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Naomi Mishima

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「動物のための聖域」ファームサンクチュアリーとは?

筆者もヤギに触れさせてもらった。動物たちは落ち着いていて、健康的な毛並みをしていた。2023年7月8日、BC州ラングレー市、The Happy Herd Farm Sanctuary。Photo by ©Koichi Saito
筆者もヤギに触れさせてもらった。動物たちは落ち着いていて、健康的な毛並みをしていた。2023年7月8日、BC州ラングレー市、The Happy Herd Farm Sanctuary。Photo by ©Koichi Saito

The Happy Herd Farm Sanctuaryを訪れた

ピッグヨガの様子。草を食べ寝ころぶブタを横目にヨガを行う不思議な空間だった。2023年7月8日、BC州ラングレー市、The Happy Herd Farm Sanctuary。Photo by ©Koichi Saito
ピッグヨガの様子。草を食べ寝ころぶブタを横目にヨガを行う不思議な空間だった。2023年7月8日、BC州ラングレー市、The Happy Herd Farm Sanctuary。Photo by ©Koichi Saito

 いま、動物たちの生きる権利、アニマルライツを考える動きが活発になってきている。日本でもペットショップや畜産業界での動物に対する扱いが問題視されるなど少しずつ動物との関わり方が変わりつつある。

 そんな中、動物保護活動の一つとしてファームサンクチュアリーという動物のための聖域が、アメリカをはじめ世界で数を増やしているらしい。一体どんな活動をしていて、その背景にはどのような思いがあるのだろうか。

 調べてみると、ここブリティッシュ・コロンビア(BC)州にもいくつかのファームサンクチュアリーが運営されていた。そこでその一つであるラングレー市の「The Happy Herd Farm Sanctuary(ハッピーハード・ファームサンクチュアリー)」を訪れ、運営者のダイアンさんに話を聞いた。

-このファームサンクチュアリーについて教えてください

 ハッピー・ハード・ファームサンクチュアリーでは、虐待されたり捨てられたり危険にさらされている牛や豚、鶏などの畜産動物を保護しています。BC SPCAや地元警察から、あるいは個人から引き受けています。私たちは慈善団体として登録されていて、基本的には寄付とボランティアによって運営されています。週に70人ほどのボランティアが交代制で動物たちの世話をし、食事と水を与え、良い生活環境を提供しています。

-いつから運営されているんですか?

 2012年からです。その前は馬を救出したり競馬場から馬を買ったりして、乗馬体験ができる乗馬センターを建てて経営していました。しかし事故にあって脚を負傷してしまい、私が引退できるように、その場所を売ってこの土地を買ったことから始まりました。

-どのような目的で運営されているのですか?

 動物を救い、人々に回復と活力を与える場所を提供することです。ここには障害のある人や病気の人たちも来て、リラックスしています。多くの人はストレスを感じているのに、やって来て、ボランティアとして私たちを助け、ストレスを軽減させて帰っていくのです。中にはお酒をやめようとしていたアルコール依存症の人もいて、二日酔いでは来られないのでお酒を飲まなくなりました。動物たちと触れ合う時間があれば、動物たちは人間のためにたくさんのことをしてくれるんです。

手作りの小屋で雨風をしのいで安全に暮らしているヤギたち。窓際を気に入っているヤギはいつも同じ場所で外を眺めているという。2023年7月8日、BC州ラングレー市、The Happy Herd Farm Sanctuary。Photo by ©Koichi Saito
手作りの小屋で雨風をしのいで安全に暮らしているヤギたち。窓際を気に入っているヤギはいつも同じ場所で外を眺めているという。2023年7月8日、BC州ラングレー市、The Happy Herd Farm Sanctuary。Photo by ©Koichi Saito

-なぜこの施設の運営を始めようと思ったのですか?

 動物たちがどれほどの残虐行為を受けてきたのかを知り始めたことで、それをより多くの人に伝えたいと思ったからです。また、訪れる人々はしばらくファームに滞在すると、動物に心をつかまれてビーガンになる人が多いんです。

-ダイアンさんご夫妻もビーガンとのことですが、なにかきっかけがあったのでしょうか?

 日本の太地という町で、映画「ザ・コーブ」でイルカを全て連れてきて殺すシーンがありました。それをスティーブ(共同運営者でダイアンさんのパートナー)が実際に日本を訪れて見に行ったのです。それから家に帰ってきて、彼はシー・シェパードという組織に参加しました。それが彼と私をビーガンにさせたきっかけです。

-日本の動物保護への関心はまだまだ少ないように感じています。カナダの動物保護の現状を多くの日本人に知ってもらいたく今回取材させていただきました。

 日本の動物保護は良くなってきていると思います。

 私たちはBC州で最初のファームサンクチュアリーでしたがどんどん増えてきていて、現在は5カ所で運営しています。しかしどの施設もとても小さいものです。より多くの動物を飼育するためにはもっと土地が必要ですが、私は年を取っていてもうそれほど多くの仕事ができません。年中無休で今朝はピッグヨガ(この日行われたイベント。記事「『ブタと一緒にヨガを楽しむ』The Happy Herd Farm Sanctuary」で紹介)の準備で掃除のために6時30分から外出していたので、昼過ぎのこの時間には2時間ほど休憩して食事を取ることができています。

毎日約12時間、動物たちの世話をしているという共同運営者のスティーブさん。保護されている牛たちを紹介してくれた。2023年7月8日、BC州ラングレー市、The Happy Herd Farm Sanctuary。Photo by 池田茜音
毎日約12時間、動物たちの世話をしているという共同運営者のスティーブさん。保護されている牛たちを紹介してくれた。2023年7月8日、BC州ラングレー市、The Happy Herd Farm Sanctuary。Photo by 池田茜音

-ファームサンクチュアリーの運営で何か問題点はありますか?

 私たちは常にお金が必要です。政府からの支援はなく全て寄付によって行われているので、全ての経費は寄付による資金から支払われています。

-どのように費用を捻出しているのですか?

