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Naomi Mishima

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「和の学校@東漸寺*10月のお知らせ」

和の学校@東漸寺*ワークショップ&教室情報*

「着付教室」

10月1日、15日(日曜日)
午前10時~午後2時の間 (教室は1時間半) 地下道場又は本堂にて
*日時について変更もございますので、その都度ご連絡をいただけましたら幸いです。
参加費 $20/回
茶話タイム 午後12時~1時

「殺陣教室」

10月8日、22日、29日(日曜日)
午前10時~午後2時 地下道場にて
参加費 $20/回
通常は2つのクラスがございます。
「殺陣*お稽古&俳優コース」「殺陣*初回&基礎コース」

「お寺deダンスワークショップ開催!」

10月15日(日)午後1時&午後2時半
子供から大人まで、楽しくダンスやエクササイズをしませんか。

 テーマ「ハロウィーンパーティー2023」

●午後1時〜2時 (親子でダンス!対象年齢 3歳~7歳) 
参加費:$12/お子様おひとり 保護者:無料)

●午後2時半〜3時半(大人と子供一緒にダンス! 対象年齢8歳以上) 
参加費:$12/お子様おひとり(8歳~12歳)$14/大人(13歳以上)

●同時開催のお知らせ:七田キッズアカデミーご紹介ワークショップhttps://shichidacanada.com 午後1時~2時半 お寺玄関ホールにて

詳しくは和の学校@東漸寺ページからご覧ください。 https://wanogakkou.jimdofree.com/

お問い合わせ、お申し込み

コナともこ

和の学校@東漸寺 tands410@gmail.com
東漸寺TOZENJIホームページ https://tozenjibc.ca/
住所 209 Jackson st. Coquitlam

日系文化センター・博物館から10月のイベントのお知らせ

日系文化センター・博物館
Nikkei National Museum & Cultural Centre
6688 Southoaks Crescent, Burnaby BC V5E 4M7
TEL 604.777.7000 
info@nikkeiplace.org   www.nikkeiplace.org
受付・ミュージアム営業時間:火~土 午前10時~午後5時 休館日:日月祝

イベント

日系ガーデン・ファーマーズ・マーケット

10月8日と22日(最終日)午前10時〜午後2時

産地直送の農産物やローカルで手作りされた美味しい食べ物、そして地元の作家による心のこもったハンドメイド品が並びます。ガーデンでのんびりと、マーケットをお楽しみください。ハロウィンにちなんだアクティビティや新書紹介イベントなどを企画しております。

秋の古本市・クリアランスセール

10月3日(火)よりスタート

毎週火曜日から土曜日、午前11時から午後3時

10月8日(日)と22日(日)はファーマーズマーケットに合わせて10時から2時まで営業。

マンガ・絵本・文庫本・単行本・DVDなど全部1ドル!お得なセットまとめ売りもあります。読書の秋を楽しみましょう。

只今、古本の受付を停止しておりますので、ご理解のほどよろしくお願いいたします。

 「超絶技巧の日本」展プレビューパーティー

11月4日(土)

午後1時から午後4時まで

$30(税金と手数料別途)

抹茶のサービス、軽食、ノーホストバーあり。

「超絶技巧の日本」展のオープニングを祝して、優雅な午後のひと時を過ごしませんか。

三堀栄純「菓道一菓流」

11月4日(土) 午後7時~8時半

開場: 午後6時

チケット: $40(税と手数料別途)、NNMCCメンバーは20%割引

銀髪と全身黒の着物で知られる、先駆的なアーティスト、三堀栄純氏とともに、和菓子の魅力に触れてみませんか?伝統的な和菓子が、三堀氏の手によって劇的なスペクタクルへと変身します。また、マスタークラスを11月5日、6日、7日に開催します。詳細はウェブサイトをご確認いただくか、お電話でお問い合わせください。centre.nikkeiplace.org | 604.777.7000

プログラム

日系センターでは、日本語でのプログラムも開催しております。柔道や合気道、習字クラブ、歌声喫茶、日本舞踊、囲碁クラブ、そろばん、和太鼓、フラダンス、ラインダンス、バドミントン、ピクルボール、シニアカラオケなど、ぜひご参加いただければ幸いです。

将棋プログラムが再開

日本将棋連盟・カナダ将棋支部による将棋プログラムが再開されます。初心者の方歓迎、一緒に将棋を指しませんか。指導は英語と日本語の両方で受けられます。予約不要。開催日時 : 10月から12月の第一土曜日 (10月7日、11月4日、12月2日)、10am-12pm。参加費 : 一般 $5 。メンバー 無料。

KIZUNA(絆): 繕い物 、初心者

10月7日、14日、21日、28日

午前9時20分から午前10時20分

ドロップイン料金:$5

古着を修繕し、リフォームして新しい命を吹き込みましょう。

日系センター・シニアラウンジは、毎週水曜日の午後12時から3時まで、シニアの方々を対象とした無料プログラムです。シニアの皆様が気軽に集まり、リラックスし、かつ健康増進を促進する活動を楽しむ場所を提供します。ボランティアがエクササイズの指導やパソコン、スマートフォン、その他デジタル製品に関する質問に答えたり、年齢に合った環境への適応方法や、自分らしい人生を送るためのサポートも行います。セミナーは毎月第二水曜日に行われ、10月11日(水)は「住宅とケアの選択肢」について行われます。ぜひご参加ください。

展示 

常設展:「体験:世代を超えて受け継がれる、困難を乗り越え立ち上がる力」

日系人の歴史を日本語で紹介しています。2階入場無料 。特別展示ギャラリーは10月は展示替えのためお休みです。11月7日より『超絶技巧の日本』展が無料公開されます。

日系ブックストア

10月は週5日間、火曜日から金曜日の午前11時から3時まで営業しています。只今、古本の受付を停止しておりますので、ご理解のほどよろしくお願いいたします。

ミュージアムショップ

日系の歴史の書籍、日本からの輸入品、地元作家によるハンドメイド品を取り揃えております。お気軽にお立ち寄りください。

会員募集
日本文化と日系人の歴史をサポートしましょう。会費収入は施設の維持費、展示、イベント、プログラムの充実に活用されます。会員の皆様には割引特典があります。

ハロウィンイベント満載の10月までのイベント

Farmers Market down town Vancouver, B.C. Photo by Pacific Walkers
バンクーバーダウンタウンのファーマーズマーケット。Photo by Pacific Walkers
宮崎駿監督作品「君たちはどう生きるか(英題:The Boy and the Heron)」より。Photo courtesy of VIFF
宮崎駿監督作品「君たちはどう生きるか(英題:The Boy and the Heron)」より。Photo courtesy of VIFF

