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飲むヨーグルト「YOP」プラスチック片混入の恐れでリコール

リコールされたYoplait Canada社の飲むヨーグルト「YOP Drinkable Yogurt」。Image from CFIA
リコールされたYoplait Canada社の飲むヨーグルト「YOP Drinkable Yogurt」。Image from CFIA

 カナダ食品検査庁(CFIA)は11月22日、Yoplait Canada社の「飲むヨーグルト」のリコールを発表した。

 対象は「YOP Drinkable Yogurt」200ミリリットルサイズの全フレーバーで、賞味期限が2025年10月21日から2026年1月12日までの製品。同製品はカナダ全国で販売されている。

 Yoplait社のウェブサイトによると、容器部品の不具合により製品にプラスチック片が混入している可能性があるため予防的に自主回収を行ったという。対象製品は店頭から撤去されている。

 Yoplait社はカナダで販売されているその他の同社製品に影響はないとしている。CFIAによるとリコール対象製品の摂取による健康被害の報告はないという。

 CFIAは消費者に向けて、リコール対象製品を持っていないか確認すること、持っていた場合には飲用、提供、使用、販売、配布をしないこと、対象製品は廃棄するか購入した店舗へ返品することを呼びかけている。

 リコールの詳細は、CFIAのサイトで確認を。https://recalls-rappels.canada.ca/en/alert-recall/yoplait-brand-yop-drinkable-yogurt-recalled-due-pieces-plastic

(記事 高城玲)

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遠足中の生徒と教師、グリズリーベアに襲われる

 ブリティッシュ・コロンビア(BC)州中西部海岸沿い、バンクーバーから北に約420キロにある町ベラ・クーラで11月20日、子どもを含む11人がグリズリーベアに襲われた。

 事件が起きたのは同日午後1時45分ごろ、ハイウェイ20号線近くのトレイル。襲撃に遭ったのは先住民ナクサルク族が運営するアクスワルクタ校の生徒と教師たちと、複数のメディアが報じた。遠足中だったという。

 BC保護官サービス(BCCOS)によると、生徒と教員たちが昼食をとっていたところ、森からクマが現れたという。複数の教員がベアスプレーやベアバンガー(クマ撃退用音響装置)を使用し、クマを追い払った。グリズリーが人の集団を襲うのは極めてまれだという。

 BC緊急医療サービスによると、負傷した11人のうち、子ども3人を含む重体2人と重傷2人が空路で病院に搬送された。

 BCCOSのチームは襲撃したグリズリーベアの行方を追って現在も捜索を続けている。ナクサルク族と連携するとともに、地域住民には4マイル地域の森や川沿いへの立ち入りを避けるよう注意を促している。

 事件を受けてデイビッド・イービーBC州首相はクマに立ち向かった教員たちの勇気を称え、「負傷した生徒とその家族たちに心から寄り添いたい。一刻も早い回復を願っている」と述べた。

(記事 高城玲)

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カーニー政権予算案 赤字額は780億ドルも経済成長と生産性促進に重点

改修工事中のカナダ国会議事堂。オンタリオ州オタワ市。2025年4月3日。撮影 日加トゥデイ
改修工事中のカナダ国会議事堂。オンタリオ州オタワ市。2025年4月3日。撮影 日加トゥデイ

 マーク・カーニー自由党政権が11月4日に発表した予算案は17日に議会で承認された。内容は、貿易の不確実性と景気減速の中、成長と生産性を促進するための投資計画と歳出削減策が含まれている。

 カーニー政権が重点を置いたのが経済成長と競争力の強化。その一環として、企業の資本投資でより大きな割合を迅速に償却できる制度や、製造・加工施設の建物への新たな控除、液化天然ガス(LNG)関連の設備・建物への新しい資本コスト控除を設ける。

