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トロント国際映画祭で「ほかげ」上映「戦後も続く戦争が人々に与える苦しみを描く」塚本晋也監督インタビュー

トロント国際映画祭で「ほかげ」が上映された塚本監督。2023年9月11日。トロント市。Photo by Michiru Miyai
トロント国際映画祭で「ほかげ」が上映された塚本監督。2023年9月11日。トロント市。Photo by Michiru Miyai

 トロント国際映画祭TIFFで、塚本晋也監督の最新作「ほかげ(英語題 Shadow of Fire )」を上映。最優秀アジア映画賞を受賞したベネチア映画祭の直後に現地入りした塚本監督が、取材に応じ作品についての思いなどを語った。

-トロントの前にベネチア映画祭での上映がワールドプレミアでした。会場の反応はいかがでしたか。

塚本-この作品はものすごいインパクトを持って戦争を伝えるというのではなく、これからの世界が少しでも平和でありますようにと祈りを込めた映画。その祈りが静かに伝わったというような感触を受け、とても手応えを感じました。

-監督は海外の映画祭には積極的に出品していらっしゃいますが、どういった理由からでしょうか。

塚本-初めて海外の映画祭に出た時にとてもよい時間を過ごせたのが大きいと思います。日本国内で完結すると思って作った自分の映画を、外国の観客が(日本の観客と)同じような熱狂的な目でスクリーンを見ている、というのがすごくうれしかったんですね。また、世界中の尊敬している監督や俳優にばったりと会えたりする機会でもあるのと、あとは(観客の)最初のリアクションを目の前で見れるので、大事な場だと思っています。

 「ほかげ」は終戦後、生き残った人々が必死に生きようともがく様子を一人居酒屋で体を売って生きる女性(趣里)、食べ物を盗みながら生きる戦争孤児(塚尾桜雅)、片腕が動かない謎の男(森山未來)、若い復員兵(河野宏紀)らを通して描く。塚本監督は「前作の『斬、』、『野火』で人を殺めることの恐ろしさを描いた。今作では、終戦直後の闇市の世界を通して、再びこのテーマに挑む」と話す。

-今回戦後を舞台とされたのはどうしてでしょうか。

塚本-僕自身は戦争が終わりたった15年で生まれたのに、戦争の面影は感じずに育ったんです。自分が生まれたときの足元の地面と戦争があった地面を繋げたい、実感したい、という思いがずっとあったわけです。幼少のころ、渋谷のガード下でシートの上に並べて売られるガラクタや傷痍(しょうい)軍人さんを見かけたのが、今思えば終戦後の闇市の微妙な片鱗を子どもの時に見たのだと思い、闇市を通して戦争があったということを実感し、戦争を身近に感じたいという個人の目的もあり戦後をテーマにしました。

-映画では戦争で生き残った人が、絶望と闇を抱えながら生きる様が描かれています。

塚本-戦争が終わったら皆「よかったー」と太陽に向かって言っているように思っていたんですが、実は戦争が終わっても終わっていない人が大勢いた。それを描かなければ、と思ったんですね。

-戦後も続く復員兵たちの苦しみの描写も多くあります。

塚本-若い人は目の前に平和があり戦争と言ってもピンとこないと思うんです。戦争があると普通の人がこうなってしまう、というのを実感して怖いと思ってもらいたい、というのはありました。

-「ほかげ」というタイトルに込めた思いを教えてください。

塚本-「野火」は戦争の火と生活を営むための火という意味でした。「ほかげ」は戦争の火とその陰で生きる人たちというような意味と、部屋の中に灯した小さな火のゆらぎの影のなかで生きる主人公たち、という意味から決めました。

-最後にこの映画を観る人にメッセージをお願いします。

塚本-これからの世の中を生きる次の世代の人たちが良い時代を生きていけるように、という祈りの気持ちが観てくださる方にも届いたらよいと思っています。

 終戦後も苦しみや悲しみを人々に与え続ける戦争。日本では戦後80年近くも平和が続いているが、世界の各地では今も戦争が起こっている。塚本監督は「世界状況の緊迫感から、この映画は今作る必要があると感じた」と話した。全ての世代に観てもらい戦争のむごさを改めて考えてほしい作品だ。

「ほかげ」

監督・脚本:塚本晋也
出演:趣里、森山未來、塚尾桜雅など

モントリオールで10月4日から開催のFestival du Nouveau cinemaで上映予定。
バンクーバーでの上映は未定。

ストーリー:女は、 半焼けになった小さな居酒屋で1人暮らしている。体を売ることを斡旋され、戦争の絶望から抗うこともできずにその日を過ごしていた。空襲で家族をなくした子供がいる。 闇市で食べ物を盗んで暮らしていたが、ある日盗みに入った居酒屋の女を目にしてそこに入り浸るようになり…。(公式サイトより)
公式サイト: https://hokage-movie.com/

「ほかげ」より。Courtesy of TIFF
「ほかげ」より。Courtesy of TIFF

(取材 Michiru Miyai)

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トロント国際映画祭TIFFレビュー 絞りに絞った3作品を紹介

「Concrete Utopia」より。Courtesy of TIFF
「Concrete Utopia」より。Courtesy of TIFF

 終わってしまいました(涙)。トロント国際映画祭!今年はご存知のように、全米俳優組合と全米脚本家組合のストライキが続行中のため、レッドカーペットは少な目でしたが、それでも日本、韓国、ヨーロッパからは監督や俳優さんが参加しトーキング・ヘッズやポール・サイモン、ニッケルバックなどの音楽関係者がドキュメンタリー映画に合わせて登場したりとそれなりに楽しませてくれました。あ、最終日にはあのSLY様、シルベスター・スタローンも登場し会場から「ロッキー!」コールを受けました。そして肝心な映画の方は、もちろん良作がたくさん上映されオスカーの前哨戦として、しっかり役目を果たしたなぁと感じました。というわけで、今回は私が実際にTIFFで観て良かった映画3作品をご紹介しようと思います。

 紹介した映画の多くは数か月以内には劇場公開になるので、皆さんも機会があったら映画館に足を運んでみて下さい。

American Fiction(Cord Jefferson監督)

American Fiction(Cord Jefferson監督)より。Courtesy of TIFF
American Fiction(Cord Jefferson監督)より。Courtesy of TIFF

 あらすじ-主人公は大学で教鞭をとる黒人の作家。近年本が売れていない彼が書いているものは文学なのに書店では「黒人」セクションに置かれ、出版社からは「黒人らしさが足りない」と拒絶される日々。そんな時、招待された文学フェスティバルで、ステレオタイプな黒人の不幸を描きベストセラーとなった若い黒人作家が大注目を浴びているのを目にし一層やるせない気持ちに。同時に母の病気や家族の問題が重なり、なかばやけくそで「典型的な黒人の物語」を書いて出版社に送ったところ思わぬ方向に話がどんどん進み・・。

 これ、本当に面白かったです!コメディなので笑うところもたくさんあり、それでいて温かい家族のストーリーがあって。人種ステレオタイプって本当にやっかいなもので、アジア人だって映画に出てきてもマフィアか医者ばっかり、みたいな感じありますよね。私たちはダイバースよっ!どやっ!と思って満足そうにしている側と、実はそうじゃないんだよ・・と思っている側、そして大衆は結局見たいものだけを見て喜んでいるという現実をチクッと風刺しています。主演のジェフリー・ライト、そして弟役のスターリング・K・ブラウンなど俳優陣も素晴らしかったです。TIFFではPeople’s Choice Award (観客賞)を受賞しました!

