日系経済団体連絡協議会 年次会議ズームで開催

 バンクーバー日系経済団体連絡協議会(以下、連絡協議会)が、1月10日に年次会議を開催。所属10団体の代表者や、在バンクーバー日本国総領事館から羽鳥隆総領事ら合わせて22人が出席した。

 会議では羽鳥総領事や2021年12月31日で退任した前議長、岡本裕明さん、事務局を担当した懇話会の塚本隆志さんのあいさつ、さらに2022年度の新執行部として新議長の吉武政治さんと、事務局の企友会の紹介とあいさつ、2021年度の活動報告が行われた。また、出席者らが協議会の今後の活動に向けた意見も交わした。

 羽鳥総領事は「コロナが予想以上に長引いている中でのイベント開催、さらにはイベントへの相互参加など、加盟団体の努力で日系ビジネスがつながることができたのは各団体のリーダーや、団体をまとめた岡本前議長の尽力のたまものだと思う」と語った。

 総領事館の責務のひとつは海外在留邦人の安全を守ることだが、バンクーバーはさまざまな立場で滞在したり、暮らしている日本人がいる。相談や連絡をするうえで、連絡協議会の存在は頼りになると感謝のことばを贈った。

 さらに「新議長の吉武さんは、全会一致のような状況で就任したのは、長年の活躍や人柄ゆえと思う」として「今後も連絡協議会をよろしくお願いします」とあいさつした。

コロナで引き続き活動が制限された21年度

 続いて岡本前議長が21年度の活動報告を行った。

 新型コロナウイルスのパンデミックによる規制、制限の中、21年度も活動を行うのが難しかったが、1月にオンラインで年次会議、2月にはブリティッシュ・コロンビア州政府の関係者を迎えて、コロナ関連助成金プログラムのウェビナーを開催した。ウェビナーでの石川前領事(開催時、領事)の積極的なサポートに謝意を表した。

 協議会では会員団体へのアンケート調査も実施。会の認識や今後の活動の方向性を探った。また年間を通してウェブサイトやメールで各団体が開催したイベントの情報を共有した。

 岡本前議長は2018年から新たな体制となった連絡協議会の議長を、2期4年務めた。その間、参加団体の支援で日系ビジネス界での連絡協議会の認知度を高めるとともに、イベントの共催に道筋をつけてきた。

 日本で問題になっている少子化、高齢化が、海外の日系社会ではさらに顕著になっていると感じているという。その理由として日本に住む人の海外志向が薄れていること、日本とカナダの物価のギャップにより起業が容易ではなくなっていることを指摘。

 事業形態もかつての日本人や日系人を対象とするものから、ローカルのコミュニティで根を張った事業への変換期にあり、この2、30年で日系社会のポジションが変わってきた。そのため、日系ビジネス間が相互に協力しないと存在感を失ってしまう可能性もあると危惧を述べた。

 「そうならないために、皆さまの忌憚ない意見により協議会をより実りあるものにして成長していってほしいと思っています」とエールを送った。

 2020年から22年までは懇話会が事務局を担当、塚本隆志さんが協議会を支えた。各団体が企画したイベントをウェブサイトで公開するとともに、会員にメールで告知した。

バトンを受け継いだ吉武政治さんと企友会

 新議長に1月1日付けで就任した吉武さんは、協議会の複数の団体に所属している。

 そのネットワークを活かして、今後も岡本前議長や塚本さんが築いてきたものを継承して、盛り上げていきたいと抱負を語った。また、昨年のアンケート調査で得た意見に基づき、できるだけ連絡協議会としての務めを果たしていきたいという。

 新事務局は企友会で、理事の山本遼さんと企友会副会長のホール奈穂子さんが窓口となる。

 モーゲージの会社でアカウンタントをしているほか、個人的にもウェブサイトの開発業務も行っている山本さんは、「責任重大なポジションで緊張しているが、これから日系コミュニティをつないでいきたい」と語った。

日系経済団体連絡協議会
 連絡協議会は日系のビジネスが関与する共有イベント、会合などに対応するため2009年に主要日系ビジネス団体により設立された。現在の所属団体は建友会、企友会、在カナダ日系ツアーオペレーター協会、日系女性企業家協会、日系若手起業家懇親会(BOSS会)、日本カナダ商工会議所、バンクーバー日系ガーデナーズ協会、バンクーバービジネス懇話会、BC州日本酒協会、ブリティッシュ・コロンビア日加協会の10団体となっている。
www.cjcbc.org

連絡協議会新議長の吉武政治さん

 年次会議のあと、吉武さんにズームで話を聞いた。吉武さんは協議会の複数の団体に所属しているほか、2009年の設立当時から会で活躍している。

***

 連絡協議会には異業種ビジネス団体も業界団体も所属している。アンケート調査は各会員団体が何を求めているのか知るために行った。

 ゆるく連携していきたいと考える団体、もっと地元コミュニティとの連携強化を目指す団体があった一方、日系での連携促進を求める団体もあった。求めるものは異なっていても、できることは多くある。

 ジャパンフェアのようなオールジャパン、日系コミュニティ全体で連携しての活動も行っていきたい。連絡協議会ではゆるい連携を望んでいるという会もあった。どこまで介入して連携を深めるかなども、今後、意見を聞きながら進めていきたい。

 アンケート調査で、ほとんどの団体は存続価値を感じているものの、会員数が減少していて、財政面での懸念があることが浮き彫りとなった。会員間で情報を共有しながら、こうした懸念の克服を目指す。連絡協議会の利用価値のひとつとしてイベントの告知がある。カレンダーが機能していないという指摘もある。

 会員のみが対象のものや、一般も参加できるものと、さまざまなイベントがある。カレンダーで、会員のみ対象と一般参加が可能なイベントをたとえば色分けするなど、より使いやすいものにしていきたいとの考えだ。

(取材 西川桂子)

合わせて読みたい関連記事