 またカーニー首相は総裁選で国内でのプロジェクトの迅速化を図ると公約していた。その中核であり、すでに稼働中の「主要プロジェクト局(MPO)」に今後5年間で2億1,400万ドルを投入。重要鉱物プロジェクトの承認を次の段階とするほか、オンタリオ州トロントからケベック州ケベックシティ間の高速鉄道建設を従来の8年計画から4年に短縮するとした。住宅、道路、水道、医療施設など地域インフラ整備に今後10年間で510億ドルを投じる。

 注目されたのは大幅に拡充された防衛費。カーニー首相はすでにNATO(北大西洋条約機構)目標のGDP比2%の防衛支出を3月31日までに、さらに5%を2035年までに達成するため、93億ドルの拡充を約束している。2025年度予算では、今後5年間で818億ドルを防衛にあて、そのうち約720億ドルが新規支出となる。

 赤字額は、2025年度は780億ドルの見込みで、トルドー前自由党政権が約束した420億ドルを大きく上回る。翌年度には650億ドル、2029年度には570億ドルと段階的に減少、3年以内に運営支出を均衡させるとしている。また今後5年間で1,410億ドルの新規支出を予定しているが、その一部は支出削減などによって相殺される見通し。

 歳出削減として政府の規模縮小が行われる。すでに実施中の連邦政府の日常的な運営費削減により2028年度までに年間130億ドルの支出削減を見込む。さらに公務員数を今後数年で約4万人削減する。

 納税者の資金を「国家建設のためのインフラ、クリーンエネルギー、イノベーション」などにより多く投入し、社会保障制度を守るとしている。

 一方で、企業への温室効果ガス排出量規制の撤廃や植林予算の削除など、環境問題への対応を一部撤廃した。

 移民政策では、住宅問題や医療システムへの圧迫を背景に一時居住者の新規受け入れを673,650人(2025年)から385,000人(2026年)へと大幅に削減。一方で就労ビザ保持者には「地域社会に深く根を下ろし、納税し、カナダ経済を支える重要な存在」として、2026年と27年に最大で就労ビザ保持者33,000人を永住権に移行させる一時措置を導入する。

(記事 高城玲)

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バンクーバーダウンタウン中心部で白昼の刺殺事件、業界団体はSROの即時閉鎖を要求

バンクーバー市キャンビー通りにあるバンクーバー市警。Photo by The Vancouver Shinpo
バンクーバー市キャンビー通りにあるバンクーバー市警。Photo by The Vancouver Shinpo

 バンクーバー市ダウンタウン中心部で白昼に刺殺事件が起きた。バンクーバー市警察の発表によると、11月17日午後3時15分ごろ、グランビル・ストリートとヘルムケン・ストリートで男性が刺されたとの通報があった。男性は病院に搬送されたが死亡。現時点で被害者の身元は不明、容疑者逮捕にも至っていない。

 CBCニュース電子版の報道によると、警察は事件について無差別攻撃ではなく、被害者と加害者の間にはなんらかの関わりがあったと考えているという。

 現場はバーやナイトクラブなどが立ち並ぶダウンタウンでもにぎやかな「グランビル・ストリート・エンターテイメント地区」。事件を受けてバンクーバーの夜間経済セクターの業界団体Hospitality Vancouver Association(HVA)が声明を発表した。

 事件翌日に発表されたHVAの声明によると、男性が刺されたのはグランビル・ストリートのLuugat SROの向かい側。SROとはブリティッシュ・コロンビア(BC)州政府が導入したホームレス支援のための単身者住宅で、州政府は新型コロナウイルス禍の2020年にLuugat SROをオープンした。しかしその後、SROでは火災などの問題が相次いでいる。HVAは、同地区での暴力、不法侵入、路上での薬物使用などが容認できない範囲に達しているとし、グランビル・ストリート沿いにある3つのSROを即時に閉鎖するよう求めている。

 州政府は11月8日にLuugat SROを2026年6月までに閉鎖すると発表した。しかし住民の移転先は未定となっている。

(記事 高城玲)

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アルバータ州政府「公」「民間」の両方で医師が働ける法改正目指す