Concrete Utopia(オム・テファ監督)

Concrete Utopia(オム・テファ監督)より。Courtesy of TIFF
Concrete Utopia(オム・テファ監督)より。Courtesy of TIFF

 あらすじ-大地震の後、廃墟となったソウルで唯一倒壊せずに残ったアパートを舞台とするディストピアもの。自分たちが住んでいるアパートが無事だったことに安堵しながらも廃墟となった街を見て途方にくれている公務員のミンソン(パク・ソジュン)とミョンファ(パク・ボヨン)の夫婦。子連れの女が助けを求めて来たので部屋に受け入れたものの、次第に外部からの避難者はビルから排除しようとする声がアパートの住民の間で大きくなり従わざるを得なくなる。混沌とした世界で生き残るために、独自の正義を人としての倫理より優先する人たちと巻き込まれていく人びとを描く人間模様。

 災害はもちろん怖いけど、一番怖いのは人なんだと思わせられる映画。地震後からストーリーが始まるので現実からほど遠い世界が舞台なんですが(セットもすごかった!)、パク・ソジュンとパク・ボヨンの演じる夫婦がとても自然で、災害前の普通に街にいる仲の良い夫婦をふっとイメージさせてくれる演技がすごく良かった。イ・ビョンホンは目が笑っていないぞっとする表情とか、さすがの演技力で魅せてくれます。パク・ボヨンが舞台挨拶の時に、偉大な先輩のビョンホンさんと対峙するシーンが難しくて彼の写真を見ながら目を煮干し?(Dried Anchovies と英訳されていた)と思って練習した、と言っていたのがすごく可愛かったです。

Sing Sing(Greg Kwedar監督)

Sing Sing(Greg Kwedar監督)より。Courtesy of TIFF
Sing Sing(Greg Kwedar監督)より。Courtesy of TIFF

 あらすじ-ニューヨーク州に実在するアート活動を利用したリハビリプログラムRTA(Rehabilitation Trough Art)を実施している刑務所が舞台の物語。役を演じることによって、自分の弱さに向き合い人の心を見つめ直す効果があるというプログラムのもと、メンバーは6か月ごとに次の芝居に向けての準備を始める。ある時新しく加入したメンバーの提案で初めてコメディーを演ることに。各自やりたい役のアイデアを出しオリジナルなとんでもな脚本が出来上がっていくが・・・。演じるという目的を持ち稽古を重ねるなかで、囚人たちの心が繋がり成長してゆく様子を描く。

 なんとなく宣材の写真だけで良さそうだと思って観てみたら大当たりでした!TIFFの時点では決まっていなかった配給会社も、あのA24 に決定したそうなのできっと年明け頃には公開になるのでは。主役級の二人以外は多くの出演者が、題材になった刑務所のRTAプログラムの経験者だそうです。なので楽しい性格もご本人たちの素顔なのかも。アートが人の心に及ぼす力、人が人として生き直す力を見せてくれる心温まる、だけど考えさせられるところも多い映画です。会場では泣いている人もたくさんいて、上映後は長い長いスタンディングオベーションでした!

 追記:もう日本でご覧になった方も多いかとここでは紹介しなかったのですが、Monster(是枝裕和監督)も人の心が繊細に丁寧に描かれていて、最後まで観ないと真実がわからない構成が素晴らしかったです。バンクーバーではVIFFで上映されるので、観に行かれる方は前知識なしで!!行かれることを強くおすすめします!

 そして来週からはバンクーバー国際映画祭VIFFですね!次回はVIFF作品のレビューも予定しているので、良ければお付き合いください!

Lalaのシネマワールド
映画に魅せられて

バンクーバー在住の映画・ドラマ好きライターLalaさんによる映画に関するコラム。
旬の映画や話題のドラマだけでなく、さまざまな作品を紹介します。第1回からはこちら

Lala(らら)
バンクーバー在住の映画・ドラマ好きライター
大好きな映画を観るためには広いカナダの西から東まで出かけます
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みなさん一緒に映画観ませんか!?

トロント国際映画祭TIFFで「なすび」さんのドキュメンタリー「The Contestant」上映

ドキュメンタリー映画"The Contestant"より。Courtesy of TIFF
ドキュメンタリー映画"The Contestant"より。Courtesy of TIFF

イギリス人女性監督の作品が注目を集める

ドキュメンタリー映画"The Contestant"のクレア・ティトリー監督。Photo credit: Joe Short
ドキュメンタリー映画”The Contestant”のクレア・ティトリー監督。Photo credit: Joe Short

 バラエティ番組「進ぬ!電波少年」の企画「電波少年的懸賞生活」で知られる、なすびさんを追ったドキュメンタリー「The Contestant」(クレア・ティトリー監督)がトロント国際映画祭で上映。上映は2回とも売り切れ、2回行われたプレス向け上映もどちらもほぼ満席となるほど注目を集めた。今回上映のためにイギリスからトロント入りしたティトリー監督が9月10日、取材に応じた。

 1998年から99年に放送された同企画。期間中なすびさんは裸でアパートの一室で生活。衣類、食べ物を含め必要なものは全て、懸賞で当選することによって手に入れなければならず、当選金額の合計が100万円に達成するまで外には出られないという内容。なすびさんが裸で当選賞品を持って踊る様子や空腹に耐えかねて賞品のドッグフードを食す様子などが笑いと話題を呼び、番組は高視聴率を獲得、なすびさんがつづった日記はベストセラーとなった。

 ドキュメンタリーは、なすびさん本人、家族、番組プロデューサーを務めた土屋敏男さん、そして番組を取り上げた海外メディアなどへのインタビューを通して、当時の状況となすびさんの心理状況などを振り返り、懸賞生活後に紆余曲折を経て福島の復興支援に奮闘する現在のなすびさんの姿まで、その生きざまを追う。

 他のプロジェクトのためにネットでリサーチをしている際に「懸賞生活」について知ったというティトリ―監督。「日本のクレイジーな番組企画というのは海外でも知られているのだが、なすびさんについて知った時、これはクレイジーだけで片付けられないものを感じ深く掘り下げたいと思った」と明かす。なすびさんにコンタクトを取り、何度も話し合い、制作にこぎつけた。「番組終了からかなりの年月が経つ今だからこそ、全てを話せるという気持ちになってくれたのではないか」と話す。

 映像はテレビを見ている人が楽しんでいる場面と対象的な、なすびさんの孤独と精神面での辛さやテレビで見守る家族の苦悩を浮き彫りにする。一度は目標を達成したのに更に韓国で続けることが決まった際、企画終了の瞬間を観客の前で収録する際など、時に残酷すぎると思われる状況になすびさんを追い込んだいきさつを土屋プロデューサーが振り返るシーンも収録。「土屋さんにはなすびさんが出演をお願いしてくれた。『なすびがやりたいのなら』と快く同意してくれ『当時の状況を正確に正直に話したい』と当時の土屋さんの立場からの見方を話してくれた。とても勇気がいることだったと思う」とティトリ―監督はその協力に感謝を表す。

 観客からは「なぜ彼は企画を拒否しなかったのか」、「なぜこの様な企画が通ったのか」、「彼は制作側を訴えなかったのか」という質問を受けたという。「当時の日本ではプロデューサーは契約書や同意書もなしに企画を実行する力があったし、若手芸人には断る選択肢はないという風潮があったようだ」と当時の制作現場のあり方に監督自身も驚いたことを明かす。

 「多くの人が企画はある程度やらせ的な部分があると思いながら観ていたとも聞いた。一人の人間の精神的な苦悩が純粋にエンターテインメントとして放映されていた事実は、リアリティ番組が世界中のテレビやYouTubeなどで人気を獲得している現代にも改めて考えてみる必要があると思う」と制作の意義を話す。そして「さまざまなものを克服し、今は人との交流を大切に福島を拠点に活躍しているなすびさんを見てほしい」とメッセージを送った。

ドキュメンタリー映画"The Contestant"より。Courtesy of TIFF
ドキュメンタリー映画”The Contestant”より。Courtesy of TIFF
ドキュメンタリー映画"The Contestant"より。Courtesy of TIFF
ドキュメンタリー映画”The Contestant”より。Courtesy of TIFF

(取材 Michiru Miyai)

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VIFF2023日加トゥデイ・メディアパートナー作品「バカ塗りの娘」鶴岡監督来加決定!