 ハロウィンの季節がやってきた。メトロバンクーバーでもハロウィンイベント満載。また、バンクーバーでは9月28日から映画祭が開催され、華やかな10日間となる。10月末までのイベントをまとめました。

9月~10月のイベント

9月28日~10月8日 バンクーバー国際映画祭-バンクーバー最大の国際映画祭。例年、俳優たちがレッドカーペットを歩く町が華やぐ10日間。

9月29日・30日 Mid-Autum Moon Festival-バンクーバー・チャイナタウンにある中山公園で開催される中秋の名月を楽しむフェスティバル。今年で37回を数える。https://vancouverchinesegarden.com/

9月29日・30日 Harvest Haus 2023-バンクーバーのオクトーバーフェスト。PNEで開催。19歳以上限定。https://harvesthaus.com/

9月30日 Canada’s National Day for Truth and Reconciliation-カナダの祝日。先住民族の人々への理解と調和を目指すために設定された。全国各地でさまざまなイベントが行われる。

9月30日 スコーミッシュ・ハーベストムーン・フェスティバル-スコーミッシュで開催されるフェスティバル。https://constellationfest.ca/

9月30日 バンクーバー・ホワイトキャップス対DCユナイテッドhttps://www.whitecapsfc.com/

10月4日 バンクーバー・ホワイトキャップス対セントルイス・シティSChttps://www.whitecapsfc.com/

10月21日 バンクーバー・ホワイトキャップス対LAFChttps://www.whitecapsfc.com/

秋まで開催されている長期イベント

Farmers Market down town Vancouver, B.C. Photo by Pacific Walkers
バンクーバーダウンタウンのファーマーズマーケット。Photo by Pacific Walkers

3月18日~9月16日「詩が生まれる場所」展-日系文化センター・博物館。https://centre.nikkeiplace.org/

4月28日~10月9日 Richmond Night Market – 毎年夏に開催されるナイトマーケット。開催日は金・土・日と祝日。バンクーバー国際空港のすぐ南、スカイトレインで行くのが便利。http://richmondnightmarket.com/

5月12日~9月15日 Shipyards Night Market – ライブ音楽やフードトラックが並ぶノースバンクーバーのナイトマーケット。対岸にダウンタウンを見ながら楽しめる。毎週金曜日開催。https://shipyardsnightmarket.com/

5月6日~ Artisan Farmers Markets 2023 – ロンズデール(ノースバンクーバー)、アンブルサイド(ウエストバンクーバー)、バーナビーで、毎週土曜日に開催。10月まで。https://www.artisanmarkets.ca/

5月7日~ Vancouver Farmers Markets 2023 – キツラノ(毎週日曜日)、ウエストエンド(毎週土曜日)、マウントプリザント(毎週日曜日)、ダウンタウン(毎週水曜日)で開催。詳しくはウェブサイトをチェック。https://eatlocal.org/

ハロウィンイベント

Fall at the Farm-Maan Farms
9月21日からハロウィンアトラクションを開催。https://maanfarms.com/pages/fall-at-the-farm
9月29日からは「カナダで最も怖いコーンメイズ」を誇るHauntedも始まる。https://www.scariestcornmaze.com/

Harrison Pumpkin Festival
9月29日~10月29日まで開催。https://harrisonsunflowerfest.com/pumpkin-fest/

フライト・ナイツ(Fright Nights)
ハロウィンと言えば定番のプレイランド・アミューズメント・パーク(PNE内)で開催されるフライト・ナイツ。
10月31日まで開催。https://frightnights.ca/

バンクーバー・ホラー・ナイツ(Vancouver Horror Nights)
コキットラム・センターがハロウィンになるとその一部がお化け屋敷へと姿を変えるイベント。10月31日まで。https://vancouverhorrornights.com/

パンプキン・アフター・ダーク(Pumpkins After Dark)
6000個以上のライトアップされた手作りパンプキンデコレーションを音楽ともに楽しめる。10月6日~31日。https://pumpkinsafterdark.com/burnaby/

セレブレート・ザ・ナイト(Celebrate the Night)
ハロウィンを祝うだけでなく、多種多様な文化を持つ人々が共に集まり秋を楽しむ。10月20日。https://www.mapleridge.ca/1758/Celebrate-the-Night

キャニオン・フライツ(Canyon Frights)
キャピラノ・サスペンションブリッジ・パークで開催されるハロウィンイベント。10月13日~31日。https://www.capbridge.com/events/canyon-frights/

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9☆「8才」と「8歳」どっちが好き?

 日本語を教えるにあたり、特に初級レベルでは中国人生徒は比較的楽である。漢字を書けば、もちろん発音はまるで違うが、意味は分かってくれるのでとても助かる。でも全然意味が違う漢字もあり要注意だが、「手紙」が「トイレットペーパー」などは思わず笑ってしまう。

 そんな中国人の上級者から、漢字に関する思いもよらぬ質問を受けた。日本語はなぜ年齢に「才」を使いますか? である。最初は質問の意味がよく分らなかったが・・・、日本語は年齢の数え方に「歳」と「才」両方使っているが、中国語の「才」には年齢などの意味はなく、年齢表記の「8才」などを見たときびっくりしたとのこと。えー、ホント。こちらもびっくり。

 早速、日本語堪能な中国の友人に聞いてみた。すると皆さん、日本語学習の最初のころは「8才」など意味が分からず驚いた記憶があるとのこと。うーん、なるほど。

 でも、日本人は「歳」と「才」の両方の漢字を当たり前のごとく使っている。理由などマジで分からないが、「歳」は難しい漢字で、「才」はやさしい漢字、何となく「歳」の略字としてこの「才」を使っていたようなおぼろげな記憶がある。

 そこでしっかり調べてみたくなり、ほこりをかぶった日本語大辞典を引っ張り出した。この「才」は才能とか天才などに使われているが、確かに年齢などの意味は載っていない。しかし最後に、略式に「歳」の代わりに用いる、とある。えー、びっくり。略字ではなく、略式として日本人が勝手に使い始めたようで、中国人は驚くはずである。

 さらに詳しくチェックしてみると、「才」は小学校低学年で、「歳」は中学で習うが、画数も多く難しい。そこで意味は関係ないが、読み方は同じ「サイ」なので、かなり昔から小学校ではこの「才」を「歳」の代わりに使うことにしたとのこと。うーん、とてもややこしいが何となく納得。でも今まで、こんなことも知らず、日本語教師として恥ずかしい限りなり。

