと、まんじゅうを食べたり蕎麦をすすったりするしぐさを身振り手振りで表現した。うまく表現したクラスメートには「座布団2枚!」と言いながら他のクラスメートの座布団を移動させたりと観客の笑いを誘う場面も。

 高校3年生にとっては今回が卒業前最後の発表会となった。ニュース番組の設定で2人のキャスターが学校内のニュースをリポートし、その他のクラスメートがそのようすをステージ上で再現。発表の最後には3年生から先生やランチを作ってくれるキッチンママにむけて「今までありがとうございました」と感謝の言葉を伝えた。

「未成年の主張」と題し思いの丈を叫ぶ高校3年生。ランチを作ってくれるキッチンママに対し、「たまには牛丼が食べたーい!」と笑いを誘いつつも「いつもおいしいご飯をありがとう」と感謝を述べた。2023年5月20日、バンクーバー日本語学校。撮影:池田茜音
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薄紙を重ねるように少しずつ

 「2週間前に予行練習をしたんですが、あまりうまくいかなかったので心配だったんですけど、それから2週間でものすごくまとまってきていたのでよかったなと思いました」と話す藤井清子校長。週に一度の授業で学んだことの定着が難しいなかで、生徒が練習してきたことをうまく発揮できることを一番に考え準備を進めてきた。

 閉会のあいさつでは、「薄紙を重ねるように毎週毎週少しずつ上手になっていく過程を観るのがとても楽しみでした。その中で生徒たちはクラスメートと気持ちを合わせて励ましあうことをこの学習発表会で学んだのではないかと思います」と毎週の授業の積み重ねで成長を見せる生徒たちの姿に、涙をにじませながらも笑顔で締めくくった。

バンクーバー日本語学校

1906年開校、カナダの日本語学校で最も古い歴史をもつ。
毎週土曜日の昼間と平日の夕方に開講、プログラムは継承語として日本語を学ぶ普通科と、外国語として日本語を学ぶ基礎科がある。日本語だけでなく、日本文化の習得にも力を入れている。https://vjls-jh.com/ja/

(取材 池田茜音)

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