
バンクーバー市BCプレースで行われたFIFAワールドカップ決勝トーナメント2回戦ベスト16、スイス対コロンビア戦はPKまでもつれる接戦を制したスイスがベスト8へ駒を進めた。
BCプレースを埋め尽くしたコロンビアファン
BCプレースが黄色に染まった。熱狂的なコロンビアファンで埋め尽くされた会場は、試合が始まる前からボルテージは最高潮に達していた。

コロンビア選手がゴールに近づくたびに大歓声が起こる中、13分には早速フリーキックのチャンス。キャプテン・ロドリゲスからシュートにつながるがGKコベルの好守にはばまれ得点ならず。21分にはプエルタがシュートを放つがまたもGKが立ちはだかった。
その後も試合は一進一退の攻防が続く。後半に入り、コロンビアの猛攻が続くがスイスの堅い守りを破ることができない。シュート数ではコロンビアが圧倒的に上回る。試合は延長30分でも0-0と決着がつかずPK戦へ。

まずはコロンビアのキンテロが決める。この日初めてのゴールに歓声で会場が揺れる。続いてスイスのシャカのシュートはGKの手を弾いてネットへ。これで1-1。続いてコロンビアのサンチェスのシュートはバーに当たりゴールならず、スイス2番手が決めて1-2。しかし、コロンビア3番手が決めたのに対し、スイスのアカンジがネットの上を大きく超えて外し再び同点。ところがコロンビア4番手エルナンデスのシュートをスイスGKが止めてスイスが再び有利に。その後は両チームとも決めたため、手に汗握るPK戦をスイスが4-3で制し、120分の戦いが決着した。
その瞬間、会場は埋め尽くしたコロンビアファンのため息に包まれた。スイスは6月25日のカナダ戦からBCプレースで3連勝、ベスト8進出を決めた。

コロンビアのロレンソ監督は試合後の会見で「得点できたらよかったけど」と切り出し、「タイトな試合になることは予想していた。最初の20分は試合を支配していた」と静かに語り、4分で会見を切り上げた。スイスのヤキン監督は「今回のW杯では全てが完ぺきに機能している」と試合内容を分析。大会初戦からチームが進化していると語り、今大会は歴史的な大会になると思っていたし、実際に世界トップチームの仲間入りを果たした、選手、スタッフ、そしてファンを称えたいと語った。
カナダでのW杯全日程が終了
7月7日のスイス対コロンビアの試合はカナダでのW杯最終戦で、これで6月12日にトロントで開幕したカナダでの試合は全日程が終了した。ベスト8以上は全てアメリカで行われる。
今回のカナダ・アメリカ・メキシコ3カ国による北中米大会で、カナダではトロントで6試合、バンクーバーで7試合が行われた。1次リーグでグループ1位になれば、開催国が自国でプレーできるような組み合わせになっていたが、アメリカ・メキシコがグループトップで通過したのに対して、カナダは6月25日、BCプレースでのスイス戦で引き分けでもトップ通過という好条件を生かせず1-2の惜敗。舞台をアメリカに移した。

代わって、カナダに勝利したスイスがバンクーバーで3連戦となり、3連勝でベスト8を勝ち取った。カナダがせめて引き分けていればという残念さは残ったが、それでも、バンクーバーでカナダ男子がW杯初勝利をあげ、初の決勝トーナメント進出を果たし、さらにロサンゼルスでのベスト32では南アフリカに勝って初のベスト16入りするなど、自国開催がもたらした好影響は大きかった。
トロントではスーパースターのロナウド擁するポルトガルやドイツのヨーロッパ強豪国がファンを魅了し、バンクーバーではベスト8に残ったベルギーやサッカー熱狂国トルコ、エジプト、コロンビアが試合を行い、各国の熱狂的ファンがカナダのサッカー熱に火をつけた。会場最寄り駅サイエンスワールド駅からBCプレースまでの行進は、試合開始前のファンの儀式になった。
カナダでの13試合は全て満員で、カナダ代表以外の試合でも、カナダ国内と世界から各国代表のファンが集まり、試合会場、ファンフェスティバル、歩行者天国、カナダサッカーハウスなど、ファンが集う場所では大きく盛り上がった。
7月7日でカナダ国内の試合は終了したが、W杯は決勝の7月19日まで続く。トロントとバンクーバーでは、引き続き、ファンフェスティバルが19日まで開催されるほか、バンクーバーではサッカーファンの聖地となっているグランビルストリート歩行者天国が9月7日まで延長されることが決まった。
移民の国カナダにとってカナダ代表の敗退やカナダ国内での試合終了が、W杯の終了ではない。あと10日、トロントで、バンクーバーで、ワールドカップを楽しめる。
(取材 三島直美/写真 斉藤光一)
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