 確かに「8才」なら、あどけなさも感じるが、「80才」はさすがに落ち着かず、「80歳」が大人の正式な書き方である。

 でも意識的に、来年やっと「80才」になります、などと書いて、少しでも若さを示そうと意気込んでおり・・・、ご愛嬌ということで。

矢野修三(やの・しゅうぞう)
1994年 バンクーバーに家族で移住(50歳)
YANO Academy(日本語学校)開校
2020年 教室を閉じる(26年間)
現在はオンライン講座を開講中(日本からも可)
・日本語教師養成講座(卒業生2900名)
・外から見る日本語講座(目からうろこの日本語)    
メール:yano@yanoacademy.ca
ホームページ:https://yanoacademy.ca

Anatomy of a Fall(ジュスティーヌ・トリエ監督)犯罪ミステリーの影にある国際結婚夫婦の確執の物語

「Anatomy of a fall 」より。Courtesy of VIFF
「Anatomy of a fall 」より。Courtesy of VIFF
「Anatomy of a fall 」より。Courtesy of VIFF
「Anatomy of a fall 」より。Courtesy of VIFF

 バンクーバーでも国際映画祭(VIFF)がいよいよ始まりましたね!映画好きの皆さんならカンヌ、ベルリン、ニューヨークと世界各地で開催されている映画祭のニュースを追いながら、気になっている作品がバンクーバーでも観られる日を心待ちにされていたのではないでしょうか。

 今回ご紹介する作品「Anatomy of a Fall」は、カンヌ国際映画祭で最高賞のパルムドールを受賞した注目作。嬉しいことにVIFFでも2回の上映が予定されているのでよければご覧になってみてください。

 あらすじ-フランスの山間の家で暮らすフランス人の夫サミュエルとドイツ人の妻サンドラ、そして盲目の息子ダニエル。ある日サミュエルが屋根裏の窓から転落死、事故か他殺か分からないまま妻に殺人の嫌疑がかけられ裁判が始まる。現場にいたのはサンドラと第一発見者のダニエルのみ。裁判を通して次々と明るみにされる夫婦間の軋轢。妻は夫を殺したのか?それとも・・・?

 法廷で夫婦の確執や親としての葛藤などプライベートな問題を次々と検察に明かされ激しい追及を受けるサンドラ。夫より成功している妻、夫以外と性交渉を持ったことがある妻、そして仕事がうまくいかず悩んでいた夫の姿などがどんどん浮き彫りに。その裁判の過程を見てタイトルにある「転落の解剖」が実は夫婦関係の「転落」も意味していたのか、と気づかされます。これは犯罪ミステリーでありながら、夫婦の物語でもあったんだ、と。

 印象的だったのは、サミュエルが2人の共通言語である英語での生活をストレスに思っていると怒り、対するサンドラも母国を離れてフランス人に囲まれて暮らすことを我慢していると訴えるシーン。そしてフランス語中心の裁判中にサンドラが「英語でよいですか」と頼むシーンもあったり、国際結婚と海外暮らしのリアルな描写がふたりのストレスをよく表しているなと思いました。

 主演のサンドラ・フラーの演技はとても説得力があり、ある瞬間は実は彼女が犯人かもと思わせ、次の瞬間はいや無実だろうと応援したくなったりと圧倒されっぱなしでした。すごい女優さんだなと思ったら、なんと彼女は同じくカンヌで次点にあたる審査員特別賞(グランプリ)を受賞した「The Zone of Interest 」(ジョナサン・グレイザー監督)にも出ており、人間の底知れぬ恐ろしさを見せてくれています。こちらもVIFF で上映されるのでよければご覧になってみてください。

 「Anatomy of a fall 」は9月30日と10月3日に上映。VIFFは10月8日まで開催です。上映スケジュールはhttps://viff.org/でご確認を。

「Anatomy of a fall 」より。Courtesy of VIFF
「Anatomy of a fall 」より。Courtesy of VIFF

Lalaのシネマワールド
映画に魅せられて

バンクーバー在住の映画・ドラマ好きライターLalaさんによる映画に関するコラム。
旬の映画や話題のドラマだけでなく、さまざまな作品を紹介します。第1回からはこちら

Lala(らら)
バンクーバー在住の映画・ドラマ好きライター
大好きな映画を観るためには広いカナダの西から東まで出かけます
良いストーリーには世界を豊にるす力があると信じてます
みなさん一緒に映画観ませんか!?

カナダから日本を応援:『太平洋を跨ぎBC州と日本を繋ぎながら、誰もが取り残されない学びの場作りを目指す』

At Woodlands Memorial Garden (写真:AK Jump Educational Consulting Inc.)
At Woodlands Memorial Garden (写真:AK Jump Educational Consulting Inc.)

1)Everyone is Welcomeのカナダインクルーシブ教育研修ができるまで

ウエストバンクーバーを拠点にする教育コンサルティング会社主催(AK Jump  Educational Consulting Inc.) 主催の、探究型研修:『Pro-Dツアー:カナダインクルーシブ教育を学ぶ』、2023年3月末に、日本での、障がいの有無なく誰もが学べる普通学級作り、インクルーシブ教育の実現を目指して 開催された。

日本全国から約20名の個人参加で、学生、教育、自立支援団体、政策、福祉関係者達が参加。研修後の昨今ではインクルーシブ教育実施に向けて日本各地で多様な行動を積極的に起こすポジティブな市民の草の根推進活動の波及効果が起こっている。

その横で大きな岩を動かそうと国会や自治体も動き出している。障がいを持ちながらも国会で活躍する参議院議員の木村英子氏が、5月のある国会審議でインクルーシブ教育実施の重要さを説いた。国立市教育委員会は、東京大学大学院教育学研究科(バリアフリー社会作り研究をする)と協力協定を結び、人権委員会も設ける予定だと発表をしたのだ。これは大変画期的な動きである。

『行動に変える勇気』を参加者さんに培ってもらえ、カナダと日本を結ぶ教育のパイプラインができたことが、今回の研修の一番の産物であったと、心から嬉しく思う。

多種の個別最適なサポートが誰でも受けられ、公正に可能性にアクセスできるカナダの教育システムは日本も見習うところが沢山ある。これによって多様な才能を持ちながらも、埋もれてしまっているたくさんの子供達が輝いていける。誰もが学びの中心に、と掲げるカナダのインクルーシブ教育方針は注目すべきである。年齢、性別、障がい、経済層、宗教、民族など関係なく誰もが近所の学校で学べる権利が保障されているのだ。つまり、偏差値や発達障害検査値などの数値で、又は障がいの有無などで、学校を決めなくてよい。又、選ばなくてもいい権利が法律で守られている。人権や人権擁護がしっかり保障されるという基本が国の教育方針に埋め込まれていて、それゆえに学校側は色々な支援を普通学級という一つの舞台ですることを基本にして、すべての生徒達を受け入れる体制である。ちなみに、基本BC州の公立の学校には普通学級しかないから、特別支援学級と呼ばれているクラスは存在しない。

