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Naomi Mishima

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大雪、大雨でBC州南部は大混乱に

メトロバンクーバーで日中も雪が降り続いた。2022年12月18日。
メトロバンクーバーで日中も雪が降り続いた。2022年12月18日。

 大雪・荒天となった12月23日、メトロバンクーバーを含むブリティッシュ・コロンビア(BC)州南部は大混乱に見舞われた。これに先立ちBC州政府は12月22日に不要不急の外出は避けるよう求めていた。バンクーバーが大雪に襲われるのはこの週では2回目。

 BC州運輸省はハイウェイ3のホープ・プリンストン間で大雪、ハイウェイ1のフレイザー・キャニヨンで雪崩の注意報を出した。アレックス・フレイザーとポートマンの両橋は落雪の危険があるとして、23日早朝から24日朝まで閉鎖された。

 BCフェリーも、23日午前中はメトロバンクーバー・ビクトリア間など主要路線を含む多くの航路が運航中止に。午後にもいくつかがキャンセルされた。スカイトレインの駅や路線も一部が閉鎖となり、トランスリンクは利用を控えるよう呼びかけていた。

 バンクーバー国際空港の混乱も続き、23日には300便以上のフライトがキャンセル。同空港は、足止めとなった利用者にホテルとレストランのギフトカード約400枚を提供した。24日にはほぼ通常通りの運航となった。

 各地で停電も相次いだ。多くは倒木や折れた枝が原因と見られ、24日朝の時点で11,000世帯が影響を受けた。

 カナダ環境・気候変動省は24日も引き続き、メトロバンクーバーに大雨警報を発令し、洪水や落氷についても注意を促した。

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日系ホームを支えたHi-Genkiレストラン、惜しまれつつ営業を終了

Hi-Genkiレストランで人気メニューだったからあげ丼。Photo from Fujiya
Hi-Genkiレストランで人気メニューだったからあげ丼。Photo from Fujiya

 日系ホームで居住者への食事を提供していただけでなく、一般のレストランとしても営業していたHi-Genkiレストラン。2020年3月から始まった新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、2020年4月に営業を終了した。

 ボリュームたっぷりで美味しく、リーズナブルな価格で提供していたランチは特に人気で、営業終了を惜しむ声も多かった。

 日系ホームがオープンした2002年から日系コミュニティに日本食の美味しさと楽しさを提供してきたHi-Genkiレストランを経営してきたのは日本食料品店Fujiya。今回は、FujiyaのMegan Matsudaさんに話を聞いた。

―日系ホームでHi-Genkiを始めるきっかけを教えてください。なぜFujiyaが始めることになったのですか?

 日系ホームの担当者が平居しげる(Fujiya創業者)にこの構想を相談しました。平居氏は1970年代に「まねき食堂」を経営して以来、飲食業への復帰を熱望していました。 また、母であるフジエさんが日系ホームに入居することになり、母や入居者のために美味しい料理を提供したいという思いもありました。

―メニューのカロリーや品数、味付けなど、何か特別に心がけたことはありますか?レストランは日系ホームの入居者だけでなく、一般の方にも開放していましたから、バランスが必要だったと思うのですが。

 一般向けと入居者向けのメニューは別で、基本的に2つのチームを編成していました。 入居者向けのメニューは、アシステッドリビング施設のガイドに沿って、登録栄養士と共同で開発しました。さまざまな食事制限や嗜好に対応し、おいしくて健康的な食事を数多く提供できるようにすることは、常にチャレンジでした。レストランでは、家庭的な和食にこだわり、鶏の唐揚げやトンカツなど、ボリュームたっぷりの揚げ物メニューが評判でした。

―レストランが正式に閉店したのはいつですか?閉店を決めた理由は何ですか?

 2022年4月30日にレストランを閉店しました。とても難しい決断でした。2020年の新型コロナの影響拡大以来、私たちはダイニングルームをお客様に開放することができませんでした。日系ホームに新型コロナのリスクを持ち込むわけにはいかないので、閉店したままでした。テイクアウトやデリバリーで多くの支持を得ましたが、それだけでは続けられませんでした。レストランは、入居者の食事サービスを財政的に支える重要な役割を担っており、その収入源がなければ続けることができなかったのです。

―今、バンクーバーでは美味しくて手頃な価格の日本食レストランを見つけるのが難しいので、みんな本当にHi-Genkiレストランを恋しがっています。今後、同じようなレストランをオープンする可能性はありますか?

