マーク・カーニー首相は7月30日、カナダ政府は9月の国連総会でパレスチナを正式に国家として承認する意向と発表した。
承認については、ヨルダン川西岸地区の一部を統治するパレスチナ自治政府が改革に取り組むことが条件とした。具体的には、イスラム組織ハマスが一切関与しない選挙を2026年に実施すること、民主化への取り組み、パレスチナ国家の非武装化、ハマスによる人質解放を求めている。
現在、ヨルダン川西岸地区の一部はファタハ主導のパレスチナ自治政府が、ガザ地区ではハマスが統治している。両地域とも2006年以降選挙は行われていない。
カーニー首相は承認の背景として、ハマスの継続的な脅威、西岸地区でのイスラエルの入植拡大、ガザで進行中の人道危機に対するイスラエル政府の対応不備を挙げた。これまでカナダ政府は「イスラエルとパレスチナの和平交渉が合意に至った後に国家承認を行う」との立場を取っていたが、カーニー首相はこれについて「もはや現実的ではない」と述べた。
パレスチナについては、フランスのエマニュエル・マクロン大統領が7月25日にパレスチナ国家を承認する方針を表明。続いてイギリスのキア・スターマー首相が7月29日に「イスラエルがガザでの停戦に応じ、国連による支援受け入れを許可し、長期的和平への具体的な行動を取らない限り、9月にパレスチナ国家を承認する」と発表した。カナダがこれに続いた。カーニー首相は、29日にスターマー首相、30日にマクロン大統領、パレスチナ自治政府のマフムード・アッバス議長と電話会談している。アイルランド、ノルウェー、スペインはすでに国家承認している。
一方イスラエル政府はカナダの決定に強く反発。声明で「ハマスへの報酬であり、ガザ停戦や人質解放への努力を損なうもの」と不快感をあらわにした。
(記事 高城玲)
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