アルバータ州政府は10月1日、ブリティッシュ・コロンビア(BC)州北西部沿岸への新たなオイルサンド(ビチューメン:超重質油)パイプライン建設計画を、連邦政府のメジャープロジェクト・オフィス(MPO)に申請する予定だと発表した。MPOは連邦政府が新設した機関で、優先的と判断された大規模な国家プロジェクトについて、迅速な承認プロセスや資金調達を支援する。
アルバータ州ダニエル・スミス州首相は声明で「この計画は単なるパイプラインの申請ではなく、カナダの経済的潜在力を解き放つものだ」と述べている。同州政府はこのプロジェクトに1,400万ドルを拠出、推進主体として主導する。技術諮問グループにはエンブリッジ、サウス・ボウ、トランス・マウンテンの3大パイプライン企業が含まれるが、実際の事業でこれら企業が参加するとは限らないという。
パイプラインの具体的なルートは今後検討される予定。一部の先住民団体も計画に関与している。
州政府が計画の申請主体になることについては、BC州北部海域でのタンカー規制の影響などで民間企業が必要な資本を投じることが難しいからだとした。このタンカー規制の撤廃についてスミス州首相は、すでにマーク・カーニー首相に掛け合っており見通しは明るいとの認識を示した。
一方、BC州デイビッド・イービー州首相はこの計画について「税金頼みで民間の推進者が不在の実体のないプロジェクト」と批判。アルバータ州とは水素や電力分野など民間が関与する他の大型インフラ計画で協力したいと述べた。またタンカー規制についてはBC州民や先住民にとって沿岸を守る基盤だとした。
沿岸地域の先住民連合Coastal First Nationsもアルバータ州の提案を拒否。パイプライン敷設は沿岸海域や環境全体に脅威を及ぼすと警告した。
(記事 高城玲)
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