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トランプ大統領デジタル課税に反発、貿易協議打ち切り宣言から一転協議再開へ

改修工事中のカナダ国会議事堂。オンタリオ州オタワ市。2025年4月3日。撮影 日加トゥデイ
改修工事中のカナダ国会議事堂。オンタリオ州オタワ市。2025年4月3日。撮影 日加トゥデイ

 目まぐるしく変わるカナダとアメリカとの関税交渉がまたしても二転三転している。

 アメリカのドナルド・トランプ大統領は6月27日、カナダのデジタルサービス税(DST)導入に反発、全ての貿易協議を中止すると発表した。交渉再開は、この税の撤廃が条件だと主張していた。

 カナダ政府は27日の時点でDSTは予定通り実施されると強気の発言をしていたが、30日に一転、アメリカとの交渉を再開すると発表した。DST導入を見送ったとみられる。

 DSTは、Amazon、Google、Meta、UberなどアメリカのIT企業に対し、カナダ国内で得た収益に対して3%の税を課すというもので、6月30日からの施行が予定されていた。2022年までさかのぼって適用されるため、アメリカ企業は6月末までに約20億ドルを納税する必要があった。

 DSTは2021年にトルドー前政権によって成立した。DSTをめぐるアメリカとカナダの対立はトランプ政権以前からで、バイデン前政権下の駐カナダ大使も同税の施行はアメリカの報復を招くと警告していた。

 カナダとアメリカはこれまで、トランプ大統領が課したカナダからの輸入品に対する関税の撤廃をめぐって協議を続けてきた。トランプ大統領とマーク・カーニー首相は6月16日、アルバータ州でのG7サミット(先進7カ国首脳会議)中に会談し、30日以内に何らかの合意を目指すことで一致していた。

 トランプ大統領は「(カナダは)我々とのビジネスに依存している。そういう関係なら、もっと相手を尊重すべきだ」と述べた。これを受けて首相事務所は「カナダ政府は、カナダの労働者と企業の利益を守るため、引き続きアメリカとの複雑な交渉に取り組んでいく」との声明を発表した。

 しかし30日には、アメリカ政府はトランプ大統領とカーニー首相の電話会談で、カナダが「折れた」として大統領が「勝利」したと表現して交渉が再開されると発表。カーニー首相も週末にトランプ大統領と電話会談したことを報道陣に明らかにしたが、DSTを交渉の手段として利用したかについては詳細を語らなかった。

(記事 高城玲)

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2026W杯バンクーバー開催費用は約6億ドルになる可能性

シム市長、ハーバートBCスポーツ大臣ら関係者がカウントダウン時計と。2025年6月11日、バンクーバー市。撮影 日加トゥデイ
シム市長、ハーバートBCスポーツ大臣ら関係者がカウントダウン時計と。2025年6月11日、バンクーバー市。撮影 日加トゥデイ

 ブリティッシュ・コロンビア(BC)州は2026年6月から開催されるFIFAワールドカップ(W杯)でバンクーバー市開催の費用を6月24日に発表した。

 BC州政府によるとバンクーバーで行われる7試合のための費用は5億3,200万ドルから6億2,400万ドルとなっている。

 内訳は、バンクーバー市が2.61~2.81億ドル、州営公社PavCo(会場となるBCプレース運営)1.71~1.81億ドル、BC州政府4,600~9,800万ドル、その他の公共機関(トランスリンクや医療関係)5,400~6,400万ドルが必要となっている。バンクーバー市はセキュリティ費用をはじめ、トレーニング施設の整備費やFIFAファンフェスティバルの開催、PavCoはBCプレースの改修費や運営費の費用が計上されている。

 費用については今後さらに増える可能性も示唆している。例えば、FIFAが開催都市に課す要求の変更やインフレ、労働力やサプライチェーンの危機、セキュリティ強化、さらにはバンクーバーでプレーするチームによっては追加費用が必要になる可能性があると説明している。

 一方で収入は4億4,800万~4億7,800万ドルで、連邦政府からの支援金が1億1,600万ドルのほか、ホテル税などの税収、バンクーバー市からの500万ドルなどとなっている。

 またW杯開催による経済効果についても強調。約35万人と予測される観客による効果も含め、開催年から5年間で、州GDP10億ドル増、観光客の100万人増、観光客による経済効果は10億ドル以上、直接的、間接的、その他関連する州税収が最大で2億2,400万ドル増加する可能性があるとの予測モデルを紹介している。