 企業と協力してボランティアデーというものを行っているので、企業が助けに来てくれたり、寄付をしてくれることもあります。しかしほとんどの場合はインターネットで私たちを知って記事を読み、サイトの寄付ページから毎月5ドルから100ドルまでの範囲で寄付をしてくれる個人から成り立っています。それで毎月いくらあるのかが大体分かるので、とても助かっています。また、No Frillsやフレスコのような大型スーパーから店頭で売れなくなった食べ物の寄付も受けています。

「何かを学んだとき、人生は変わります。そして心が言うことに従うんです」

ダイアンさん(右)とスティーブさん。2023年7月8日、BC州ラングレー市、The Happy Herd Farm Sanctuary。Photo by ©Koichi Saito
ダイアンさん(右)とスティーブさん。2023年7月8日、BC州ラングレー市、The Happy Herd Farm Sanctuary。Photo by ©Koichi Saito

 馬を助ける乗馬センターを建てる前まではストックブローカーをしていて、その頃は現在の生活を想像もしていなかったというダイアンさん。夫のスティーブさんがビーガンになり、動物に関するさまざまな残虐の事実を知ったことをきっかけに自身も動物性の食品を口にしなくなった。それからずっと動物保護に関わり続けている。

 現在70代のダイアンさん夫妻は、動物たちが人の監視下から離れてよりストレスなく自由に生きられるような広い土地を購入するための大規模な募金活動を検討中だそう。資金不足や高齢であることなどの問題もありながら、動物たちを救うためにさらなる目標に挑んでいる。事実と向き合い、人生の新たな道を選択した夫妻からは動物への感謝の気持ちと無償の愛を感じた。

 ダイアンさんは「全ての動物に個性がある」のだと繰り返す。広々としたファームを回りながらそこで暮らすさまざまな動物たちの名前をあげ、性格やここに来た経緯を説明してくれた。人と同じように動物にもそれぞれに生まれ育った境遇、歴史があり、個性があるということを教えてくれた。

 ファームサンクチュアリーで保護された全ての動物たちは、食べられたり毛皮を使われたりするための畜産動物としてではなく、意思のある個の動物として生涯傷つけられることなく過ごす。BC州でもこのような施設が増えてきている一方で、約60頭の動物たちにかかる食費や維持費は寄付とボランティアのみで運営されている厳しい状況だった。

 バンクーバー初のサンクチュアリー「ハッピーハード・ファームサンクチュアリー」はウェブサイトやSNSから、自然の中でのびのびと暮らす動物たちの生活やボランティア活動の様子などを日々共有している。

The Happy Herd Farm Sanctuaryウェブサイト: https://www.happyherd.org/

「ブタと一緒にヨガを楽しむ」The Happy Herd Farm Sanctuary

筆者もヤギに触れさせてもらった。動物たちは落ち着いていて、健康的な毛並みをしていた。2023年7月8日、BC州ラングレー市、The Happy Herd Farm Sanctuary。Photo by ©Koichi Saito
筆者もヤギに触れさせてもらった。動物たちは落ち着いていて、健康的な毛並みをしていた。2023年7月8日、BC州ラングレー市、The Happy Herd Farm Sanctuary。Photo by ©Koichi Saito

(取材 池田茜/写真・ビデオ 斉藤光一)

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今年も開催!トロント国際映画祭TIFF  おすすめ映画を紹介

「君たちはどう生きるか」より。Courtesy of TIFF
「君たちはどう生きるか」より。Courtesy of TIFF

 こんにちは。バンクーバー在住の映画・ドラマライター、Lalaです。

 今年もやって来ましたこの季節!トロント国際映画祭TIFFが9月7日~17日まで開催されます。もうご存知の方も多いかも知れませんが、今年はなんとオープニング・ガラ作品にあの、ジブリ宮崎駿監督の最新作「君たちはどういきるか(英語題:The Boy and the Heron」)が上映されます。日本映画、そしてアニメ作品がオープニングというのは初、と聞きやはり観ておかなくては!と思った方も多いのでは。

 さて、今日のコラムは特別編として、トロント国際映画祭の個人的なおすすめ、というか私が観たい!とリストアップした作品を紹介します。開催中にトロントにいらっしゃる方は是非、世界最大の映画祭の一つ、TIFF を体験してみてください!

Anatomy of a fall(Justine Triet監督)

「Anatomy of Fall」より。Courtesy of TIFF
「Anatomy of Fall」より。Courtesy of TIFF

 今年のカンヌ国際映画祭のパルムドール受賞作品という事もあり、TIFFでもかなり観るのを楽しみにしている、という声が高いです。

 夫の殺害を疑われる女性サンドラの裁判の行方を、夫婦関係の真実、視覚障害者の息子の視点なども絡めて解き明かしてゆくサスペンス。大好きな法廷ものなのでじっくり集中して楽しもうと思います。

Concrete Utopia(Um Tae-hwa監督)

「Concrete Utopia」より。Courtesy of TIFF
「Concrete Utopia」より。Courtesy of TIFF

 大地震により廃墟となったソウルで倒壊せずに残ったアパートの住人と、続々とビルに集まる避難者たち。生き残った者たちが生存するためにせめぎ合う世界を描く作品。韓国ではすでに大ヒット公開中の注目作。主演のイ・ビョンホンさんとパク・ソジュンさんはトロントへの来場が発表されていて、「In Conversation with ..」というトークイベントにも参加するのでファンの方は楽しみですね!日本でも人気のお二人の登場はレッドカーペットが少なくなる今年のTIFFに大き華なを添えてくれるでしょう!