 グローブ・アンド・メール紙は11月18日、アルバータ州が公的医療制度と民間医療制度の両方で医師が自由に働けるようにする法改正を検討していると報じた。

 アルバータ州ダニエル・スミス州首相はこれを認め、SNSで「デュアル・プラクティス手術モデル」の仕組みを説明、手術件数を増やすことで待ち時間の短縮につながると強調している。スミス州首相によると、新制度下でも外科医および手術スタッフは年間一定数の公的資金による手術を提供し続ける必要がある。その上で希望すれば、週末や空き時間に緊急性のない手術を民間医療制度のもとで行うことが可能になるという。より迅速に手術を受けられるほか、州内に医師を定着させる効果も期待できると述べている。

 同州マット・ジョーンズ病院・手術医療サービス担当相は報道陣に、この法案には家庭医(ファミリードクター)が含まれる可能性もあると明らかにした。一方でスミス州首相は「アルバータ州民が家庭医にかかったり、必要な治療を受けるのに自己負担を強いられることは決してない」と強調している。このデュアルモデルは、スウェーデン、ドイツ、オーストラリアなどで導入されているという。

 しかし、このような仕組みはカナダでは前例がなく、公的医療制度への影響を懸念する声が上がっている。

 カナダ医師会(CMA)は「患者は今より長く待たされ、税金に加えてクレジットカードでもう一度医療費を払うことになる」との声明を発表、アルバータ州政府に再考を促した。

 野党アルバータNDP(新民主党)ナヒード・ネンシ党首は、州政府は「アメリカ型医療」を推し進めており、この計画はアルバータ州の低所得者を苦しめるだけだと批判している。19日の州議会ではスミス州首相にこの件をめぐって選挙を実施するよう求めた。

 連邦政府マージョリー・ミシェル保健大臣の報道官はアルバータ州に詳細を確認していると述べている。

(記事 高城玲)

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ウエストジェット、リクライニングなし座席を導入

WestJet (file photo)
WestJet (file photo)

 カナダ第2の航空会社ウエストジェットは2025年秋からボーイング737-8 MAXと737-800型機にリクライニング機能を廃止した固定座席を導入した。これにより、通常のエコノミー席は背もたれが一定角度で固定され、乗客が自由に倒すことはできない。リクライニング可能な座席は「エクステンデッド・コンフォート」や「プレミアム」として販売され、追加料金を支払うことで利用できる仕組みとなった。同社は9月23日に声明で発表した。

 新しい座席構成では、エコノミー席に調整可能なヘッドレストやクッション強化が施される一方、背もたれは固定。機内前方には36席の「エクステンデッド・コンフォート」と12席の「プレミアム」が設けられ、いずれもリクライニング機能を備える。「多様なニーズに応えるための選択肢」と説明し、個人スペースの確保を強調している。

 しかし、専門家からは「単なる収益目的」との批判も出ている。近年、座席を倒す行為をめぐるマナー論争が広がる中、ウエストジェットの新方針は「快適性を求める乗客は追加料金を払う」という新たな市場モデルを提示した形だ。

 導入は2025年9月末から順次開始されている。航空業界において「リクライニング=有料オプション化」という新しい料金体系が定着するか、エアカナダなどの今後の動向が注目される。

 また、ウエストジェットは現在今年12月末が期限の客室乗務員労働組合との労使交渉中で、交渉次第ではストライキ決行の可能性も残されている。客室乗務員労働組合のストライキでは今年8月にエアカナダが実施して3日間全便欠航となった。

 ウエストジェットはアルバータ州カルガリーから東京・成田に直行便を運航している。

(記事 北野大地)

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カナダ・バンクーバーで「ハリー・ポッター:禁じられた森の体験」オープン

「禁じられた森の体験」入り口。2025年11月6日、バンクーバー市スタンレーパーク。Photo by Lala
「禁じられた森の体験」入り口。2025年11月6日、バンクーバー市スタンレーパーク。Photo by Lala