日本の教育現場は残念ながら、特別支援学校、特別支援学級や通級と称し『分けている学校や学級』のほうがまだまだ多い。2022年に国連から分離教育は差別だから直ちにやめるようにとの勧告も出ているのだが、全国でのインクルーシブ教育実現に向けての動きはかなり遅く、逆走気味のところもある。2022年4月27日文科省は「特別支援学級及び通級による指導の適切な運用(参照文献:https://www.mext.go.jp/content/20220428-mxt_tokubetu01-100002908_1.pdf)について」という通知を全国の教育委員会にしたのだが、その通達に従うとなると、障がいを持つ子供達が普通学級で受けられる授業時間数が今までに比べて減ってしまい、それにより分離教育がかえって促されてしまう可能性が高い。大阪府豊中市の南桜塚小学校のような全くカナダに引けを取らないインクルーシブ教育を50年続行している学校もあるのも忘れてはいけないのだが、「4.27通知」によりこの学校の将来展望にも影が刺してしまっている。大阪府の当事者の保護者たちからは撤回を求める声も上がっている。

そんな日本に何かカナダでできることを求めて、両国の現役教師、元特別支援学校教師、元教師などを含んだVanvoucver Professional Development Team(VPDT)を結成し、世界でも最先端をいくと言われているカナダBC州のインクルーシブ教育を日本に紹介したいと、2023年3月に一週間の視察研修の企画に踏み切った。

研修は、人種や障がい者差別が横行していたカナダの歴史にも触れ、なぜインクルーシブ教育がカナダ国策として使われたかということから入っていくように設定。実際に日系移民の街スティーブストンやウッドランズメモリアルガーデン(ウッドランズスクールは1996年に閉鎖された精神病院で多くの精神障がいがある子供達が隔離されていた施設)を訪問して、過去を振り返った。そして、ウエストバンクーバー教育委員会インクルーシブ教育指導部長、ノースバンクーバー学区評議員長、リッチモンド本間留吉小学校校長、社会福祉専門・研究家や当事者の保護者、Education Assistant経験者などが登壇協力をしてくれた。分離教育が主流だった過去も振り返り、戦後40年以上かけて作ってきたBC州インクルーシブ教育システムについてのセミナーや討論会を実施した。

その並びで小学校、中学校、高校、地域の図書館やバリアフリーの福祉医療研究施設(ICORD: International Collaboration on Repair Discoveries, the Interdisciplinary Research Center)やバンクーバー公共交通機関、スカイトレインやバス乗降を体験見学して、一週間通しインクルーシブ教育環境について日本からの参加者さんたちといろんな方向から一緒に考えた。発達障がい者をもつ日系家族を支援するTwinkle Stars代表、バーンズちぐささんからはカナダの充実した自立支援制度についての話を二時間半たっぷり聞いた。日本で現役公立小学校教員をする運営企画側の一人は、昨年までカナダでEducational Assistant(EA)をされており、特にBC州でのインクルーシブ教育現場でのEA経験と西洋から生まれたインクルーシブ教育の概念を日本の人たちに分かりやすく図式を用いて語ってくれた。

研修から得るものは決まった答えがないもので参加者個々のペースに委ねられた。参加者(バックグランドは様々で、教育関係者、政策関係者、福祉関係者、大学生、障がいを持つ当事者さん達とその介助士さん達、4才の息子さんとの親子参加有)がそれぞれのゴールに向かって短期、中期、長期で目標を考え出していった。『答えのない教室』(Thinking Classrooms)という数学指導法認定講師である、梅木卓也氏(現役バンクーバー高校数学教師)とバンクーバーでCOOP留学中の遠藤弘樹氏(元横浜市高校英語教師)の二人が探究型研修のナビゲーターを務めた。梅木氏は『答えのない教室を』を開会式のアイスブレーカーで実施し、簡単そうに見えて実は難しい、自然な形で考えずにはいられない数学問題にグループごとに取り組んでもらった。取り組み中に言い方を工夫することで円滑なコミュニケーションを図ることも目的とされた。遠藤氏は最終日にそれぞれが出した目標をアウトプットしていくアクティビティとその発表会、そしてその後に参加者同志の交流会に繋いだ。当事者、教育関係者、政策関係者、研究者、活動家といった多様な研修仲間が、インクルーシブ教育の波を起こしたいと、かなり熱くなった。

研修の前には、日本でのインクルーシブ教育の実現の困難さで消沈気味な気持ちを持ち、それをかなり悲観的に共有してくれた参加者も結構いた。この時、はっきり言って、実現に向けて日本の最前線で活躍している方々がこれでは『実現なんて到底無理じゃないか』と感じたのも本音である。はてさて、この研修はどうなるのやらと怪しい雲行きの気配がした。

続く…

寄稿者:高林美樹

高林美樹

プログラムプロデューサー、AK Jump Educational Consulting Inc. Founder
ウィスラーマルチカルチュラルソサエティ理事
Japanese New Immigrant Committee(JNIC:新移住者委員会)委員
West Vancouver School District Parent Committee, Equity Diversity Inclusion, メンバー

NY、ロンドンなど合計28年の海外生活で大学院修了、出産、子育てを異文化で経験し、人権を重んじた海外の共生社会、“誰もが取り残されない環境“に助けらてきた。2022年に留学・教育コンサルティング会社起業。グローバルリーダー養成、地域とつながるボランティア、文化継承企画をオンラインで多創出。National Association of Japanese Canadians(NAJC)/JNIC委員、共生社会推進団体理事を務め、日加交流活動を通し、インクルーシブで多様な人とひとを繋ぎ社会課題解決策を生み出し、コミュニティ繁栄を目指す取り組みに全力投球中。カナダと母国日本を結び、両国の人々の信頼関係を強め、ともに公正な社会で幸せに暮らせるように貢献することを常に目標としている。
*NAJCは1947年に設立された、日系コミュニティを代表するカナダで唯一全国組織で人権擁護と多様性あるコミュニティ作りを推進。傘下に戦後の移民中心に日本語で活動する新移住者委員会(JNIC)が昨年発足。