VIFF2023 上映作品「バカ塗りの娘」より。Courtesy of VIFF
VIFF2023 上映作品「バカ塗りの娘」より。Courtesy of VIFF

 バンクーバー国際映画祭(VIFF)が9月6日、上映全作品のラインナップを発表した。日本映画はジブリ宮崎駿監督最新作や、すでに発表されていた是枝裕和監督の話題作などを含めた6本が上映される。

VIFF2023で上映される「バカ塗りの娘」の鶴岡監督。Courtesy of VIFF
VIFF2023で上映される「バカ塗りの娘」の鶴岡監督。Courtesy of VIFF

 その中に、日本では9月1日から全国公開された「バカ塗りの娘」も含まれた。監督・脚本は鶴岡慧子氏。以前には、「はつ恋」が第32回バンクーバー国際映画祭でタイガー&ドラゴン賞にノミネートされている。今回、鶴岡監督がVIFF出席のために来加することが決まった。

 「バカ塗りの娘」は、VIFF2023上映の日本映画では唯一の女性監督作品。上映は10月4日と6日。10月4日上映の後には、鶴岡監督とのQ&Aも行われる。

「バカ塗りの娘(Tsugaru Lacquer Girl)」日加トゥデイ・メディアパートナー作品

「バカ塗りの娘(Tsugaru Lacquer Girl)」より。Courtesy of VIFF
「バカ塗りの娘(Tsugaru Lacquer Girl)」より。Courtesy of VIFF

 青森の伝統工芸・津軽塗をテーマに描かれる物語。「津軽塗職人を目指す引っ込み思案の娘・美也子と寡黙な職人の父・清史郎。津軽塗によってバラバラになってしまった家族が、美也子のある大きな挑戦によって再び向き合う姿を、四季折々の風景や土地に根付く食材と料理、そこに生きる人々の魅力を織り交ぜ描く。つらい時、楽しい時を塗り重ねるように日々を生きる父娘が、津軽塗を通して家族の絆を繋いでいく」公式サイトより。https://happinet-phantom.com/bakanuri-movie/
 日本では今年9月1日から全国上映された作品。監督・脚本:鶴岡慧子、主演は堀田真由、父親役に小林薫。原作:髙森美由紀「ジャパン・ディグニティ」(産業編集センター刊)。バンクーバー国際映画祭パノラマ部門正式出品作品。

上映日時・会場
10月4日(水)8:45 pm、International Village 8
10月6日(金)3:30 pm、International Village 10

その他のVIFF2023上映日本映画

「怪物(Monster)」

映画「怪物(英題:Monster)」より。Photo credit: Tamotsu Fujii, Provided by VIFF
映画「怪物(英題:Monster)」より。Photo credit: Tamotsu Fujii, Provided by VIFF

 是枝裕和監督が脚本家の坂元裕二とタッグを組んだ話題作。音楽を坂本龍一氏が担当してことでも話題を呼んだ。安藤サクラ、永山瑛太、田中裕子、高畑充希、角田晃広、中村獅童の豪華俳優陣。
 「大きな湖のある郊外の町。息子を愛するシングルマザー、生徒思いの学校教師、そして無邪気な子供たち。それは、よくある子供同士のケンカに見えた。しかし、彼らの食い違う主張は次第に社会やメディアを巻き込み、大事になっていく。そしてある嵐の朝、子供たちは忽然と姿を消した―」公式サイトより。https://gaga.ne.jp/kaibutsu-movie/
 9月9日には、是枝監督が日加トゥデイの単独インタビューに応じてくれた。「世界を走り続ける監督」VIFF上映『怪物』是枝裕和監督、日加トゥデイ単独インタビュー

上映日時
10月1日(日)9:00 pm
10月4日(水)6:00 pm
10月7日(土)3:00 pm
会場
Vancouver Playhouse

「君たちはどう生きるか(英題:The Boy and the Heron)」

宮崎駿監督作品「君たちはどう生きるか(英題:The Boy and the Heron)」より。Photo courtesy of VIFF
宮崎駿監督作品「君たちはどう生きるか(英題:The Boy and the Heron)」より。Photo courtesy of VIFF

 宮崎駿監督10年ぶりの長編アニメーション。原作・脚本も宮崎監督が手がけている。一度は長編アニメーション制作から引退を表明した宮崎監督が引退を撤回して挑んだ意欲作。
 第2次世界大戦下の日本を舞台に人間と鳥の姿を行き来する青サギに導かれ、主人公の少年・眞人(まひと)は不思議な世界へと迷い込んでいく。

上映日時
10月6日(金)6:30 pm
10月7日(土)12:00 pm
会場
Vancouver Playhouse

「アンダーカレント(Undercurrent)」

「アンダーカレント(Undercurrent)」より。Courtesy of VIFF
「アンダーカレント(Undercurrent)」より。Courtesy of VIFF

 豊田徹也原作の同名コミックを映画化。監督はいま日本映画で最も注目を集めている今泉力哉。音楽は細野晴臣。主演は真木よう子、リリー・フランキー、永山瑛太らが脇を固める。
 「銭湯の女主人・かなえは、夫・悟が突然失踪し途方に暮れる。なんとか銭湯を再開すると、堀と名乗る謎の男が『働きたい』とやってきて、住み込みで働くことになり、二人の不思議な共同生活が始まる。一方、友人・菅野に紹介された胡散臭い探偵・山崎と悟の行方を探すことになったかなえは、夫の知られざる事実を次々と知ることに。悟、堀、そして、かなえ自身も心の底に沈めていた想いが、徐々に浮かび上がってくる−」公式サイトより。https://undercurrent-movie.com/
 バンクーバー国際映画祭パノラマ部門正式出品作品

上映日時・会場
9月28日(木)9:00 pm、International Village 10
9月30日(土)12:30 pm、International Village 9

「悪は存在しない(Evil Does Not Exist: Aku Wa Sonzai Shinai)」

「悪は存在しない(Evil Does Not Exist: Aku Wa Sonzai Shinai)」より。Courtesy of VIFF
「悪は存在しない(Evil Does Not Exist: Aku Wa Sonzai Shinai)」より。Courtesy of VIFF

 「ドライブ・マイ・カー」の濱口竜介監督作品。音楽は今回も石橋英子が担当する。2023年7月に開催された第80回ベネチア国際映画祭コンペティション部門出品作品。日本では2024年公開予定。バンクーバーで一足早く公開される。

上映日時
9月29日(金)9:00 pm
10月3日(火)9:15 pm
会場
Park Theatre

「蟹から生まれたピスコの恋(Pisko The Crab Child is in Love)」

「蟹から生まれたピスコの恋(Pisko The Crab Child is in Love)」より。Courtesy of VIFF
「蟹から生まれたピスコの恋(Pisko The Crab Child is in Love)」より。Courtesy of VIFF

 17分の短編映画。カニの父と人間の母の間に生まれた女の子ピスコの恋物語。女子高生となったピスコは教師に恋をして…。お笑い芸人・福田麻貴(3時のヒロイン)、加納(Aマッソ)、サーヤ(ラランド)が出演する。
 International Shorts: Relational Baggageの中で他の短編映画と共に上映される。

上映日時
10月1日(日)6:00 pm
10月3日(火)12:15 pm
会場
International Village 8

チケット

 チケットは大人18ドル、シニア16ドル、学生/ユース14ドル。その他、VIFFメンバー料金、6枚・10枚・20枚パック料金などが設定されている。
 上映時間やチケット情報はバンクーバー国際映画祭ウェブサイトを参照。https://viff.org/festival/viff-2023/

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バンクーバー国際映画祭チケットプレゼントのお知らせ

「バカ塗りの娘(Tsugaru Lacquer Girl)」より。Courtesy of VIFF
「バカ塗りの娘(Tsugaru Lacquer Girl)」より。Courtesy of VIFF

 今年9月28日から10月8日まで開催されるバンクーバー国際映画祭(VIFF)のチケットを抽選で20名様にプレゼント。

 日加トゥデイのメディアパートナー映画「バカ塗りの娘」を10名様に、好きな映画を選べる一般チケットを10名様にプレゼントします。

 チケットご希望の方は、件名に「VIFFチケット希望」と記載し、「バカ塗りの娘」もしくは「一般チケット」のどちらか希望するチケットを明記して、9月21日(木)正午までに、promo@japancanadatoday.ca へご応募ください。

 希望映画の記載がない場合は、無効となりますので、ご注意ください。チケットはコードをお渡ししますので、ご自身で予約してチケットを無料で購入していただきます。

 当選者の方には22日(金)にお知らせいたします。

 今年のVIFFは日本映画6本を含む231本の映画を上映。70カ国・地域、76言語と多種多様な映画が勢揃い。

 10月4日に1回目の上映がある「バカ塗りの娘」の鶴岡慧子監督の来加も決定しました。

 みなさまのご応募をお待ちしております。

VIFF2023上映日本映画

 バンクーバー国際映画祭が9月6日、上映全作品のラインナップを発表した。日本映画はジブリ宮崎駿監督最新作や、すでに発表されていた是枝裕和監督の話題作などを含めた6本が上映される。

「君たちはどう生きるか(英題:The Boy and the Heron)」

宮崎駿監督作品「君たちはどう生きるか(英題:The Boy and the Heron)」より。Photo courtesy of VIFF
宮崎駿監督作品「君たちはどう生きるか(英題:The Boy and the Heron)」より。Photo courtesy of VIFF