North Star(Kristin Scott Thomas監督)

 スカーレット・ヨハンソン、シエナ・ミラー、エミリー・ビーチャム演じる三姉妹と、三度目の結婚をする母とその相手をめぐるファミリードラマ。母親役を務めるのは監督のクリスティン・スコット・トーマス。こういう普通の人の人生の悲喜こもごもを描いた映画が実はいちばん好きかも。

Dicks : The Musical(Larry Charles 監督)

「Dicks:The Musical」より。Courtesy of TIFF
「Dicks:The Musical」より。Courtesy of TIFF

 生き別れになった双子が別れた両親を再び結び付けようと奮闘する「The Parent Trap」の大人の男性バージョン、しかもミュージカル・コメディ。トレーラーを観てすぐ、これめっちゃ楽しそう!と思ったら深夜にプレミアするクレイジーな映画を集めた「Midnight Madness」部門のオープニング作品でした。真夜中に友だちと一緒に映画館で大笑い!というのもTIFFの良い思い出になりそう。

Dumb Money(Craig Gillesple監督)

 2021年に世界を騒がせたGame Stopの株騒動をNetflixが映画化。あの時、実際に参戦したわけではなくても騒動はよく覚えているという人も読者のなかにはいるのでは。確かに映画化にはぴったりな話だろうけど、結局株価なんてこんなもんなんだ、と真面目にコツコツ投資をする一般民はちょっとアホらしくもなったもんですよね。

Perfect Days(ヴィム・ベンダース監督)

 あの、世界のヴィム・ベンダース監督が、日本の公衆トイレの清掃員を主人公に単純だけど美しい日々を詩的に描く作品。役所広司さんがカンヌ国際映画祭で最優秀男優賞を受賞し海外でも好評を得ています。

怪物(英語題:Monster)(是枝裕和監督)

「怪物」より。Courtesy of TIFF
「怪物」より。Courtesy of TIFF

 カンヌ国際映画祭では脚本家の坂元裕二さんが脚本賞を受賞した作品。シングルマザー、学校でのいじめ、教師や保護者といった身近な要素のなかで繰り広げられる人間関係を子どもたちを通して描きます。海外でももちろん人気の高い是枝監督。昨年に続いてTIFFに来ていただけると嬉しいのですが…?!

 まだまだ気になっている作品はあるのですが、とりあえず今回はここまで!

 最後に。TIFF のサイト上では多くの人気作品の前売りが既に売り切れています。でも不定期にチケットが新規リリースされて買えるようになるので時々サイトをチェックすることをおすすめします。また、当日券の列に並ぶという方法もあるので、そちらも要チェックです。TIFF – Toronto International Film Festival

Lalaのシネマワールド
映画に魅せられて

バンクーバー在住の映画・ドラマ好きライターLalaさんによる映画に関するコラム。
旬の映画や話題のドラマだけでなく、さまざまな作品を紹介します。第1回からはこちら

Lala(らら)
バンクーバー在住の映画・ドラマ好きライター
大好きな映画を観るためには広いカナダの西から東まで出かけます
良いストーリーには世界を豊にるす力があると信じてます
みなさん一緒に映画観ませんか!?

「行合の空*グラデーションに染まりて」

カナダde着物

第50話
*夏衣から初秋の着物へ*

 残暑お見舞い申し上げます。
 夏から秋に移る頃、暑気と冷気が行き交うことから、行合の空(ゆきあいのそら)と呼ばれているそうです。
 ゆく季節と訪れる季節が重なり合う時期でしょうか。
 ただ、この数年、8月になると山火事の煙がカナダの空を覆ってしまいます。
 空の表情は私達の心身にも影響があるものです。
 お体を大切にお過ごしください。そして、被害が広がりませんように。

「Sunset Today in Burnaby」by Manto Artworks
「Sunset Today in Burnaby」by Manto Artworks
「Sunrise Today in Vancouver」by Manto Artworks
「Sunrise Today in Vancouver」by Manto Artworks

*今日の着物*Today’s Kimono

「初秋を感じる駒絽の着物」

 夏の着物を愉しめる期間は短く、「今年も着れなかった~」「来年は手を通してあげたい」と毎年、嘆いております(笑)

 7月から8月は、暑い日もあり着物を避けたくなる時もあります。

 ただ、夏にしかお披露目できない着物や浴衣がありますから、「えいや!」っと気合を入れて、着物で出掛けるようにしております。

 以前にも書きましたが、8月の立秋やお盆を過ぎた頃から、暦の上では秋に入ります。着物や浴衣の柄に秋のモチーフが多いのもそのせいでしょうか。

立秋やお盆が過ぎたら秋を意識してコーディネート 。写真:コナともこ
立秋やお盆が過ぎたら秋を意識してコーディネート 。写真:コナともこ

 昨年の8月末に、シアトルで記念茶会がありまして、初秋の着物(*1)で蘇州刺繍が施された駒絽着物(*2)を選んでみました。

(その時の様子は、私のインスタグラムとFACEBOOKでご覧ください)

 お茶会の会場は、湖が美しいKirklandにあるWoodmark Hotel & Still Spaやアジアの美術が展示されているSeattle Asian Art Museumでした。

 お隣の国ですが、バンクーバーと気候が似ていて、訪れるたびに親近感が湧きます。

 茶道裏千家淡交会シアトル協会(*3)の皆さまの温かいおもてなしと、素晴らしいアメリカの自然を満喫して家路につきました。

湖が美しいKirkland, Washington, USA. 初秋の着物:蘇州刺繍が施された駒絽。写真:コナともこ
湖が美しいKirkland, Washington, USA. 初秋の着物:蘇州刺繍が施された駒絽。写真:コナともこ             

*今日の和の学校*Today’s Gathering

「お寺でお盆参り2023夏」

 今年もコキットラム市にあります、東漸寺にて、お盆参りが行われました。

 過去最高の60名以上の方々がお参りにいらして、法要の後、殺陣教室講師によるパフォーマンスや日本舞踊の皆さまによる盆踊りがあり、浴衣姿の人々で会場はとても賑やかでした。

