シニアとボランティアがココロを交わす、隣組の「手紙プロジェクト」

ボランティアから届いた手紙を隣組で確認してから、シニアに送る。Photo courtesy of Tonarigumi
ボランティアから届いた手紙を隣組で確認してから、シニアに送る。Photo courtesy of Tonarigumi

 新型コロナウイルス感染拡大により昨年3月の緊急事態宣言以来、隣組ではシニアを対象にした各種サポートプログラムを行っている。そのうちの一つが、文通ボランティアの「手紙プロジェクト」。

 Eメールやコンピュータのない環境にいるシニア会員が孤立しないように、ボランティアが書いた手紙を届けている。隣組でプログラムを担当しているRieさんは「小さなお子さんから大人までが手紙を書いてくれています」と語った。

 このプロジェクトでは、手紙は施設に入っている不特定多数の人へ対して送られるのではなく、1通の手紙は一人に届く。宗教的な内容のことは書かない、勧誘などは行わないといった簡単なルールがあり、ボランティアから届いた手紙を隣組がまず確認。その上で1カ月に1回、送付している。

 「参加者には隣組で内容を一応確認することを伝えています」と了承を得ている。「エミリーカー(美術大学)へ通っている学生さん、イラストを描くのが得意な方、日本語ができるカナディアンの方など、いろんな方が参加しています」という。

 ボランティアの年齢層もさまざまだ。「チビッコから、高校生、大学生の若い世代、子育てで忙しいヤングママさんも協力してくださっています。おかげで多数のシニアの方に手紙を届けることができています」とボランティアに感謝する。

 プロジェクトが始まったのは今年4月のこと。現在のところ、規制が終わり元の生活に戻るまでの間を予定している。高齢者が入居している施設などは外部の人の訪問についての規制が厳しい。話し相手ボランティアが訪問できるようになったら終了と考えているという。

 「小さなお子さんが家でお母さんやお父さんと描いた絵なども、シニアさんに好評をいただいてます」とRieさんは微笑んだ。

ボランティアとして参加しているRunaさん
 元々隣組のRieさんと知り合いで、プロジェクトのお声がけをもらいました。隣組にはとてもお世話になってるし、なにかお役に立てればと思ってOkさせてもらったんです。

 自分にも遠い日本で一人暮らししてる父がいるのですが、父に何もしてあげれないけど、ここカナダにいるシニアさんに何かできることがあればと思うと、ただただありがたくうれしいと思えたんです。

 コロナの窮屈な中、あの手この手で子育てに格闘してるお母さん友達に声をかけるとみんな喜んで引き受けてくれました。

 どこのおうちの子でも自分の祖父母がいますよね。自分の祖父母じゃないけれど、このような厳しい生活環境の中、会ったことも話したこともないけれど、シニアさん達に想いを寄せて手紙を書いてみるのは、子どもたちにとってもとても良いことだと思いました。

 皆の手紙はシニアさんを想う、優しい心のこもった可愛らしいものでした。また、もちろん何を書けばいいか分からないとちょっとペンの進まないちびっ子もいたと思いますが、こういう世代を超えたツナガリって素敵なことですよね。どんな気持ちで読んでくださったのかな、喜んでくださったかなと想像するだけでワクワクします。

隣組

101-42 West 8th Avenue, Vancouver
Tel  604-687-2172
E-mail info@tonarigumi.ca

合わせて読みたい