 宮崎駿監督10年ぶりの長編アニメーション。原作・脚本も宮崎監督が手がけている。一度は長編アニメーション制作から引退を表明した宮崎監督が引退を撤回して挑んだ意欲作。
 第2次世界大戦下の日本を舞台に人間と鳥の姿を行き来する青サギに導かれ、主人公の少年・眞人(まひと)は不思議な世界へと迷い込んでいく。

上映日時
10月6日(金)6:30 pm
10月7日(土)12:00 pm
会場
Vancouver Playhouse

「怪物(Monster)」

映画「怪物(英題:Monster)」より。Photo credit: Tamotsu Fujii, Provided by VIFF
映画「怪物(英題:Monster)」より。Photo credit: Tamotsu Fujii, Provided by VIFF

 是枝裕和監督が脚本家の坂元裕二とタッグを組んだ話題作。音楽を坂本龍一氏が担当してことでも話題を呼んだ。安藤サクラ、永山瑛太、田中裕子、高畑充希、角田晃広、中村獅童の豪華俳優陣。
 「大きな湖のある郊外の町。息子を愛するシングルマザー、生徒思いの学校教師、そして無邪気な子供たち。それは、よくある子供同士のケンカに見えた。しかし、彼らの食い違う主張は次第に社会やメディアを巻き込み、大事になっていく。そしてある嵐の朝、子供たちは忽然と姿を消した―」公式サイトより。https://gaga.ne.jp/kaibutsu-movie/

 9月9日の是枝監督、日加トゥデイ・インタビューはこちら。「世界を走り続ける監督」VIFF上映『怪物』是枝裕和監督、日加トゥデイ・インタビュー

上映日時
10月1日(日)9:00 pm
10月4日(水)6:00 pm
10月7日(土)3:00 pm
会場
Vancouver Playhouse

「バカ塗りの娘(Tsugaru Lacquer Girl)」日加トゥデイ・メディアパートナー作品

「バカ塗りの娘(Tsugaru Lacquer Girl)」より。Courtesy of VIFF
「バカ塗りの娘(Tsugaru Lacquer Girl)」より。Courtesy of VIFF

 青森の伝統工芸・津軽塗をテーマに描かれる物語。「津軽塗職人を目指す引っ込み思案の娘・美也子と寡黙な職人の父・清史郎。津軽塗によってバラバラになってしまった家族が、美也子のある大きな挑戦によって再び向き合う姿を、四季折々の風景や土地に根付く食材と料理、そこに生きる人々の魅力を織り交ぜ描く。つらい時、楽しい時を塗り重ねるように日々を生きる父娘が、津軽塗を通して家族の絆を繋いでいく」公式サイトより。https://happinet-phantom.com/bakanuri-movie/
 日本では今年9月1日から上映された作品。監督・脚本:鶴岡慧子、主演は堀田真由、父親役に小林薫。原作:髙森美由紀「ジャパン・ディグニティ」(産業編集センター刊)。バンクーバー国際映画祭パノラマ部門正式出品作品。

上映日時・会場
10月4日(水)8:45 pm、International Village 8
10月6日(金)3:30 pm、International Village 10

「アンダーカレント(Undercurrent)」

「アンダーカレント(Undercurrent)」より。Courtesy of VIFF
「アンダーカレント(Undercurrent)」より。Courtesy of VIFF

 豊田徹也原作の同名コミックを映画化。監督はいま日本映画で最も注目を集めている今泉力哉。音楽は細野晴臣。主演は真木よう子、リリー・フランキー、永山瑛太らが脇を固める。
 「銭湯の女主人・かなえは、夫・悟が突然失踪し途方に暮れる。なんとか銭湯を再開すると、堀と名乗る謎の男が『働きたい』とやってきて、住み込みで働くことになり、二人の不思議な共同生活が始まる。一方、友人・菅野に紹介された胡散臭い探偵・山崎と悟の行方を探すことになったかなえは、夫の知られざる事実を次々と知ることに。悟、堀、そして、かなえ自身も心の底に沈めていた想いが、徐々に浮かび上がってくる−」公式サイトより。https://undercurrent-movie.com/
 バンクーバー国際映画祭パノラマ部門正式出品作品

上映日時・会場
9月28日(木)9:00 pm、International Village 10
9月30日(土)12:30 pm、International Village 9

「悪は存在しない(Evil Does Not Exist: Aku Wa Sonzai Shinai)」

「悪は存在しない(Evil Does Not Exist: Aku Wa Sonzai Shinai)」より。Courtesy of VIFF
「悪は存在しない(Evil Does Not Exist: Aku Wa Sonzai Shinai)」より。Courtesy of VIFF

 「ドライブ・マイ・カー」の濱口竜介監督作品。音楽は今回も石橋英子が担当する。2023年7月に開催された第80回ベネチア国際映画祭コンペティション部門出品作品。日本では2024年公開予定。バンクーバーで一足早く公開される。

上映日時
9月29日(金)9:00 pm
10月3日(火)9:15 pm
会場
Park Theatre

「蟹から生まれたピスコの恋(Pisko The Crab Child is in Love)」

「蟹から生まれたピスコの恋(Pisko The Crab Child is in Love)」より。Courtesy of VIFF
「蟹から生まれたピスコの恋(Pisko The Crab Child is in Love)」より。Courtesy of VIFF

 17分の短編映画。カニの父と人間の母の間に生まれた女の子ピスコの恋物語。女子高生となったピスコは教師に恋をして…。お笑い芸人・福田麻貴(3時のヒロイン)、加納(Aマッソ)、サーヤ(ラランド)が出演する。
 International Shorts: Relational Baggageの中で他の短編映画と共に上映される。

上映日時
10月1日(日)6:00 pm
10月3日(火)12:15 pm
会場
International Village 8

チケット

 チケットは大人18ドル、シニア16ドル、学生/ユース14ドル。その他、VIFFメンバー料金、6枚・10枚・20枚パック料金などが設定されている。
 上映時間やチケット情報はバンクーバー国際映画祭ウェブサイトを参照。https://viff.org/festival/viff-2023/

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バンクーバーの動物福祉を考える(後編)「BC SPCAを北米最大の動物保護施設に成長させた成功秘話」

代表Jodiさん、取材が終わるのを辛抱強く待っていてくれた愛犬のBiggieと一緒に。2023年8月21日、BC SPCA Vancouver。Photo by ©Koichi Saito
代表Jodiさん、取材が終わるのを辛抱強く待っていてくれた愛犬のBiggieと一緒に。2023年8月21日、BC SPCA Vancouver。Photo by ©Koichi Saito

 北米最大の動物保護施設BC SPCA(The B.C. Society for the Prevention of Cruelty to Animals)。ブリーダーや動物保護施設などからペットを引き取るのが主流となっているブリティッシュ・コロンビア(BC)州で、その核のような存在を担っている。

 8月21日、バンクーバー市にある施設を訪ね、BC SPCAの代表を務めるJodiさんに話を聞いた。 前編では現在のバンクーバーのペット事情やBC SPCAの活動について紹介した。後編では北米最大の動物保護施設に成長させたJodiさんの成功秘話を紹介する。

BC SPCAバンクーバーオフィス。動物たちが保護されている建物の一つ。政府からの寄付により新しく建て替えられる予定。2023年8月21日、BC SPCA Vancouver。Photo by ©Koichi Saito
BC SPCAバンクーバーオフィス。動物たちが保護されている建物の一つ。政府からの寄付により新しく建て替えられる予定。2023年8月21日、BC SPCA Vancouver。Photo by ©Koichi Saito

北米最大の動物保護組織に成長させ、社会全体の意識を変えたBC SPCA

 「時間はかかるけど、情熱があれば必ず実現します。何年か前、私がこの仕事を始めたばかりの頃、何かを変えられるだろうかと考えていたのを覚えています。でも変わります。ただ時間と情熱と努力が必要で、それを助け、始めようとする人たちのグループが必要なのです」

 JodiさんがトロントのSPCAからバンクーバーに移ってきたのは19年前。その頃は、猫の過剰繁殖により十分な飼育スペースがなかったことから、殺処分を余儀なくされる深刻な状況だったという。現在のバンクーバーには野良犬も野良猫もいない。保護施設での命の期限もなくなった。

 動物が守られ、生きる権利が保証された今の環境ができるまでの過程には、Jodiさんらの絶え間ない努力があった。

 現在BC SPCAは北米最大の動物保護施設に成長し、BC州の動物福祉に大きな影響を与えている。19年前に代表に就いて以降、さまざまな変革を起こしてきたJodiさんは、どのように動物福祉に取り組んできたのだろうか。