 この3年ほど、コロナ禍中にお亡くなりになられた方々のお別れでは、人数制限などがあり、大勢の人々がお葬式に参列することが難しいこともありました。

 そのような場合は、1周忌や3周忌などで、あらためて、故人を偲ぶこともできるのではないでしょうか。

 子供たちの声が響く境内、浴衣姿の人々が踊る姿。

 平安と希望を感じる暮夜でした。

お盆参り2023@東漸寺 盆踊り。写真:コナともこ
お盆参り2023@東漸寺 盆踊り。写真:コナともこ

(*1)初秋の着物
 日本より秋の始まりが早いカナダでは、8月から秋の装いが始まっても自然な感じがする。素材、柄、色合いがコーディネートのポイントになる。落ち着いた色やシンプルなデザイン、流行のくすみ色は若者からシニアまで、年齢を問わず愉しめるため、親子で着物をシェアできたりもする。

(*2)蘇州刺繍と駒絽
 大変細かい作業で制作される蘇州刺繍(そしゅうししゅう):蘇州刺繍の精巧な技術は、今でも世界最高峰として評価されている。きもの一反に50以上の色糸を使い、糸の細さは髪の毛の3分の1程度で、一本一本を手で刺繍している。 
 格式が高い駒絽(こまろ):強い撚りのかかった駒糸をつかった絽で、平絽などと比べてシャキッとしていてさらりと涼しいのが大きな魅力である。駒絽の着物は、夏の着物の代表格といってよい。

(*3)茶道裏千家淡交会シアトル協会
 淡交会シアトル協会は、茶道裏千家の会員組織である淡交会のシアトル支部である。非営利組織(NPO)として登録されている本協会では 、シアトルエリアの裏千家茶道に従事、もしくは興味を持たれている方に対するサービスを提供している。

参照
日本の行事・暦:http://koyomigyouji.com/index.html
きもの大辞典:https://www.someoriren.jp/dictionary/index.html

「着物語り」
コナともこさんが着物の魅力をバンクーバーから発信する連載コラム。毎月四季折々の着物やカナダで楽しむ着こなしなどを紹介します。
2020年8月から連載開始。第1回からのコラムはこちらから

コナともこ
アラフィフの自称着物愛好家。日本文化の伝道師に憧れ日々お稽古に励んでおります。
13年前からコキットラム市の東漸寺で「和の学校」を主宰。日本文化を親子で学び継承する活動をしております。

年間を通じて季節の行事に加え、お寺での初参り、七五三祝い、十歳祝い、元服祝い、二十歳祝い、結婚式、生前葬、お葬式などの設えと装いのお手伝いもさせていただいております。

*詳しくはコナともこ までお問い合わせ下さい。tands410@gmail.com
東漸寺は非営利団体で、和の学校の収益は東漸寺の活動やお寺の維持の為に使われています。

カナダ人の夫+社会人と大学生の3人娘+老犬1匹(昨年末、虹の向こうへ)がおり、バンクーバー近郊在住。

和の学校ホームページ https://wanogakkou.jimdofree.com/
インスタグラム https://www.instagram.com/wa_no_gakkou_tozenji/
フェイスブック https://www.facebook.com/profile.php?id=100069272582016

東漸寺Tozenji Temple https://tozenjibc.ca/

コナともこ
Facebook https://www.facebook.com/tomoko.kona.98
Instagram https://www.instagram.com/konatomoko/?hl

 

最近のBC州の避妊薬事情

 最近インターネットで日本のニュースを見ていると、女性の健康や性に対して、オープンになってきたという雰囲気が感じとれます。これは、新型コロナウイルスの流行が女性の仕事や生活に影響を与え、生理用品の支援を必要とする人が増えているというニュースが世界的に流れたことにもよるでしょう。

 この「生理用品を購入できない」という問題は、「生理の貧困(Period Poverty)」と呼ばれ、社会課題として解決していこうという動きが世界中で見られます。生理用品を無償配布する自治体や学校も増えているようです。

 女性の生理は生殖に直結していますが、北米では、女性が主体的に行える避妊法として、経口避妊薬は1960年代から使用されてきました。これは生理用品同様、女性に対してコストのかかる避妊法でしたが、今年の4月からブリティッシュコロンビア(BC)州では、ほとんどの避妊薬が自己負担金なし(全額公費負担)で購入できるようになりました。

 自己負担なしで購入可能な避妊薬は、経口避妊薬(ピル)、銅付加子宮内避妊具(copper IUD)、ホルモン付加子宮内避妊具(hormonal IUD)、注射剤、皮下インプラント、子宮内リング、そして緊急避妊薬(別名:モーニングアフターピル)です。避妊パッチ(Evra®)、避妊リング(Nuvaring®)はプログラム対象外のため自己負担になります。公費負担の避妊薬の詳細なリストは、こちらになります。

Goverment of BC: Free contraceptives https://www2.gov.bc.ca/gov/content/health/health-drug-coverage/pharmacare-for-bc-residents/what-we-cover/prescription-contraceptives

 一般的な傾向として、カナダでは経口避妊薬の使用率は高く、経口避妊薬は避妊効果の他にも月経痛や月経不順の緩和、皮膚の健康などの利点があるため、幅広い年齢層の女性が服用しています。ただ、このリンクのリストを見ていただくと分かるように非常に種類が多いのですが、これには理由があります。

 経口避妊薬には、プロゲスティンとエストロゲンというホルモンを組み合わせた混合型のものと、プロゲスティン単独のものがあります。プロゲスティンの種類によっては、アンドロゲン(男性ホルモン)作用が強く、食欲増進、体重増加、多毛、ニキビといった副作用を起こすことがありますが、ホルモンバランスは女性によって異なりますので、これを考慮してエストロゲン優位、プロゲスティン優位、アンドロゲン優位なタイプのピルを選ぶという流れになります。

 ピルには、開発された順に第1~第4世代の製品がありますが、これはアンドロゲン作用による体重増加やニキビといった副作用軽減のために改良が続けられてきたためです。黄体ホルモンの違いが、そのままアンドロゲン作用の強さの違いであり、第4世代のピル(先発品商品名YasminやYaz)にアンドロゲン作用はほとんどありません。

