カルラ余話 2 ~投稿千景~

エドサトウ

Photo by Ed Sato
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 鉄の文化は、いわゆる中近東の技術であり、ギリシャやローマの文化のにおいを感じる。

 『九つの問答』に司馬さんと井筒俊彦氏の興味深い対話がある。

司馬-その東洋は、インドから東でしょうか?

井筒-いえ、むしろギリシャを組み込んだ方での『ギリシャ以東』です。東洋という言葉の意味領域にギリシャを組み入れるのは常識からはずれるように思われるかもしれませんが、元来「東洋」というのは一つの理念であって、別にそんなものが世界のどこかに客観的に存在しているわけじゃない。こちらがどう理念的に措定するかの問題です。そこで私は、ギリシャからの中近東、インド、中国、日本までを一つの理念的単位として措定して、それを「東洋」と呼んでいるわけです。今いいましたように、ギリシャの組み入れには問題がありそうですが、それにはそれで理由がないわけじゃない。第一には思想構造上の理由。つまり、古代ギリシャの思想を持ち込んでくると、実にはっきり解明されるところが東洋思想には多々あるのです。

 井筒さんの話は小生には興味深く、弥生時代にユダヤ人の一部が日本にたどり着いていたとすれば、井筒さんが言われるように日本もギリシャ文化圏に入るように考えられなくもない。そのように考えれば、今日の日本文化の発展を理解できるような気がするのである。

 J.S.バッハのオルガン協奏曲は、僕には東洋的に感じられるのはそのためなのであろうか?

投稿千景
視点を変えると見え方が変わる。エドサトウさん独特の視点で世界を切り取る連載コラム「投稿千景」。
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