子どもたちから意識を変えていく

 BC SPCAの軌跡を辿る上で注目したいのが教育と募金活動だ。Jodiさんは毎年夏休み期間中、サマーキャンプを企画し子どもたちに学びの機会を提供している。

 「子どもたちはなにかを学び、家に帰ると興奮して親に動物の世話について話したくなるんです。年齢にもよりますが、年長の子どもたちは、動物の倫理的な扱いや食料源、生息地について学びます。動物がどのように感情や気持ちを表現するのかや、動物に囲まれている子どもたちの安全についてなどを学びます。サマーキャンプ中は、動物を安全に扱う方法を学ぶツアーも行います。動物たちのために小さな家を作り、家に持ち帰る前に動物に何が必要かを学びます」

 サマーキャンプは5歳から12歳の子どもたちを対象で、5歳から8歳まで、9歳から12歳までと年齢に合わせた2つのグループで動物との関わり方を学ぶ。子どもたちはそのサマーキャンプを楽しみ、学んだことを家庭に持ち帰り、両親も子どもから学ぶことができるという。

 Jodiさんは、一度築かれた価値観は大人になると変わりにくくなってしまうため、子どもを通して社会全体の意識を変えていくことに取り組んだ。

大きな目標も初めの一歩から

Jodiさんから話を聞いた後、施設内を見学。寄付をするとスポンサーとして名前を掲示することができるサービスも。2023年8月21日、BC SPCA Vancouver。Photo by ©Koichi Saito
Jodiさんから話を聞いた後、施設内を見学。寄付をするとスポンサーとして名前を掲示することができるサービスも。2023年8月21日、BC SPCA Vancouver。Photo by ©Koichi Saito

 SPCAは寄付金で運営されている非営利団体。一般市民に呼びかけ寄付金を募っている。またサマーキャンプのほかにも、ガラ・抽選会・オークションなどさまざまなチャリティイベントを開催し、運営資金としている。

 どの企画も初めは小規模から始めるのだと言う。「資金集めのために初めてオークションを開催した時は、チーズやクラッカー、果物や飲み物だけを用意しました。それで7,000ドル集まりました。大きな金額ではありませんでしたが、このようなイベントを開催したのは初めてだったので、とてもうれしかったです。かかった費用は500ドルだったと思います。翌年はビュッフェスタイルのディナーとドリンクを用意しました。最初の年は30人くらい、2年目は150人くらいだったと思います。それから口コミで広がって、最終的にはゴルフ場のグラマラスナイトを開催することになりました」

 最初から大規模で始めるのではなく、「小さいことから始めて、徐々に大きくしていけば、どんどん良くなっていきます」とJodiさん。しかしそれだけが成功の秘訣ではない。その企画力も光る。

 過去には「ドッグウォーク」というイベントも開催。犬の散歩や小さなドッグレースなど、さまざまなアクティビティを行ったり、多くの団体がテントのスポンサーになったりして、一般の人たちに動物保護や犬・猫の応急処置などを教えた。

 運営資金を得るためのチャリティイベントに教育を組み込むのがJodiさん流だ。

仲間を募り、次なるゴールを目指す

 BC SPCAで行われている多くのイベントは大規模に成長している。サマーキャンプも今では毎年予約開始間もなく定員になるほど人気だが、最初の年の参加者は10人だったという。それでも翌年には、参加したいという子どもたちが集まり、2週間のサマーキャンプを行うことになった。継続する力が必要なのだ。

 Jodiさんは19年前の、全てを始める前の状況をよく覚えている。「私を助けてくれる人たちの多くは、同じような考えを持った人たちです。だから私たちは集まって、何をしたいのか、何から始めたらいいのかを話し合うんです。募金活動であれ、教育であれ、ゴールを考え、そのゴールを達成するためにどうすればいいのかを計画するんです」

 さまざまな企画や試みは、継続しながら規模を拡大し、現在BC SPCAはBC州の動物福祉を担う重要な存在となっている。今年は政府から12万ドルの支援金が提供された。

 「(動物福祉における)変化を起こすには何年も何年もかかり、私たちは今でも改善を続けています。動物福祉を向上させるための取り組みは永続的なものであり、絶えず進化していきます」。そう話すJodiさんは、エンターテイメント用に飼育されているクジラやイルカなどの海洋動物についても、まだ理解が広まっておらず今後さらに改善が必要だという。

 「動物は私たちの娯楽のために存在するべきではありません。ただし、団体としては小さなステップから始めて、徐々に進歩していかなくてはいけません」

***

 動物福祉が進んでいない日本について話すと、現状に失望することなく情熱を持って、変化を起こせばいいのだと力強い言葉をかけてくれたJodiさん。バンクーバーと日本、動物たちが置かれている環境に違いがあるのはなぜだろう?地域住民の動物に対する価値観や知識、施設の取り組みなど、さまざまな角度から動物保護を考えさせられたとともに、まだまだ動物福祉が進んでいない日本でも、目の前の小さなことから取り組み、よりよくしていけるのだと気づかせてくれた。

BC SPCAウェブサイト: https://spca.bc.ca/

代表Jodiさん、取材が終わるのを辛抱強く待っていてくれた愛犬のBiggieと一緒に。2023年8月21日、BC SPCA Vancouver。Photo by ©Koichi Saito
代表Jodiさん、取材が終わるのを辛抱強く待っていてくれた愛犬のBiggieと一緒に。2023年8月21日、BC SPCA Vancouver。Photo by ©Koichi Saito

(取材 池田茜音/写真 斉藤光一)

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日本語認知症サポート協会「オンライン講演会・自分らしい人生の締め括りIII」

早いもので、葬儀アドバイザー・奥山清太さんを講師にお迎えして行っている「オンライン講演会・自分らしい人生の締め括り」も3回目を迎えました。今年は『葬儀』についてです。

ポスターにも書いておりますが、「葬儀って何?」、「北米のお葬式の種類」、「葬儀社の役割」、「逝去から火葬、埋葬までの流れ」、「コロナが及ぼした葬儀の変遷」、「葬儀の生前計画、予約」等、通常知り得る事が難しいお話が伺える又とないチャンスです。 

コロナ禍後、昨今の社会において、人々の形式や習慣に対する価値観の多様化も加速されました。それに伴い、お葬式や埋葬に対する考え方も見直されてきております。残された遺族任せの時代とは変わり、自分が自分らしくお世話になった方にお別れのご挨拶を含めた「自分らしい締め括り」を考える為に、まずは、これらの葬儀についの知識を深めることから始めてみませんか?

日本語認知症サポート協会

🍂🍄🍂🍄🍂🍄

タイトル: 自分らしい人生の締め括り III 〜時代で変わるお葬式〜

要約:今年は、「自分らしい人生の締め括りIII」として、「葬儀」に焦点を当てお話いただきます。「葬儀って何?」、「北米のお葬式の種類」、「葬儀社の役割」、「逝去から火葬、埋葬までの流れ」、「コロナが及ぼした葬儀の変遷」、「葬儀の生前計画、予約」についてご説明いただき、自分らしい人生最後の締め括りを考えてみませんか?