 また、ピルの選択は、年齢、体重、喫煙習慣、高血圧・血栓症・乳がん・冠動脈疾患・肝腫瘍の既往歴、そして併用薬の有無等により変わってきます。

 最近では、飲み忘れの心配がなく、経口避妊薬に比べて避妊効果の高い子宮内装具(Intrauterine device ; IUD )や皮下インプラント(皮下に埋め込むタイプの避妊具、商品名Nexplanon)を選ぶ人が増えています。一度装着されれば長期に渡り効果が継続し、銅付加IUDでは最長10年、ホルモン子宮内避妊具で5年、最も避妊効果の高い皮下インプラントは埋込後3年間の効果があります。

 こちらのリンクは、それぞれの避妊薬の効果を比較した表になりますので参考にしてください。

The Society of Obstetricians and Gynaecologists of Canada (SOGC):  HOW EFFECTIVE IS MY BIRTH CONTROL?
https://www.sexandu.ca/wp-content/uploads/2018/09/Failure-Rate-2018.pdf

 さらに、前回の記事でも紹介したように(「薬剤師の新しい仕事」)、今年の6月1日からは薬剤師が避妊薬を新規処方できるようになりました。緊急避妊薬は以前から市販薬として購入できるものでしたが、現在では薬剤師が処方箋として調剤することで、自己負担なしで購入できるようになりました。緊急避妊薬が欲しい旨を薬剤師にお伝えください。

 一点だけ注意になりますが、女性用の避妊薬では性感染症を防ぐことができません。バリア法(男性用および女性用コンドームのこと)は公費負担の対象外ですが、性感染症の予防には大きな効果がありますので、性感染症リスクのあるシチュエーションにおいてはこちらを適切にご使用ください。

 BC州では、女性主導の避妊において費用はネックではなくなりました。薬剤師とコミュニケーションをとりながら、健康とライフスタイルに合った避妊方法を選んで頂けると幸いです。

(1)避妊薬の無償支給の対象は、BC州の健康保険システムであるメディカルサービスプラン(MSP)に登録しているBC州民です。
(2)IUDは、患者さんが薬局でピックアップした後、ナースプラクティショナーやドクターが挿入処置を行います。

私の薬局で患者さんのピックアップを待つIUDの箱。
私の薬局で患者さんのピックアップを待つIUDの箱。

関連資料:

*薬や薬局に関する質問・疑問等があれば、いつでも編集部にご連絡ください。編集部連絡先: contact@japancanadatoday.ca

佐藤厚(さとう・あつし)
新潟県出身。薬剤師(日本・カナダ)。 2008年よりLondon Drugsで薬局薬剤師。国際渡航医学会の医療職認定を取得し、トラベルクリニック担当。 糖尿病指導士。禁煙指導士。現在、UBCのFlex PharmDプログラムの学生として、学位取得に励む日々を送っている。 趣味はテニスとスキー(腰痛と要相談)

全ての「また お薬の時間ですよ」はこちらからご覧いただけます。前身の「お薬の時間ですよ」はこちらから。

大谷翔平選手を応援!シアトルで今季最後のエンゼルス3連戦を観戦しよう!

ロサンゼルス・エンジェルス大谷翔平選手が、シアトル・マリナーズと9月に今季最後の3連戦に挑みます。

今季残り試合、投手としての出番はないものの、打者として記録がかかる9月。エンゼルス歴代最多シーズン・ホームランまであと1本、日本人選手として松井秀喜選手のMLB通算最多ホームラン175まであと4本に迫っています。

シアトル戦で記録達成の可能性あり!歴史的瞬間の目撃者となれるかも!

大谷翔平選手応援観戦ツアーは9月11日、12日、13日の3日間。

弊社は、イチロー選手がマリナーズに在籍した2000年から観戦チケット・アジア代理店としてツアーを手掛けているバンクーバーのKent Tours International。

バンクーバーから貸し切りバスでシアトルまでラクラク移動。シアトル観光付き*。安心の日本人添乗員同行と至れり尽くせり。

バンクーバーから近いシアトルで大谷選手の活躍を観戦できるのは、今季はこれが最後の3日間!野球ファン、大谷ファンのみなさん、この機会をお見逃しなく!

お申し込みは、Kent Tours Internationalまで!

Kent Tours 大谷翔平選手応援観戦ツアー

実施日:

9月11日(月)バンクーバー出発時間:午前10時(試合開始:午後7時)
9月12日(火)バンクーバー出発時間:午前10時(試合開始:午後7時)
9月13日(水)バンクーバー出発時間:午前8時(試合開始:午後1時)この日だけ時間が異なります

出発場所:

Hyatt Regency Vancouver(ダウンタウン:655 Burrard Street, Vancouver, BC)

参加費: 

  • 内野席(1階席)席番号135‐141、参加費1人300 USドル
  • 外野席(1階席)席番号142‐150、参加費1人250 USドル
  • 外野席(1階席:ライト側)席番号105‐109、参加費1人200 USドル
  • 三階席 席番号306‐347、参加費1人175 USドル

参加費に含まれるもの:

観戦チケット
貸し切りバス(貸し切り大型バス52人乗り)
*シアトル観光(試合開始時間による) 
日本人添乗員、ドライバーへの各チップ

参加費に含まれないもの:

アメリカとの国境通過時にかかる費用
個人経費

キャンセルについて:

申込後のキャンセルはお受けできません。ただし、他者への譲渡は可能です

支払い方法:

現金、Personal cheque、またはBank Money Order($US)を下記住所に送付してください

送付先:

KENT TOURS INTERNATIONAL INC
#414-650 Seylynn Crescent, North Vancouver, BC, V7J 0B2

お申し込み先:

KENT TOURS INTERNATIONAL INC
Eメール: kentotours@yahoo.com
TEL: 604-681-7825

詳しくはKent Toursまでお問い合わせください。

人気ツアーのため定員となり次第、締め切りとさせていただきます。ご了承ください。

バンクーバー国際映画祭2023、是枝監督「怪物」上映決定!

