友きたる2 ~投稿千景~

エドサトウ

 帰りのフェリーのラウンジの椅子にすわり、西に傾く太陽の光がキラキラする海を見ながら、彼とずうっと話をしていた。

エドサトウさん(右)と友人、ビクトリア市内で。Photo by Ed Sato
エドサトウさん(右)と友人、ビクトリア市内で。Photo by Ed Sato

 恩師の話、友の話、彼が今かかわっているNPOのプロジェクトの話などから、今の環境問題などを話しあった。彼が今取り掛かっているプロジェクトは地元の有り余る竹を使って、海を豊かにする仕事らしい。つまり、不必要になった竹を海岸の海中に固定して、魚が生育しやすい環境を創ることらしい。うまくゆけば、魚介類が増える可能性が考えられることは、この先の将来が楽しみであり、次の世代に豊かな海を残せるかもしれない。近年、日本の近海で漁獲量の不振が続いているのは、海流の温度が変化しているためでもあるらしいと彼は言う。

 僕の知識から言えば、今は太陽の活動の弱い時期の小氷河期に入っているのではと思うのである。そうなれば、益々、冬の暖房の為の燃料を消費せねば、現代文明は、維持できなくなるのではと、考えられなくもない。

 いやいや、何が正論で何が悪なのかよくわからないのが、二人の合意点であった。

 そんな話を1時間以上もしたであろうか、フェリーは港に近くなり、船内アナウンスで「まもなく船は接岸するので、お客様は車にお戻りください」と放送があった。北国の夏は、まだ8時過ぎでも明るい夕暮れ時である。そこからホテルまで友を送りとどけて、今日も無事に、穏やかに暮れてゆくのである。

 「だれも行ったこともない場所に行け!だれもやらなかったことをやれ!」と出口治明(APU学長)は若い人に言っておられる。友と僕の人生もまた、これと似た人生かもしれないと思いを巡らすのである。

ビクトリアにあるエンプレスホテル。Photo by Ed Sato
ビクトリアにあるエンプレスホテル。Photo by Ed Sato

投稿千景
視点を変えると見え方が変わる。エドサトウさん独特の視点で世界を切り取る連載コラム「投稿千景」。
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