連絡先: Miki@akjump.ca
HPリンク: https://akjump.ca

「静かな元気をくれる」映画『アンダーカレント』今泉力哉監督インタビュー

演技派女優の真木さん。「アンダーカレント」より。©2023"Undercurrent”FilmPartners
演技派女優の真木さん。「アンダーカレント」より。©2023"Undercurrent”FilmPartners
今泉力哉監督。Photo courtesy of Kadokawa Co./VIFF
今泉力哉監督。Photo courtesy of Kadokawa Co./VIFF

 今泉監督には独特の個性がある。俳優やファッションデザイナーのような雰囲気があり、監督にとどまらない多面性を感じさせる。それもそのはず、彼はNCU(名古屋市立大学芸術工芸学部)を卒業し、吉本お笑い芸人養成学校、ニューシネマ映画学校など複数の映画勉強を経て、映画館でのアルバイト、映画監督/俳優養成学校への就職、先輩監督の俳優ワークショップアシスタントなど、さまざまな角度から映画の勉強と経験を積んできた監督だからだ。

 20本に及ぶ長編映画の他に、短編映画、テレビドラマ、ウェブドラマ、ミュージックビデオ、プロモーションビデオなど製作幅が広く、代表作として「Sad Tea/サッドティー」「Just Only Love/愛がなんだ」「By The Window/窓辺にて」などが挙げられる。売れない映画監督やライター、オタク、恋愛下手な女性などの主人公が共感を呼び、東京国際映画祭でも観客賞を受賞している。

 そんな今泉力哉監督がVIFF(バンクーバー国際映画祭)のために東京から、9月21日、日加トゥデイのインタビューに応じてくれた。

今泉映画について

 映画「Undercurrent/アンダーカレント」は今年VIFFのパノラマ部門に招待された作品。応募4,168点という世界各地からの作品の中で、特に注目度の高い映画を集めた部門での招待。映画のタイトルは「下層の水流」/「底流」という意味で、2004年に漫画家の豊田徹也氏により連載され、2005年に単行本化。2009年にパリのJAPAN EXPOで賞を受賞している。

失踪した夫役は永山瑛太さん。「アンダーカレント」より。©2023"Undercurrent”FilmPartners
失踪した夫役は永山瑛太さん。「アンダーカレント」より。©2023″Undercurrent”FilmPartners

 主人公は真木よう子演じる1人で銭湯を経営している女性。彼女の夫は失踪して行方不明中であり、見かねた友人が探偵を紹介する。同時に少し暗くて地味な男性(井浦新)が銭湯の仕事を求めてやってくる。映画前半で人ごとのように見ていた観客も後半に入ると、まるで自分が重いものを目撃してしまったように慌てふためいてしまう。これは一体何なのか?ヒューマンドラマであり人間スリラー劇ともいえるような恐るべき展開。「人をわかるってどういうことですか?」という探偵のさりげない言葉が光る…

 これは「誰が犯人か、謎は何なのか、というようなサスペンス映画ではないです」と今泉監督。原作の構成に準じた脚本を立ち上げるために、まず漫画家の豊田徹也氏と何度かミーテイングを持ったという。その最初に「この作品をサスペンスにすると後で大したオチがない」と言った豊田氏の意見に耳を傾けた。

 そして原作の根本にある「人をわかるということ」について考えたと言う。「人のことはわからない。相手のことを知らない。知ろうとするけれど知ることができない。さらに(人は)本当の自分のことすらよくわからない。それでも、あきらめないで知ろうとすること、理解しようとすることが大切なのではないか?」というように、そこで起きている人間関係に焦点を置いた。「漫画に書いてある言葉と、人が発する言葉は微妙に違うので」と説明する監督は、漫画の言葉を受け止めながら、「耳で聞いてわかりやすい言葉」に直して独自の脚本を立ち上げたと話す。特に興味深いのは、出演する俳優ほぼ全員が、映画の中で均等に大切なセリフを語っていることだ。

 いつも一緒にいた人がある日黙って消える。残されたトラウマを抱えた人々にとって、その理由を知った方がよいのか、知らない方が幸せなのかと迷うように進行するストーリー。他人を理解した方がよいのか知らない方がうまくやっていけるのか、さりげない問題を無視するのか大きな問題にするか、人が社会におけるさまざまな選択にも映画は問いかける。

美しさと言葉

演技派女優の真木さん。「アンダーカレント」より。©2023"Undercurrent”FilmPartners
演技派女優の真木さん。「アンダーカレント」より。©2023″Undercurrent”FilmPartners

 今泉監督映画に出演する俳優はだれも画面に綺麗に写っている。「監督としてどういうものを期待するか、どういうものに惹かれるかの差はあるけれど」と考えて、「自分はフィクションの美しさを求めているのかもしれない」と続けた。映画の主人公が沈んでいくブルーな水の描写からも漫画の世界を崩さない映像の美しさに目を惹かれる。だが「漫画の世界」と「現在の社会」との違いに監督は触れ、「この漫画は20年近く前のものだけど、芯の問題部分は変わっていないので現在にも通用すると思う」と語った。新型コロナウイルス感染拡大後は日本でも多くのことが「個人」になってきていて、実際に人に会わない設定が増えているそうだ。「人を理解しようとするのに、会う、会わないの差はある」と今後の課題も指摘した。

 監督の映画は自身でゼロから脚本を立ち上げたものと、漫画を使ったものが「半々」だ。今年はNETFLIXで監督の映画「ちひろさん」(安田弘之の漫画)が公開された。有村架純演じる1人のヒロインを追うストーリーは周りの人も繋げていく不思議な群像劇。この映画はアップテンポで軽くて見やすく、映画評論ロッテントマトの観客反応が93%というかなり上位の評価を受けている。2つの映画の製作時期が近かったのだが、「ベースのところは同じ」と監督は語る。主人公の表面とは違う人のさびしさ、抱えている孤独感など、監督が作りながら気がついたそうだ。そして「どちらも自分の中で好きな作品です」と締めくくった。

 映画「アンダーカレント」には一度見ただけでは気がつかない新たな発見が多く、哲学的な名言がいっぱい詰まっている。登場人物ほぼ全員が何かの悲しみや問題を抱えていて、自分の経験を横にいる困っている人にさりげなく話しかけている。すごく人間的で、もし日本へ行ったらそういう人たちに出会えるのかなと想像してしまうほど、優しい映画でもある。ハリウッド映画みたいに大声で泣いたり笑ったり怒ったりしない、日本映画独特の安らぎがあり、タイトルのように「心の奥底」に届く感動映画だ。