 カナダもう一つの開催都市トロントではトロント市が3億8,000万ドルと発表している。

 バンクーバーでは7試合、トロントでは6試合が行われる。カナダ・アメリカ・メキシコの北米3カ国共催W杯は2026年6月12日に開幕する。

(記事 北野大地)

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全国ではしか感染が増加、オンタリオとアルバータで急増

 はしか感染者が全国で増加している。特にオンタリオ州とアルバータ州で急増している。

 カナダ保健省が6月23日に発表した8日から14日まででは、全国で221人が新たに感染していると報告。感染が確認されたのは、ブリティッシュ・コロンビア州、アルバータ州、マニトバ州、サスカチュワン州、オンタリオ州。これで2025年の感染者数は3,381人となった。これまでにノースウエスト準州、ノバスコシア州、プリンスエドワード島州、ケベック州でも確認されている。

 中でもアルバータ州は961人、オンタリオ州は2,186人と多く、6月23日付発表では、1週間でアルバータ州125人、オンタリオ州71人が感染。オンタリオ州では政府の発表によると感染者数は徐々に落ち着きを見せているという。

 一方でアルバータ州では人口比で感染率が最も高くなっている。アルバータ州政府の発表では、4月後半からほぼ毎週100人以上の感染者を確認。最新の発表による6月27日現在では1,122人となっている。

 カナダ保健省によると、はしかは1998年から2023年までは特定の数年を除いてほぼ100人以下に抑えられていた。しかし2024年10月にニューブランスウィック州で広がって以降、2025年に入ると3月頃から急激に増加し、4月後半からさらに激増している。

 多くはワクチン未接種の17歳以下の子どもで、各州政府はワクチン接種を呼び掛けている。

(記事 北野大地)

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BC州ではしか感染増加、感染者立ち寄り場所を公表

 昨年秋からカナダ国内ではしかの集団感染が広がっている中、全国比ではまだ少ないがブリティッシュ・コロンビア(BC)州でも感染者数が増加している。

 6月24日のBC州疾病管理センター(BCCDC)の発表によると、6月19日以降、フレーザーヘルス、インテリアヘルス、ノーザンヘルスの各保健区域で、新たに17件のはしか感染が報告された。これにより2025年のBC州内の感染者数は49人となった。現在も感染中の症例は12件だという。

 これを受けてBCCDCは感染者が立ち寄った場所やその日時を公開した。6月16日〜21日の間で、はしか感染の可能性のある場所は以下のとおり。

● チリワック — 6月16日

Mark’s(45737 Luckakuck Way)午後1時~5時

Redwing Shoe Store(8249 Eagle Landing Pkwy #716)午後1時~午後5時

Walmart(8249 Eagle Landing Pkwy)午後7時~午後10時

● カムループス — 6月16日

Denny’s レストラン(570 Columbia St.)午後12時~午後2時45分

Aberdeen モール(1320 Trans-Canada Hwy)午後1時~午後4時

Earls レストラン(1210 Summit Dr.)午後6時30分~午後11時30分

Shoppers Drug Mart(1210 Summit Dr.)午後9時30分~午後11時35分

● チリワック — 6月18日

Ahmad Barber Shop(7325 Vedder Rd #100)午後1時~午後5時

● カムループス — 6月18日

Castles and Cottages(347 Victoria St.)午前9時~午後4時

● BCフェリーおよびフェリーターミナル— 6月20日

トゥワッセン・フェリーターミナル(1 Ferry Causeway)午前11時30分~午後1時30分

Coastal Celebration号フェリー

 - 午後12時発:トゥワッセン → スワーツベイ

 - 午後2時発:スワーツベイ → トゥワッセン

 - 午後6時発:スワーツベイ → トゥワッセン

 - 午後8時発:トゥワッセン → スワーツベイ

● ビクトリア(Victoria) — 6月20日

Hot and Cold Café(#1 – 313 Cook St.)午後3時~午後6時

● サレー(Surrey) — 6月20日・21日

Marriott Civic Autograph Hotel(13475 Central Ave)

 - 6月20日:午後8時30分~午後11時

 - 6月21日:午前10時30分~午後12時30分

 BCCDCによると、はしかの症状は、発熱、せき、鼻水、目の充血、発疹など。発疹は最初に顔や首から始まって、その後、胸、腕、脚へと広がり、通常4〜7日間続く。これらの症状は感染から7〜21日後に現れるが症状が出る前から感染力があるという。