 再出店については、今、フード業界は食材のコストアップ、スタッフの確保・定着の難しさなど、さまざまな問題を抱えています。このような状況が改善されれば、再出店を検討することができると考えています。

2000年から20年間、日系ホームの台所を担ったHi-Genkiレストランの店内の様子。Photo from Fujiya
2000年から20年間、日系ホームの台所を担ったHi-Genkiレストランの店内の様子。Photo from Fujiya

(取材 三島直美)

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日系ホーム、今年で20周年を迎える

日系ホーム20周年を祝うイベントの様子。2022年9月17日、日系文化センター・博物館。Photo from Nikkei Place Foundation, by Manto Artworks
日系ホーム20周年を祝うイベントの様子。2022年9月17日、日系文化センター・博物館。Photo from Nikkei Place Foundation, by Manto Artworks

 ロバート・ニイミ日系ホームが2022年9月、開設から20周年を迎えた。9月17日には、日系文化センター・博物館で20周年を祝う式典が開催された。

 式典には、100歳を迎えた7人を含む、現在の日系ホームの居住者や関係者ら約160人が参加。在バンクーバー日本国総領事館石浦陽子領事、バンクーバー市マイク・ハーレー市長も出席した。

Ms. Ruth Midori Coles, President of Nikkei Seniors Health Care & Housing Society, at Robert Nimi Nikkei Home 20th Anniversary Luncheon on September 17, 2022. Photo ©2022 Nikkei Place Foundation, by Manto Artworks
Ms. Ruth Midori Coles, President of Nikkei Seniors Health Care & Housing Society, at Robert Nimi Nikkei Home 20th Anniversary Luncheon on September 17, 2022. Photo ©2022 Nikkei Place Foundation, by Manto Artworks

 あいさつをした日系シニアズ・ヘルスケア住宅協会ルース・コールズ理事長は、「20周年を迎え、これまでの成果を祝うと同時に、この先20年における日系社会のシニアの方々の将来を考える機会だと思います」と語った。シニアにはまだ多くのニーズがあり、「新しいプログラムや地域社会とのパートナーシップを築きながら、これからの20年でそれらのニーズに応えていくことが、私たちの希望であり、夢です」とこれからを見据えた。

 式典では、日系シニアズ・ヘルスケア住宅協会キッチンチームによる20周年を記念した特別な豪華お弁当が用意され、日系ホーム紹介ビデオや日系体操、彩月会による踊りの披露など、参加者は楽しいひと時を過ごした。

日系ホーム

 「日系カナダ人シニアの文化的ニーズに配慮した住宅の必要性は地域の多くのシニアの方々の長年の夢でした」とコールズ理事長はあいさつで語った。

 Nikkei Seniors health Care & Housing Societyホームページによると、協会は1975年9月に日系カナダ人のための住宅設立を目的にJapanese Canadian Societyとして始まり、2000年にJapanese Canadian Health Care Sociery of BCと統合。これを機にNikkei Seniros Health Care and Housing Sociery(Nikkei Seniors)と改名した。

 2002年にAssisted LivingホームNikkei Homeをオープン。当初は59ユニットで、完全バリアフリー、バストイレ付、カップルでも入居できる画期的なAssisted Livingホームとして注目された。

 日系ホームの食事は、同施設内1階にあるレストランHi-Genkiが担当。日本食料品店で知られるFujiyaが運営した。

 2016年にはロバート・ニイミ日系ホームに改名。2020年4月Hi-Genkiレストラン閉店。

 新型コロナウイルス感染拡大で訪問を制限するなどの影響は受けたが、現在も、「自立、尊敬、尊厳、プライバシー、選択」を理念に掲げ、シニアが「健康で長生き」な生活を送るために、プログラムやサポート、ケアを提供している。

日系ホーム20周年のイベントに花を添えた「彩月会」。2022年9月17日、日系文化センター・博物館。Photo from Nikkei Place Foundation, by Manto Artworks
日系ホーム20周年のイベントに花を添えた「彩月会」。2022年9月17日、日系文化センター・博物館。Photo from Nikkei Place Foundation, by Manto Artworks

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2022年日本カナダ商工会議所クリスマス・ランチと第2回小松和子アワード授与式の開催

総勢32名が集まり楽しく歓談した昼の時。来年の抱負も語りながら交流の時間を過ごしました。写真提供:日本カナダ商工会議所
総勢32名が集まり楽しく歓談した昼の時。来年の抱負も語りながら交流の時間を過ごしました。写真提供:日本カナダ商工会議所

