第12回 スワミのお別れ準備 その3

 インドの南西部にあるマイゾールから長い5時間のバスの旅、プッタパルティへ到着。プッタパルティのアッシュラム入所と同時に、私は日本人グループと別れ一人になった。受付けで部屋番号をもらい宿泊所へ行った。部屋に入る。そこは8人部屋だった。入り口の真正面のベッドに2人の若い白人が座っていた。互いにニッコリ笑顔をかわす。そして、一人が私に「Do you speak English?」と聞いた。「yes, I do.」と答える。するともう一人が「I tell you what, here is a bitch(意地悪い人) in this room.」と言った。そうかぁ、8人もいれば色々な人がいるよね。

 最初に会ったその2人はドイツから来た人。私の斜め前には2人スリランカの人だ。教師だという。以前、心臓病でここプッタパルティの無料サイババ病院で心臓手術をやってもらい、元気になれたので、お礼参りに来たと言う。すっかり仲良しになりメイル交換も長い事やっていた。
 そして、後は問題の3人の「ビッチbitch」だ。互に3人とも普通に挨拶し、とてもにこやか、1人は少し年寄り、2人は若い。

 2日目早朝「ナガラサンキスタン」と呼ぶ、4時半位に集まって皆で「アッシュラム」内をバジャン(讃美歌のような歌)を歌って歩く行事がある。自分が15-16年前に初めてこのアッシュラム(寺院)へ来た時参加したことがある。皆で歌うバジャンはヒンズー語だ。私は歌えないが、歌う大勢の人たちの中に入り一緒にアッシュラム(寺院)内を歩く至福感は特別なのだ。

 早朝、夜が明けても外はまだ薄暗い。私はトイレへ行き、電気をつけ中へ入った。入って間もなく「パッ!」と電気が消えた。「わー、真っ暗」。とにかく、私は1歩トイレの外に出て、電気をつけなおし、用を終えてベッドに戻った。そして、着替「ナガラサンキスタン」に参加。皆について寺院内を一回りし、部屋へ戻る。もう外はすっかり明るくなっていた。
 部屋へ入った途端、ロシア人女性3人が辞書を片手に私に話かけてきた。「ああ、電気を消したbitchだ」。そして、彼女達が言っている事は、「睡眠妨害」うるさくて眠れない。「音を発てるな」と言う事だった。
 私は素直に「申し訳ない」と謝り、翌日はもう寝る時、翌朝、外出用服を着て床に就き、顔も洗わず出て行き、帰ってから顔を洗う事にした。それから、可成りだらしなく汚れていた、その8人部屋を一所懸命暇さえあれば一人で掃除したのだ。又、皆が気持ち良くなれるようにいつも笑顔でいた。
 そして、数日たった頃、ロシア人3人が又辞書を持って、私に声をかけてきた。「あれー、またなにかやったかなぁ?」

 でも3人ともニコニコしている。それは悪いサイインではない。そのとおりだった。彼女達の説明では、何時もマンディール(お寺の本堂)でサイババの隣に立ち、サイババの話を英語に訳している人、彼はサイババ世界では超有名人(名前は忘れた)通訳師とロシア人グループとの座談会がある。「彼は英語で話すから、貴方も来るように」と言う、お誘いだった。 わぁー!ビックリした。でも、まさかのラッキー誘いだ。
 ここでこれがまた、私の「セレンディピティ」幸運をつかむ。生きる力をもらえる、良い話が聞ける。うれしいー!

セレンディピティ(英語: serendipity)とは、素敵な偶然に出会ったり、予想外のものを発見すること。また、何かを探しているときに、探しているものとは別の価値があるものを偶然見つけること。平たく言うと、ふとした偶然をきっかけに、幸運をつかみ取ることである。

許 澄子
2016年からバンクーバー新報紙でコラム「老婆のひとりごと」を執筆。2020年7月から2022年12月まで、当サイトで「グランマのひとりごと」として、コラムを継続。2023年1月より「『セレンディピティ』幸運をつかむ」を執筆中。
「グランマのひとりごと」はこちらからすべてご覧いただけます。https://www.japancanadatoday.ca/category/column/senior-lady/