カナダで学びながら働く「コープ(Co-op)留学」は、語学力と実務経験の両立を目指す制度として注目されてきた。
2025年現在は、ビザ発給数の制限や英語力要件の明確化など制度上の変更も進んでいるが、留学生の経験からは、現地で直面する言語や就労に関する壁、準備不足による課題が浮かび上がっている。制度の整備だけでなく、個人としてどのような備えを持って留学に臨むかが重要となっている。
英語力と申請枠、準備のタイミングが重要に
カナダ政府は2024年に留学生制度の見直しを発表し、2025年からは学生ビザの発給数を前年比約10%削減する方針を示した。また、就学許可申請時に必要な「PAL(Provincial Attestation Letter)」の発給数も州ごとに制限が設けられており、申請時期によっては枠が埋まる可能性もある。
併せて、語学力要件も制度として見直され、2025年以降はコーププログラムを含む多くの留学申請において、IELTSやTOEFLなどの公式スコアの提出が求められるようになった。これまで一部の学校で認められていた独自テストや面接による判定は原則として認められなくなっている。
こうした制度変更により、留学希望者には英語スコアの早期取得とビザおよびPALの申請スケジュールを踏まえた計画的な準備が求められている。
日本人留学生が直面する課題
あるカレッジ職員に、日本人学生から寄せられる相談内容について聞いたところ、入学資格として定められた英語スコアを満たしていても授業のスピードに理解が追いつかない、自己主張が苦手でグループワークで発言できない、仕事探しでは応募先から返信が得られないといった声が多いという。
さらに、就労先や職務内容に対する期待と現実とのギャップに戸惑う学生も多く、準備段階での認識不足が課題となっている。
制度の本質は今も変わらず
制度そのものは、語学と職業経験を両立できる点で今も有用とされ、多くの学生にとってキャリア形成の機会となっている。ただし、近年の制度変更を受け、形式的な参加では期待した成果を得ることが難しくなってきている。
制度や現場の変化を正確に捉えたうえで、実務的な準備と自分の目的に応じた学びを設計することが、今後ますます重要になる。
次回は、コープ留学を実際に経験した学生の声を紹介し、現地での生活やギャップなどの実体験について紹介する。
(取材 田上麻里亜)
合わせて読みたい関連記事