日本カナダ商工会議所のクリスマス・ランチと第2回小松和子アワード授与式が12月13日、ガスタウンのイタリアン・レストラン、Al Portoで開催された。着任2か月の在バンクーバー日本国総領事館丸山浩平総領事をはじめ、32名が参加し、和やかな雰囲気の集いとなった。

昨年から始めた小松和子アワードは、日本カナダ商工会議所発起人の一人で長年に渡り、会を引っ張ってこられた故小松和子氏を尊び設けられ、今年で2回目となる。

小松元会長の名前を冠したこのアワードは、地域社会への還元、貢献を通じて日本とカナダの国際交流にビジネス、文化、教育、観光で活躍した人や日系コミュニティーで活躍した人たちを表彰するもので、今年は10名が選出され、サミー高橋会長から授与式に参加された6名と2名の代理の方々に表彰状が渡された。

受賞者リスト

1)ライフタイム・アチーブメント・アワード

・かおりリトン氏、ウェイン・リトン氏 チーナBC Ltd (チーナカナダ)社創業者
・宮坂まり氏 月刊「ふれいーざー」ジャーナル・パブリッシング社主
・島田友子氏 スカイランド・トラベル社、escapes.ca 創業者

2)JCCOCリーダーシップ・アワード

・加藤真理氏 日本カナダ商工会議所理事
・高林美樹氏 日本カナダ商工会議所副会長、AK Jump Educational Consulting Inc. CEO

3)コミュニティ・サービス・アワード

・諸橋富雄氏 Bridges International Insurance マネッジング・ディレクター
・渡辺雅之氏 BC州日英翻訳家、お国自慢(I LOVE MY HOMETOWN) イベント実行委員会リーダー
・桑原茂子氏 合唱グループ「ウィンズ」の前リーダー(2000年―2020年)
・吉澤明子氏 ケロウナ日本語学校校長と日本文化継承プログラムのリーダー

着任2ヶ月の大変気さくな在バンクーバー日本国丸山浩平総領事のご挨拶でクリスマス会が始まりました。写真提供:日本カナダ商工会議所
着任2ヶ月の大変気さくな在バンクーバー日本国丸山浩平総領事のご挨拶でクリスマス会が始まりました。写真提供:日本カナダ商工会議所
ライフタイム・アチーブメント:チーナBC Ltd. (チーナカナダ)かおりリトン氏とウエインリトン氏の代理のご子息のショーンリトン氏。1978年創業、家族経営の会社として、カナダの最高級グルメ商品の提供を長年してきた。写真提供:日本カナダ商工会議所
ライフタイム・アチーブメント:チーナBC Ltd. (チーナカナダ)かおりリトン氏とウエインリトン氏の代理のご子息のショーンリトン氏。1978年創業、家族経営の会社として、カナダの最高級グルメ商品の提供を長年してきた。写真提供:日本カナダ商工会議所
ライフタイム・アチーブメント:1992年に創刊された無料月刊『ふれいざー』ジャーナル・パブリッシングの社主、宮坂まり氏の長年のコミュニティ貢献を称える。写真提供:日本カナダ商工会議所
ライフタイム・アチーブメント:1992年に創刊された無料月刊『ふれいざー』ジャーナル・パブリッシングの社主、宮坂まり氏の長年のコミュニティ貢献を称える。写真提供:日本カナダ商工会議所
ライフタイム・アチーブメント:創業32年のスカイランドトラベルの島田明子氏。日本他アジアへの旅行専門としてBC州の日本人コミュニティの情報源となってきた。写真提供:日本カナダ商工会議所
ライフタイム・アチーブメント:創業32年のスカイランドトラベルの島田明子氏。日本他アジアへの旅行専門としてBC州の日本人コミュニティの情報源となってきた。写真提供:日本カナダ商工会議所
コミュニティ・サービス・アワード:日英翻訳家渡辺雅之氏:お国自慢実行委員会リーダーを務める。十四回続行しているお国自慢の総合司会を務め、日本紹介、文化継承、観光やビジネスや教育の多面を通して国際交日加国際交流に貢献。写真提供:日本カナダ商工会議所
コミュニティ・サービス・アワード:日英翻訳家渡辺雅之氏:お国自慢実行委員会リーダーを務める。十四回続行しているお国自慢の総合司会を務め、日本紹介、文化継承、観光やビジネスや教育の多面を通して国際交日加国際交流に貢献。写真提供:日本カナダ商工会議所
ライフタイム・アチーブメント賞を受賞された桑原茂子さん、通称モコさんは長年ボランティアをしてきたシニアホームで歌のプレゼントを企画したのをきっかけに、現在の混声合唱グループウィンズが結成されました。授賞式には残念ながら出席できず、賞状をモコさんのお宅まで、サミー高橋会長が届けました。写真提供:日本カナダ商工会議所
ライフタイム・アチーブメント賞を受賞された桑原茂子さん、通称モコさんは長年ボランティアをしてきたシニアホームで歌のプレゼントを企画したのをきっかけに、現在の混声合唱グループウィンズが結成されました。授賞式には残念ながら出席できず、賞状をモコさんのお宅まで、サミー高橋会長が届けました。写真提供:日本カナダ商工会議所