 余談だが、この映画の中に監督特有のある種の「気まずさ」を含んだ食卓の場面がある。初対面のよく知らない男性に頼まれもしない朝食を勝手に振る舞う場面だ。監督は「このシーンは女性(真木さん)にとっては 何もおかしな行為ではなく自然な振る舞いであって、何も言えずに巻き込まれたのはむしろ男性(井浦さん)の方で、その気まずさは意識しています」と言うのだが、カナダに住む女性にとってそれはありなのか、本当にそういう女性が日本にいるのかと考えてしまうほどミステリアスな場面。ぜひこの「気まずさ」も映画館の大画面で味わってほしい。

 何気なく「大丈夫です」と微笑む今泉力哉監督には映画のような癒し感が存在する。「アンダーカレント」を見た後は、監督の過去のオリジナル作品も、次回作も気になるに違いない。

「アンダーカレント」上映

9月28日(木)9 pm International Village 10
9月30日(土)12:30 pm International Village 9

バンクーバー国際映画祭ウェブサイト: https://viff.org/festival/viff-2023/

主役の真木よう子さんと井浦新さん。「アンダーカレント」より。©2023"Undercurrent”FilmPartners
主役の真木よう子さんと井浦新さん。「アンダーカレント」より。©2023″Undercurrent”FilmPartners

(取材 ジェナ・パーク)

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10月の自力整体教室のご案内

・熟睡ができないという方

・便秘・腰痛・ヒザ痛・肩こりなどを解決したい方

・今まで何をやっても長続きしなかった方

・「身体が硬くて無理かも?」という方

・治療や薬、他力に頼らず、自分の身体を知って、『自力で健康』『死ぬまで健康』を目指す方

★日系センター教室 (通常教室)

10月6日(金) 第1金曜日(10:30~11:30am)

10月20日(金) 第3金曜日(10:30~11:30am)

★日系センター教室 (日曜日2時間ワークショップ)

テーマは、「身体に必要に体幹筋力をつける・効果的な歩き方」

10月15日(日)  第3日曜日(正午~2:00pm)

★バンクーバーMain教室(祝日開講)

10月9日(月)  Thanksgiving Day (10:30~11:30am) 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

また、Web教室も(月)午後クラス、(木)午前クラス、午後クラス、そして、(土)午前クラスも開講しております。

詳細はお気軽に

☎ 604‐448-8854

jirikiseitai.canada@gmail.com

Webサイト https://jirikiseitaicanada.jimdofree.com/

バンクーバー日系人合同教会から10月のお知らせ

  • 収穫感謝Thanksgiving  日英合同礼拝の案内

10月8日(日)午前11時より、礼拝後 Thanksgiving Day Turkey 食事会が行われます。

  • 教会日曜日日本語礼拝の案内

毎週日曜日午前11時より教会礼拝堂で行い、礼拝の後、軽食をいただきながら親睦の時を持っています。クリスチャンでない方も留学、ワーキングホリデーで来られた方も大歓迎です。 Zoom (ID 5662538165、パスコード1225)でオンライン参加もできます。

  • シニア・初心者ラインダンス 毎週土曜午前11時から12時 会費$1、ダンスの後、軽食(実費)をいただきながら交流の時を持ちます。
  • Zoomで聖書を読む会(火曜、水曜)があります。
  • ダウンタウンイーストサイドでサンドイッチ等の手渡し:木曜日午前9時から教会でサンドイッチとコーヒーの準備、10時半から11時の配布のボランティアをしてみませんか?(場所はカーネギーコミュニティーセンタ―横)
  • 結婚、葬儀、その他の人生相談をお伺いします。

お問合せ:604-618-6491(テキスト可)、vjuc4010@gmail.com  牧師 イムまで

住所:4010 Victoria Dr, (Between 23rd and 25th Ave East), Vancouver

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サレーNorthwood 合同教会 日本語会衆 礼拝

10月15日(日)午後2時より。

住所:8855 156 St, Surrey, BC, V3R 4K9

お問い合わせ:604-618-6491(テキスト可)イム、kuniokazaki98@gmail.com 岡崎まで 

トロント国際映画祭で「ほかげ」上映「戦後も続く戦争が人々に与える苦しみを描く」塚本晋也監督インタビュー

トロント国際映画祭で「ほかげ」が上映された塚本監督。2023年9月11日。トロント市。Photo by Michiru Miyai
トロント国際映画祭で「ほかげ」が上映された塚本監督。2023年9月11日。トロント市。Photo by Michiru Miyai

 トロント国際映画祭TIFFで、塚本晋也監督の最新作「ほかげ(英語題 Shadow of Fire )」を上映。最優秀アジア映画賞を受賞したベネチア映画祭の直後に現地入りした塚本監督が、取材に応じ作品についての思いなどを語った。

-トロントの前にベネチア映画祭での上映がワールドプレミアでした。会場の反応はいかがでしたか。

塚本-この作品はものすごいインパクトを持って戦争を伝えるというのではなく、これからの世界が少しでも平和でありますようにと祈りを込めた映画。その祈りが静かに伝わったというような感触を受け、とても手応えを感じました。

-監督は海外の映画祭には積極的に出品していらっしゃいますが、どういった理由からでしょうか。

塚本-初めて海外の映画祭に出た時にとてもよい時間を過ごせたのが大きいと思います。日本国内で完結すると思って作った自分の映画を、外国の観客が(日本の観客と)同じような熱狂的な目でスクリーンを見ている、というのがすごくうれしかったんですね。また、世界中の尊敬している監督や俳優にばったりと会えたりする機会でもあるのと、あとは(観客の)最初のリアクションを目の前で見れるので、大事な場だと思っています。

 「ほかげ」は終戦後、生き残った人々が必死に生きようともがく様子を一人居酒屋で体を売って生きる女性(趣里)、食べ物を盗みながら生きる戦争孤児(塚尾桜雅)、片腕が動かない謎の男(森山未來)、若い復員兵(河野宏紀)らを通して描く。塚本監督は「前作の『斬、』、『野火』で人を殺めることの恐ろしさを描いた。今作では、終戦直後の闇市の世界を通して、再びこのテーマに挑む」と話す。

-今回戦後を舞台とされたのはどうしてでしょうか。

塚本-僕自身は戦争が終わりたった15年で生まれたのに、戦争の面影は感じずに育ったんです。自分が生まれたときの足元の地面と戦争があった地面を繋げたい、実感したい、という思いがずっとあったわけです。幼少のころ、渋谷のガード下でシートの上に並べて売られるガラクタや傷痍(しょうい)軍人さんを見かけたのが、今思えば終戦後の闇市の微妙な片鱗を子どもの時に見たのだと思い、闇市を通して戦争があったということを実感し、戦争を身近に感じたいという個人の目的もあり戦後をテーマにしました。