 BCCDCは以下の条件のいずれかに当てはまり、感染の可能性がある場合は地域の公衆衛生局に連絡するよう呼び掛けている。

– 免疫力が低下している

– ワクチン未接種の妊婦

– 感染の可能性がある場所を訪れた1歳未満の子ども

– 1970年以降に生まれ、ワクチン未接種

– 1970年以降に生まれ、予防接種の有無が不明

(記事 高城玲)

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カナダ・バンフ国立公園で大規模落石、5人が死傷

 カナディアン・ロッキーの観光名所アルバータ州バンフ国立公園で6月19日に大規模な落石が起き、ハイカーが巻き込まれた。

 事故があったのはレイク・ルイーズの北にあるボウ湖近く。同日午後1時30分ごろ、警察に「複数のハイカーがボウ・グレイシャー滝付近で落石に巻き込まれた」と通報があった。

 警察とパークス・カナダ(カナダ国立公園局)は同日に、1人が死亡、3人が負傷したと発表した。後日、死亡したのはカルガリー在住で昨年退職したばかりの作業療法士、ジュッタ・ヒンリッヒさんと判明した。また、負傷者のうち1人は救急車、2人は救急ヘリコプターで病院に搬送され、いずれも重症だが容態は安定しているという。

 20日には2人目の遺体を収容したとの発表があった。遺体は19日午後に捜索救助犬チームによって発見されていたが、現場状況が不安定だったため、その夜のうちに収容できなかったという。身元については21日時点で公表されていない。

 現場では20日も赤外線センサー・ドローンやサーマルイメージング・カメラを使った捜索が続けられた。しかし、がれきの中に人の存在を示す反応がなかったこと、さらに行方不明者の届け出もなく、登山口のボウ湖で所有者不明の車両も確認されていないことから、捜索は打ち切られた。

 CBC電子版は、パークス・カナダのフランソワ・マッセ氏の話として、地質工学的な調査によると、今回の落石は山岳地帯で起きる自然発生的現象とみられるとし、防ぐことも予測することもできなかっただろうと伝えている。

(記事 高城玲)

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難病の9歳少女への高価な治療薬、BC州政府が助成打ち切りへ

The Legislative Assembly of British Columbia, Victoria, Canada.
ブリティッシュ・コロンビア州の州都ビクトリアにある州議事堂。

 ブリティッシュ・コロンビア(BC)州政府は、バンクーバー島に住むシャーリー・ポロックさん(9歳)の高価な治療薬への助成を終了することが6月18日に分かった。

 シャーリーさんはバッテン病(神経セロイドリポフスチン症2型)という遺伝性の難病を患っている。この病気は1日に何度もてんかん発作を引き起こし、最終的には脳に深刻な損傷を与えるという。現時点で根本的な治療法がない極めて稀な病気で、BC州でバッテン病と診断されているのはシャーリーさん1人だという。

 助成が打ち切られたのは病気の進行を遅らせる年間100万ドルの費用がかかるという商品名「ブリニューラ」という治療薬。18日に届いた通知に家族は大きなショックを受けているという。19日には最後の投与が行われたと家族が明らかにした。

 BC州ジョジー・オズボーン保健大臣は19日、助成終了の決定は「非常に難しい判断」だったとし、(終了決定は)薬の価格が理由ではなく、シャーリーさんがブリニューラの「中止基準」に該当するほど病状が進行したと判断されたためと説明した。運動機能と言語機能が一定以上低下した場合、ブリニューラの進行抑制効果は見られなくなるという臨床的証拠があるという。

 しかし母親のジョリ・フェイルズさんは、娘の状態が悪化したという見解を否定している。また、アメリカとオーストラリアに拠点を置く「バッテン病支援・研究協会」および「バッテン病グローバル研究イニシアチブ」の責任者イネカ・ホワイトマン博士も、CBC電子版の取材に、助成中止の判断は古い臨床試験に基づいていると述べ、州政府の対応を「衝撃的」だと批判している。

(記事 高城玲)

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カーニー首相、G7で石破首相と会談「今後も緊密な連絡を保っていく方針」を確認

カーニー首相Xより。
カーニー首相Xより。

 アルバータ州カナナスキスで6月15日から17日に開催されたG7サミット(先進7カ国首脳会議)で石破茂首相と会談したマーク・カーニー首相は、両国が「今後も緊密な連絡を保っていく方針」を確認したとの声明を発表した。