開催日時:2023年9月29日(金)午後7時から午後9時

場所: Zoom

講師:葬儀アドバイザー・奥山清太

講師プロフィール:筑波大学比較文化学類卒業後、1999年に渡加。同年、世界最大葬儀・霊園会社「サービスコーポレーション・インターナショナル(Dignity Memorial)」へ入社。現在、メトロバンクーバーにて、生前相談から葬儀後のアフターケアまで、葬儀・墓地アドバイザーとして活動する。

参加費:$15

申込み方法 :クレジットカードでのお支払いはこちらから→ https://www.eventbrite.ca/e/iii-tickets-684391091177

*他のお支払い方法 (E-Transfer、小切手)をご希望の方は、下記の参加お申し込みリンクからお申し込みください。追って、参加費お支払い方法の詳細をメールさせていただきます。

参加申し込みリンク:

https://forms.gle/iMU9mx888i3Ax7gBA

申込締切:9月25日(月)

連絡先:orangecafevancouver@gmail.com

主催:日本語認知症サポート協会

メディアスポンサー:月刊ふれいざー、日加トゥデイ、Oops!、Life Vanocuver

『かみさまとのやくそく』と『ひかりの国のおはなし』上映会 & どいしゅうさんのお話会

●会場:日系センター2階、椿ルーム

●日時:9月23日(土)

<第一部『かみさまとのやくそく』94分(英語字幕付き)>

10:00~会場、受付
10:30~ご挨拶後、上映会開始
12:15終了

『かみさまとのやくそく』

~あなたは親を選んで生れてきた~

胎内記憶をテーマにしたドキュメンタリー映画です。胎内記憶研究の第一人者である池川明医学博士、生まれ変わりの研究の世界的権威、大門正幸中部大学教授、そして幼児教育の専門家など、胎内記憶、前世記憶研究のスぺシャリストたちによるお話しや胎内記憶を持つ子供達のインタビューなどで構成されています。わたしたちは何のために生れてきたのか?胎内記憶に隠された人生の目的とは?お母さんから生まれてきたすべての方に観ていただきたい映画です。

<第二部『ひかりの国のおはなし』69分(英語字幕付き)&どいしゅうさんお話会(通訳付き)>

13:00~会場、受付
13:30~ご挨拶後、上映会開始
14:45 休憩
15:00~17:30 どいしゅうさんお話会

『ひかりの国のおはなし』

~あの世の学校からのメッセージ~

語り部であるどいしゅうさんが中学2年生の夏休みに体験した、生れてこなかった妹さんに連れて行ってもらったひかりの国(あの世)のおはなしを記録したドキュメンタリー映画です。生きるってどういうこと?地球に足りないものとは?いのちってなあに?ひかりの国からのたくさんな素敵なメッセージが詰まった約70分間のお話しです。

●参加費:

第1部$20.00

第2部$30.00

第1部&第2部40.00

●お申し込みはこちらから https://ws.formzu.net/fgen/S456405491/

●お問い合わせ: どいしゅうカナダ事務局 doishu.canada@gmail.com

「世界を走り続ける監督」VIFF上映『怪物』是枝裕和監督、日加トゥデイ単独インタビュー

映像がきれいな子どもたちのシーン。映画「怪物(Monster)」より。Courtesy of VIFF
映像がきれいな子どもたちのシーン。映画「怪物(Monster)」より。Courtesy of VIFF
是枝裕和監督。©Tamotsu Fujii / Courtesy of VIFF
是枝裕和監督。©Tamotsu Fujii / Courtesy of VIFF

 是枝裕和監督はこれまで「そして父になる」「万引き家族」など大作を数多く世界に送ってきた。レッドカーペットでも姿を現したかと思うとすぐ移動し、立ち止まる瞬間がないほど超多忙な存在だ。評論家のトニー・レインズ氏が「彼の映画は必ず見るように」と映画関係者に念押していたほどバンクーバー国際映画祭の常連だが、今はトロントや釜山など大きな国際映画祭が重なり監督の姿が見えない。

 「バンクーバーが好きだから行きたいけど、今も東京でドラマの撮影中。時間に余裕がない」と話す監督は、9月9日、開催中のトロント国際映画祭のために1日中プレスインタビューに応えていた。

 そして同日、日加トゥディのインタビューは最終の午後5時前でかなり疲れていたにもかかわらず、監督は笑顔で応じてくれた。

周りの期待とチームワーク

「万引き家族」でもお馴染みの安藤サクラさん(右)。映画「怪物(Monster)」より。Courtesy of VIFF
「万引き家族」でもお馴染みの安藤サクラさん(右)。映画「怪物(Monster)」より。Courtesy of VIFF

 カンヌ国際映画祭は映画の伝統を守ると自称しているように、どんな大物監督でも観客に何かが伝わらないと招待を受けられない場所。一度呼ばれるだけでもすごいことなのに、是枝監督の場合はほぼ毎年招待を受け、最高賞のパルム・ドール賞など数ある受賞に繋がっている。日本だけでなくアジアや世界を代表する監督として、かなりのプレッシャーがあるだろう。

 それについて聞くと監督は意外にも「映画作りのプレッシャーは全くないです」と笑った。「ただ」と間をおいて、「来てくれた観客が全員最後まで笑顔で見ていてくれるかということにプレッシャーを感じている」と話し、「カンヌに呼ばれてすごくうれしいけれど、呼ばれることより、そこで周りの期待に応えられるかが大事」と続けた。そして「映画の製作チーム、スタッフはこの10年くらい同じで、僕のやりたいことをわかってくれている。良いスタッフに恵まれていることが大きい」と答えた。

 是枝監督はドキュメンタリー出身の監督らしく、これまで撮影、編集、脚本など全てをこなしてきた。今回は監督にしては珍しく、脚本は91年の大ヒットドラマ「東京ラブストーリー」などで知られる坂元裕二さんに、そして音楽はミュージシャン兼作曲者として世界的に知られた坂本龍一さんに依頼。「もし彼に断られたら音無しにする」とまで考えていたという監督は、坂本さんから映画のために作った新曲2曲を提供され、「よかったらアルバムからも使ってください」と言われたそうだ。

 さらに「映画の設定は東京だったのに許可が下りなくて」と苦笑いして、「撮影の協力体制の整った長野県の諏訪」に行き、夜の真っ黒な諏訪湖を見ながら撮影を決めた。脚本の坂元さんを現場に呼んで大きな川を湖に変えてほしいと頼み、一緒に3回の湖のシーンを作成した。いつも撮影中に自分の書いた脚本について気にする監督も、今回は安心して撮影を楽しめたという。

 話している是枝監督を見ていると安心したリーダーシップを感じさせる。過去に日本だけでなく、韓国やフランスの大物俳優たちからも「是枝映画に一度出てみたい」とアプローチされた監督。彼らが監督に気づいてもらいたい、一度でも監督の下で働きたい、自分の演技を見てもらいたいと公に話すぐらい、監督の撮影現場での評判が口コミとして俳優の間に広がっているようだ。そのぐらい是枝監督にはカリスマ以上の独特な存在感がある。

世界へ語る力

映像がきれいな子どもたちのシーン。映画「怪物(Monster)」より。Courtesy of VIFF
映像がきれいな子どもたちのシーン。映画「怪物(Monster)」より。Courtesy of VIFF

 今回の作品「怪物」は、是枝監督の16本目(注:ドキュメンタリーを除く)の長編映画。シングルマザーの母親がある日一人息子の異変に気がつく。原因が担任の先生だと知ると、彼女は学校に怒りをぶつけにいく。母親、先生、校長など大人の視点の先にいる2人の子ども。前半は何が起こっているのかわからないまま進むので、映画の画面から目が離せない。怪物はいったい誰なのか。うそをついているのは悪者なのか犠牲者なのか。上映が終わった後には、一体何が起こったのか考えさせられる。

 「脚本にあるストーリーテリング、僕にはない。このおもしろさを描こう」と監督は少年2人をどう表現するかストーリーだけにとどまらないドキュメンタリーのような真実味を求めた。

 学校に一度でも勤めたことのある教師はこの映画設定の正確さに驚くだろう。「自分の周りに学校の関係者が多いので」と話す監督は、校長や教頭先生を含む多数の教師にリサーチを開始した。「まずこの話がありえますかと聞いたら、全員がありえるって答えた」と言う。それは守るべきはずの子どもたちから遠ざかっている社会、お互いを理解していない人間関係の現状を表した。「変わらなくてはいけないのは子どもたちではなく、大人の世界だ」と監督は締めくくった。

 この映画は今年5月にカンヌ国際映画祭でプレミア上映し、坂元さんの脚本賞と同時にクィア・パルム賞とダブルで受賞している。クィアを狙っていなかっただけにこの意外な受賞に監督も驚いた。誰にもいえない苦しくてせつない気持ちや、繊細な少年の純粋さを取り上げたこの作品が「多く人々の心を救うだろう」と審査員全員一致で決められたほど、ジャンルを超えた感動作品となった。

 最後に次の作品について聞くと「また」という表情で「もう匿名で撮りたいぐらい」と冗談を言った監督。世界的大監督によるファン待望のこの力強い作品が、バンクーバーにやってくる。

バンクーバー国際映画祭「怪物(英題:Monster)」上映

日時
10月1日(日)9pm
10月4日(水)6pm
10月7日(土)3pm

会場:Vancouver Playhouse(600 Hamilton Street, Vancouver, BC)

VIFFウェブサイト: https://viff.org/festival/viff-2023/

若手先生役がぴったりの永山瑛太さん(右)。映画「怪物(Monster)」より。Courtesy of VIFF
若手先生役がぴったりの永山瑛太さん(右)。映画「怪物(Monster)」より。Courtesy of VIFF