 今年もバンクーバー国際映画祭の季節がやってきた。9月28日から10月8日まで、Vancouver International Film Festival(VIFF)Centreを会場に開催される。

 早速2023年ラインナップを一部発表。昨年の「ベイビー・ブローカー」に続いて、今年も是枝作品が名を連ね、話題作「怪物(英題:Monster)」が上映される。

 VIFFでは毎年邦画が充実。2021年にはヒット作「ドライブ・マイ・カー」、22年には「プラン75」などが上映された。昨年はゲストに「母性」の廣木隆一監督と原作者の湊かなえさんが来場し、新型コロナウイルス感染拡大による影響もなく久しぶりに盛り上がりを見せた。今年も期待される。

 現時点で上映が発表されているのは是枝裕和監督の「怪物」を含め8作品。その他、ライブイベント2つも発表されている。

 待ち遠しい全上映作公開は9月6日。チケットは、Ticket Packはすでにウェブサイトから購入可能。シングルチケットは、VIFF+メンバーは9月6日12:00pmより、一般は9月7日12:00pmより、ウェブサイトから購入が可能となる。Box Officeで購入希望の場合は、9月21日から。

 詳しくはVIFFウェブサイトを参照。https://viff.org/festival/viff-2023/

映画「怪物(英題:Monster)」より。Photo credit: Tamotsu Fujii, Provided by VIFF
映画「怪物(英題:Monster)」より。Photo credit: Tamotsu Fujii, Provided by VIFF

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車いすバスケットボール女子U25日本代表、充実のバンクーバー合宿で自信に

車いすバスケットボール女子U25日本代表とカナダ代表の練習試合の様子。2023年8月19日、リッチモンド市オリンピックオーバル。Photo by Koichi Saito
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車いすバスケットボール女子U25日本代表とカナダ代表の練習試合の様子。2023年8月19日、リッチモンド市オリンピックオーバル。Photo by Koichi Saito
車いすバスケットボール女子U25日本代表とカナダ代表の練習試合の様子。2023年8月19日、リッチモンド市オリンピックオーバル。Photo by Koichi Saito

 車いすバスケットボールU25日本代表が8月18日、カナダ代表との友好試合に臨んだ。8月14日からバンクーバー入り。10月にタイで行われる世界選手権のための強化合宿も兼ねた今回の遠征は、色々と実りの多いものだったようだ。

 強化合宿はカナダ代表との合同合宿。初めは言葉の壁などに戸惑っていた選手たちだが、徐々に打ち解けて積極的に言葉を交わすようになったという。

 今回の遠征の合言葉は “Let’s Try!~communication & intensity~”。19日午後に行われた練習試合では、日本とカナダの選手が交じって2つのチームを作り、戦った。胸にカタカナで名前を貼っていたカナダ選手も。

 今回の代表チーム、最年少は日本が15歳、カナダが14歳。若い選手たちの交流はSNSの情報交換などでも有意義なものとなったようだ。

 リッチモンド市オリンピックオーバルで19日に行われた練習試合の後、日本代表キャプテン畠山萌選手に話を聞いた。

バンクーバーで自信をつけて世界選手権に臨む

練習を終えインタビューに応じる日本代表キャプテン畠山萌選手。2023年8月19日、リッチモンド市オリンピックオーバル。Photo by Koichi Saito
練習を終えインタビューに応じる日本代表キャプテン畠山萌選手。2023年8月19日、リッチモンド市オリンピックオーバル。Photo by Koichi Saito

 合宿前は不安でいっぱいだったという。「海外の選手には大きい人たちが多いので、力負け、パワー負けするかなとかすごい不安だったんですけど」と振り返る。「それなりに対策はしてきていたので、思っていた以上にやられずに対応できて。すごい点数の差とかをつけられるかなと思ってたんですけど、いいゲームができて一人一人、チームのみんなも自信がついて、世界選手権に向けてもっとがんばろうっていう風になっています」

 前日に行われた友好試合は惜しくも及ばず。バンクーバーでの国際試合で見えた課題はディフェンス。「リバウンドが少し小さいチームなので、取られちゃったりすることが多かったので。小さいなりにボックスアウトをしっかりして、リバウンドからの速攻だったりとかを行かれないように対策し、マンツーマンプレス、ディフェンスのプレスをもっと強化して、世界選手権に臨みたいかなと思っています」

 借りはタイで返したいと笑う。世界選手権では日本とカナダは同じグループ。「惜しくも昨日の試合は負けてしまったんですけど、その辺も含めて全て課題かなと思うので、世界選手権に向けて調整してもっともっと強くなってもっとトライしていいチームになっていきたいと思っています」

カナダ選手たちとの英語でのコミュニケーションでもLet’s try精神で

練習試合での畠山選手のシュート。2023年8月19日、リッチモンド市オリンピックオーバル。Photo by Koichi Saito
練習試合での畠山選手のシュート。2023年8月19日、リッチモンド市オリンピックオーバル。Photo by Koichi Saito

 「今回の日本のスローガンがLet’s try! communication & intensityということで、今回初めての合宿なので、カナダのチームとたくさん交流して、海外を知って慣れるとか、プレーでも大きい体の人(との試合の感じ)とかを知る、海外を知る、のがいいかなと思ってそういうテーマにしたんです。みんな交流できて話しかけたりだとか、そういうこともできたし、自分のいま持ってるプレー、できる範囲でのプレーを全力でみんな出し切ってトライできて。コーチから言われたこともしつつ自分の中でこう考えて判断してみんな試合できたので」