(寄稿 日本カナダ商工会議所)

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247 ☆ 「年の瀬も迫り、良いお年を」

sotokaramiru-nihongo

外から見る日本語

日本語教師  矢野修三

 ついこの間、新年の挨拶をしたと思いきや、早や師走のお出まし。「いよいよ年の瀬も迫りました」や「良いお年をお迎えください」など、またこのような挨拶をかわす時期になってしまった。正に、「光陰矢のごとし」を痛感している。

 この時期になると、生徒からの懐かしい、でもちょこっと困った質問を思い出す。「年の瀬」についてである。どうして年末を「年の瀬」というのか、なぜ「瀬」という漢字を使うのかなど、最初に質問を受けたときはびっくり、教師として、こんなこと考えたこともなかったので、焦ってしまった。

 でも、確かになぜ「瀬」なのか、我々日本人はほとんど気にしたことないが、語源は「川の瀬」である。「瀬」は川の浅い所だが、急流で危なく、無事に川を渡れるか、気になる場所。

 これについては江戸時代の一般庶民の暮らしぶりを理解すれば分かりやすい。当時はお金を後でまとめて支払う、ツケ払いが広まっていたようで、年末にそのツケをきちんと清算して新しい年を迎える。でも、落語でお馴染みの貧乏長屋などではお金の工面がままならず、無事にお正月が迎えられるか、気になる時期。

 そこで年末を「川の瀬」にたとえて、「年の瀬」と呼ぶようになったとのこと。なるほど。想像もつかなかったが、なかなか味のある表現。確かに、「瀬」は百人一首にも出てくるので、この「年の瀬」という言葉に「年末」とは何か違う思いを感じる日本人は多いと思う。

 生徒には細かなことは省いて、「川の瀬」は流れの速い所で、年末は忙しく、人の流れが速いので、「年の瀬」という言葉ができたが、意味は「年末」とほぼ同じ、と説明している。でもこれを英語に訳すのは難しく、「the end of the year」では、物足りないですね、などという上級者もいて、うれしくなり、じっくり説明したくなる。

 また、「良い年」は「よい年」か「いい年」か、どちらが新年の挨拶にふさわしいですか、などもよく質問される。教師にとって、この「良い」という形容詞は教えるのに一苦労。「良い」の読み方は「よい」だか、会話などでは「よいです」ではなくて「いいです」のほうが自然。さらに、「いいです」の否定形は、「さむい」は「さむくない」なので、生徒は「いくない」と思ってしまう。しかし「いくないです」はよくないので、「よくないです」と教えなければならない。

 一般的には「よい」は書き言葉で、フォーマル。「いい」は話し言葉でカジュアルな感じであり、ビジネス関連の得意先や上司などには改まった、漢字の「良いお年」を使い、友達などには気軽にひらがな書きの「いいお年」がいいかもね。御意!

バンクーバー新報、ご愛読の皆さま、
 「いいお年」ではなくて、「良いお年」をお迎えください。

YANO Academy(日本語学校)
・日本語教師養成講座  
・外から見る日本語講座      
毎月開催(オンライン講座)
電話:778-834-0025
メール:yano@yanoacademy.ca
ホームページ:https://yanoacademy.ca

「年の暮*納めの月に里ごころ」

カナダde着物

第41話 *美しい日本を再確認*

 今年もあとわずかで終わろうとしております。

 雪景色の年の暮れとなりましたグレーターバンクーバーです。

 人の往来が多いこの時期に、雪のせいで帰省や旅行が予定通りにいかないことがあり、里心を感じる方もおられるかと思います。

 皆さま、いかがお過ごしでしょうか。

「Cloudy & 6°C on Christmas Day in Vancouver Trumpeter Swanby 」by Manto Artworks
「Cloudy & 6°C on Christmas Day in Vancouver Trumpeter Swanby 」by Manto Artworks