-映画では戦争で生き残った人が、絶望と闇を抱えながら生きる様が描かれています。

塚本-戦争が終わったら皆「よかったー」と太陽に向かって言っているように思っていたんですが、実は戦争が終わっても終わっていない人が大勢いた。それを描かなければ、と思ったんですね。

-戦後も続く復員兵たちの苦しみの描写も多くあります。

塚本-若い人は目の前に平和があり戦争と言ってもピンとこないと思うんです。戦争があると普通の人がこうなってしまう、というのを実感して怖いと思ってもらいたい、というのはありました。

-「ほかげ」というタイトルに込めた思いを教えてください。

塚本-「野火」は戦争の火と生活を営むための火という意味でした。「ほかげ」は戦争の火とその陰で生きる人たちというような意味と、部屋の中に灯した小さな火のゆらぎの影のなかで生きる主人公たち、という意味から決めました。

-最後にこの映画を観る人にメッセージをお願いします。

塚本-これからの世の中を生きる次の世代の人たちが良い時代を生きていけるように、という祈りの気持ちが観てくださる方にも届いたらよいと思っています。

 終戦後も苦しみや悲しみを人々に与え続ける戦争。日本では戦後80年近くも平和が続いているが、世界の各地では今も戦争が起こっている。塚本監督は「世界状況の緊迫感から、この映画は今作る必要があると感じた」と話した。全ての世代に観てもらい戦争のむごさを改めて考えてほしい作品だ。

「ほかげ」

監督・脚本:塚本晋也
出演:趣里、森山未來、塚尾桜雅など

モントリオールで10月4日から開催のFestival du Nouveau cinemaで上映予定。
バンクーバーでの上映は未定。

ストーリー:女は、 半焼けになった小さな居酒屋で1人暮らしている。体を売ることを斡旋され、戦争の絶望から抗うこともできずにその日を過ごしていた。空襲で家族をなくした子供がいる。 闇市で食べ物を盗んで暮らしていたが、ある日盗みに入った居酒屋の女を目にしてそこに入り浸るようになり…。(公式サイトより)
公式サイト: https://hokage-movie.com/

「ほかげ」より。Courtesy of TIFF
「ほかげ」より。Courtesy of TIFF

(取材 Michiru Miyai)

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トロント国際映画祭TIFFレビュー 絞りに絞った3作品を紹介

「Concrete Utopia」より。Courtesy of TIFF
「Concrete Utopia」より。Courtesy of TIFF

 終わってしまいました(涙)。トロント国際映画祭!今年はご存知のように、全米俳優組合と全米脚本家組合のストライキが続行中のため、レッドカーペットは少な目でしたが、それでも日本、韓国、ヨーロッパからは監督や俳優さんが参加しトーキング・ヘッズやポール・サイモン、ニッケルバックなどの音楽関係者がドキュメンタリー映画に合わせて登場したりとそれなりに楽しませてくれました。あ、最終日にはあのSLY様、シルベスター・スタローンも登場し会場から「ロッキー!」コールを受けました。そして肝心な映画の方は、もちろん良作がたくさん上映されオスカーの前哨戦として、しっかり役目を果たしたなぁと感じました。というわけで、今回は私が実際にTIFFで観て良かった映画3作品をご紹介しようと思います。

 紹介した映画の多くは数か月以内には劇場公開になるので、皆さんも機会があったら映画館に足を運んでみて下さい。

American Fiction(Cord Jefferson監督)

American Fiction(Cord Jefferson監督)より。Courtesy of TIFF
American Fiction(Cord Jefferson監督)より。Courtesy of TIFF

 あらすじ-主人公は大学で教鞭をとる黒人の作家。近年本が売れていない彼が書いているものは文学なのに書店では「黒人」セクションに置かれ、出版社からは「黒人らしさが足りない」と拒絶される日々。そんな時、招待された文学フェスティバルで、ステレオタイプな黒人の不幸を描きベストセラーとなった若い黒人作家が大注目を浴びているのを目にし一層やるせない気持ちに。同時に母の病気や家族の問題が重なり、なかばやけくそで「典型的な黒人の物語」を書いて出版社に送ったところ思わぬ方向に話がどんどん進み・・。

 これ、本当に面白かったです!コメディなので笑うところもたくさんあり、それでいて温かい家族のストーリーがあって。人種ステレオタイプって本当にやっかいなもので、アジア人だって映画に出てきてもマフィアか医者ばっかり、みたいな感じありますよね。私たちはダイバースよっ!どやっ!と思って満足そうにしている側と、実はそうじゃないんだよ・・と思っている側、そして大衆は結局見たいものだけを見て喜んでいるという現実をチクッと風刺しています。主演のジェフリー・ライト、そして弟役のスターリング・K・ブラウンなど俳優陣も素晴らしかったです。TIFFではPeople’s Choice Award (観客賞)を受賞しました!

Concrete Utopia(オム・テファ監督)

Concrete Utopia(オム・テファ監督)より。Courtesy of TIFF
Concrete Utopia(オム・テファ監督)より。Courtesy of TIFF

 あらすじ-大地震の後、廃墟となったソウルで唯一倒壊せずに残ったアパートを舞台とするディストピアもの。自分たちが住んでいるアパートが無事だったことに安堵しながらも廃墟となった街を見て途方にくれている公務員のミンソン(パク・ソジュン)とミョンファ(パク・ボヨン)の夫婦。子連れの女が助けを求めて来たので部屋に受け入れたものの、次第に外部からの避難者はビルから排除しようとする声がアパートの住民の間で大きくなり従わざるを得なくなる。混沌とした世界で生き残るために、独自の正義を人としての倫理より優先する人たちと巻き込まれていく人びとを描く人間模様。

 災害はもちろん怖いけど、一番怖いのは人なんだと思わせられる映画。地震後からストーリーが始まるので現実からほど遠い世界が舞台なんですが(セットもすごかった!)、パク・ソジュンとパク・ボヨンの演じる夫婦がとても自然で、災害前の普通に街にいる仲の良い夫婦をふっとイメージさせてくれる演技がすごく良かった。イ・ビョンホンは目が笑っていないぞっとする表情とか、さすがの演技力で魅せてくれます。パク・ボヨンが舞台挨拶の時に、偉大な先輩のビョンホンさんと対峙するシーンが難しくて彼の写真を見ながら目を煮干し?(Dried Anchovies と英訳されていた)と思って練習した、と言っていたのがすごく可愛かったです。

Sing Sing(Greg Kwedar監督)

