朝日レガシーゲーム2021開催、上西ケイさんも観戦

上西ケイさん(前列中央)を中心に、試合後に参加者全員で記念撮影。2021年9月12日バンクーバー市ナナイモパーク。Photo by © Vancouver Shinpo
上西ケイさん(前列中央)を中心に、試合後に参加者全員で記念撮影。2021年9月12日バンクーバー市ナナイモパーク。Photo by © Vancouver Shinpo

 さわやかな秋晴れとなった日曜日、朝から白球を追いかける子どもたちの声がボールパークに響き渡った。9月12日、バンクーバー市ナナイモパークで「朝日レガシーゲーム」が開催された。

 この日はAsahi Bantam、Asahi PeeWee、Asahi Mosquitoと年齢別に試合が行われ、Asahiのユニフォームに身を包んだ子どもたちが野球を楽しんだ。

 そして最後を締めくくったのが「レガシーゲーム」。レガシーゲームとは戦前にバンクーバーで人気を博した日系人野球チーム「バンクーバー朝日」に敬意を表して毎年9月に開催されている現代版バンクーバー朝日選手による親善試合。

 今年の対戦は、ジャパンツアー2022に参加する選抜チームと、これまでにジャパンツアーに参加した経験のあるAsahi Alumniチーム。選抜チームが、元選抜選手たちの胸を借りる親善試合という名の真剣勝負だ。

 毎年この試合を楽しみにしているファンは多い。この日も多くの家族や友人が応援に駆けつけた。

 試合結果は経験と体力に勝るAlumniが10−2で勝利。ジャパンツアー2022選抜チームはこれから練習を重ね、来春に予定されている日本遠征に備える。

バンクーバー朝日元選手、上西ケイさんも観戦

選手から贈られたボールを手に微笑む、上西ケイさん。2021年9月12日バンクーバー市ナナイモパーク。Photo by © Vancouver Shinpo
試合後、選手から贈られたボールを手に微笑む、上西ケイさん。2021年9月12日バンクーバー市ナナイモパーク。Photo by © Vancouver Shinpo

 この日の試合にはバンクーバー朝日の元選手、上西ケイ(Kaye Koichi Kaminishi)さんが観戦に訪れた。野球を楽しむ選手たちを見ながら「やっぱり思い出しますよね」とバンクーバーで野球に夢中になった若いころに思いを馳せた。

 「野球はやっぱりいいですよね」と上西さん。以前から子どもたちが朝日のユニフォームを着て野球する姿を見るのは楽しいと語っていた。「なによりも今の朝日がいいのはね、日系人に限らずさまざまな人種の子どもたちが同じ朝日のユニフォームを着て一緒に野球をやっていること」は上西さんの口癖だ。

 バンクーバー朝日を引き継いでいく子どもたちには、自分たちもコーチに言われていたという「スポーツマンシップとフェアプレーを忘れないように」とエールを贈った。あとは野球を楽しんでくれればとうれしそうに「朝日」選手たちのプレーを見守っていた。

ジャパンツアー2022ヘ向けて準備

 「朝日レガシーゲーム」の主催は朝日ベースボールアソシエーション。バンクーバー朝日の野球精神を受け継ぎ、バンクーバーで広めながら野球を楽しむことを目的としている。

 この日の試合前には、野球以外でもコミュニティに貢献した16歳以上のメンバーに贈られるKoichi Kaminishi Awardの授与式が行われた。今年の受賞はカイ・オクヤマ選手。あいさつでは、朝日の野球では困難を乗り切るタフさや野球以外でも敬意やエチケットを忘れないことを教わったと、チームやコーチに感謝した。

 恒例の始球式を務めたのは在バンクーバー日本国総領事館池田憲昭領事。あまり得意ではないのでと照れながらもしっかりと大役を務めた。

 そして同アソシエーション会長であり、ジャパンツアー2022チーム監督ジョン・ウォンさんがあいさつ。野球ができることへ改めて感謝した。

 ウォン会長はレガシーゲームについて「以前の(バンクーバー朝日が)人々を結びつけたように、このレガシーゲームも人々を結び、できるなら人生でも野球でも、お互いを理解し、敬意を払いあえるような役割ができればいいかなと思っています」と語った。

 来春のジャパンツアーについては、実施することを前提で準備しているという。今回の選抜チームは14歳から16歳までの15選手で、これから本格的な練習に入る。

 昨年3月から始まった新型コロナウイルス感染拡大の影響で、予定していた今年3月のツアーは中止となり、来年へと延期となった。それも感染状況次第ではまだどうなるかわからない。

