東京とカナダからSDGs活動ー「東京のCO2削減で都内観光を推進する会」の佐藤理事長に聞く

11月にエコ啓発イベントを行った。Photo courtesy of 東京のCO2削減で都内観光を推進する会
11月にエコ啓発イベントを行った。Photo courtesy of 東京のCO2削減で都内観光を推進する会

 「Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)」の略、SDGs。2015年に国連サミットで採択されたよりよい世界を目指す国際的な目標で、気候変動や環境問題の取り組みをはじめ、17の目標と169のターゲットを掲げている。

 このSDGに賛同して、特に二酸化炭素(CO2)排出量削減と、同時に東京都の観光推進を目指すという取り組みをしている、非営利団体(NPO)「東京の CO2 削減で都内観光を推進する会」の理事長、佐藤広樹さんに話を聞いた。

 佐藤さんはカナダではGIFTS AND THINGS(バンクーバー市)、Whistler Smile Gift(ウィスラー)を経営している。会は昨年11月にも東急プラザ表参道や新宿マルイで環境問題の啓発イベントを行った。イベントを通して感じた、環境問題についての受け止め方の印象など。

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- 11月のイベントでの啓発の取り組みについて詳しく教えてください。

環境を意識しているオールバーズのステッカーを配布した。Photo courtesy of 東京のCO2削減で都内観光を推進する会
環境を意識しているオールバーズのステッカーを配布した。Photo courtesy of 東京のCO2削減で都内観光を推進する会

 一般の方々にエコに興味を持っていただくために、くじ引きでカナダのエコグッズを配布してグッズを説明するとともに、会のSNSフォローをお願いしました。エコグッズに加えて、パタゴニア、フェールラーベン、オールバーズのような環境を意識しているブランドのステッカーを配り、紹介しました。

 オールバーズ様やフェールラーベンを販売するYSインターナショナル様には応援もしていただいています。パタゴニア様にも私たちがイベントで商品を展示し紹介することに許可をいただいています。

 ほかにもエコなものを作っている会社や、取り組みをしている会社の参加を募り、提供いただいた商品やポスターなどをイベントで展示しました。

エコへの関心が高いのはZ世代など若い人

- イベントの反応について教えてください。

 生分解性で環境にやさしいディッシュクロスや、ビーズワックスを用いたエコラップなどに興味を示していただきました。

 今回は表参道と新宿の商業施設でイベントを行いましたが、若い方のほうがエコに関心が高かったです。いわゆるZ世代の人たちの多くが、地球や環境に良い生活に興味を持っています。

 一方で、東京の若者はファッションブランドには強くても、サスティナブルなブランドを知らない人も多くいることがわかりました。カナダでは一般的なので、このギャップには驚きました。

 そこで、サスティナブルなブランドの紹介を強化していくことが環境に対する意識を広める近道だと思っています。また、サスティナブルな意識が若者の文化になることが、未来の地球のためには良いことだと信じて、活動を続けていきます。

若い人たちの関心を引いた、カナダからのエコグッズ。Photo courtesy of 東京のCO2削減で都内観光を推進する会
若い人たちの関心を引いた、カナダからのエコグッズ。Photo courtesy of 東京のCO2削減で都内観光を推進する会

- バンクーバー市では1月1日から、プラスチック製レジ袋(プラ袋)の使用が禁止になりました。日本のプラ袋使用の状況について教えてください。東京都はどうなっていますか?  

 日本では2020年7月1日から、全国一律でプラ袋の有料化が実施されました。

 東京都でも有料化になっていますが、さらに「一度限り使用して捨てられる資源、使い捨て型ライフスタイル」の見直しの象徴として、都ではプラ袋削減についてのキャンペーンも進めているところです。

 私のバンクーバーの店舗(GIFTS AND THINGS)では、市の条例どおりプラ袋をやめて紙袋を有料で提供しています。すんなりプラ袋廃止ができてしまうことに、カナダと日本の行政のギャップを感じます。

- そのほか、CO2削減運動を展開している上で、感じていることがあれば教えてください。

 東京では環境問題に関して、地域により温度差があります。渋谷区や新宿区などは、イベントをしたいとモールなどに話を持っていくと、反応が良いのですが、関心を示していただけない地域もあります。

 関心を持ってくれる地域への発信を続けながら、都内全域への活動に拡大していきたいと思っています。

非営利団体(NPO)「東京の CO2 削減で都内観光を推進する会」の理事長、佐藤広樹さん。Photo courtesy of 東京の CO2 削減で都内観光を推進する会
非営利団体(NPO)「東京の CO2 削減で都内観光を推進する会」の理事長、佐藤広樹さん。Photo courtesy of 東京の CO2 削減で都内観光を推進する会

- 「東京のCO2削減で都内観光を推進する会」について。設立はいつでしょう。

 2021年10月27日です。

- 名称を見たところ会の目的は「CO2削減運動」ということでしょうが、目指していること、さらに都内観光の推進とのつながりについて教えてください。

 会では
・CO2削減のイベント(緑化運動、プラスチック削減)
・カナダで普及しているプラスチック代替商品などを紹介して、地球温暖化防止活動を推進
・これらにより、東京の地域活力やブランド力を向上させて、クリーンな島国日本の首都東京の魅力をSNSやオンラインにて恒常的に発信
・発信により国内外からの訪問客を増やすことで、東京の経済活動活性化を図る
・同時に、環境先進都市の推進、新産業の開発や創造の支援
を定款の目的に掲げています。

 今後、東京の魅力をSNSやYoutTube などで、国内外に配信することに力を入れていく予定です。会員はカナダと東京にいるので、両方から発信しています。

 - 佐藤さんの活動への思いについて。

 以前からバンクーバー店で環境に良いエコグッズ商品のコーナーを作り、エコグッズの販売やプラ袋削減に努めてきました。未来の地球を大切にしたい気持ちで、私にできることをこれからも取り組んでいきます。

- まずはショッピングモールで啓発イベントを行うことが中心になりますか?

 都内ショッピングモールでの催事や店舗の出店は会を設立する前、2010年以降、毎年開催しています。NPOで私のできることとして、現在、都内のショッピングモールに来る一般の方々に啓発活動をしていますが、今後は企業向けにプラ袋廃止の説明会や企業向けの展示会で啓発活動をする予定です。

 Googleのグラントも認められたので、プログラムを利用して活動に賛同する人や企業を募っていきます。

「東京のCO2削減で都内観光を推進する会」
https://www.tokyo-co2.com/

(取材 西川桂子)

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