Sing Sing(Greg Kwedar監督)より。Courtesy of TIFF
Sing Sing(Greg Kwedar監督)より。Courtesy of TIFF

 あらすじ-ニューヨーク州に実在するアート活動を利用したリハビリプログラムRTA(Rehabilitation Trough Art)を実施している刑務所が舞台の物語。役を演じることによって、自分の弱さに向き合い人の心を見つめ直す効果があるというプログラムのもと、メンバーは6か月ごとに次の芝居に向けての準備を始める。ある時新しく加入したメンバーの提案で初めてコメディーを演ることに。各自やりたい役のアイデアを出しオリジナルなとんでもな脚本が出来上がっていくが・・・。演じるという目的を持ち稽古を重ねるなかで、囚人たちの心が繋がり成長してゆく様子を描く。

 なんとなく宣材の写真だけで良さそうだと思って観てみたら大当たりでした!TIFFの時点では決まっていなかった配給会社も、あのA24 に決定したそうなのできっと年明け頃には公開になるのでは。主役級の二人以外は多くの出演者が、題材になった刑務所のRTAプログラムの経験者だそうです。なので楽しい性格もご本人たちの素顔なのかも。アートが人の心に及ぼす力、人が人として生き直す力を見せてくれる心温まる、だけど考えさせられるところも多い映画です。会場では泣いている人もたくさんいて、上映後は長い長いスタンディングオベーションでした!

 追記:もう日本でご覧になった方も多いかとここでは紹介しなかったのですが、Monster(是枝裕和監督)も人の心が繊細に丁寧に描かれていて、最後まで観ないと真実がわからない構成が素晴らしかったです。バンクーバーではVIFFで上映されるので、観に行かれる方は前知識なしで!!行かれることを強くおすすめします!

 そして来週からはバンクーバー国際映画祭VIFFですね!次回はVIFF作品のレビューも予定しているので、良ければお付き合いください!

Lalaのシネマワールド
映画に魅せられて

バンクーバー在住の映画・ドラマ好きライターLalaさんによる映画に関するコラム。
旬の映画や話題のドラマだけでなく、さまざまな作品を紹介します。第1回からはこちら

Lala(らら)
バンクーバー在住の映画・ドラマ好きライター
大好きな映画を観るためには広いカナダの西から東まで出かけます
良いストーリーには世界を豊にるす力があると信じてます
みなさん一緒に映画観ませんか!?

トロント国際映画祭TIFFで「なすび」さんのドキュメンタリー「The Contestant」上映

ドキュメンタリー映画"The Contestant"より。Courtesy of TIFF
ドキュメンタリー映画"The Contestant"より。Courtesy of TIFF

イギリス人女性監督の作品が注目を集める

ドキュメンタリー映画"The Contestant"のクレア・ティトリー監督。Photo credit: Joe Short
ドキュメンタリー映画”The Contestant”のクレア・ティトリー監督。Photo credit: Joe Short

 バラエティ番組「進ぬ!電波少年」の企画「電波少年的懸賞生活」で知られる、なすびさんを追ったドキュメンタリー「The Contestant」(クレア・ティトリー監督)がトロント国際映画祭で上映。上映は2回とも売り切れ、2回行われたプレス向け上映もどちらもほぼ満席となるほど注目を集めた。今回上映のためにイギリスからトロント入りしたティトリー監督が9月10日、取材に応じた。

 1998年から99年に放送された同企画。期間中なすびさんは裸でアパートの一室で生活。衣類、食べ物を含め必要なものは全て、懸賞で当選することによって手に入れなければならず、当選金額の合計が100万円に達成するまで外には出られないという内容。なすびさんが裸で当選賞品を持って踊る様子や空腹に耐えかねて賞品のドッグフードを食す様子などが笑いと話題を呼び、番組は高視聴率を獲得、なすびさんがつづった日記はベストセラーとなった。

 ドキュメンタリーは、なすびさん本人、家族、番組プロデューサーを務めた土屋敏男さん、そして番組を取り上げた海外メディアなどへのインタビューを通して、当時の状況となすびさんの心理状況などを振り返り、懸賞生活後に紆余曲折を経て福島の復興支援に奮闘する現在のなすびさんの姿まで、その生きざまを追う。

 他のプロジェクトのためにネットでリサーチをしている際に「懸賞生活」について知ったというティトリ―監督。「日本のクレイジーな番組企画というのは海外でも知られているのだが、なすびさんについて知った時、これはクレイジーだけで片付けられないものを感じ深く掘り下げたいと思った」と明かす。なすびさんにコンタクトを取り、何度も話し合い、制作にこぎつけた。「番組終了からかなりの年月が経つ今だからこそ、全てを話せるという気持ちになってくれたのではないか」と話す。

 映像はテレビを見ている人が楽しんでいる場面と対象的な、なすびさんの孤独と精神面での辛さやテレビで見守る家族の苦悩を浮き彫りにする。一度は目標を達成したのに更に韓国で続けることが決まった際、企画終了の瞬間を観客の前で収録する際など、時に残酷すぎると思われる状況になすびさんを追い込んだいきさつを土屋プロデューサーが振り返るシーンも収録。「土屋さんにはなすびさんが出演をお願いしてくれた。『なすびがやりたいのなら』と快く同意してくれ『当時の状況を正確に正直に話したい』と当時の土屋さんの立場からの見方を話してくれた。とても勇気がいることだったと思う」とティトリ―監督はその協力に感謝を表す。

 観客からは「なぜ彼は企画を拒否しなかったのか」、「なぜこの様な企画が通ったのか」、「彼は制作側を訴えなかったのか」という質問を受けたという。「当時の日本ではプロデューサーは契約書や同意書もなしに企画を実行する力があったし、若手芸人には断る選択肢はないという風潮があったようだ」と当時の制作現場のあり方に監督自身も驚いたことを明かす。

 「多くの人が企画はある程度やらせ的な部分があると思いながら観ていたとも聞いた。一人の人間の精神的な苦悩が純粋にエンターテインメントとして放映されていた事実は、リアリティ番組が世界中のテレビやYouTubeなどで人気を獲得している現代にも改めて考えてみる必要があると思う」と制作の意義を話す。そして「さまざまなものを克服し、今は人との交流を大切に福島を拠点に活躍しているなすびさんを見てほしい」とメッセージを送った。

ドキュメンタリー映画"The Contestant"より。Courtesy of TIFF
ドキュメンタリー映画”The Contestant”より。Courtesy of TIFF
ドキュメンタリー映画"The Contestant"より。Courtesy of TIFF
ドキュメンタリー映画”The Contestant”より。Courtesy of TIFF

(取材 Michiru Miyai)

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