(取材 ジェナ・パーク)

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カルラ余話 3 ~投稿千景~

エドサトウ

 若い頃に日本に帰国したおりに、観光で弟と築地市場にある寿司屋さんで昼食にお寿司を食べたことがあるが、その時に赤いお米、正確には薄いピンク色の寿司飯で出来ているお寿司を初めて食して興味深々となり、お店の人に「この寿司飯はピンク色なのですが、どうしてピンク色なのですか?」と問うと、カウンターで寿司を握っている年配の大将らしい人が「お前、赤米を知らないのか?これは日本の古米を使っているんだ!」と返事が返ってきた。

 後で、よくよく調べてみると、赤米というのは、日本のお米の元となるジャポニカ米で、南方のベトナムあたりから縄文時代頃に伝わったお米らしい。今でも、九州の対馬あたりでは、この赤米を生産している農家があるらしい。

 この赤米を最近バンクーバーのお店で少しばかり手に入れたので、白米に混ぜて、御飯をたいてみると、なるほどピンク色の御飯が焚けた。小豆を混ぜて炊いた赤飯のようでもあり、少し甘味があり、美味しかった。これが、「縄文時代に伝わった日本のお米の原種なのか」と思えば、何かしら遠い昔の縄文時代と同じものを食しているという感慨深いものがある。

復元されたエジプトの古代船の舳先。写真:エドサトウ
復元されたエジプトの古代船の舳先。写真:エドサトウ

 一万四千年ぐらい続いたと言われる縄文時代に、北から日本列島に来た人々、また南から、たぶんアフリカあたりを源流とする人々が、当時、まだ海面が今よりは100メートルは低かった海岸線を伝い、新天地の日本にやって来た人々もいたのであろう。青森県の三内丸山遺跡で見せていただいた遺跡から発掘されたアフリカ原産のひょうたんの種を見ながら想像をたくましくしていた頃を思い出すのである。

 縄文時代という一万四千年ぐらい続いたという長い間に、色んな種族の人々が日本で同化して、原日本人のDNAが出来上がり、その縄文人のDNAが韓国南部に多く、さらにそこから少しずつ北の方に広がっているとも言われる。また、アメリカの原住民の人々にも縄文人と同じものが見られるという話しもある。

 カルラの話は、このあたりから僕の想像を膨らませたのである。

 「ジマ大国」は、僕ふうに読めば九州、四国、裏日本、それに朝鮮半島の南の海岸線に住む人々が交易(物々交換)で島と島を結び付けていた海洋民族の「島大国」ではなかったのではと思うのである。

投稿千景
視点を変えると見え方が変わる。エドサトウさん独特の視点で世界を切り取る連載コラム「投稿千景」。
これまでの当サイトでの「投稿千景」はこちらからご覧いただけます。
https://www.japancanadatoday.ca/category/column/post-ed-sato/

今年も朝日レガシーゲーム開催! 2025年ジャパンツアーに向け発進!

参加者全員で。2023年9月4日、バンクーバー市。Photo by Koichi Saito
参加者全員で。2023年9月4日、バンクーバー市。Photo by Koichi Saito

 朝日レガシーゲーム2023が9月4日、ナナイモパーク(バンクーバー市)で開催された。少し肌寒さが残る雨上がりの午後、選手たちの大きな声が球場に響いた。

2023-24年シーズン開幕、2025年ジャパンツアーに向け準備へ

 朝から年齢別の「朝日」チームの試合が行われ、この日の最後に開催されるのがレガシーゲーム。戦前にバンクーバーで人気を博した日系人野球チーム「朝日軍」へ敬意を表して毎年9月に開催される現代版バンクーバー朝日選手による親善試合であり、「朝日」の本格的なシーズン開幕も意味する。

 今年は、3月にジャパンツアーに参加した選手たちと、これまでジャパンツアーに参加した経験があるOBたちにコーチらが参加して、混合2チームで対戦した。

今年のレガシーゲームは黒ユニフォームと白ユニフォームのチームに分かれて対戦。2023年9月4日、バンクーバー市。Photo by Koichi Saito
今年のレガシーゲームは黒ユニフォームと白ユニフォームのチームに分かれて対戦。2023年9月4日、バンクーバー市。Photo by Koichi Saito

 Asahiのユニフォームを着て白球を追いかける選手たちと、それを応援する家族や友人たちの、一つひとつのプレーに一喜一憂する楽しい声が今年の朝日の開幕を告げた。

 選手たちはこれから来年春までトレーニングを積む。今シーズンは、2025年3月に実施予定のジャパンツアーに参加する選抜メンバーが決められる年でもあり、2025年ツアーに向けて新たな準備を始めるシーズンでもある。

 この日白ユニフォームチームでプレーした、今年のジャパンツアーでキャプテンを務めた捕手カイ・コンキンさんは、日本での経験について「なにもかもがすごく楽しかった」と目を輝かせながら話した。「野球はもちろん、フードも、交流も、経験する全てがおもしろかった」とコンキンさん。野球は「たぶん、2、3試合は勝ったと思うけど…」と特に勝ち負けにはこだわっていなかったようで、日本での経験が財産になったと話した。

2015年の初ジャパンツアーに参加したイノウエさんも参加

2015年第1回ジャパンツアーメンバーのイノウエさん。バンクーバーに帰ってきて野球ができてうれしいと笑った。2023年9月4日、バンクーバー市。Photo by Koichi Saito
2015年第1回ジャパンツアーメンバーのイノウエさん。バンクーバーに帰ってきて野球ができてうれしいと笑った。2023年9月4日、バンクーバー市。Photo by Koichi Saito

 今年のレガシーゲームには、2015年に実施された第1回ジャパンツアーに参加したアダム・イノウエさんも参加した。野球は大学まで続けたという。

 ジャパンツアーは、「朝日軍」の意思を継ぐ日系人で構成された「新朝日」チームが日本で野球交流をすることを目的に第1回が実施され、当時は14人で始まった。

 「今日はみんなと一緒にプレーできてすごく光栄に思います。自分たちがスタートした時は14人しかいなかったので、こうして多くの人がここにいてサポートしているのを見るのはうれしいです」とイノウエさん。当時は14歳、今でもチームメートとはつながっていると話す。

 自身にとって朝日は「大切なもの」と言う。日系人強制移動を経験した家族もいると話し「家族に朝日軍でプレーした人はいなかったと思いますが、でも当時バンクーバーで日系カナダ人として生まれた彼らにとって、朝日は特別なものだったと思いますし、そのレガシーの一部にいま自分があることはとても光栄です」と語った。

日系コミュニティでスポーツを振興できれば

始球式の長谷山さん(左)と馬目さん。2023年9月4日、バンクーバー市。Photo by Koichi Saito
始球式の長谷山さん(左)と馬目さん。2023年9月4日、バンクーバー市。Photo by Koichi Saito

 この日のレガシーゲームで始球式を務めたのはジャパンスポーツを主宰する馬目広三さんと、ブリティッシュコロンビア大学教育学部専任教員の長谷山康一さん。始球式前には「相手よりうまく投げたい」とやる気満々で臨み、大役を果たした。

 今回始球式を務めることになった背景には、2人ともバンクーバーで日系コミュニティのスポーツ振興を図りたいという思いがあるという。

 馬目さんと長谷山さんはサッカーでつながりがあるが、「色々なスポーツ団体とつながりを深めて、自分たちの活動がバンクーバー日系コミュニティのスポーツ振興につながるといいなと思います」と馬目さん。長谷山さんは、「こういうイベントがあると感じるのは、スポーツを通して日系コミュニティのつながりが強くなっていくことはとってもいいことだと思う」とこれからジャパンスポーツをサポートしながらスポーツを通してコミュニティを盛り上げたいと言う。2人は「今日はこういう機会をいただけて感謝しています」と語った。

朝日ベースボールアソシエーション

 2016年に発足。当時の名称はカナディアン日系ユースベースボールクラブ。2015年に最初のジャパンツアーを実施し、これを機に2016年に創設した。現在は約200人が登録している。

朝日チーム・ジャパンツアー

 2015年を第1回として、2年に一度、同アソシエーションでプレーする選手から選抜チームを結成し日本に野球遠征している。2021年は新型コロナウイルス感染拡大の影響で中止に。2017、2019年には、横浜、静岡、滋賀、奈良などで、2023年は神戸を中心に関西地区で親善試合や野球交流を行っている。

