新型コロナ禍でのカナダ留学・渡航体験

 カナダ政府が今年2月に導入した国外からカナダへの渡航者に対する到着空港での新型コロナウイルスのPCR検査と、その結果が出るまでの政府指定のホテルでの隔離措置は、6月21日まで延長と5月21日付けでカナダ政府が発表した。

 水際対策強化中の3月末に日本からバンクーバーへ留学している男性に渡航や学校生活について話を聞いた。

 男性は2020年3月に高校卒業。新型コロナ感染拡大の真っただ中に日本で大学生活を始めることになった。

 大学はオンラインの講義が中心、サークル活動はもちろん部活動も自粛という状況で、思い描いていた生活と現実との違いから、思い切って大学を休学しての留学を決めたという。

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 渡航前に準備したのは、
・留学先を決めて就学許可証申請
・入国後3日間のホテル隔離予約
・入国後2週間が終わるまでの自己隔離先、ホームステイ先の手配
・入国に必要なArrive CANのスマートフォン(スマホ)へのインストール
・カナダでスマホを使うためのSIMの手配
・出国72時間前のPCR検査
などでした。

 そのうち、ホテル隔離の予約とSIM手配、出国前PCR検査は自分で手配、残りはエージェントに依頼しました。

 飛行機は空いていて隣には誰も座っていなかったため、機内ではゆったりと過ごすことができました。

 バンクーバー空港に到着すると、順路に沿って進みます。前の人についていきました。

 入国審査場のキオスクで指示に従い、パスポートの顔写真のページをスキャン、顔写真の撮影のあと、表示される質問に答えます。キオスクでは日本語を選ぶこともできました。

 終了すると紙がプリントアウトされるので、その紙を持って入国審査官のところへ。審査官の質問に答えたあと、ターンテーブルでスーツケースを受け取って、進行方向に向かって右にある移民局に行き、学生ビザを出してもらいました。

 僕は12月末まで滞在許可をもらうことができました。

ビックリ!知らなかった空港でのPCR検査登録

 ただ次のPCRテストのところで、バンクーバー空港でPCR検査を受ける事前登録が必要と知り、慌てました。エージェントさんからは何も聞いていませんでしたから。
(編集部注:バンクーバー国際空港に到着する場合、FlyClear™ by LifeLabs® https://www.lifelabs.com/flyclear/onarrival/を登録する必要あり。カナダで最初に到着する空港がトロント・ピアソン国際空港の場合はSwitch Healthを登録する。

 知らなかったのは僕だけではなく、大半の乗客だったようで、みんなその場で登録していました。登録自体は難しいことではなく、すぐに終了しました。

 続いてスタッフの案内に従ってPCR検査のブースに進みます。テストは鼻腔からスワブというものを入れてOne, two, three…と10数えるというものでした。ちゃんと10数えていました。痛くはありませんでした。

 終わったら、隔離終了前に自分で行う検査キットを受け取り、順路にしたがって空港の外に出ます。

ホテル隔離に3日で約2000ドル

 ホテルはシェラトンを予約しました。3日間で約2000ドルしました。ホテルでの食事はパッケージにはいったものが届きます。ハンバーガーとフライドポテトのときもありました。ホテルでの隔離中は部屋から出ることができませんでした。

 食事は冷めていることもありましたね。

 空港でのPCRテストの結果は翌日には届きましたが、キャンセル料が戻ってくるわけではないし、僕の場合、次の隔離場所には予約した日にしか入ることができないので、3日間、シェラトンで過ごしました。

 ホテル後の隔離はホームステイだったのですが、食事は水とパンのみという感じで、自分の部屋から出ることもできずよくなかったです。あとで聞くと同様にホームステイだった人の中には、キッチンを使うことができた人もいました。

オンラインで行った3回目のPCRテスト

 隔離中はArrive CANで自分で毎日、体調などの報告をするほか、政府からも一度電話がありました。あと1回は実際に「いかつい」男性が様子を見に来ました。電話ではちゃんと毎食出してもらっているかなど聞かれました。

 僕の場合、カナダ出発前、空港到着前、最後にカナダ到着10日目の3回PCRテストを受けたのですが、3回目は大変でした。
(編集部注:6月7日現在、3回目のPCRテストはカナダ到着8日目)

 専用のウェブサイトがあるので、朝8時にアクセスして、キットを用意してオンライン上の待合室で待機しました。既に3000人ほど待っていてびっくりしました。

 隔離中に留学先のオンラインでの授業が始まっていたので、授業を受けながら待っていると、自分の順番が来たのに気付かず、「並びなおし」をしたりで時間がかかり、終わったのはなんと4時間後、午後の1時でした。

 テストはライブで画面の向こうにいる人の指示にしたがい、キットに入っていたリトマス試験紙のような紙を鼻腔に入れ、今度は自分で1~10まで数えました。検体をボックスに入れて、外に出しておいて、ピックアップに来てもらいます。

 検査結果が陰性であったので14日後には隔離のためのホームステイ先を出ました。今、住んでいるホームステイには65歳以上の人がいるので、自己隔離が終わるまでは入居することができませんでした。

(取材 西川桂子)

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