9☆「8才」と「8歳」どっちが好き?

 日本語を教えるにあたり、特に初級レベルでは中国人生徒は比較的楽である。漢字を書けば、もちろん発音はまるで違うが、意味は分かってくれるのでとても助かる。でも全然意味が違う漢字もあり要注意だが、「手紙」が「トイレットペーパー」などは思わず笑ってしまう。

 そんな中国人の上級者から、漢字に関する思いもよらぬ質問を受けた。日本語はなぜ年齢に「才」を使いますか? である。最初は質問の意味がよく分らなかったが・・・、日本語は年齢の数え方に「歳」と「才」両方使っているが、中国語の「才」には年齢などの意味はなく、年齢表記の「8才」などを見たときびっくりしたとのこと。えー、ホント。こちらもびっくり。

 早速、日本語堪能な中国の友人に聞いてみた。すると皆さん、日本語学習の最初のころは「8才」など意味が分からず驚いた記憶があるとのこと。うーん、なるほど。

 でも、日本人は「歳」と「才」の両方の漢字を当たり前のごとく使っている。理由などマジで分からないが、「歳」は難しい漢字で、「才」はやさしい漢字、何となく「歳」の略字としてこの「才」を使っていたようなおぼろげな記憶がある。

 そこでしっかり調べてみたくなり、ほこりをかぶった日本語大辞典を引っ張り出した。この「才」は才能とか天才などに使われているが、確かに年齢などの意味は載っていない。しかし最後に、略式に「歳」の代わりに用いる、とある。えー、びっくり。略字ではなく、略式として日本人が勝手に使い始めたようで、中国人は驚くはずである。

 さらに詳しくチェックしてみると、「才」は小学校低学年で、「歳」は中学で習うが、画数も多く難しい。そこで意味は関係ないが、読み方は同じ「サイ」なので、かなり昔から小学校ではこの「才」を「歳」の代わりに使うことにしたとのこと。うーん、とてもややこしいが何となく納得。でも今まで、こんなことも知らず、日本語教師として恥ずかしい限りなり。

 確かに「8才」なら、あどけなさも感じるが、「80才」はさすがに落ち着かず、「80歳」が大人の正式な書き方である。

 でも意識的に、来年やっと「80才」になります、などと書いて、少しでも若さを示そうと意気込んでおり・・・、ご愛嬌ということで。

矢野修三(やの・しゅうぞう)
1994年 バンクーバーに家族で移住(50歳)
YANO Academy(日本語学校)開校
2020年 教室を閉じる(26年間)
現在はオンライン講座を開講中(日本からも可)
・日本語教師養成講座(卒業生2900名)
・外から見る日本語講座(目からうろこの日本語)    
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