 カーニー首相は16日に石破首相と会談。「カナダと日本は太平洋諸国であり、インド太平洋地域の重要なパートナー」として、「両国間の活発な貿易、防衛、商業関係」の重要性、「航空宇宙産業や造船業、新興技術分野におけるカナダと日本のパートナーシップの可能性」について意見を交わしたとした。

 さらに、防衛分野での協力を強化する「日加情報保護協定」の締結を支持。「増加する貿易の混乱がもたらす影響や安定的で信頼できるパートナーとの協力の重要性についても議論」し、今後長きにわたり、「カナダと日本は経済成長の構築、2国間投資の拡大、両国民の繁栄の実現に向けて連携していくことを確認した」と発表した。

(記事 北野大地)

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カーニー首相とトランプ大統領、G7で30日以内の貿易合意を目指すことで一致

オンタリオ州オタワ市にあるアメリカ大使館の星条旗。2025年4月2日。撮影 日加トゥデイ
オンタリオ州オタワ市にあるアメリカ大使館の星条旗。2025年4月2日。撮影 日加トゥデイ

 アルバータ州カナナスキスで開催されたG7サミット(先進7カ国首脳会議)で、6月16日に会談を行ったマーク・カーニー首相とアメリカのドナルド・トランプ大統領は、両国の貿易交渉を加速させ、来月中に関税問題に対してなんらかの合意を目指すことで一致した。

 カーニー首相はソーシャルメディアに「今後30日以内の合意に向けた交渉を進めることで一致した」と投稿。「このサミットと今後数週間で、引き続き問題に取り組むのを楽しみにしている」と述べた。数カ月にわたる両国間の貿易摩擦に明確な期限が設けられたのは今回が初めて。

 サミットにはトランプ大統領はスーツの襟に、アメリカ国旗バッジとともに、アメリカ国旗とカナダ国旗を交差させた「友情バッジ」を着けて登場。「今回のG7サミットでの主な関心事はカナダとの貿易だ」と語っていた。

 トランプ大統領は、シンプルな手法である関税を好むとする一方で、カーニー首相の提案について「より複雑だが、それでも非常に良いと思う」と述べた。その提案内容については公表されていないものの、同行したカナダ連邦政府ドミニク・ルブラン加米貿易担当大臣は会談内容について「進展があったと確信している」と述べ、「両国にとって経済的な利益となる合意が近づいている」との認識を示した。

(記事 高城玲)

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石破首相がG7を前にカナダ全国紙グローブ&メールに寄稿

国会議事堂。File photo by Japan Canada Today
国会議事堂。File photo by Japan Canada Today

 アルバータ州カナナスキスで6月15日から3日間の日程で開催されたG7サミット(先進7カ国首脳会議)への出席を前に、石破茂首相がカナダ全国紙グローブ&メールに寄稿した。

 6月13日に掲載(14日更新)され、今年50周年を迎えたG7がこれまでに果たしてきた世界への貢献とその一員である日本の役割について語るとともに、日加関係の重要性について強調した。

 「日本とカナダは価値や原則を共有する重要なパートナー」であるとし、太平洋をはさんだ隣国として自由で開かれたインド太平洋実現のための協力強化、安全保障協力の分野での情報保護協定の実質合意など政治的な協力関係、お互いが必要とする技術・知見を用いた経済分野での協力などに言及。

 また、2028年に日加は外交関係樹立100周年を迎え、「極めて良好な日加関係が、今後、さまざまなレベルで益々発展していくことを切に願う」と締めくくっている。

 グローブ&メールに寄稿された “How the Canada-Japan relationship can get even stronger”(英語)は同紙ウェブサイトに、日本語訳「日カナダ関係をいかにして更に強化し得るか」は在バンクーバー日本国総領事館のウェブサイトに掲載されている。

(記事 三島直美)

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メトロバンクーバーの北部で山火事が拡大、人為的原因か

ブリティッシュ・コロンビア州スコーミッシュのドライデンクリークで発生した山火事。2025年6月11日。Photo from Squamish Fire Rescue Facebook
ブリティッシュ・コロンビア州スコーミッシュのドライデンクリークで発生した山火事。2025年6月11日。Photo from Squamish Fire Rescue Facebook

