2026年3月25日、バンクーバーのブリティッシュ・コロンビア大学(UBC)で、日系企業と留学生の交流イベント「Japan Connect 2026」が開催された。多様な業界のプロフェッショナルと直接交流する機会に、正規留学生、またコーププログラムやワーキングホリデーで現地に滞在する学生を中心に346名もの参加者が来場。会場は「就職活動の第一歩を踏み出したい」「現地での仕事探しの参考にしたい」といった目的を胸に参加した学生の活気にあふれ、参加者・企業出展者双方にとって有意義な交流の場となった。
Japan Connectは、⽇本・カナダ商⼯会議所(JCCOC)とUBC⽇本⼈学⽣団体(JCN)が共催し、就職活動プラットフォーム(CFN)の協⼒を得て開催されるイベントである。JCCOCは「⽇本 とカナダをつなぐ」というミッションのもと、ビジネス・⽂化・教育・観光の各分野で⽇加の架け橋 となることを⽬的に活動しており、Japan Connectはその取り組みの中核を担う年次イベントとして 位置づけられている。今年で5回⽬を迎えた。
そこで、JCN会長の内田百香氏に、イベントづくりについて話を伺った。

――イベントを企画するにあたり、コンセプトや思いを教えてください。
「正規留学生にとって気軽に参加できる“就職活動の第一歩”となる場づくりと、ワーキングホリデーや語学留学生に、すぐに働ける企業と出会う機会を提供することを意識しました。特に正規留学生にとっては、まず業界や企業を知るきっかけになればと考えています。また、仕事探しに苦労している語学留学生にとっても、効率的に企業と出会える場を目指しました。」
――昨年から改善できた点や、準備で苦労した点、それをどのように乗り越えたかを教えてください。 「今年はカナダ政府による留学生受け入れ数の制限により、ターゲット層の減少が課題でした。そのためSNS運用を強化し、Boost機能の活用などで集客に努めました。また、外部の方々の協力を得るとともに、新規企業の開拓にも注力し、対面での訪問・説明を行いました。」
――最後に、学生に対して本イベントをどのように活用してほしいですか。
「就職活動の進め方に悩んでいる方や、バンクーバーでの仕事探しに苦戦している方にとって、不安を解消するきっかけになればと思います。ぜひ“就活の第一歩”として活用していただきたいです。」
内田氏は、学生一人ひとりに寄り添うような姿勢で、イベントへの思いを語った。

協力団体の一つであるキャリタス(CFN)の実川奈那氏は、バイリンガル人材を対象としたキャリアフォーラムを通じ、長年にわたりグローバル企業と学生との出会いの場の提供に携わってきた。現在はニューヨークを拠点に活躍しているが、バンクーバーでの人材支援にも積極的に関わっており、今回はそのネットワーキングと知見をもってイベントに参加した。
実川氏は、「バンクーバーで学生のキャリア形成を支援できることを大変うれしく思い、参加しました。キャリアの機会を提供することに大きなやりがいを感じています」と語った。
出展企業は21社にのぼり、その中から数社の担当者に、Japan Connect参加の目的や意義について話を伺った。
まず紹介するのは、カナダで3店舗のレストランを展開し、“劇場型おまかせ”というユニークな演出でミシュランの星を獲得した「Okeya Kyujiro(桶屋久次郎)」の創業者、松田卓也氏である。

松田氏は、店舗を2月にオープンさせたばかりの京都から本イベントのために来加。その意義について次のように語った。
「これまで飲食業界には、このような機会は多くありませんでした。飲食店の社会的な価値を高めたい、そして新しい時代において、飲食業界がより正当に評価されるべきだという思いから参加しました。食を通して日本文化を世界に伝えたい――そのビジョンが、こうした活動に参加する意義につながっています。」
また同氏は、食文化を“雅”に伝えることをコンセプトに掲げていると語る。ディナーでは、シルク・ドゥ・ソレイユを想起させる劇場型おまかせコースを提供し、ランチでは懐石・茶・おまかせを融合させた「お茶かせ」が人気を集めているという。「お茶かせ」といった新たな言葉も生み出し、独自性を追求している点も特徴だ。
さらに、「産地の生産者や酒蔵とのつながりを大切にしており、酒蔵には年間50カ所以上訪問しています。そうした出会いから新しいジャンルを創造していく。この姿勢は、ある意味ベンチャー企業に近いのかもしれません」と語った。
なお、日本では京都店に続き、今後は銀座店の開業も予定されている。今後の展開にも注目が集まる。
次に紹介するのは、双日カナダ会社(Sojitz Canada Corporation)の佐野信広氏である。佐野氏は、日加間の経済活動に寄与するバンクーバー日本商工会(懇話会)の会長も務めている。今回は、本イベントへの参加に対する期待と、バンクーバー社会における懇話会の役割について話を伺った。