 バンクーバー市スタンレーパークで、世界的に人気の「ハリー・ポッター™」や「ファンタスティック・ビースト™」シリーズをテーマにした没入型イベント「禁じられた森の体験」“Harry Potter: A Forbidden Forest Experience”が開催されている。

ハリーポッターの世界そのままの幻想的な森の中を進むトレイル。2025年11月6日、バンクーバー市スタンレーパーク。Photo by Lala
ハリーポッターの世界そのままの幻想的な森の中を進むトレイル。2025年11月6日、バンクーバー市スタンレーパーク。Photo by Lala

 今年11月7日に開幕、夜の森を舞台に光と音響で演出された幻想的な小径を歩きながら魔法の世界を体験できるハリー・ポッターファンでなくても映画を見たなら一度は体験してみたいイベントだ。

 映画でお馴染みのヒッポグリフやユニコーン、ニフラーなどの魔法生物に出会い、道中にはところどころハリーたちさながらに「ウィンガーディアム・レヴィオーサ」などの魔法の呪文を唱えるところも。

 さらに、巨大なハグリッド像や魔法の演出を背景にしたフォトスポットや、映画さながらにバタービールや限定スイーツなども楽しめる。

森では、映画でお馴染みのキャラクターたちがお出迎え。2025年11月6日、バンクーバー市スタンレーパーク。Photo by Lala
森では、映画でお馴染みのキャラクターたちがお出迎え。2025年11月6日、バンクーバー市スタンレーパーク。Photo by Lala

 イベントは毎日午後4時45分からで、所要時間は約60〜90分。チケットは公式サイトから購入可能、時間指定制となっている。料金は大人で43ドルから。日時によって異なる。

 スタンレーパークの豊かな自然と「ハリー・ポッター™」の世界観が融合したこの体験は、カナダ初開催。ワーナー・ブラザーズ・ディスカナリー・グローバル・エクスペリエンスが提供する世界各地で成功を収めた人気イベントがついにバンクーバーに上陸、ファンから大きな注目を集めている。

「禁じられた森の体験」“Harry Potter: A Forbidden Forest Experience”

期間:11月7日から期間限定、毎日午後4時45分から
チケットなどの詳細は公式サイトで。https://hpforbiddenforestexperience.com/vancouver/

映画の中のさまざまな名場面を再現。2025年11月6日、バンクーバー市スタンレーパーク。Photo by Lala
映画の中のさまざまな名場面を再現。2025年11月6日、バンクーバー市スタンレーパーク。Photo by Lala
ショップには、杖やアパレル、キーチェーン、映画に出てくるバタービールやカエルチョコも。2025年11月6日、バンクーバー市スタンレーパーク。Photo by Lala
ショップには、杖やアパレル、キーチェーン、映画に出てくるバタービールやカエルチョコも。2025年11月6日、バンクーバー市スタンレーパーク。Photo by Lala

(記事 北野大地)

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バチカン、カヤックなどカナダ先住民の文化資料62点を返還へ

 ローマ教皇庁(バチカン)とカナダ・カトリック司教協議会(CCCB)は11月15日に共同声明を発表、バチカン美術館所有のカナダ先住民の文化資料を返還することを明らかにした。

 返還されるのは、クジラ猟に使われていた100年前のイヌビアルイトのカヤックなど、カナダの先住民、メティス、イヌイットの文化資料62点。これらは1925年の「バチカン宣教博覧会」の際に集められた資料の一部で、バチカン美術館の保管庫で長年保存されてきた。この返還についてはレオ14世教皇からCCCBへの「贈り物」というかたちで行われる。

 声明によると、この決定は2022年フランシスコ前教皇のカナダ訪問や先住民族コミュニティとの会見などを経たもの。前教皇は、カトリック教会が運営していたレジデンシャルスクール(先住民寄宿学校)での虐待や文化破壊、強制同化を「申し訳なく、恥ずべきもの」と述べ、先住民族コミュニティに謝罪した。レオ14世教皇は、この「贈り物」が対話、尊敬、友愛の具体的な印となることを望むと述べている。