 ブリティッシュ・コロンビア州スコーミッシュで6月9日に発生した「ドライデン・クリーク」での山火事が、6月11日午後10時時点で約54ヘクタールにまで拡大、制御不能な状態となっている。

 スコーミッシュRCMP(連邦警察)によると火災が発見されたのは9日午後5時30分ごろ。タンタラス・ロードの突き当たり付近の丘で煙が上がっているとの通報が入った。乾燥した気候のせいで火は急速に拡大し、数時間で5ヘクタールに広がった。11日朝には約20ヘクタールに、さらに同日午後には強風のため火災の北側が広がり、2倍以上の規模になったという。

 10日にはスコーミッシュに「地域緊急事態宣言」が出されたほか、ハイウェイ99号線東側のブレッケンデール、タンタラス・ロード、スカイリッジ地域の約200世帯に避難警報が発令された。また11日には近くのアリス・レイク州立公園が避難命令の対象となった。スコーミッシュ当局によると、11日午後10時時点で火災はまだ公園には達していないものの、煙や火の進行予測を踏まえ、公園の閉鎖が決まったという。

 この火災について警察は人為的原因の可能性が高いとして捜査を進めている。火災発生は午後4時ごろで、火元はタンタラス・ロードの先にある自転車道路付近と見られ、警察は情報提供を呼びかけている。スコーミッシュRCMP:604-892-6100

(記事 高城玲)

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カナダ国内で南アジア系への恐喝事件増加、警察が大規模捜査へ

 ブリティッシュ・コロンビア州サレー市で、南アジア系住民やビジネスを狙った恐喝が相次いでいることから警察が大規模な捜査に乗り出している。

 サレー市警察の発表によると、同市では過去6カ月間に10件の恐喝が報告された。警察は市内のニュートン地区およびウォーリー・シティセンター地区における恐喝に対応するため、専任チームを設置したほか、複数の商業地区におけるパトロールも強化している。

 南アジア系住民やビジネスを狙った恐喝は、サレーだけでなく、カナダ各地で発生している。手紙や電話、ソーシャルメディアなどを通じて、暴力をちらつかせながら金銭を要求してくるケースが報告されているという。警察はこれらの犯罪について地域を超えた関連性があるとみている。

 こうした状況を受けてサレー市では6月15日に、南アジア系住民らが主催する市民安全フォーラムが開催される。主催者で、同市のラクシュミ・ナラヤン寺院の会長を務めるサティシュ・クマール氏は、CBCニュースの取材に「彼ら(犯人たち)を恐れる必要はありません。彼らは私達を殺すつもりはなく、お金が目的なのです」と語っている。同氏自身もこうした恐喝を受けたうえ、所有するバンケットホールと、関わりのある保険会社の建物に発砲を受けたという。

 警察は「恐喝に応じてしまったり、警察に報告していない被害者が他にもいる可能性があり、非常に懸念している」と述べ、犯人の要求に決して応じないこと、警察に通報すること、目撃者が情報提供を行うことを呼びかけている。

(記事 編集部)

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ノースバンクーバーで子どもが死亡したボート事故、警察が情報提供呼びかけ

 ブリティッシュ・コロンビア州ノースバンクーバーで起きた子ども2人を巻き込んだボート衝突事故について警察が捜査協力を求めている。

 事故が起きたのは6月7日午後6時30分ごろ。バラード湾沿いのケイツ・パークの水域で、子ども2人が乗った浮き輪とスピードボートが衝突した。浮き輪は別のボートにけん引されていた。

 警察と救急隊員が駆けつけ、子ども2人に救命措置を行ったが、1人は現場で死亡した。もう1人も重体で、ヘリコプターで病院に搬送された。12日時点でまだ入院中だという。複数のメディアが、死亡したのはリオネル・ホール君(10歳)、重体となっているのはオナール・ユセル君(10歳)と報じている。

 スピードボートの運転手は現場で逮捕された。警察は今回の衝突についてアルコールやスピードが原因の可能性があるとみている。運転手は後に釈放され、8月27日に裁判が予定されている。

 ノースバンクーバーRCMP(連邦警察)は6月12日の発表で、現在もこの事故について捜査中だとし、捜査を進めるなかで事故当時やその直前の状況に関する情報を持つ人がほかにもいる可能性が浮上したとして、さらなる情報提供を呼びかけている。ノースバンクーバーRCMP:604-985-1311、もしくは、引用ファイルナンバー:2025-11599。

(記事 高城玲)

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