ギルボー元環境大臣が辞職発表、連邦政府とアルバータ州の覚書に反発

 スティーブン・ギルボー元連邦環境大臣が5月27日に議員を辞職すると発表した。辞職時期は明確に示していないが今夏の終わり頃という。

 辞職の理由は連邦政府の環境政策転換への反発。ギルボー元大臣は昨年12月にはカナダ・アイデンティティ・文化大臣兼公用語担当大臣を辞任。理由は連邦政府がアルバータ州との間で締結した新たなパイプライン建設に向けた1回目の覚書(MOU)だった。ただ議員辞職はとどまっていた。

 今回は議員を辞職する。ギルボー元大臣は「(政治とは)違う方法で環境問題へ取り組んでいく」とソーシャルメディアに投稿している。

 今回辞職に至った理由の一つは連邦政府とアルバータ州との覚書だったと明確に語っている。両政府は5月に2回目の覚書を締結した。

 ギルボー元大臣は2019年の選挙で初当選。当時のジャスティン・トルドー政権では2021年から25年まで環境・気候変動大臣を務めた。政界入りする前はグリーンピースなどで活動していた環境活動家として知られ、議員になってからもカナダの気候変動対策などに関わってきた。トルドー政権は、2030年までに2005年比で温室効果ガス排出を40~45%、2035年までに45~50%、2050年までにネット・ゼロまで削減することを目指していた。

 しかし昨年4月の総選挙後に誕生したカーニー政権では、トルドー政権時代に取り組んできた環境対策の主要政策を廃止もしくは転換。環境問題を度外視してエネルギー大国カナダを目指していて突き進む方向に進んでいる。その象徴とも言えるのがアルバータ州とのパイプラインに関する覚書。昨年の総選挙では、自由党の公約にパイプラインは含まれていなかった。

 カーニー首相になって廃止された環境対策および方向転換された対応は、▽消費者向け炭素税を撤廃する▽石油・ガス部門の排出量上限の導入を撤回する▽電気自動車販売義務化を廃止する▽LNG(液化天然ガス)および増進型石油回収(EOR)向けの化石燃料補助金を倍増させる▽カナダを世界最大級のLNG供給国にするための野心的な計画を策定する▽西海岸へのビチューメン(オイルサンド原油)パイプライン建設の可能性を支持する、などとなっている。

 これらはこれまで保守党が主張してきた政策。こうした動きに自由党内ではギルボー元大臣以外にも懸念を示す議員が少なからずいるという。

 テレビインタビューでギルボー元議員はこうした政府の環境政策に懸念を示す議員が同様に議員辞職する可能性について問われると「それは何とも言えない」と答えた。

 自由党の議席は現在174議席だが、ギルボー元大臣以外にも、カナダの欧州連合(EU)新大使に任命されているジョナサン・ウィルキンソン議員(ブリティッシュ・コロンビア州)やオンタリオ州自由党党首選に出馬するため辞職するナサニエル・アースキン=スミス議員も辞職するため、171議席となる。過半数は172。補欠選挙の結果次第では、再び少数派政権となる可能性もある。

(記事 北野大地)

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