 コートの外でもLet’s Tryを実践した。「お昼ご飯を食べる時など、もうすごい交流して。カナダのチームもすごいフレンドリーな人たちが多いのでお話ししたりとか、SNS 交換したりだとか写真を撮ったりなどを1人1人みんな交流していました」。カナダ代表選手たちとのコミュニケーションもしっかりとできて、コート内外で実りが多かったとうれしそうに話す。

 バンクーバーで若い日加の選手たちが交流し、次の対戦へ一回りも、二回りも大きくなるきっかけとなりそうだ。

 畠山選手はバンクーバーは初めてと言う。「すごい!みんな優しくて。プレーヤーもそうですし、行きの道中で歩いてる時とか、ホテルでも、すごい話しかけてくれたりとか。みんな優しくて。すごくなんかいいところだな、っと。ちょっとプライベートでも行きたいなと」と笑った。

車いすバスケットボール女子U25日本代表とカナダ代表の練習試合の様子。2023年8月19日、リッチモンド市オリンピックオーバル。Photo by Koichi Saito
車いすバスケットボール女子U25日本代表とカナダ代表の練習試合の様子。2023年8月19日、リッチモンド市オリンピックオーバル。Photo by Koichi Saito
日加選手が交じっての試合形式練習。2023年8月19日、リッチモンド市オリンピックオーバル。Photo by Koichi Saito
日加選手が交じっての試合形式練習。2023年8月19日、リッチモンド市オリンピックオーバル。Photo by Koichi Saito
シュートの練習。2023年8月19日、リッチモンド市オリンピックオーバル。Photo by Koichi Saito
シュートの練習。2023年8月19日、リッチモンド市オリンピックオーバル。Photo by Koichi Saito
ベンチでの円陣で「オウ!」と腕を上げる日本代表。2023年8月19日、リッチモンド市オリンピックオーバル。Photo by Koichi Saito
ベンチでの円陣で「オウ!」と腕を上げる日本代表。2023年8月19日、リッチモンド市オリンピックオーバル。Photo by Koichi Saito

(取材 三島直美/写真 斉藤光一)

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「ブタと一緒にヨガを楽しむ」The Happy Herd Farm Sanctuary

 海と山に囲まれ、自然のアクティビティに困らないバンクーバーだが、動物とのふれあいはどうだろうか? ブリティッシュ・コロンビア(BC)州ラングレー市にあるハッピーハード・ファームサンクチュアリーでは、ブタと触れ合いながら一緒にヨガを体験できるイベント「ピッグヨガ」が定期的に開催されている。

 ピッグヨガはこの畜産動物のための保護施設、ハッピーハード・ファームサンクチュアリーの運営者であるダイアンさんの企画で、施設の運営費用を捻出するために始まった。新型コロナウイルス感染拡大の影響で一時中止していたが、7月8日に3年ぶりに開催された。ヨガの後にはファーム内を一周するツアーが行われ、参加者らはここで暮らすさまざまな動物たちと触れ合った。

 前編では「ピッグヨガ」を、後編では「ハッピーハード・ファームサンクチュアリー」の取り組みについてを紹介する。

「人と動物、お互いが支えあう関係」

 ファームサンクチュアリーでは、主に虐待されたり捨てられたり危険にさらされていた牛や豚、鶏などの畜産動物が保護され飼育されている。世界最初のファームサンクチュアリーは1986年にアメリカで設立され、以降アメリカを中心に世界中で増えている。多くの施設では畜産業界の実情や動物の権利を訴える運動も行われている。

 今回訪れたハッピーハード・ファームサンクチュアリーはバンクーバーで初めて設立され、寄付とボランティアで運営されている。

ピッグヨガの様子。草を食べ寝ころぶブタを横目にヨガを行う不思議な空間だった。2023年7月8日、BC州ラングレー市、The Happy Herd Farm Sanctuary。Photo by ©Koichi Saito
ピッグヨガの様子。草を食べ寝ころぶブタを横目にヨガを行う不思議な空間だった。2023年7月8日、BC州ラングレー市、The Happy Herd Farm Sanctuary。Photo by ©Koichi Saito

 ピッグヨガはヨガインストラクターのシェルビーさんを招いて行われ、久しぶりの開催にもかかわらず約20人がイベントを聞きつけ参加した。参加者らはファームの芝生の上に持参のヨガマットを敷き、シェルビーさんの指導に従いヨガを進める。

 そばで歩き回ったり草を食べたりするブタたちに始めは戸惑っているようだったが、徐々に距離も近づき、最後はブタと触れ合いながらリラックスしてヨガを。一方ピッグヨガに協力した4匹のブタたちは、ヨガに訪れた参加者らに緊張した様子もなく、人との交流を自由に楽しんでいるように見えた。

ファームツアーの様子。2023年7月8日、BC州ラングレー市、The Happy Herd Farm Sanctuary。Photo by ©Koichi Saito
ファームツアーの様子。2023年7月8日、BC州ラングレー市、The Happy Herd Farm Sanctuary。Photo by ©Koichi Saito

 その後のファームツアーでは「コケコッコー!」という鶏たちの元気な鳴き声のなか、運営者ダイアンさんによってそれぞれの動物たちが施設に来た経緯や性格などが紹介された。ここで飼育されている動物たちは、道路で警察に救助されてやってきたり、一般の家から虐待などの通報で保護されてきたりとさまざま。「同じ動物でもシャイな子がいたり一匹一匹性格が違うんです」と母のまなざしで話すダイアンさん。参加者らはリラックスした様子で説明を聞き、紹介された牛や鶏、ヤギや豚など動物たちとの触れ合いを楽しんだ。

 ダイアンさんは、動物たちには人を癒す力があると話す。ピッグヨガの収益は動物たちの生活費に充てられ、参加者は動物たちと触れ合うことで癒しを得ることができ、お互いに支え合う関係が築かれていた。

