「極上のカナダグルメを楽しんでもらいたい」Cheena代表ショーン・リトンさんインタビュー(前編)

 カナダの極上グルメを「多くの人に楽しんでもらいたい」と話す「Cheena」代表ショーン・リトンさん。創業は1978年。両親が立ち上げたビジネスは、日本人向けグルメ商品の先駆者的存在で、受け継いだいまも変わらず品質とカナダ産にこだわり、商品開発に取り組んでいる。

 46年間変わらず流れ続けるフィロソフィは「クオリティに妥協せず、多くの人に喜んでもらえる商品を届けたい」。これからも歩みを止めることなく挑戦し続けたいと語るショーン・リトンさんに話を聞いた。

クオリティに妥協しない、メイド・イン・カナダを提供する

 「Cheena」の商品は、「カナダ産にこだわっている」と自負する。主力商品は、スモークサーモンとメープルシロップ、その関連商品。どちらも人気商品だという。

 人気の秘密は「クオリティに妥協することなく、良いものを届けたいと努力し続けていることがお客さんに伝わっているのかなと思います」と語る。

 ひと言で「クオリティに妥協しない」と言っても、実践するのはなかなか難しい。ビジネスとして成り立たなくては質の良い商品を届けることはできないからだ。リトンさんも「正直に言うと『価格が高すぎる』と言われたことがあり、プレッシャーを感じていた時期がありました」と話す。価格を下げるということは、原料の質を落とすか材料を変えることだと語る。「それではクオリティに妥協しないというフィロソフィに反すことになります。そこで、品質を落とさずに他社商品と価格で対抗できるよう商品開発を進めました」。価格だけに焦点を当てた商品開発ではなく、良いものを適正価格で提供できるように心がけている。

 それがいまのスモークサーモンやメープルシロップ商品に生かされている。

 スモークサーモンの原料となるサーモンは、「トローリング(Trolling)と言われる釣り針と釣り糸を使った方法で捕獲します。1匹ずつ処理されるためサーモンにあまり傷がつかず、その場で冷凍されるため良い状態が保たれます。またどの漁師さんが捕獲したかも分かるようになっています」という。大量に捕獲する刺網漁(Gillnetting)によるサーモンに比べると割高になるがより良いスモークサーモン作りに良質なサーモンは必要不可欠だと語る。

スモークにもこだわる。保存料、添加物、染料などの人工的な材料は使わない。低い温度で約8時間かけてじっくりとスモークし、スモークサーモン独特の香りとフレーバーを味わえるようにする。さらにダブルスモークはそれから数時間かけて高温でスモークする。ダブルスモークはウエストコーストの伝統的なスモーク方法だと語る。「時間や手間を省けば費用は抑えられますが、それでは品質も落ちてしまいます」

 メープルシロップはケベック州のパートナー契約しているメープルファームのものを使用、瓶詰などは自社工場で行っている。その契約ファームでは共同でさまざまなグレードのメープルシロップを作っている。「メープルシロップは色が濃いほど味わいや風味がリッチになるのでお勧めしています」と言う。「ただ日本の方は淡い色のメープルシロップを好むようです」と、顧客の好みも尊重する。

 こだわっているのは自分たちの主張ではなく、あくまでも手に取った人に「チーナの商品を楽しんでもらうこと」と語る。

両親から受け継いだパイオニア精神で「カナディアンテイスト」にこだわる商品開発を

 現在扱っている商品数を聞くと「たくさんです。多すぎるかな」と笑った。それほどの数を扱っていても、商品開発にはいまでも力を入れていると語る。

 そこには両親への敬意が含まれている。「両親はサーモンやメープルシロップを使ってさまざまな商品を開発してきたパイオニアだと思っています」と言う。「私が若いころ、両親は本当に休むことなく働いていました。時には、私や姉妹が両親に会えないときもあるほどでした。それでも私たちも自分たちにできることがあれば手伝っていました」と振り返る。「その両親の努力と情熱を見てきた若い時の経験は、『クオリティに妥協しない』というフィロソフィや『一つの商品にあぐらをかかずに常にクリエイティブに』というパイオニア精神として引き継いでいると思っています」

 最近の開発商品では“Stroopwafel”や“Maple Syrup Butter Popcorn”が特に気に入っているという。

 「“Stroopwafel”というのはもともとベルギーの代表的なお菓子なのですが、それにカナディアンなテイストをアレンジして開発したものです。いまではイチゴ味やチョコレート味なども加わって広がっています。個人的には甘すぎずメープルの香りが柔らかいこの商品が気に入ってます」と笑顔を見せる。

 もう一つの自慢商品が“Maple Syrup Butter Popcorn”。「自分で言うのでもちろんひいき目になるのですが」と笑い、「ポップコーン商品では一番だと思います」と胸を張る。「コーンもカナダ産、全ての材料がカナダ産です」。他の多くの商品と違うのは人工的なメープルフレーバーを使っていないことだという。「口に入れるとその違いはすぐに分かってもらえると思います」

 こうした商品開発の根底にあるのは「自分たちの商品を手に取った全ての人にその味を楽しんでもらいたいという思いと、購入した人が自信を持って家族や友人に贈れる商品にしたいという思いです」。商品開発のためには、市場調査、顧客の意見やフィードバックなどに耳を傾け、どういうものを欲しいと思っているか、どういうものが好まれるかなどを捉えて、商品として形にしていく。「我々の開発チームにとっても、新しい商品を待ってくれている顧客にとっても、とてもエキサイティングなことだと思います。これからも、商品開発には力を入れていきたいと思っています」と笑顔を見せた。

インタビュー後編は、「Cheena」の始まりや日本の顧客へのこだわりについて

Cheenaカナダ社
1978年ウェイン&かおり・リトンさんがブリティッシュ・コロンビア州バンクーバー市に設立。スモークサーモン商品、メープルシロップ商品を主力として販売。日本や韓国などアジアを中心に展開している。
カナダから日本へ届ける専用サイト(日本語):https://cheenashop.com/
日本国内専用サイト(日本語):https://cheena.co.jp/
北米顧客用シーフード商品サイト(英語):https://cheena.com/
北米顧客用メープル商品サイト(英語):https://mapleterroir.com/

Cheena代表ショーン・リトンさん。Cheena事務所で。Photo by Koichi Saito
Cheena代表ショーン・リトンさん。Cheena事務所で。Photo by Koichi Saito

(記事 三島直美/動画 斉藤光一)