カルラ4~投稿千景~

エドサトウ

宮崎県にある青島
宮崎県にある青島

 九州の南にある小さな青島に流れ着いたのは、まだ日本が縄文時代が終わろうかという頃の話である。この宮崎県の海岸線にある青島は、今は陸とつなぐ橋があって、歩いて渡ることもできる。この小さな島に、日本ではあまり見ることもできない南洋の植物が生育しているのは、大昔に海流に乗り植物の種が流れ着き自生したからではないかともいわれる。

 島の沖を流れる海流(黒潮)に乗りフィリピンや沖縄方面から南の種子が漂着して生育したという説もある。民俗学者柳田邦男は愛知県の渥美半島に流れ着いたヤシの実を見て、やはり、日本人は海洋民族でなかったのではと言っている。

 宮崎県の日向の国の阿波崎岐原という川に神がけがれを払おうと行かれたと言う。きれいな川が流れていて、イザナギの神は着ているものを一つ一つおとりになると、ひょいひょいと十二の神がお生まれになったという。さらに天照大神とタケスサノオノミコトがお生まれになり、天照大神には「お前は高天原を」、月読命には「お前は夜の国を」、そして、最後にスサノオノミコトに「お前は大海の上を治めよ」と言われたと『古事記物語』鈴木三重吉著にある。

 カルラたちは鳥のように早くゆくことのできるという古事記にある天の岩船で古代日本の日向に到達したのであろうか?しかし、この頃は縄文文化が弥生文化に変化してゆく時代であって、「天祖降臨」とは、いわゆる縄文文化に新しい文化をもたらした渡来人のことではないかと想像したりするのである。

 新しい技術が入り込み、新しい文化や農耕社会が出来てくると、支配者となった人々が、縄文人の入れ墨を禁止させるのである。入れ墨は精霊が宿るものであり、また、個人、個人の個性であり名前であったのではなかろうか?

投稿千景
視点を変えると見え方が変わる。エドサトウさん独特の視点で世界を切り取る連載コラム「投稿千景」。
これまでの当サイトでの「投稿千景」はこちらからご覧いただけます。
https://www.japancanadatoday.ca/category/column/post-ed-sato/