第2回 終活への様々な誤解 ~Let’s 海外終活~

終活は新しい大人のマナー

叶多範子

さて前回にも書いたように、終活と聞くと死を連想させ、縁起が悪いと感じる人がいたり、その他にも多くの方が誤解していると思う場面にでくわすことがあるため、今回は終活にまつわるよくある誤解についてお話ししたいと思います。

いきなりですが、ここで質問です。

みなさんは生命保険へ加入することは、縁起が悪いことだと思われますか?

みなさんの答えを訊く前に、まず生命保険はどのような理由で加入するのか?について確認してみたいと思います。多少の違いはあれどほとんどの方は、自分にもしものことがあったときに、遺された家族が困らないように加入されています。

終活も全く同じ理由です。

終活をする理由の1つは、遺された家族や周りの人が困らないようにしておくことです。

なので、先ほどの質問の答えが「いいえ」だったのなら、終活は縁起が悪い!というのは、誤った認識であるということがおわかりいただけたのではないでしょうか?

もしもみなさんの周りで「終活なんて縁起が悪い!」と思い込んでいる人がいたら、ぜひ生命保険に入るのと同じことなんだよー、と説明してあげてみてください。(生命保険という言葉ですら縁起が悪いと思う人がいたら、そのときはお手上げかもしれませんが)

またその他によくある誤解で多いのは、

「まだ自分は若いから、終活はしなくていいでしょ?(=終活は歳をとってから、するもの)」

「お金持ちじゃないから、終活はしなくてもいい(=揉めるような金額は持ってないから不要)」です。

80代でも終活はまだ早いと感じる人もいれば、30代でもうやっておこうとする人もいます。当たり前のことですが、死なない人はいないのです。人には必ず寿命があって、それがいつ訪れるのかはほとんどの人が分からないので、老後に限らず安心して暮らすための準備は、どの世代であっても必要だといえます。

またお金持ちでなくても、終活は必要です。

その理由は色々あるのですが、敢えて2つ挙げるなら、持っているお金の多さや少なさに限らず、現代人の私たちは何かと「所有物が多い」からです。ミニマリストのように常日頃から必要最低限の物で暮らし、デジタル資産を含む、ほぼ全ての自分の所有物の存在と内容が自分以外の人に明確、または明確になるように準備されているのであれば、立派にその部分については終活ができていると言えるのですが、ほとんどの人がそうではないからです。

もう1つは、例えばうちは子供が2人だから、何も言っておかなくても、しておかなくても、子供たちが半分ずつに分けるから争うことはない!と思っていると、実は揉めることもあるんです。例えば他の兄弟や姉妹は、マンションの頭金や大学の資金を出してもらったが自分は出してもらってない、自分の方が親の面倒をみた!などの理由で、時には金額だけではなく、他の兄弟と比べてかわいがってもらった、もらっていないなど感情的な問題で揉めることもあるのです。

それでもそんな遺産争いが生じるのは、多額の遺産があるお金持ちの場合だけであって、うちには関係ないと思っている人のために、さらに付け加えるなら、裁判所のホームページにある司法統計年報家事事件編(令和元年度)によると、家庭裁判所で取り扱われた遺産分割事件のうち、遺産総額が5,000万円以下が全体の4分の3以上、つまり75%以上となっていま す。内訳は1,000万円以下が2,448件、5,000万円以下が3,097件で、延べ5,545もの件数に及んでいます。つまり当事者だけで解決できないケースが意外と少なくないのです。

遺産が少ないからこそ、その遺産を相続人同士でどのように分割するかの意見がまとまらないということもあるのです。

参考出典:家庭裁判所のホームページ

https://www.courts.go.jp/app/files/toukei/307/011307.pdf (2023年6月4日取得)

叶多範子(かなだ・のりこ)

海外終活アドバイザー

「なんの準備もなく、認知症になった」、「終活をせずに亡くなり、家族や周りの人が困った!トラブルになった!」を少しでも減らしたいという思いから、特に海外に住んでいる日本人の方を対象に、ご自分とご自身の大切なご家族のための「海外終活」の大切さと必要性を広める活動をしています。5月に初の電子書籍「海外在住日本人のための50代からの終活」を出版したばかり。

家族はカナダ人の夫+息子2人+猫1匹、バンクーバー在住。

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