 返還される文化資料は12月6日にケベック州モントリオールに到着予定。その後、同州のカナダ歴史博物館に運ばれ、各コミュニティへと引き渡されるという。

(記事 高城玲)

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BC州でも職場での「病気証明書の要求」を制限する新規則

The Legislative Assembly of British Columbia, Victoria, Canada.
ブリティッシュ・コロンビア州の州都ビクトリアにある州議事堂。

 ブリティッシュ・コロンビア(BC)州政府は11月12日、職場での「病気証明書(sick note)」に関する新たな規則の導入を発表、即日から実施された。

 規則では雇用主が雇用者に病気証明書を求める機会を制限する。具体的には、連続5日以内の短期的な病気欠勤について、1年(1月1日〜12月31日)のうち最初の2回までは病気証明書を求めることができない。健康上の理由による欠勤には近親者の病気やけがも含まれる。雇用基準法に基づく全ての雇用主に適用される。

 BC州政府の声明によると、これは医療現場の事務負担を軽減し、医療システムをより良く機能させる取り組みの一環。ジェニファー・ホワイトサイド労働大臣は、「インフルエンザのときや子どもが風邪を引いたときに、病院に行って『病気であることを証明する紙』をもらう必要はないはずだ」とし、不要な受診は医師や看護師から時間を奪い、病気の拡散リスクを高めるとしている。新たな規則の下で医療従事者は患者の治療に専念でき、雇用者側の時間的・経済的コストも軽減されると説明している。

 今回の措置は医療従事者からの意見を踏まえたと強調。さらに風邪やインフルエンザなど成人の軽症疾患の多くは、5日以内に症状が改善するという科学的根拠に基づいているという。

 同様の規制は、サスカチュワン、オンタリオ、ノバスコシア、ニューブランズウィック、プリンスエドワード島各州、ノースウエスト準州、さらに、連邦政府でもすでに導入されている。

(記事 高城玲)

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カナダ「はしか排除国」認定を失う

 カナダ公衆衛生局(PHAC)は11月10日、カナダが麻疹(はしか)排除国の認定を失ったと発表した。

 決定はパンアメリカ保健機関(PAHO)の審査結果に基づいたもの。カナダ国内で、同じ株の麻疹ウイルスによる持続的な感染伝播が1年以上続いていることが確認された。

 PHACの声明によると、カナダでは2024年10月からはしかの流行が始まり、ブリティッシュ・コロンビア(BC)州を含む9州と1準州にまで拡大。最近は感染の拡大ペースがやや鈍化しているものの、流行は予防接種率が低い地域を中心に継続している。

 2025年カナダ国内の感染者数は11月10日まで5,162件。最も多いのはオンタリオ州で2,393件、次いでアルバータ州1,946件、BC州336件と続く。

 BC疾病管理センター(BCCDC)によると、BC州では11月6日時点で9件だったという。BC州の副主席医務官マーティン・ラヴォワ医師は、CBCニュース電子版に州内の感染例の大半が州北部で発生、感染者の96%が予防接種を完全に受けていなかったと指摘した。

 カナダでは2020年から23年までは感染者は0、24年に147件が確認されている。25年は1月から感染者が確認されていたが、春に急増した。

 専門家によると、急増した主な要因はワクチン接種率の低さで、ワクチンに対する不信感や宗教などさまざまな理由でワクチンを接種しない人が増えたことが考えられるという。

 PHACは現在、PAHOや連邦、州、準州の各政府と協力し、ワクチン接種率の向上やデータ共有の強化などに取り組んでいる。「はしか排除国」の地位回復には、国内で同じ株の麻疹ウイルスの感染連鎖を12カ月以上遮断することが必要だという。

(記事 高城玲)