 日本各地のお寺では、納めの不動という今年最後の縁日があります。

 天災や疫病を鎮静するとされ拝されてきた「不動明王」(*1)、通称「お不動さま」と現に生きる私たちとの縁を結ぶ日、とも言えるでしょうか。

 お不動さまの恐い怒りのお顔の下に慈悲があると聞きます。怒りの形相は、悪を断ち切り人々の煩悩を消し去るよう導いているのだそうです。

 人は思うようにいかない時や自分の選んだ道なのに喜びを感じない時などに、ふと他人へ八つ当たりをしてしまったり、責任転嫁をしがちです。

 なのに心の中では、ふつふつと寂しさがこみ上げてしまったり…。

 お不動さまは、そのような私たちの心が守護を通じて、感謝の気持ちに変わるよう手助けしてくださっているように思えます。

 里心を感じた時、自分がここにいることに感謝したいものです。

「Temple in Japan 」by Manto Artworks
「Temple in Japan 」by Manto Artworks

「美しい日本を再確認」

 今年の後半は、幸いなことに2回目の日本へ行くチャンスがありました。

 短い滞在でしたが、東京の茶道会館での「紅葉の茶会」への参加や京都で西陣織工房へ見学することができました。

 お茶会では、着物を召されたお客さま、手際がよいお茶人の皆さま、手入れのされた庭園や日本建築を拝見しました。

 茶道での着物は、一般の方から見ると地味だと言われます。しかし、その目的が単に着物を見せることではないということは、なかなか認識されていないのではないでしょうか。

 茶道が仏法を通じての修行の一部であり、他の道具や茶室との調和を大事にしているということも理由にあるのかも知れません。

 着物は季節感や縁起をかつぐ文様は大事にされますが、必要以上の華美は避けられます。

 お茶室や庭園の中でお茶人は、その存在や佇まいが美しく、それは豪華絢爛な着物を身に付ければそうなるというものではなく、中からにじみ出る内面が大きく影響してくるものだと感じます。

 お茶会に招く側と招かれる側では、着物や帯の格式やチョイスが違うということも、今後の着物コラムで触れていきたいと思います

 そして、日本美術に置いての「調和」は重要な要素のひとつでしょう。重要文化財や国宝とされた品々は正にその極めとも言えます。

 今回の旅行で印象に残りました、京都大徳寺の美しい庭園や茶室は心惹かれるものがありました。

 これからの日本は、こういった唯一無二で世界の人々を呼び寄せる場所として残るのではないかと思いました。

 日頃、日本文化をカナダの皆さまに広める活動を行うことが多いのですが、世界中の皆さまに日本に来ていただき、本物を見ていただくことができましたら本望です。

 真面目に語ってしまいましたが、カナダでの生活の中でもっと気軽に着物や日本文化を愉しむことも続けていきたいと思います。(*2)

 今年最後の着物コラムとなりました。

 これからも着物を通じて季節感や日本文化の素晴らしさを伝えることが出来ましたら幸いです。

 来年は兎年です。ホップステップジャンプ!と飛躍の年でありますように。

 良いお年をお迎えくださいませ。

コナともこ

「Rabbit 2023」by Manto Artworks
「Rabbit 2023」by Manto Artworks

*おまけ*

年末年始のお寺情報Tozenji Temple (西山浄土宗 東漸寺)

除夜の鐘:12月31日(土)
初詣:1月1日(日)~3日(火)
敷地内ではソーシャルディスタンスとマスクの着用をお勧めします。
皆様のご理解ご協力をお願いします。
お問い合わせは (604)939-7749 又は daihizan.tozenji@gmail.comまで連絡下さい。
東漸寺 209 Jackson Street, Coquitlam(無料駐車場有り、Skytrain Braid駅から徒歩15分)

詳しくはこちらから。https://www.vancouvershinpo.ca/community-bulletin-board/religious/2022/12/19/tozenji-new-year/

引用 

不動明王(*1)
仏教の信仰対象であり、密教特有の尊格である明王の一尊。大日如来の化身とも言われる。

気軽に愉しむ着物(*2)
“着物deクリスマス”
海外で装う着物ランキング第1位と言ってもいいほど、お勧めのクリスマスコーデです。(ちなみに第2位は夏の浴衣姿です)
是非、お試しくださいませ。

https://www.instagram.com/p/Cmn15NEOc_O/?igshid=YTgzYjQ4ZTY%3D

参照

フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
きもの着方教室いち瑠 https://ichiru.net/column/kimono-christmas/

