トラック運転手らによる「Freedom Convoy」が長期化

 連邦政府が1月15日に、アメリカとの国境を越えて移動するトラック運転手にワクチン接種を義務化したことに端を発した、トラック運転手らの大規模な抗議運動、「Freedom Convoy(フリーダム・コンボイ)」が長期化している。

 連邦政府に抗議してカナダ各地から首都を目指して集まって来た大型車両の隊列は、28日にオタワに到着を始めた。国会議事堂周辺の道路は多数のトラックなどが占拠し、クラクションを鳴らして騒音をあげるなどしている。

オタワ警察のツィッター投稿。

 警察や住民のSNS投稿や地元メディアの報道によると、シェルター利用者にいやがらせをしたり、公共の場所で放尿したり、国立戦争記念碑やカナダ国民の英雄テリー・フォックス像を冒涜(ぼうとく)したりしたという。6日にはオタワ市長が、11日にはオンタリオ州ダグ・フォード州首相が非常事態を宣言した。

 またデモ隊は国会議事堂周辺以外にも移動して、市内各地で交通渋滞を引き起こすなどして、市民の生活に大きな影響が出ている。オタワ警察は9日、デモ隊が道路を遮断することは、周辺で暮らす人の権利を侵害する不法行為であるとして、逮捕されることもありえると警告を行った。

 抗議運動はオタワだけにとどまらず、カナダとアメリカの国境で交通を遮断するグループもいて、物流にも大きく影響している。カナダ・オンタリオ州とアメリカ・ミシガン州を結ぶアンバサダーブリッジが、7日、デモに参加するトラックに封鎖された。

 アンバサダーブリッジはデトロイトとカナダ間にある自動車産業にとって重要な橋で、部品や製品を送ることができないと、ホンダ・カナダは11日、一時的に一部製品の製造を休止していることを明らかにした。

 アルバータ州とモンタナ州の間の国境にも1月29日から抗議するグループが集まっていたが、連邦警察(RCMP)との交渉で2月3日に一旦、通行再開。しかし2月9日に再び道路を遮断した。ブリティッシュ・コロンビア州でも1月28日にワクチン接種に伴う規制に反対する人らも参加して、ラングレーからバンクーバーまでデモを行っている。2月5日にも市内各地で抗議者が集まった。

 カナダトラック同盟(Canadian Trucking Alliance:CTA)は1月22日、大多数のトラック運転手はワクチン接種を受けているとして、公道やハイウェイ、公共の橋における抗議運動について強く非難した。一方、個人の自由を侵害しているとして、感染拡大阻止のためとして行われている政策に反対する人らが、抗議運動を支援している。

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