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鳥インフル感染疑いで300羽以上のダチョウが殺処分に

 カナダ食品検査庁(CFIA)は11月7日、疾病対応方針の一環としてブリティッシュ・コロンビア(BC)州の農場でダチョウを殺処分したと発表した。

 殺処分が行われたのはBC州南東部エッジウッド地区にあるユニバーサル・オーストリッチ農場。昨年12月に鳥インフルエンザが検出されて約70羽が死亡したため、CFIAは同農場に残っている全てのダチョウの殺処分を命じていた。

 しかし処分を巡っては農場側が殺処分取り消しを求めて提訴。農場付近には殺処分に反対する抗議者が集まるなど地元コミュニティにも影響が広がっていた。

 農場側は、ダチョウは健康で集団免疫があり研究にも価値があるとして、殺処分は不要だと主張し検査を求めていた。しかしCFIAは、見た目が健康でもウイルスの潜在的な感染源となりうるとし、特に野生動物と接触した場合にウイルスが危険な形に変異するリスクが高まると主張。殺処分は国際獣疫事務局(WOAH)のガイドラインに規定されていると説明していた。

 約1年に渡る論争は、11月6日に最高裁判所が農場側の最終上訴を棄却したことで終結。CFIAは7日に全てのダチョウを殺処分した。専門家との協議の結果、最も適切で人道的な方法として獣医の監督の下で専門の射手が行ったという。農場には約300羽のダチョウがいたとされている。

(記事 高城玲)

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新モントリオール市長に南米出身のマルチネス・フェラダ氏

ケベック州モントリオール市庁舎。2025年4月4日、モントリオール市。撮影 日加トゥデイ
ケベック州モントリオール市庁舎。2025年4月4日、モントリオール市。撮影 日加トゥデイ

 ケベック州で11月2日に実施された地方選挙で最大都市モントリオールの市長にソラヤ・マルチネス・フェラダ氏が選ばれた。8歳の時にチリから亡命してきた経歴を持つ初のラテンアメリカ系市長の誕生となった。

 2期8年務めたバレリー・プランテ前市長は3期目に出馬しない意向を示していた。プランテ前市長の後を継いだプロジェクト・モントリオール党ルク・ラボウイン党首は次点だった。

 マルチネス・フェラダ氏は、デニス・コデレ元市長が率いた市政党から改名したアンサンブル・モントリオール党首に立候補するために、2025年2月に連邦議員を辞職。連邦議員時代はジャスティン・トルドー政権でツーリズム大臣も務めた。

 カナダ第2の都市は新しい市長を迎えるが、問題は山積。現在公共交通機関STMのメンテナンス職員のストライキが11月1日から実施されている。STMのMetro(地下鉄)とバスは現在運行数が制限され、労使交渉がまとまらなければ11月28日まで続くという。さらにバスの運転手とメトロの運行管理者の労働組合が11月15、16日の2日間にストライキを決行すると発表した。

 マルチネス・フェラダ氏は5日にはSTMと労働組合側の両方と面会し、10日以内に交渉をまとめるよう伝えたという。

 モントリオールでは他にも、住宅問題や道路事情など前市長で解決できなかった問題が残ったままとなっている。

 モントリオール市は広島市と姉妹都市で、毎年8月5日(日本時間8月6日)にはモントリオール市植物園内の日本庭園で記念式典が行われている。コレデ元市長は日本との関係強化に前向きだったため、マルチネス・フェラダ氏にも期待がかかる。

(記事 北野大地)

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BCスポーツ殿堂博物館で、殿堂担当者のベックさん(左)と記念メダルを持つ松宮さん(右)。長年の交流を経て、歴史的な節目の日に訪問が実現した。2025年9月18日、バンクーバー市。撮影 田上麻里亜/日加トゥデイ

「朝日軍」初代団長の孫・松宮哲さん、BCスポーツ殿堂博物館を訪問

戦前の日系人野球チーム「朝日軍」の初代団長、松宮外次郎さんの孫、松宮哲さんがBCスポーツ殿堂を訪問した。

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