カナダ政府のワクチン接種完了者入国制限緩和を詳しく解説

 カナダ連邦政府が2021年7月5日より、カナダ入国者に対しての入国制限を緩和した。

 カナダ入国時に渡航者に求められていた入国後14日の自己隔離、入国8日目のPCRテスト、そして空路での渡航者が空港での検査結果を待つための入国72時間ホテル隔離が、ワクチン接種完了などの条件を満たせば不要となった。

規制緩和の対象となるのは、現在カナダへの入国が認められている人で、以下の3つの条件を満たさなければならない。

  • 新型コロナウイルス感染の症状がない
  • 新型コロナウイルスワクチン接種を完了している(カナダ政府が認めるワクチン)
  • 到着前にArriveCANで情報を入力するなど入国に必要な準備を整えている

現在、カナダへの入国が認められているのは

  • カナダ国籍者(市民権を持つ人)
  • カナダ永住権を持つ人
  • 就業ビザ、学生ビザ、ワーキングホリデービザのいずれかを持つ人。ワーキングホリデービザについては、2021年は7月12日現在ジョブオファーが求められている
  • カナダ国籍者や永住権を持つ人の家族で、カナダに15日以上滞在する人
  • 重篤患者のケアや葬儀への出席などで、カナダ公衆衛生局(PHAC)が入国を許可した人

など。カナダの市民権や永住権を持たない外国籍の人の入国は規制されている。

新型コロナウイルスワクチン接種完了とは?

 今回の緩和は新型コロナウイルスワクチンの接種を完了した人を対象としている。ただし、どんなワクチンでもよいというわけではない。カナダ政府が承認しているワクチンを接種していなければならない。

 カナダ政府が認めるワクチン接種完了者とは

  • ファイザー-ビオンテック
  • モデルナ
  • アストラゼネカ/コビシールド
  • ヤンセン(ジョンソン&ジョンソン)*1回のみ

のいずれかの新型コロナウイルスワクチンの接種を完了している人。

 現在のところ、Bharat Biotech(Covaxin、BBV152 A、B、C、インド製)、Cansino(Convidecia、Ad5-nCoV、中国製)、Gamalaya(Sputnik V、Gam-Covid-Vac、ロシア製)、Sinopharm(BBIBP-CorV、Sinopharm-Wuhan、中国製)、Sinovac(CoronaVac、PiCoVacc、中国製)、Vector Institute(EpiVacCorona、ロシア製)などは認められていない。

 また、2回接種が必要なワクチンでは2回目の接種を、1回接種のワクチンでは接種をそれぞれカナダ入国14日前までに終えていることが条件となっている。

 つまり2回接種が終わった翌日に空路でカナダに入国する場合は、入国後、ホテル隔離を行わなければならない。例えば7月1日にファイザーの2回目接種を受けた場合、7月15日以降の入国であれば規制緩和の対象となる。

ワクチン接種証明

 規制緩和対象となるには、カナダ政府が認めるワクチンの接種を終了していて、その証明書をArriveCANにアップロードする必要がある。

 ワクチン接種はカナダ国外で受けてもいいが、英語かフランス語の接種証明書、もしくは認定翻訳者の証明付き翻訳をArriveCANにアップロードする。

接種証明書に記載が必要な内容
・1回目接種詳細(日付、接種した国、ワクチンの種類)
・ファイザー、モデルナ、アストラゼネカのように2回接種が必要なワクチンの場合、2回目接種の詳細(日付、接種した国、ワクチンの種類)

ArriveCANにアップロードする証明
・レシートやカードなど接種記録の写真またはスキャン
もしくは
・接種記録が英語、フランス語以外の場合は翻訳

 アップロードするファイルはPNG、JPEG 、JPG、PDFのいずれかの形式。できればPDFが望ましい。各イメージのサイズは2MBまで。

 接種証明書が英語、フランス語以外の場合は、ArriveCANには証明書ではなく、翻訳のみをアップロードする。また、認定翻訳については、翻訳協会のメンバーが行うなど細かい規定があるので要注意。

 2回ワクチン接種が必要にもかかわらず1回しか受けていない人は、これまでどおり入国後14日間の自己隔離、入国8日目のPCRテスト、空路での渡航者は入国後72時間のホテルでの隔離を行う。

18歳未満の子どもはどうなる?

 ワクチン接種が終わっていない18歳未満の子どもについては、ワクチン接種を完了した大人と一緒に渡航する場合に限り、ホテル隔離については不要となった。

 ただし、入国後14日の隔離を行わなければならない。また5歳以上の子どもは全てPCRテストを受ける必要がある。

出発前と入国時PCRテスト、隔離プラン作成は引き続き必要

 ホテル隔離などの規制は緩和されたが、7月5日以降も空路でのカナダ入国の場合の搭乗72時間前PCRテスト(陸路の場合はカナダ入国72時間前のアメリカでのPCRテスト)、ArriveCANでの自己隔離計画の提出、空港到着時のPCRテストはこれまでどおり必要となっている。

 ArriveCANのアプリは規制緩和に合わせて更新されている。ArriveCANを7月5日以前にダウンロードした人は、アプリを更新しないとワクチン接種記録をアップロードできない。

 また、ホテル隔離免除などの最終判断は入国時に行われる。入国の際にワクチン接種証明書を持参すること。紙でもデジタル化したものでも、どちらでも可。

 今回の規制緩和は連邦政府のもので、一部州では州独自の移動制限があるので注意が必要。

カナダ政府の入国緩和についてのサイト: https://travel.gc.ca/travel-covid/travel-restrictions/covid-vaccinated-travellers-entering-canada

(取材 西川桂子)

合わせて読みたい