古賀義章さん
株式会社 講談社 国際ライツ事業担当部長
クーリエ・ジャポン初代編集長
カナダ滞在歴:バンクーバー2カ月、イエローナイフ1週間
バンクーバーでの講演会3回開催
初めてカナダを訪れたのは1988年12月のことでした。ウィスラーとバンクーバーに約1カ月間滞在しました。以来、2011年、2013年、2015年、そして2020年と、これまでに合計5回カナダを訪れています。
最初にカナダへ行こうと決めたきっかけは、スノーボードでした。当時のカナダではスノーボードはまだ一般的ではなく、専門ショップも2軒ほどしかありませんでした。滑っている人も10人に満たないという状況の中、自然と向き合いながら挑戦する楽しさを体感しました。その後、尾てい骨を骨折する大怪我も経験しましたが、それも含めて、今思えば自分にとって大きな成長の糧になったと感じています。
カナダの魅力は、何といっても雄大な自然、多様な文化、そして人々の温かさです。初めての滞在では、空港で偶然知り合ったカナダ人の方のご家庭に招かれ、2〜3週間居候させていただきました。そういった出会いや交流の積み重ねが、私にとってカナダを特別な場所にしてくれました。
バンクーバーではこれまでに3度、講演の機会をいただきました。2011年には、坂本龍一さんと共に手がけた東日本大震災をテーマにした写真スライドショーが映画祭のオープニング作品として上映され、その関連講演を行いました。2013年には日加商工会議所の10周年記念講演に招かれ、当時、出版社の仕事として関わっていたインドでのアニメ制作にまつわる裏話などをお話ししました。そして2015年には、コスモス・セミナー15周年の記念講演として、出版社での長年の経験をもとに、インドでの活動と共に、雲仙普賢岳の噴火災害やオウム真理教事件の取材に関わったことなどを中心にお話しさせていただきました。いずれの講演でも、カナダ在住の皆さんが非常に熱心に耳を傾けてくださり、貴重な交流の時間となりました。
2020年にはイエローナイフを訪れ、極寒の中でオーロラを鑑賞しました。幻想的な光景もさることながら、「オーロラハンター」と呼ばれる現地の方と暗闇の中で語り合った時間が、今でも深く心に残っています。自然の美しさと人とのつながり——この二つが、私にとってカナダを象徴するものです。
現在私は、出版社に勤務する傍ら、日本とインドの文化交流に関わる事業にも携わっています。インドへはこれまで50回以上渡航し、その都度異なるテーマで取材や制作活動を行ってきました。カナダで触れた「多様な価値観を受け入れる社会」という体験は、こうした国際的な仕事を進める上での根幹を支える重要な要素となっています。
振り返ってみると、カナダでの経験はすべてが学びであり、人生の財産です。これからも、そこでの出会いや体験を大切にしながら、異文化への理解と交流をさらに深めていきたいと考えています。
(記事・動画 斉藤光一)
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