日系リメンバランスデーでも、特別な思いで平和を願う

多くのポピーが寄せられたPoppy Wreath。2023年11月11日、バンクーバー市。Photo by Japan Canada Today
多くのポピーが寄せられたPoppy Wreath。2023年11月11日、バンクーバー市。Photo by Japan Canada Today

 今年も日系リメンバランスデー式典がバンクーバー市スタンレーパーク内にある日系カナダ人戦没者慰霊碑前で行われた。前夜の嵐から一転、太陽が顔をのぞかせる青空となった11月11日、カナダのために命を落とした日系カナダ人への祈りとともに、今年も特別な思いで平和を願った。

 今年は朝鮮戦争休戦協定から70年となる。カナダ退役軍人問題省によると第2次世界大戦、朝鮮戦争に参加し現在も存命している退役軍人は1万を下回ったという。

 この日は、カナダ人兵士として第2次世界大戦に参加したフランク・モリツグさん、朝鮮戦争に参加したタク・イリザワさんが紹介された(プログラム参照)。おそらく日系カナダ人としては唯一現在も存命の第2次世界大戦、朝鮮戦争を経験した退役軍人という。

式典後には多くの人が花輪が捧げられた記念碑を囲んでいた。2023年11月11日、バンクーバー市。Photo by Japan Canada Today
式典後には多くの人が花輪が捧げられた記念碑を囲んでいた。2023年11月11日、バンクーバー市。Photo by Japan Canada Today

 世界ではいまでも戦いが絶えない。昨年2月からのロシアによるウクライナ侵攻、そして今年10月から始まったイスラエルとハマスの戦いは、現地での戦闘で市民が犠牲になっているだけでなく、カナダ国内ではヘイトクライムを引き起こしている。

 式典の司会を務めたデイビッド岩浅さんは、カナダ軍兵士として戦った日系人に敬意を表するためここに集まっているが、同時に、国籍や宗教などに関係なくカナダを祖国とするために来た全ての人がこの国で平等に権利を有することを強調したいと語った。

 今年で2回目の式典参加となった丸山浩平・在バンクーバー日本国総領事は、「年々国際社会の状況が厳しくなったり、色々な悲劇的なことが起こっている中で、さらに特別な気持ちで祈りを捧げました」と語った。今年も赤いポピーが印象的だと話し、「先達たちの声があの赤いたくさんの花を通じて、いま生きてる人たちがしっかり英知を寄せ集めて力を合わせて明るい世界を作っていけと訴えかけているような気持ちで、特に今年は赤い花を印象的に受け止めました」と平和を願った。

 式典後には昨年まで新型コロナウイルス禍で中止となっていたレセプションが4年ぶりに行われ、多くの人が集まり、それぞれに思いを馳せていた。

司会を務めた岩浅さん。2023年11月11日、バンクーバー市。Photo by Japan Canada Today
司会を務めた岩浅さん。2023年11月11日、バンクーバー市。Photo by Japan Canada Today
花輪を捧げる丸山総領事。2023年11月11日、バンクーバー市。Photo by Japan Canada Today
花輪を捧げる丸山総領事。2023年11月11日、バンクーバー市。Photo by Japan Canada Today
Remembrance-Day-2023-program

(取材 三島直美)

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