 また、ピッグヨガ参加者のPattyさんは今回2度目の参加。ファームへの寄付も行っているという。「普段はあまりヨガをしないけれどとても楽しかったです。ここで動物たちのためにどんな活動をしているのか見ることもできてよい機会になりました」と、ヨガを楽しみ、よりいっそう保護活動への意欲が湧いたと笑顔で話した。

後編ではファームの活動内容を「『動物のための聖域』ファームサンクチュアリーとは?」で紹介する。

ハッピーハード・ファームサンクチュアリーWEBサイト: https://www.happyherd.org/

途中から鶏や猫も参加しにぎやかなヨガとなった。2023年7月8日、BC州ラングレー市、The Happy Herd Farm Sanctuary。Photo by ©Koichi Saito
途中から鶏や猫も参加しにぎやかなヨガとなった。2023年7月8日、BC州ラングレー市、The Happy Herd Farm Sanctuary。Photo by ©Koichi Saito

(取材 池田茜/写真・ビデオ 斉藤光一)

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日系文化センター・博物館より9月のお知らせ

イベント

第11回 日系祭り

9月2日と3日(土・日) 11am-7pm
日本の情緒あふれるお祭りをお楽しみください。

前夜祭ビアガーデン
9月1日(金) 5pm-10pm 
提灯や屋台の周りで夏の雰囲気を味わいつつ、冷たいビールや日本酒などで乾杯、DJの音楽と壁画のライブペイントをお楽しみください。
入場料(各日 / 前夜祭 ・ 日系祭り):大人(18歳-64歳)前売  $8+税 / 当日  $10(税込)
NNMCC会員|0歳から17歳まで|65歳以上の方は無料。

日系ガーデン・ファーマーズ・マーケット

10月まで、毎月第2・第4日曜日
9月10日と24日、午前10時〜午後2時
産地直送の農産物やローカルで手作りされた美味しい食べ物、そして地元の作家による心のこもったハンドメイド品が並びます。ガーデンでのんびりと、マーケットをお楽しみください。9月10日はダブルダッチ縄跳びのパフォーマンスもあります。

日系文化センター・博物館 年次総会

9月16日 11時より
NNMCC会員の皆様へ、ぜひご参加いただき、共に日系文化センター・博物館の将来の方向性を話し合い、定めていければと思います。

お知らせ

日系センター・シニアラウンジは、水曜日の午後12時から3時まで、シニアの方々を対象とした無料プログラムです。シニアの方々が気軽に集まり、くつろぎ、かつ健康増進を促す活動を楽しめる場所を提供します。セミナーが毎月第二水曜13時より行われています。ボランティアがエクササイズの指導やパソコン、スマホ、その他デジタル製品の疑問・質問に答え、年齢に合わせた環境への適応方法や自分らしい人生を過ごすためのサポートもいたします。

プログラム

日系センターでは、日本語でのプログラムも開催しております。柔道や合気道、習字クラブ、歌声喫茶、日本舞踊、囲碁クラブ、そろばん、和太鼓、フラダンス、ラインダンス、バドミントン、ピクルボール、シニアカラオケなど、ぜひご参加いただければ幸いです。

日系ブックストア

毎週 火・木・金・土、午前11時~午後3時、2階
日系ブックストアでは読み終わった古本・文庫本・漫画・絵本の寄付を受け付けております。営業時間内に2階のブックストアまでお持ちください。

展示

常設展:「体験:世代を超えて受け継がれる、困難を乗り越え立ち上がる力」
日系人の歴史を日本語で紹介しています。2階入場無料

特別展示
詩が生まれる場所
宮崎雅子と李淑美
3 月 18 日〜9 月 16 日
入場料 $5。NNMCC 会員・学生は無料。

ミュージアムショップ

日系の歴史の書籍、日本からの輸入品、地元作家によるハンドメイド品を取り揃えております。お気軽にお立ち寄りください。

会員募集

会員になるとミュージアムへの入場が無料になるほか、ミュージアムショップでの割引、特定のイベントやプログラムなどで割引特典があります。会費収入は施設の維持費と展示、イベント、プログラムを充実させるために使用されます。

バンクーバー日系人合同教会から9月のお知らせ

  • 教会日曜日日本語礼拝の案内

毎週日曜日午前11時より教会礼拝堂で行い、礼拝の後、軽食をいただきながら親睦の時を持っています。クリスチャンでない方も留学、ワーキングホリデーで来られた方も大歓迎です。

 Zoom (ID 5662538165、パスコード1225)でオンライン参加もできます。

  • シニア・初心者ラインダンス 毎週土曜午前11時から12時 会費$1、踊った後、マックをいただきながら交流の時を持ちます。
  • Zoomで聖書を読む会(火曜、水曜)があります。
  • ダウンタウンイーストサイドでサンドイッチ手渡し:木曜日午前9時からの準備、10時半から11時の配布のボランティアをしてみませんか?
  • 結婚、葬儀、その他の人生相談をお伺いします。
  • 8月26日(土)午前11時から午後2時 教会ミニバザーを行います。Thrift Saleは行わず、日本食を提供します。

お問合せ:604-618-6491(テキスト可)、vjuc4010@gmail.com  牧師 イムまで

住所:4010 Victoria Dr, (Between 23rd and 25th Ave East), Vancouver

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サレーNorthwood 合同教会 日本語会衆 礼拝

9月17日(日)午後2時より。

住所:8855 156 St, Surrey, BC, V3R 4K9

お問い合わせ:604-618-6491(テキスト可)イム、kuniokazaki98@gmail.com 岡崎まで 

9月の自力整体法教室&ワークショップのご案内

★バンクーバーMain教室 

午前10:30~11:30 

9月4日(月) Labour day

★日系センター教室 

午前10:30~11:30

9月8日(金)
9月22日(金)

「日曜日2時間ワークショップ」 

3年ぶりの再開❢
9月17日(日)  正午~PM2:00

詳細はお気軽に、、

☎ 604‐448-8854

Eメール jirikiseitai.canada@gmail.com
Webサイト https://jirikiseitai-canada.jimdofree.com/ 

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