「これまでカナダで学ぶ学生さんとの接点はあまりなく、直接雇用した経験もありませんでした。今回初めて参加することで、どのような学生さんがいらっしゃるのか、新たな出会いを楽しみにしています。もし弊社に興味を持っていただければ、正式な採用プロセスを通じて前向きに検討したいと考えています。」
また、バンクーバー日本商工会の活動については、バンクーバー補習授業校の運営および支援に携わっている点を挙げ、「次世代のグローバル人材の育成に関わることは、会としても個人としても大きな意義を感じています」と語った。
続いて、ガスタウンとウィスラーで土産店「Gifts & Things」を2店舗展開し、さらに昨年4月にはキャラクターショップ「The Little Things」をオープンさせたCrescent Moon Enterprises(オーナーは佐藤広樹氏)所属の小野塚 裕香氏である。

裕香氏は、昨年のJapan Connectを通じてスタッフを採用した実績があり、今年も新たな若手人材(ヤングプロフェッショナル)の採用に意欲を持って本イベントに参加した。
さらに、日系ビジネスコミュニティとして知られる「企友会」の会長も務める白石有紀氏も本イベントに参加した。白石氏は移民コンサルタントとして「ビザJPカナダ社」を運営するビジネスオーナーであり、今回がJapan Connect初参加となる。参加の背景について、次のように語った。

「当初は、日本へ帰国して就職を目指す学生向けのイベントだと思っていました。しかし、現地に残ってキャリアを築きたいと考える学生も多いと知り、それであればビザ申請などイミグレーション関連でお手伝いできることがあるのではないかと考え、参加を決めました。」
また、自身のイミグレーションファームについては、「専門家6名に加え、アシスタントを配置しています。それぞれの専門家がファミリークラス、難民受け入れ、就労ビザなど異なる分野を担当しており、幅広いケースに対応できる体制を整えています」と説明した。
煩雑になりがちなビザ手続きにおいて、留学生や若手人材にとって心強い存在といえるだろう。
最後に、日本・カナダ商工会議所(JCCOC)において本イベントを担当したウィットレッド太朗氏に、同会の取り組みや本イベント参加の意義について話を伺った。

ウィットレッド氏は、日本・カナダ商工会議所(JCCOC)について、「日本とカナダをつなぐというミッションのもと、ビジネス、文化、教育、観光といった分野で日加の架け橋となることを目的に活動しており、Japan Connectもその取り組みの一環である」と説明。
また、本イベントの目的について、「一つは、カナダで活躍する日系企業のプレゼンスを高めること。もう一つは、日本とカナダの企業と学生が直接つながる機会を創出すること」と述べた。「キャリアフェアという形式を通じて、次世代のビジネスパーソンと企業が出会い、日加間のつながりがより一層深まることを期待しています」と強調。
ウィットレッド氏は「参加する学生は目的意識が高く、企業側にとっても大きな刺激になっています。ブランディングや採用にとどまらず、次世代とつながる場として、多くの企業にとって意義のある機会なのでは」と語り、本イベントの重要性を再確認させた。
こうして、日系企業と留学生が一堂に会した「Japan Connect 2026」は、大盛況のうちに幕を閉じた。また、日本・カナダ商工会議所のブースには、「日本とカナダをつなぐ」というビジョンに共感し、「日加を結ぶ架け橋の一助となるような多様なコミュニティづくりに参加したい」と考える多くの学生が訪れた。本イベントは、学生にとって日系企業と直接関わる貴重な機会となり、キャリア形成に大きなヒントを与えるとともに、将来の日加間の交流の発展にもつながることが期待される。日本・カナダ商工会議所は、今後もこうした人材交流と関係強化を一層促進する取り組みを続けていく。
寄稿:日本・カナダ商工会議所
文責:日本・カナダ商工会議所
撮影:日本・カナダ商工会議所
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