コナともこ
アラフィフの自称着物愛好家。日本文化の伝道師に憧れ日々お稽古に励んでおります。
12年前からコキットラム市の東漸寺で「和の学校」を主宰。日本文化を親子で学び継承する活動をしております。

年間を通じて季節の行事に加え、お寺での初参り、七五三祝い、十歳祝い、元服祝い、二十歳祝い、結婚式、生前葬、お葬式などの設えと装いのお手伝いもさせていただいております。

*詳しくはコナともこ までお問い合わせ下さい。tands410@gmail.com
東漸寺は非営利団体で、和の学校の収益は東漸寺の活動やお寺の維持の為に使われています。

カナダ人の夫+社会人と大学生の3人娘+老犬1匹がおり、バンクーバー近郊在住。

和の学校ホームページ https://wanogakkou.jimdofree.com/
Facebook https://www.facebook.com/tomoko.kona.98
Instagram https://www.instagram.com/konatomoko/?hl

 

第135回 こんな楽しい日系センター 古本市

グランマのひとりごと

 何時だったか、誰も知らない隣組へ$7.50のランチと「プリズマティック コーラス グループ」のコーラスが聞きたくて一人で行き、思い切り楽しい時を過ごせた。隣組で働く素晴らしいボランティア達との出会いもあった。このグランマ、車の運転が苦手だから、遠距離運転は勇気がいる。でもねぇ、あの楽しかった体験から、思い切って自分もボランティアをやってみたくなったのだ。
 でも、誰が83歳の難聴老婆をボランティアに使ってくれるだろうか?

 所が、ところがだ! 
 ボランティアをしたいと思い始めた途端、メールが入ってきた。日系センターで「古本市」のボランティア募集だ。「うわぁー!」喜んだこのグランマ。早速、正直に老人であると説明付きで応募した。それでもグランマは2日間、キャッシャーのボランティアをさせて貰えることになった。私を採用して下さったのは笠井律江さん、ボランティア係、日系センターのスタッフのようだ。
 兎に角、待ちに待ったその当日、リッチモンドの我が家から日系センターまで車で1時間と思い早めに家を出た。結局、40分位で日系センターへ到着。日系センターの玄関ホールには、沢山の本が既にザーッと並べられている。受付へ行くと、マスクをした、でも綺麗な若い女性がいた。互いに紹介しあい、彼女は川崎さんと言い、私に名札をぶら下げるように呉れた。

 「おお、いよいよ仕事だ」緊張!
 小さな手提げ金庫と会計用機械を、彼女は私に見せ、優しくクレジットカード支払いと現金支払いの受付、その処理方法などを教えてくれた。それは金曜日の朝11時から始まり、既にカウンターには売りかけの8個のヴィデオテープ箱が置かれていた。買う人がそれを入れる袋を探しに何処かへ行っているらしかった。
 あぁー。戻って来た。ニコニコ、明るく優しい感じのおじいさんだった。持って来た袋にヴィデオテープ箱を全部入れ、お金を払った。
 値段が1箱「1ドル」、本も全部1冊「1ドル」

 その頃、2階の事務所から、私を採用してくれた笠井さんが、会いに来てくれた。ここで、又明るく、優しく、そして、気配り、仕事に対する責任感が全身みなぎる、そんな笠井さんに出会えて、グランマはすっかり安心した。

 しかし、金曜日、来客の少なさ。11時に始まり、3時に終わるまでの来客数は12-13名。結局、本好きの私は客が本売り場に一人もいない時に自分がそこへ行き、自分の好きな本を買いあさり。「楽しかった!」2日間で50冊近い本を買ってしまった。重たくて持ちきれず、駐車場まで川崎さんが、2回目は笠井さんが持ってきてくれた。仲良しの作家桐島洋子さんの古い本が5冊、日本在住友人達用に探した時、入手が難しかった唐沢良子さんの本「やまばと」6冊も見つかり、うれしかった。

 次の古本市は何時だろう?日系センターの2階のブックショップでは週数日だけど1冊3ドルで常時売っているそうだ。

 沢山の本がこの安値で入手出来るバンクーバーの日系センター、出歩きが不得意なこのグランマでも、頑張って出かけてみたら、50冊の本が買えた。
 こんなに素晴らしい体験ができ、ついでに日本食材料まで買えるところもあった。
 遠いと思っていた日系センター、でも何だか頑張れば40分の運転、私でも行けるのだと痛感。また行こう!