朝日ベースボールアソシエーションウェブサイト: https://www.asahibaseball.com/

2023年ジャパンツアーキャプテンでこの日も白チームのキャッチャーを務めたコンキン選手。2023年9月4日、バンクーバー市。Photo by Koichi Saito
2023年ジャパンツアーキャプテンでこの日も白チームのキャッチャーを務めたコンキン選手。2023年9月4日、バンクーバー市。Photo by Koichi Saito
先輩たちの野球を見つめるAsahiの後輩たち。2023年9月4日、バンクーバー市。Photo by Koichi Saito
先輩たちの野球を見つめるAsahiの後輩たち。2023年9月4日、バンクーバー市。Photo by Koichi Saito

(記事 三島直美/写真 斉藤光一)

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北米最大の動物保護施設BC SPCA バンクーバーの動物福祉を考える(前編)「バンクーバーのペット事情とBC SPCAの活動」

Jodiさんから話を聞いた後、施設内を見学。寄付をするとスポンサーとして名前を掲示することができるサービスも。2023年8月21日、BC SPCA Vancouver。Photo by ©Koichi Saito
Jodiさんから話を聞いた後、施設内を見学。寄付をするとスポンサーとして名前を掲示することができるサービスも。2023年8月21日、BC SPCA Vancouver。Photo by ©Koichi Saito

 家庭にペットを迎え入れたいと思ったとき、まずどこへ向かうだろうか?ペットショップだろうか、それともSPCAだろうか。ここブリティッシュ・コロンビア(BC)州では、ブリーダーや動物保護施設から動物を引き取るのが主流となっている。

 その核のような存在を担っているのがBC SPCA(The B.C. Society for the Prevention of Cruelty to Animals)。動物を虐待から救い、全ての動物の生活の質を保護・向上させるために非営利で活動している北米最大の動物保護施設だ。

 8月21日、バンクーバー市内にあるBC SPCA施設を訪問し、代表を務めるJodiさんに話を聞いた。

 この記事ではBC SPCAがBC州でどのように人々の意識を変え、動物保護活動を前進させてきたのかを紹介する。前編では現在のバンクーバーのペット事情やBC SPCAの活動について、後編では北米最大の動物保護施設に成長させたJodiさんの成功秘話について。

BC SPCA代表Jodiさん。2023年8月21日、BC SPCA Vancouver。Photo by ©Koichi Saito
BC SPCA代表Jodiさん。2023年8月21日、BC SPCA Vancouver。Photo by ©Koichi Saito

現在のバンクーバーのペット事情とBC SPCAの役割

-店頭で犬や猫が売られているのを目にしませんが、バンクーバーではペットショップはどのように機能しているのでしょうか?

 カナダでは、多くの都市でペットショップがペット(犬猫)を販売することを禁止しています。主に犬に関しては、悪質なブリーダーやパピーミルの出身であることが懸念されたり、病気や健康問題が出てくることがあったりしたためこのような措置が取られました。

 そこで現在ペットショップはさまざまなレスキュー団体と協力しています。レスキュー団体が救助した猫や子猫を持ち込み、ペットショップと協力して譲渡活動(新たな飼い主を見つける活動)を行っています。通常、犬はペットショップに置かれませんが、犬を1日店内に滞在させて、訪れた人々が犬について学び、譲渡について考えられる特別なイベントも開催されています。

 BC SPCAはペットショップからたくさんの鳥やハムスター、モルモットを引き取っていますが、最終的にはそのような小動物も一切置かれないことを目指しています。なぜなら、人々がペットショップで動物を見かけ、同情して購入することがあるからです。そのあと飼うことが難しいと気づいてもペットショップは返品を受け付けないため、動物保護施設が引き取ることになります。最終的な目標はこの流れを完全に止めることです。

-BC SPCAで保護される動物について教えてください。

 私たちのシェルターには、さまざまな機関を通じて動物たちが入ってきます。飼い主から引き渡されたり野良動物を保護したり、通報があれば動物虐待調査部門を通して入ってきます。先週は犬、猫、ウズラ、ニワトリなど、111匹の動物を保護しました。

 このような数の動物を受け入れると、私たちは大きな組織なのでBC州に43カ所ある施設全体に分散させる必要があります。なかでも北部の支部で多くの動物が保護されますが、その地域では飼い主が不足しています。一方バンクーバーには飼い主候補となる人が多いため、700匹以上の動物がバンクーバーの支部に引き取られているんです。

行動学の研究者との意見交換で、保護された全ての猫が成長するためには最低でも11平方フィートの広さが必要だという。この施設では、一度に収容できる猫の数は減ったが、全てのケージに移動できる出入口を作り、猫に必要なスペースを確保している。2023年8月21日、BC SPCA Vancouver。Photo by ©Koichi Saito
行動学の研究者との意見交換で、保護された全ての猫が成長するためには最低でも11平方フィートの広さが必要だという。この施設では、一度に収容できる猫の数は減ったが、全てのケージに移動できる出入口を作り、猫に必要なスペースを確保している。2023年8月21日、BC SPCA Vancouver。Photo by ©Koichi Saito

-各地から人口が多いバンクーバーに運ばれてくるのですね。保護された後はどうなるのですか?

 動物たちが施設に来ると、まず診察室で健康状態などのチェックが行われます。マイクロチップの有無を確認し、口、耳、目、足をチェックします。ワクチン接種、虫下し、ノミの駆除をします。病気が見つかれば獣医に連れて行きます。マイクロチップがあれば追跡することができるので、飼い主の情報を入手して電話をかけます。

 また、現在私たちは組織として大きく成長したため、猫や子猫は飼い主が決まる前に100%不妊去勢手術を受けさせることができるようになりました。これにより新たな子猫が誕生することが防がれています。今では猫や子猫が過剰に増えることはなくなりましたが、そこに至るまでには長い年月がかかりました。

 今は飼育数が多すぎたりスペースがなかったりという理由で殺処分することはありません。動物が処分されるのはその動物が重篤な病気である場合、もしくは攻撃的で人や他の動物をひどく傷つける可能性があり、そのような危険な行動を直せない場合です。

-保護された動物はどのように民間に引き取られるのでしょうか?

 私たちはマッチングを大切にしています。スタッフやボランティアが実際に面接をして、飼い主と動物の相性が良いかどうかを確認します。先着順でもなければ、気に入ったからもらえるというものでもありません。

 飼い主になる人にとっても、動物にとっても、最善の選択であることを確かめる必要があるのです。例えば、子犬は散歩やトイレなど家庭でのしつけが必要ですが、もし飼い主が毎日仕事で10時間留守にしていたら子犬は学ぶことができません。

-引き取り手が見つかるまで一時的に動物を預かる「フォスタープログラム」があるとお聞きしました。

 はい、数百人のボランティアが動物を一時的に預かってくれています。けがをした動物や幼い子のいる母犬や母猫、病気の動物なども回復するまでフォスターファミリーに預けられます。例えば山火事などにより避難警報が発令されたら、自宅から避難している人たちが自宅に戻るか別の家に移るまで、動物は私たちのシェルターかフォスターファミリーのもとで保護されています。これは私たちが提供している大きなサービスであり、飼い主にはお金がかかりません。

 フォスターファミリーには食べ物、ベッド、おもちゃ、食器、リード、首輪など必要なものを全て提供しています。彼らは私たちのために動物の世話をしてくれていて、なくてはならない存在です。

 このプログラムがなければ、施設にいるべきでない幼い動物が施設内に残ることで病気になる可能性があるため、私たちは非常に注意しなければなりません。そのためにこのすばらしいフォスタープログラムがあるのです。

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 BC州ではSPCA各支局、フォスターファミリーが協力し、動物を保護している。話を聞いて感じたのは社会全体が動物と人とが対等である感覚を持っているということだ。家庭でもし子どもが虐待されていたら近所の人が警察に通報するように、ペットでも家庭に問題が見つかればSPCAに通報が入る。またSPCAの動物虐待調査部門は、特定の資格を得て動物を飼っている家庭に調査に入る権利があり、動物の安全を守る機能を持っている。

 後編では、BC州の動物福祉がどのように進展してきたのか、BC SPCAを北米最大の動物保護施設に成長させたJodiさんの成功秘話を紹介する。

BC SPCAウェブサイト: https://spca.bc.ca/

(取材 池田茜音/写真 斉藤光一)

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