 それでも「幸運にも練習場所も使用できて練習はできています」と言う。「コーチたち、全選手、そして家族が一緒になって練習に取り組んでいます」。

 詳細な日程はまだ決まっていない。例年どおり、3月の春休みを利用する。これまで遠征に参加した選手たちは、日本と日本文化と日本の野球環境に魅了され、関わったすべての人に感謝して、ひと回りもふた回りも大きくなってバンクーバーに帰ってきた。その姿をレガシーゲームで毎回披露している。

 この日2−10の敗戦を経験した選手たちが来春はどんなチームに成長しているのか。楽しみにしている人たちはきっと多いに違いない。

朝日ベースボールアソシエーション

 2016年に発足。当時の名称はカナディアン日系ユースベースボールクラブ。2015年に最初のジャパンツアーを実施し、これを機に2016年に創設した。現在は約100人が選手として登録している。

朝日チーム・ジャパンツアー

 2015年を第1回として、2年に一度、同アソシエーションでプレーする選手から選抜チームを結成し日本に野球遠征している。2021年は新型コロナ感染拡大の影響で中止となったが2022年に変更して第4回遠征が実施される予定。2017、2019年にも実施し、横浜、静岡、滋賀、奈良などで親善試合を行なっている。

朝日ベースボールアソシエーションウェブサイト: https://www.asahibaseball.com/

(取材 三島直美 / 映像 斉藤光一)

ジャパンツアー選抜チーム(赤のユニフォーム)がAlumniに挑む。2021年9月12日バンクーバー市ナナイモパーク。Photo by © Vancouver Shinpo
ジャパンツアー選抜チーム(赤のユニフォーム)がAlumniに挑む。2021年9月12日バンクーバー市ナナイモパーク。Photo by © Vancouver Shinpo
Alumniクローザーを務めるウォーターズ選手。2021年9月12日バンクーバー市ナナイモパーク。Photo by © Vancouver Shinpo
Alumniクローザーを務めるウォーターズ選手。2021年9月12日バンクーバー市ナナイモパーク。Photo by © Vancouver Shinpo
赤いユニフォームが眩しいジャパンツアー選抜チーム。2021年9月12日バンクーバー市ナナイモパーク。Photo by © Vancouver Shinpo
赤いユニフォームが眩しいジャパンツアー選抜チーム。2021年9月12日バンクーバー市ナナイモパーク。Photo by © Vancouver Shinpo
ジャパン遠征で着用した黒ユニフォームのAsahi Alumniチーム。2021年9月12日バンクーバー市ナナイモパーク。Photo by © Vancouver Shinpo
ジャパン遠征で着用した黒ユニフォームのAsahi Alumniチーム。2021年9月12日バンクーバー市ナナイモパーク。Photo by © Vancouver Shinpo
バンクーバー総領事館池田領事始球式、見守るウォン会長(右端)と福村十三男副会長(右から2番目)。2021年9月12日バンクーバー市ナナイモパーク。Photo by © Vancouver Shinpo
バンクーバー総領事館池田領事始球式、見守るウォン会長(右端)と福村十三男副会長(右から2番目)。2021年9月12日バンクーバー市ナナイモパーク。Photo by © Vancouver Shinpo
Asahi PeeWeeチーム。上西ケイさん(前列中央)と一緒に。2021年9月12日バンクーバー市ナナイモパーク。Photo courtesy of Yoji Suzuki/Instagram yoji_canada
Asahi PeeWeeチーム。上西ケイさん(前列中央)と一緒に。2021年9月12日バンクーバー市ナナイモパーク。Photo courtesy of Yoji Suzuki/Instagram yoji_canada
Koichi Kaminishi Awardを受賞しあいさつするカイ・オクヤマ選手(右端)。過去に同賞を受賞したモンタロウ・ウエヤマ選手(左端)、ヒロ・ヤマモト選手(左から2番目)から贈られた。2021年9月12日バンクーバー市ナナイモパーク。Photo by © Vancouver Shinpo
Koichi Kaminishi Awardを受賞しあいさつするカイ・オクヤマ選手(右端)。過去に同賞を受賞したモンタロウ・ウエヤマ選手(左端)、ヒロ・ヤマモト選手(左から2番目)から贈られた。2021年9月12日バンクーバー市ナナイモパーク。Photo by © Vancouver Shinpo

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