岩手県フェアABURI Marketで開催、最終日には長蛇の列も

ABURI Marketで開催された岩手県フェア最終日に長蛇の列が。2022年12月14日、ウエストバンクーバー市。Photo by Naomi Mishima
ABURI Marketで開催された岩手県フェア最終日に長蛇の列が。2022年12月14日、ウエストバンクーバー市。Photo by Naomi Mishima

 ウエストバンクーバーにあるABURI Marketで12月10日から5日間、岩手県フェアが開催された。

 岩手県から直輸入の和牛やリンゴ、岩手米などが購入できるイベントで、最終日の14日には岩手県・達増拓也県知事も来場し、バンクーバーの人たちと触れ合った。

 14日は先着100人に岩手県産米「銀河のしずく」がプレゼントされることもあって、イベント会場には長蛇の列。和牛が料理された会場にはいい香りが漂う中、リンゴや炊き立て銀河のしずくなど、試食に参加者の笑顔がはじけた。

 近くに住むというビクトリアさんは、この日が2回目のイベント参加という。「初日にも来て、家が近いので今日もまた来ました」と笑顔を見せた。自分は日本には行ったことがないが、友だちや家族が行っていて日本はいつも身近にあったというビクトリアさん。どれも美味しいと話したが「家族はリンゴが好きと言ってたけど、私はやっぱり牛肉が好きかな」と笑った。

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平和の希望 1~投稿千景~

エドサトウ

 鎌倉時代、元寇の時に北九州は中国に攻め込まれて、なぜ勝つことが出来たかと思えば、神風、今でいう突風が吹き荒れて、沖に停泊していた船団が壊滅的な打撃を受けたからからと言えるかもしれないが、基本的には日本の鎌倉武士が中国軍を上陸できないように命がけで、もののふの意地で頑張ったからであろう。日本は弱いと思い侵略を試みるが天候が急変して、海は大しけとなり中国軍は甚大な被害を受けて引き上げざるを得なかったのではなかろうか?

 今、ウクライナを考えるときに、寒さに耐えられないウクライナ市民や兵士が凍えるこの冬に、ロシア軍が再び来るのかもしれない。

 かつて、ドイツ軍は破竹の勢いで進軍していたが、結局冬の寒さに負けた。野営するドイツ軍には体を温める木切れもなく寒さに打ち震えるだけであった。今、私たちは、電源などのインフラが攻撃されて、この冬に大変な困難に直面しようとしているウクライナの人々に何の支援ができるのであろうか?現地で戦っているロシア兵にしても、後方の支援を閉ざされれば、今以上(約7万人)の戦死者が予想される。

 どちらの国もこれ以上の戦死者を出さないために、勇気ある平和の対話を強く希望したいものである。

 また、気になることがある。かつてテレビのドキュメンタリーで、韓国がウクライナに農地を借りて、大規模農業を始めようとしていたのを見た記憶がある。韓国は家電とか車を売る代わりに、ウクライナに投資をして大農場の経営にのりだし、農産物を買うことにより貿易のバランスをとるということをしていたのかもしれない。でも、その小麦など食料はどうなっているのかは素朴な疑問である。

 「文化は無し のぼる陽もなき 地平線」は、ウクライナの人の俳句です。

 一帯一路などの貿易で成功を収めた大国中国の自主的な援助を期待したいものである。

雪の影響でバンクーバー発日本行きもキャンセル相次ぐ

前日からの大雪に見舞われたバンクーバー国際空港。2022年12月20日、Photo by Japan Canada Today
前日からの大雪に見舞われたバンクーバー国際空港。2022年12月20日、Photo by Japan Canada Today

 バンクーバーを襲った大雪の影響で12月20日はバンクーバー国際空港のフライトスケジュールが大幅に乱れた。

 同日に日本へ出発する予定の日本航空と全日空はキャンセルとなり、翌日に予定を変更。搭乗する予定だった乗客は空港で何時間も待たされたあとのキャンセルに、ホテルの予約などに追われた。

 日本航空ではチェックインのために待っている乗客に状況の説明もなく、乗客には不安が広がっていた。

 同日のエアカナダ3便バンクーバー発成田着は予定を大幅に遅れて出発した。

 また、12月21日のバンクーバー発成田着は、日本航空、全日空ともキャンセルに。成田を21日出発予定だった両社のバンクーバー行きもキャンセルとなっている。エアカナダは運航を予定している。

 その他のバンクーバー発アジア路線でも21日は韓国行きなどキャンセルが相次いでいる。

 バンクーバーを含むブリティッシュ・コロンビア州南西部では12月18日から雪が続いており、空の便だけでなく、公共交通機関も大きく乱れた。今シーズンに入りバンクーバーが雪に見舞われるのは3回目で、バンクーバー国際空港や公共交通機関の雪への対応の悪さに批判の声が上がっている。

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バンクーバーで大雪、今週は日中でも氷点下が続く予報

メトロバンクーバーで日中も雪が降り続いた。2022年12月18日。
メトロバンクーバーで日中も雪が降り続いた。2022年12月18日。

 カナダでは比較的温暖な冬で知られるバンクーバーを大雪が襲った。12月18日の未明から降った雪は日中も降り続き、多いところでは15センチから20センチの積雪となった。

 19日には小康状態となっているが、カナダ環境省によると19日夜から20日にかけてメトロバンクーバーでさらに10センチから20センチの積雪となると予測している。ビクトリア市を含むグレータービクトリアでは、多いところで20センチの大雪と風雪が予測されるとして注意を呼び掛けている。

 また、気温も上がらず、バンクーバーでも今週は最高気温が氷点下となる日が続く予報で、20日は-3度、21日には-9度、22日は-7度となっている。

 ブリティッシュ・コロンビア(BC)州政府は、出かける場合は時間に余裕を持った行動をと促し、運転する場合はスノータイヤを装着していること、緊急キットを携帯していることなどの注意を呼びかけている。

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「ウクライナの子どもたちに光を」クレア・ポストカード・プロジェクト支援報告

ホームページにて注文を受け付け中。Photo by The Vancouver Shinpo
ホームページにて注文を受け付け中。Photo by The Vancouver Shinpo
Claire's Postcard Projectでウクライナ支援を呼びかけた仙北谷クレアさん。Photo by Koichi Saito
Claire’s Postcard Projectでウクライナ支援を呼びかけた仙北谷クレアさん。Photo by Koichi Saito

 今年7月にウクライナの友人を支援する「クレア・ポストカード・プロジェクト」を始めた仙北谷クレアさんと父・蔵人さんから、支援金が無事ウクライナに届いたとの報告を受けた。

 クレアさんと蔵人さんは、「(プロジェクトのアイデアを提供してくれたカメラマンの)斉藤光一さん、バンクーバー補習校の校長先生や職員の方々、バンクーバーの日系企業の方々、道場のメンバーや親御さんのご支援に心から感謝しております。このプロジェクトから人の暖かさや思いやりを感じました」と感謝の気持ちをつづった。

 プロジェクトの支援金500カナダドルで、暖房機2台、避難所のライト、子どもたちが帰宅時に使う手持ちライトを購入したと、ウクライナから写真が添えられた報告があったという。

 ウクライナとは、蔵人さんが師範を務める岩間流合気道のキーウ教室ウクライナ岩間神信合気修練会で教えるマキシム・ウラジミロフさんと家族ぐるみで親交を深めてきたつながりがあった。

 ウラジミロフさんから聞かされるウクライナの状況はニュースでは伝わらない生々しいもので、なんとかしたいというクレアさんの思いから「クレア・ポストカード・プロジェクト」が始まった。

 支援金はウラジミロフさんに送り、11月に報告が来たという。そこには、まだまだ続くウクライナの大変な状況もつづられていた。ロシアからの砲撃を受け、電気も制限されている状況で暗さと寒さがかなり厳しいようだという。

 「インフラを攻撃されているため真っ暗な中を帰宅する子どもたちに、手持ちライトはとっても役立っている」との報告もあった。ただ、インフラへの攻撃で電気が止まることがあるため、暖房機は使用できないこともあるという状況には心配な様子だ。

 また、仙北谷さんの家族やバンクーバー道場のメンバーとその家族の協力を得て、クリスマス前に2回目の寄付として約500ドルをウクライナに送ろうと考えているという。「キエフの学校だけは電気と水が確保できていたのですが、数日前のインフラへの攻撃で電気と水も止められている状況のようです。そんな中でも子どもたちに少しでもクリスマスを味わってほしいと思い、何か甘い物でも購入できるように寄付を送ることにいたしました」。

 蔵人さんは「平和を祈り我慢するウクライナの人々のことを考えると心が痛みます。我々にできることはとても小さいですが、引き続き、できることを続けていきたいと思います」と思いを語った。

 オンライン「クレア・ポストカード・プロジェクト」でのポストカード購入によるウクライナ支援は、現在も継続されている。https://iis-int.com/clairespostcards/

写真提供:ウクライナ岩間神信合気修練会
写真提供:ウクライナ岩間神信合気修練会

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